「スカイベンジャー」

通勤電車という監獄の中で
入り組んだ迷路のように
まがりくねった空が見えるかい?
宇宙の片隅ではないという信念を
優先席に叩きつけろ
鬱屈した歌は窓の外を流れる景色に吸い込まれ
永遠よ、彼方へ消えろ
そんな叫びが車内に木霊する
天井を突き抜ける頭蓋骨達
この瞬間だけは自由なんだ
誰もが飛びまわし蹴りをする世の中で
僕だけは水面蹴りをしているんだ
「なすすべがない」
何度つぶやいただろう
あらゆる可能性を否定し
見えてきたのは本当の自分だった
誰もが脳という宇宙の中にあるガラクタを
集める宇宙飛行士なんだ
「ユーコピー?」
「愛コピー!」
眼球から光がなだれ込み
波打ち際に打ち捨てられた
言葉の残骸が
ひとりでに歌いだす
深い、どこまでも深い青の中に
沈んでいきたい
そこには
僕になりきれなかった僕がいるんだ