容疑は詩人未遂
詩人はいない
ただ詩が零れた刹那の背中に
気配としてだけ漂う影があって
容疑は詩人未遂
罪深い僕は君の詩人を断罪して
生き延びる道を探ってみる
君の嘘は汚い
だって詩人だなどと言い切るのだから つま先を絡めて欲しきつま先を
探して寒きひとり布団よ 言葉から意味を剥ぎ取っちゃうんだよ
そうすると感触だけが残るからさ
そこからが面白いんだって 僕がまだ僕らだった頃
ねえ
覚えてる?
僕らがまだ
ホントの ボクラ だった頃のことさ
Amに7thを加えて
時々9thのざわめきを混ぜながら
アルペジオで切り抜けていた
アノコロのことさ
Em9からボサノバに行こうとして
二人してつまずいたアノコロの歌
僕がまだ僕らだった頃
ねえ
覚えてる?
僕らがまだ
ホントの ボクラ だった頃のこと
今なら歌えそうな気がしてさ
今更っていう月を
朝に探したりしてみるんだ
すげ〜 情けない僕さ
笑えるでしょ?
なんにも変わっちゃいないんだな
誰も知らないのに
みんなが知ってる歌
歌えるような気がしてる
ねえ
聴こえてるよね お守りになれたらいいな
バックの中で忘れられちゃうくらいな
お守りになれたらいいな
守れるかわからないけど
守りたいなとは思っていたい
お守りになれたらいいな
はにかんだ想いを孕んだやつさ
お守りになれたらいいな
君の不幸を全部
僕のせいにしてくれていいよ
もっと大きな悲しみを
小さなため息に丸め込んだこと
君が知るはずのない魂が
邪悪と刺し違えて闇に溶けたのかもよ
僕の知らない朝が君に笑ったのかな
僕の知らない涙が
瞳に浮かんだ気がするから
たとえあくびの後の涙目でもさ
僕は静かに消えていけるよ
お守りになれてよかった
気休め程度の間抜けなやつでさ
お守りになれてよかった
ちっぽけな祈りもどきの
お守りになれてよかった
朝には揮発する
優しい 口笛 みたいな 「ライブハウス 短詩」
短詩って名前のライブハウスがあるらしいよ
知ってる?
店長はやる気のないズボラな
ゴンタ3号とかいうやつ
なんか ルールらしきものさえ面倒くさがってまともに作ってないって話さ
普通はさ
ブッキングしたり順番決めたり
持ち時間で区切ったりするんだが
それさえもやらないっていうテイタラクさね
客席だかステージだか客だか演者だか
もう渾沌 カオス
いろんな歌い手が好き勝手に歌い始めるもんだから
そいつぁもう凄まじい不協和音の塊みたいな前衛空間になっちまうって話
笑えるだろ?
なあ 今度行ってみないか?
ビールもつまみもないけど
なんか自由ってやつがイケるらしいぜ
みんなほかの歌なんて聞いてないようで
実は結構聞いていてさ
悔しいとか馬鹿野郎とか叫びながら
もっともっと裸に馬鹿になろうとしてるらしいぜ
なんか糞みてーな楽園
短詩って箱
知らない?
オイラ行き方わからなくてさ
それに怖いよ
魑魅魍魎がいるかもうしれないじゃん
ああ
でも行ってみて〜な
短詩?
短い歌なんてほとんどねーらしいけど
それにしても馬鹿な名前だよな
街のはずれのションベン臭い路地から地下に降りる滑りやすい階段がある
看板なんかない
イチゲンサン大歓迎の
だけど愛想なんてない場所
しかも24時間開きっぱなしの
聞き放題書き放題
そんなうたた寝の夢
なんでもありさ
なんにもないけどな
ーーー
Facebook内 カッコつけても握りっぺ
それがあなたの美学なりやと 詩のためにここにいる
さてそれは
それは事実か
詩にためにここにいる?
壊せばいいと呟いて気が付いた
僕にここは壊せない
人目に晒してやっと完結する
そりゃぁ醜いこころがあって
優しさばかりじゃない眼球が
僕には必要だったのだ
だが僕は気が付いた
一番さみしいのが誰かなのか
君をひとりにはしない
絶対に
詩のためにここにいた
ナルシスティックな快楽のために
だが
詩なんかどうでもいいのだ
こころを晒せば誰だって痛い
半分どSで半分どMの魂が
自作の自分への殺意を
喜んで悶える
それが芸術だとか
どの口が叫ぶというのか
だが僕は気が付いた
二番目にさみしい僕が叫ぶんだ
君をひとりにはしない
言葉なんて
死んじまえばいいんだ 君の声に起こされる朝を夢見てしまう
僕によく似た誰かを笑う朝です アイシテル が
魔法を帯びる時間って
すごく短いのかもしれない 「見つけての暗号」
詩人が発する見つけては暗号だから
美しい蝶を想いで抱きすくめるみたいに
静かに見つめること
絶対に触れないこと
触れて欲しいを見殺しにして
その美を生き長らえさせること
瞬きで消えてしまう魔法を
魔性を
見つけた
そして見殺しにした
たったひとつの魂であろうとすること
とても不思議な物語の前で
終わり方を
そして
その後日談を夢想してみるだけの
生き方
まだできない
今の僕には
少なくとも次のページは共作で
その次のページで共犯になる未来が見えるよ
聞いてもらいたい歌と話は
沢山さ
君には笑ったり壊したり
嘲ったり殺したりする選択肢さえある
僕が欲しいのは
体温越しの鼓動の言葉
そして
果てた後の柔らかな微睡に浮かんだ
かりそめの静かな死
ちゃんと死ねたら
ちゃんと産まれ直せる気がするから
新しい朝にね
明日は晴れるさ
月が教えてくれたからね 深夜ほど素晴らしい時間帯は無い。日本中誰もが不登校だ。 いいよ
愛の答えなんて
教えてくれなくていい
僕にはさ
寂しさに酔うしあわせが
そう
小ぶりなしあわせが
お似合いなのさ
いいよ
愛してるの返事なんて
くれなくていい
愛してくれなくていい
さみしいの震源にいてよ
愛しいの震源でいてよ
もう少しだけ 「半分見つけた」
僕の半分は君って呼ぶんだ
君の半分が誰なのかはわからないけど
僕の半分はもう
君としか呼べなくて
僕らの半分が誰なのかも
もうわからなくなったんだよ
僕の半分は
もう君になったんだ
だって夜明け前が
僕に教えてくれたんだから
君の残りの僕が
愛の半分を痛みだって言うから
僕はまた
痛みが大好きになるのさ
だから
僕の半分の嘘が
残りの半分に全部バレたって
その中の半分の
ほんとはホントだって
バレちゃうんだから平気さ
おはよう
おやすみ
僕の半分
耳たぶとキスを残して欲しいよ
僕は嘘の半分に溶けるからさ 「夢追い」
夢追い人は罪人である
重い夢追いを
不治の夢追いを誘発させてしまうから
やがて夢追いは夢老いとなる
自分だけが夢心地で
周りが地獄であったりするのだ
その惨状たるや
夢の罪深さが
その罪深さが…
だから夢追いよ
夢追い人よ
静かに夢に酔え
誰にも見せずに
ひとりで酔え
夢追い人は罪人である
それは人として原初の発情だから
大人として割礼されねばならぬ
原初の光だから
そして
夢追い人は旅人である
ふるさとはすでに夢の中にしかないのを
彼だけが知ってしまったのだ
夢老いに倒れる旅ぞ
命旅
夢追い人は罪人である
誰も裁けない咎人である
だって僕らはみな
だって僕らは
でも
夢追い人は罪人である