https://www.jspm.ne.jp/newsletter/nl_83/nl830101.html

オピオイド鎮痛薬(以降、オピオイド)の過量投与で命を落とすなど、オピオイドの不適切使用が社会問題となり、医療に暗い影を落としている。
この問題はオピオイドクライシス(米国社会の危機的状況)とよばれ、米国公衆衛生上の非常事態宣言を大統領が発するなど、その問題は深刻さを増す一方である。

オピオイドクライシスが深刻になり、当局による処方規制が厳しくなると、多くのオピオイド依存患者がフェンタニルやヘロインといった非合法のオピオイドに移行、過量投与による死者数の増加へと繋がっている

【製薬会社の過度の広告戦略】
 多くのオピオイド製剤(オキシコドン製剤、フェンタニル貼付剤、フェンタニル口腔粘膜吸収製剤、アセトアミノフェン配合錠など)が臨床応用されたこと、製薬会社の過大広告による医師の安易な処方が横行してしまったことが、オピオイドの氾濫の要因とされている。

オピオイドクライシスを正しく理解する
獨協医科大学医学部麻酔科学講座
山口 重樹