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前の人のお題を書き込むスレ
000119 ◆gwnULb/9mw 2010/11/08(月) 22:43:01ID:gLPovKZg
前の人が出した題にそって詩を書き、 次の人にお題を出すスレです。 詩を書いた人は必ず新しいお題を出してください。


「風鈴」

記憶している事は何かと語らう縁側が暖かければ
その人は人には無いものを持っている
銅張りの瞼が開くまでの時間を知っている事で
僕らはまだ見ぬそれを補おうとする

レム睡眠の震える目玉の奥底で
冷たい水をゆらゆらと
細い灯火をゆらゆらと
蓋の下で扱えるものは小さい

聴いて眠る時
風上が林の明かりに隠れ
土の上に短い影が色濃く落ちて
雲の降らせたような島を作る

砂場で人が泳いでいる
洗い物が風を嗅ぎ
帆のようにはためく



次は「AKB48」でお願いします
0771名前はいらない2016/05/24(火) 19:47:16.23ID:e20A4ct/
「再放送」

居間の大きなテレビで

従兄とふたりで夢中になって観たドラマは

もう遠い昔の物語だった

白黒で画像は悪かったけれど

ぼくたちは最後まで真剣に観ていたんだ

ああたった一度きりのあのドラマが

また一緒に観たくてしかたがいねと

今も従兄と話すのだ


つぎは「思い出は宝石箱に」
0772名前はいらない2016/05/25(水) 00:27:40.72ID:37bXBfTD
思い出は宝箱に

思い出は宝箱に
しまっておこう とっておこう
たとえ今苦いテイストでも 時間に流され甘くなる

思い出は宝箱に
隠しておこう 箱の底
見られたくない思い出も いつしか花咲くネタになる

思い出は宝箱に
しまっておこう 無くさぬように
無くしてしまってあやふやよりも しっかり覚えておきたいし いつか誰かに 話したい

思い出は宝箱に
飾っておこう 手入れをしよう
深く閉ざしすぎちゃって 腐って消えないようにねと

思い出は宝箱に
しまっておいて 良かったねと 
思える 思いで集めよう
どんなに小さなことだとしても それは きっと 大きな

宝物

になる。

思い出は宝箱に

しまっておこう とっておこう

集めなかったと後悔を しないようにね 絶対に


次は、アクセル
0773名前はいらない2016/05/25(水) 02:42:26.84ID:EsRemmvi
 ‐アクセル‐

坂道だから

スピードがついて止まらない

後ろから腰に手をまわす力が強まる

とまれよバカやろうヤバイだろもう

ふたりの奇声がこだまして

まわり中に響きわたる

アクセル全快でいこうぜ

こんなことめったにないから

おまえだってほんとは

止まらずにいたいはず

だからこのままいくよ


次は「狼たちの夕餉」
0774名前はいらない2016/05/25(水) 20:51:34.34ID:EsRemmvi
「狼たちの夕餉」

深夜近くの店内は人影もまばらで

ハラをへらしたふたりがテーブルに向かい合うのは

なんだかよそよそしくも妙な感じに見えた

つい先ほどまでの夢の国での出来事は

若いふたりの静かな興奮として熱い体に残っている

やがて来た食事に大口でモノも言わずに

彼らはただただ食べ続けていた

ただ時々は互いに見あいながら

そこは恥ずかしげに笑いながら


次は「悪いうわさ」
0775名前はいらない2016/05/26(木) 18:34:14.13ID:gEm59Wyx
「悪いうわさ」


自分を棚に上げて悪い噂を流すのは
自分はましだと思っているから
それは自分の弱さなんだけど気づかない
悪い噂が本当だとしても
全部が悪いわけでなく
誰だって
弱気になる時もひねくれる時もあってさ
本当はそういう時こそ
黙って側にいてあげられたらいいのにね
それができないのも弱さだ

次は「宿題」
0776名前はいらない2016/05/26(木) 20:36:12.88ID:PVfBv8/H
宿題

高校卒業間際、先生が言った
「俺からの最後の宿題だ。次会う時までに、自分の人生を変えた言葉を、
ひとつ見つけてこい。なんでもいい。くだらなくていい。その言葉がどう人生を変えたか、
俺に教えてくれ。」

その1週間後、先生は事故で死んだ。
俺は、先生に迷惑をかけてばかりだった。
将来の夢が見つからず、グレた時もあった。
俺は、その時、先生が嫌いすぎて、葬式にも顔を出さなかった。

その後、俺は大工に弟子入りした。
辛い事だらけだった。

そんな時、いつも俺を支えてくれるのは、先生の言葉だった。

70歳。俺はがんで死んだ。

天国で先生に会ったら、あの宿題の言葉は決めてあった。

「俺からの、最後の宿題だ。人生を変えた言葉を見つけてこい。」

俺はこの言葉を見つけるために、人生を費やし、そしてこの言葉こそが、俺を変えた。



次は、Hello .Good bye.
0777名前はいらない2016/05/26(木) 22:12:29.11ID:k5YyAgQ1
‐ Hello .Good bye. ‐

毎朝のあいさつ

今日からすこしきどってヘローにした

なんかカッコよくてみんなマネし出す

ヘロー やー ハロー よー  ヘーロォ

発音バラバラなのになんか合っている

下校時のおわかれもグッバイにしてみた

グーッバイ バーイ バイバイ

おどけたしぐさで大声で

Hello Hello

Good bye Good bye

大好きなみんなにHello .Good bye.


次は「夜のサンポ」
0778名前はいらない2016/05/27(金) 18:34:18.37ID:oX3Wa8hG
「夜のサンポ」

深夜の団地内はひっそりとしていて

やたらと湿り気をおびた空気に包まれている

ココはもうボクとイヌのポチだけの空間

だって今の時間はだれひとりとしていないんだもん

昼間の近所の住民も子供たちも老人たちも

通りを走るクルマですらもほとんどないから

ポチの肉球が地面にやわらかく触れる音と

ボクのなるべく気をつかう足音だけが

ひんやりとした空間に静かに聞こえている

フイにガランガランドシン、と聞こえるあの音は

ああいつもの自販機に飲みに来るお兄さんだ

彼はこのあと配達の仕事にかかるのだ

もうそんな時間なんだと

明け方も近い夜空を見上げながら思った



次は「夜明けの空の」
0779名前はいらない2016/05/28(土) 06:21:25.13ID:S6CuBwv9
「夜明けの空の」

まだ寒いこんな明け方に

ベランダから見上げる空はほんのりと色づく

こんな瞬間きっとどこかの誰かも

同じように同じ空を見上げているかもしれない

そう思うと何となくほのぼのと

ちいさな微笑みが生まれる

世界中の誰かでもいいから

そんなこと思っていればいいと

空を見上げがなら


次は「一番星」
0780名前はいらない2016/05/29(日) 01:02:53.65ID:TE5fdtyG
「一番星」

夜は静かに暮れてゆく

明日までヒタヒタと

ぼくらの足元は交互に靴音がひびく

今夜もまだ寒いけれど

でもこうしてただ歩いていれば温かい

誰もがまだ眠りこけている頃に

しばらくこうして一緒に

ほら空を見てごらんよ

一番星が流れて消えてゆくよ

やがてあたりは白んで朝が来てしまう

それまでもうしばらく手をつないでいよう



次は「悲しいステップ」
0781名前はいらない2016/05/29(日) 14:29:47.62ID:TE5fdtyG
「悲しいステップ」

今夜も街の通りで笑い合い

ふたりのコラボで唄を奏でていた

離れた歩道でハデなコスプレした青年が

たったひとりで踊っていた

用意した曲を流しながら

靴音を響かせながら

ただひたすらステップを踏み続けて

夜の界隈では

ボクらの演奏も彼のダンスも

かき消されて見過ごされてしまう

ひとりよりもふたり

少なくともぼっちじゃないだけでも

さみしさは少ないのだろからボクらのがマシかと

寂しくステップを踏み続ける彼を見ながら思った


次は「演奏家」
0782名前はいらない2016/05/29(日) 18:36:11.71ID:TE5fdtyG
「演奏家」

昼過ぎのデパ地下のラウンジは

静かに噴水が湧き出ていて

そばのテーブルで休むお客もまばら

エスカレータ下で演奏する彼女の弾く曲に

聞き入るひとはほとんどいない

アイスクリーム片手に佇むわたしは

今はこのホールでたったひとりの観客

ただぼんやりと

ピアノの死角から眺めているだけ

きっとアナタは気がつかないでしょう

鍵盤と取り組んで目をつむって弾き続けて

まわりの誰にも目を むけずに

ピアノと語らうだけのアナタには


次は「子猫のワルツ」
0783名前はいらない2016/06/03(金) 15:18:14.12ID:JSp6yo7/
子猫のワルツ

ふと目をやると子猫が
すがるような
いぶかしむような

あるいは名前すらない感情を
もてあますかのような
つかみどころのない視線で
僕をみるものだから

なにか見てはいけないものを
見ているかのような
そんな気持ちにとらわれてしまう

そして視線をそらすと
何を視線をそらすことがあるかと
こちらには何もやましいことはないのだからと
開き直りにも近い気持ちがめばえ

ふたたび子猫を見やると
見事なステップを踏んでワルツを
踊っているものだから
僕はどう反応したものか迷ってしまう

鼻で笑い 肩をすくめたくとも
鼻で笑うってそういえば
どうやるんだっけと首をかしげて
いつまでも僕は
迷っているのでした

次「カウントダウン」
0784名前はいらない2016/06/05(日) 20:52:51.45ID:Acplbr39
「カウントダウン」

近づいてくる時間が短くなる
バスの時間がうらめしい
足踏みしているぼくはひどくこっけいだろう
だってとても不安だから
まるでこれから死刑台に登らされる人間のようで
裏切ってキズつけた友達に
どんな顔して会えればいい?
誰か教えてほしいよ
できれば今はこのまま逃げてしまいたい
迫りくる時間に胃が痛くなるのに
情け容赦なく時刻は迫る


次は「細き血管」
0785名前はいらない2016/06/06(月) 15:38:31.49ID:NdZDCkqE
細い血管

あかいはな
ぱっとさいて
ぱっとちって
はなびらひらひら

ひらひらはなびら
じめんにおちて
綺麗ああ綺麗

それはまるで
どこかのだれかの
たにんごとのようでいて

こどものいたずらのように
不穏なたくらみごとのよう

はなびらすべて
なくしたはなは
そのときなにを
おもうのでしょうか

次「雨あがり」
0786名前はいらない2016/06/06(月) 17:36:12.78ID:kSMPrLCV
「雨あがり」


誰かが雨宿りをしてるバス停を

横目にみながら雨のなか走る抜けた僕らは

誰もよりもさきに雨上がりの空をみる

濡れたぶん、風は気持ちいい

雨に打たれたぶん、空が明るみくえる

雨宿りをして隠れてた賢い誰かさんには

見えない景色がここにある


「うそつき」
0787名前はいらない2016/06/06(月) 18:56:34.08ID:Zhj3AJLY
うそつき

「しね」「だいきらい」「めのまえにあらわれないで」
平気で君に、嘘をつく
ほんとは「いきて」「だいすき」「ずっといて」
君を守るため、嘘をつく
心にもない言葉でも、
君がこれ以上嘘をつかなくていいように
  『嘘をつく』

失敗恐れて『嘘をつく』

別れを惜しんで『嘘をつく』

笑ってたくて『嘘をつく』

お話ししたくて『嘘をつく』

これはいい嘘と、自分をだまし『嘘をつく』

その重りいつも自分を苦しめ

何もかも嘘に聞こえてくる

そんな自分に嘘をつく

ほんとはすべて嘘なんだと、誰かに言いたい話したい

だけども僕は今日の日をいきていくため『嘘をつく』

次は『アリガトウ』そして『サヨウナラ』
0788名前はいらない2016/06/06(月) 21:00:00.99ID:ZIrvg2rl
『アリガトウ』そして『サヨウナラ』

今日くり返したコトバは

友達とかわしたありがとう

いったい何回かわしたのかわからないけれど

言っててちょっと照れくさくて恥ずかしくて

でも何度でもかわしたくなるありがとう

そして誰かと別れるときや帰りの会で

かならずかわすのはこの言葉

さっきの角のわかれ道で

となりの家の門のところでチビ太にも

振り返りながら手をふって彼らにさようなら

こころにちょっぴり寂しさがこもるさようなら


次は‐紅い金魚のむれ‐
0789名前はいらない2016/06/07(火) 15:15:44.60ID:WmDwYj6s
‐紅い金魚のむれ‐

私の足元には大きな水たまりがあります
見ると何匹もの紅いちいさな金魚が泳いでいました
くっつくようによりそうように 皆仲良くスイスイと
気持ちよさげに涼しげに

けれど現実にはそれはかわいい金魚では無くて
先ほどから私の口元からこぼれおちた血痰だったのです
私が苦しんで咳き込むたびにそれらはコロコロと
口からこぼれ落ちて
足元の水たまりに浮かぶのです

病気はつらくつねに逃れたくなるものだから
ときおり柔らかな妄想が私を誘うのです
これはきっとそんな妄想が見せる夢なのでしょう

ほら覗いてみてください
足元で金魚たちがヒラヒラと楽しげに泳いでいるでしょう
血の糸さえ引かなければ美しい金魚たちが


次は‐鉄格子越しのそら‐
0790名前はいらない2016/06/07(火) 16:19:21.66ID:GKwV9J9c
「鉄格子越しのそら」

ショッキングピンクの壁にはめ込まれた
小さな窓にはゴールドの鉄格子
窓のそとにあるのは暗黒の空
小さな部屋の天井には天使が舞って
テーブルには美しい花束と甘い甘いチョコレート
たったひとつのドアの鍵をもつきみは
美しいこの部屋でも
今日も優しい嘘をつく
クッションの羽根が舞う中で
ほら雪だよときみが微笑えむから
そうね、世界で1番優しい雪ねとこたえる
瞳をとじるときみの声がきえこえる
宇宙はひろい、ひろくて自由だ
何を描いてもいい、すきに描いていい
ショッキングピンクの壁
天井には天使が舞って
窓にはゴールドの鉄格子
テーブルにはきれいな花束と甘い甘いチョコレート
きみは今日も優しい嘘をつく

窓のそとはきみのいない自由
0792名前はいらない2016/06/07(火) 17:07:59.13ID:GKwV9J9c
「お別れの挨拶」

よく頑張ったと思う
今までよくやったわ
あなたは助けてくれなかった
それだけは覚えておく


「祝賀会」


「」
0793名前はいらない2016/06/07(火) 17:56:25.53ID:WmDwYj6s
「祝賀会」

今夜は酢っぱい酔いが回る
星さえもチカチカとまたたきながら空でおどけてそうだ
大事な仲間の祝いの場で
婚約の話を聞かされてその瞬間ノドが焼けついた
冗談と 本気の入り混じる思いの中で
俺もどこか飛んでゆきたい気がする…


次は「指輪」
0794名前はいらない2016/06/08(水) 01:34:19.12ID:No3roaQw
「指輪」

今日はイヴ
同じ日に生まれたことに感謝したい

誰に…?
ふたりの神さまにだろう
だってこうして僕らを巡り合わせてくれたのだから
今はただこの日を祝いたい

なんだか照れくさいね
同じイニシアルの刻まれた光る指輪
偶然にも僕らの名前はそれも同じで
トールキンの童話じゃなくてもドラマを感じてしまうだろう
イヴで賑わうイベントの会場で適当に選んだ指輪は特別に見えた

僕らにとっては今日を記念できる素敵なアイテム
はめた指を合わせればほら何かが見えるはず
キラキラと銀色に輝きながら
互いの指輪の放つ魔力に魅せられながら…


次は‐待ち合わせ‐
0795名前はいらない2016/06/08(水) 22:14:25.82ID:No3roaQw
‐待ち合わせ‐

今日の俺はやたらとドキついていた
遅れてきたヤツは走ってきながら
やや照れながらスッキリとした頭をゆらした

日を浴びて短くなった襟足がやたらとまぶしい
目をしばたかせている俺に
おかしくはないか?と聞くあいつ
おかしくはないよと答えてやるけれど
すごく似あうぞとは何故か言えずにいた
それが今でも悔やまれるのだ
俺の時にはあいつはそう褒めてくれたのに


次は‐しろい手‐
0796名前はいらない2016/06/10(金) 17:19:11.01ID:Og4a+NJf
‐しろい手‐

今日の俺はやたらとドキついていた
よろけたヤツの腕を掴んだとき
浅黒い俺の腕から白いヤツの腕が伸びていた

日を浴びてやたらとまぶしく光っていて
そんなヤツの腕に
俺はついつい目を何度もしばたかせてしまう
散髪したてのまぶしいうなじに
シャツからすんなりと伸びる白い腕
そして掴みかえしてきたその手先

なにもかもが皆まぶしく照れくさくて
なんだか今日は一日まともに見れずにいた

次は‐鏡‐
0797名前はいらない2016/06/11(土) 20:24:18.55ID:jmw9Y8ae
‐鏡‐

ふと見ると暗がりの中に僕がいた

姿見の中でもうひとりの自分がこちらを見ている

真夜中の鏡の中は見てはいけない世界なのかもしれない

昼間見る自分とはまるで別人の姿がそこにいる

笑っているのだろうか微笑んでいるのだろうか

謎めいた見たことも無い笑顔を向けて僕を誘う

不気味で怪しい姿の何者かが手をこまねいて…


次は「ナチュラルな」
0798名前はいらない2016/06/13(月) 09:03:00.85ID:yP+T4Gdq
「ナチュラルな」

彼の生き方としぐさに魅かれる

みじんもウソやいつわりのない姿には

ひとへの愛情や思いやりがとけあい

自然と自分もつられていることに気づいている

きっと本人はなにも気がつかないんだろう

だからこそ空気が流れるように存在する

そこには静かにナチュラルななにかが


次は‐縁‐
0799名前はいらない2016/06/20(月) 00:17:36.98ID:0aSQPAN+
誘う鳥が一つの形
よそう夜に一つの国、
http://taropunko.blog.fc2.com
0800名前はいらない2016/06/20(月) 08:47:19.45ID:3BRdc8rV


ある朝、段ボールが届きました
食べ物だったらいいな

中には何もありませんでした
魂が一個はいっているだけでした
ぼくはその魂をたべようとしました
でも手のなかからするっと逃げて
それは大通りへと転がっていきました

雑踏で見つけたそれは
魂とはちょっと違った色をしていました
魂は腐った卵のような色をしていたのですが
それは犬の形をしています

犬の形をしていても食物は食物です
ぼくは彼を食べようとして大きく口を開けました
彼は一目散に逃げていきました

その日の最後にありつけた食事は、道端に転がっていた、よくわからない虫の死骸でした

白い、糸のようなものが、ぼくと彼の口のあいだを繋いでいました


次は『最果て』
0801名前はいらない2016/06/20(月) 20:57:56.17ID:PdFRq10e
『最果て』

くり返し訪れる朝も開ければまた同じ

冷たい夜が過ぎてけだるい昼間がやって来ようとも

今ここで膝を抱えて孤独と戦う自分は同じまま

ただここにこうしているだけ

ここが都会の真ん中だろうが最果てだろうが

それは同じことなのだ

いつか必ず訪れる新しい朝には期待できたとしても

僕はここから逃げられはしまいだろう

きみのことだけを案じながら

今夜も明日もその先も孤独な部屋で生きている

窓からさしてくる光がどんなにまぶしくても

それはいつまでも変わらぬこと


次は『誓い』
0802名前はいらない2016/06/21(火) 03:37:23.14ID:hYHq2Hka
『誓い』

手の傷はふたりの絆なんだよと
風の中で誓い合ったこと
あの日を僕たちは忘れない

冷たく吹き荒れる風の中で
君はいつもひとりきりで立ち尽くしていた
口癖のよに強くなるんだと言いながら

きみはいつもひとりぼっちな戦士だったね

風の中で君の叫びがこだまする
僕の耳にも響きがながら

僕の差し伸べた手の甲に
君の伸びたツメが突き刺し血が滲む
手の痛みは君の心の痛みだろう

君はもうひとりきりじゃない
そばには僕がいつもいるよ
だからもう泣かないで

もう孤独に苦しまないで
君の叫びは僕の手のひらでふさがれる
君は僕の傷にくちづけし
ふたりで戦うことを誓った

これからはふたりなんだ
僕たちはともに戦おう


次は『叫び』
0803名前はいらない2016/06/21(火) 19:08:48.90ID:hYHq2Hka
『叫び』

夕刻時にどこからか響いた

橋の上からなのか

夕闇の下からか

誰のものなのかわからないけれど

カラスの鳴くようなそれともネコの鳴くような

ちいさいけれど鋭く耳にいつまでも残るような

そんな不快なそして気味が悪くて

今ここでいつまでも立ち尽くして動けなった

僕が聞いたことを後悔した…


次『甘い果実』
0804名前はいらない2016/06/22(水) 10:19:43.67ID:Xvo5uAw7
甘い果実

とてもとても
おいしそうな
あまいあまい果実

悪い虫がよってくるのを
追い払って独り占め
しかしながら
いざ手にしてみると
生まれるためらい

食べてしまいたいけれども
ほんとうにこれを
僕がたべていいのかな

早く食べないと
果実は傷むのも早いし
ころころどこかへ
ころがっていく恐れも

それでもまだためらっている


次「豪雨」
0805名前はいらない2016/06/22(水) 21:06:47.33ID:ejsh1lcC
「豪雨」

今オマエが何に怯えているのかあててみようか?
そんなに寂しい顔はしなくてもいいよ
オマエが流してきた汗や涙の分だけ
俺も傷ついてみせるから

ひとりぼっちで怯えることなどない
オマエが佇んでいる時はいつでも待っていてあげるよ
だからその一歩をいつでも踏み出しておいで
オマエがその小さな手を差し出したら
かならず俺の手が掴んであげるから

いつでも俺はオマエのそばにいて
そのちいさな魂の雨傘となってやるよ
今オマエはこうしてどしゃぶりの雨の中でしゃがんでいる
そして誰かから差し伸べられる傘を待っているんだろう
そんなやつは誰もいないとわかっているのに
濡れたいのならかまわないよ
いつでもこうして俺がいる
馬鹿なオマエにつき合って後ろに立ち傘になろう

ふたりでビショ濡れになれば少しはマシだね
ふりかえるその顔は濡れていたけれども


次は‐深い眠りのあとで‐
0806名前はいらない2016/06/23(木) 11:29:08.46ID:CF2YzuFU
‐深い眠りのあとで‐

手放さなければならなかった
大切なものを沢山失って
誰もが知っているあの忌まわしい災害に
日付は風で吹き消されようとしている
数多くの出来事に摩擦されながら

ディープスリープ
僕は眠っていた
一段こころをしなせてそして再び目覚めた時、蘇る
しんだこころは干上がりそしてまた起き上がる

涙はいつの間にか乾いていて
雲ひとつ無い青空は再び立ち上がる勇気を与える
悩み苦しんだ後にはまた新たな明日が始まる
これが運命というものならば
僕はしっかりと受け入れよう


次‐踵をかえして‐
0807名前はいらない2016/06/24(金) 16:00:24.00ID:OPPnI+bI
‐踵をかえして‐

きみの足首はいつも緊張している

動くたんびにその中にある固い筋肉が痙攣し

しろい足の下でヒフの中でふるえている

まるで歩くたびそれが別の生き物ように見えて

なんだかおかしくて笑えてくる

傷ついて怒ったきみは

そのまま踵をかえして逃げてゆく

ごめんねそんなつもりじゃないのに

お互いにおかしなところはあるのだから

きっとそれはこのぼくにだって


次は‐湿度計‐

そしてきみにも笑われているのだろうね
0808名前はいらない2016/06/25(土) 15:31:35.36ID:p3yVXIaS
‐湿度計‐

しっとりと滲んでいる部屋はまるで水の中

空気がとけたかのような

息苦しいくらいの湿気の内部で

ぼくは溺れて汗ばんでいく

外は雨

水しぶきが強く跳ねあがり

窓を開ければ水分が流れ込む

開けずにはおれずに

外もうちも水分に溢れて溺れてしまう

湿度計はどこまでも鰻登りに高くあがる

苦しさと淀む臭いにちっそくする


次は‐濃厚な‐
0809名前はいらない2016/06/28(火) 02:03:26.60ID:MCUqqL6d
‐濃厚な‐

自分のひとことが信じきれていない

いつもお前の言葉が不鮮明で怯えているのは

お前がおくびょうで愚かだからと

そう言われた夜にぼくは彼を心でころした

でもあれはもう夢なんだと信じたい

だって今はぼくたちは違うから

あたりまえにそのひとことが話せるぼくにはもう過去のこと

云えたい言葉をやたらと慎重に選びすぎているから

最も簡単で最もたやすい言葉がどうしても選べないよ

だから肝心なことが伝えられぬまま損して生きているんだと

くりかえす彼の口を何度も泣きながら塞いでいた

でももうそれはあの夜の遠い思い出

そうぼくらにとっては深い霧の中にいるよな濃厚な


次は‐罪の重さ‐
0810名前はいらない2016/06/29(水) 23:37:37.28ID:vaKRo+Pg
‐罪の重さ‐

孤独を愛していた僕
嫌なこと全てから目をつぶり
本当の孤独というものがたぶん理解できずに

ただひとりでいることが贅沢なんだと
ひとりきりの寂しさだけ愛そうと
大きな赤子で成長しきれないのだと
そう人からは言われながら

ボクの内部に現れたキミだけが新しく
キミのことを考えることで生まれ変われた
悪いほうにかもしれない
よりマイナスのほうにかもしれない
カンチガイ?それもいいだろう
狂気?それでもけっこう

好きになればそれは罪になるだろうけどそれがなんだろう
僕はいくらでも傷ついて良いから
運命?輪廻? 人生?なんとでも言うがいい
そうそれがおそらくこれからの僕の人生だ

いつかキミが気がついてくれるのを待ち望み
なにが悪いのか罪になるのかも気がつかないままに


次は「夜の駅で」
0811名前はいらない2016/06/30(木) 21:44:50.03ID:rfhmIK+2
「夜の駅で」

また会おうねとかわした握手が
いつまでも冷たくこの手に残っている
別れの言葉は列車の響きに消されて消えた
朝も昼とも違い
今の時間駅は寂しさに凍えている
明かりがポツポツと灯る静かさに
耐えきれずに
ひとり残された目に涙が滲む
かすむ光景はキミにも映るはず

次は‐ひとりきりで‐
0812名前はいらない2016/07/01(金) 08:16:33.69ID:vksvhgpa
「ひとりきりで」

蜻蛉の死骸をぼんやり眺めながら
ぬるくなった缶ビールを一口啜る
無機質な光が手のひらからこぼれると
行き場所を探す虫たちは群がるけれど
ぼくと世界を繋ぐほどの魅力は失ったようだ

ぼとん、ぼとん、

蜻蛉の死骸に缶ビールをふるまって
薄白い水平線をにらみつける
夜と朝を分かつ光が静かに、柔らかくぼくを包む

上等じゃないか。
この心、この体があればひとりきりでも案外悪くない

そうして今日も生きていくのだ

次は「面白い夢」
0813名前はいらない2016/07/01(金) 20:33:19.04ID:hySYVLw/
「面白い夢」

ただ、全てに恐怖して
そんなふうに感じる時が来る
毎夜…
地滑りのように転がるように滑ってゆく
まるで終わりなきブラックホールのように
谷底へと奈落のように勢いよく
でも僕はそれでも立ち上がる
滑った先にいたのは愛してくれている人が見ているから

毎夜くり返し見る悪夢でも
過ぎてしまえば面白き語り草と変わるだろう
僕の恋人は笑いながら聞いてくれるから
しかし夢の中で待つきみは僕が来るのを望んでいたね
白い美しい手が僕が転がり落ちてゆくのをこまねいて

次は‐列車の窓‐
0814名前はいらない2016/07/02(土) 01:08:53.52ID:TTlTI/FW
‐列車の窓‐

今はトンネルの中
暗いくらい真っ暗な風景しか見えない
ここはどこ?
さっきまで走り抜けていた田畑も森もなく
ただただ暗い風景が続くだけ
それでもやがて日が昇れば
また明るい景色に戻るのだろうか
それともいつまでも真っ暗なトンネルをひた走るのだろうか

ガタンゴトン
列車はゆれる
ガタンゴトン
いつまでもどこまでも走り続けている

次‐始発駅‐
0815名前はいらない2016/07/05(火) 19:57:20.51ID:LrHJjnyA
‐始発駅‐

肌が冷たい空気に包まれる朝もやの中で
手に持つ缶がまだ温かい
昨日別れ際にかわした握手の感覚がいつまでも手に残る
別れの言葉も駅の構内に消えそのまま記憶される
いっそここで封印して
まだひともまばらな
今の時間駅は寂しさに静まり
閑散としたホームを
ポツンとただひとり歩いている自分がいるだけ
響く足音に耳をかたむけて

次は‐つぶれた缶コーラ‐
0816名前はいらない2016/07/07(木) 06:40:38.98ID:NDX2srjr
‐つぶれた缶コーラ‐

飲み終える前は膨らんでいた本体が
今はひしゃげて僕らの足元で転がる

流した汗の粒を数えて
僕らは共にその数だけスタートが切れる
失敗や苦しんだぶんだけ
きっと見返りもあるハズだから

とってもやな事が起こって
もうダメだと何千回何万回と思っても

僕の血が流されて
きみの血も流されて
僕の涙が涸れてしまって
きみの涙も枯れてしまっても

それでもひどい状態は抜け出して
やがてふたりはくり返し再生するんだ
何度も僕らは蘇るんだ

つぶれた缶は蹴飛ばして
そこにはわずかな水滴が残るだけ
昨日までの記憶と香りがほのかに漂いつつ


次は‐甘い記憶‐
0817名前はいらない2016/07/08(金) 03:07:58.42ID:VdVM0ZS5
‐甘い記憶‐

愛されたくても愛されず愛したくても愛せずにいる
それはなんて空しいことだろ

俺と彼との関係は相変わらずに
冷たい平行線のままで続いている

ふたりの間にはいつも冷たい何かが流れていて
互いの心のぬくもりすら感じられないような

トゲのように心に刺さっているのは
わずかな甘い記憶だけ
そんなささやかなモノだけに縋らなければ
生きていけないような自分がもどかしくて

きっとそれすらもない彼はもっと空しいのだろう


次は‐幻想の唄‐
0818名前はいらない2016/07/09(土) 02:17:53.91ID:PcDkbgEj
‐幻想の唄‐

今ここから見る空は
優しい色と感じるよりも
少し淋しそうに見えるのは
ふたりがちょっぴり悲しいからかも
きみと見上げた空と雲はいつも
優しくゆかいな色に感じていたね
きみと話していた空はいつも
希望の色で輝いていたね
できればそんなふうな空ばかりが
ふたりでいるときには見られるといいのに
たとえお天気の青空でも
今のように寂しく感じるのはつらいんだ
雨の日でも晴れの日でも
楽しさを感じられればいいのに


次は‐丁寧なことば‐
0819名前はいらない2016/07/09(土) 21:35:02.52ID:PcDkbgEj
‐丁寧なことば‐

何度もきみに教えてきたのはそれなんだよ

もしまだきみがわからないのなら

きっと僕のことばが足りないせいだろう

でも自分では丁寧に話しているつもりなんだ

できるだけやさしくに明確にって

きみならわかるはずなんだと

今ここにいることがそんなに苦しいのなら

自分でいられる居心地が良い場所を

自分で見つければいいいんだよ

良ければ手伝ってやるから

もう一度だけでも聞いてくれ

愚かだなんて思わないから


次は‐おくてな恋‐
0820名前はいらない2016/07/14(木) 19:51:09.59ID:lkM77e4F
‐おくてな恋‐

気づかないふりをしているだけ
本当はワタシは
あなたの本心知っているのよ
気づいてしまった頃から
私のハートは捻れてしまい
もうなかなか戻らないのよ
あなただけ、なおせるのはあなただけ

だから気づかぬフリなんかもうしないで

自分ではこの捻れはなおせないのに
あなたはいつまでもそしらぬフリしてばかり
苦しくて仕方が無いのに もう
はやくなおしてもらいたいから
だからふり向いてほしいの

お願いその顔をこちらに向けて
ワタシはいつでも待っているのに


次は‐こころの旅‐
0821名前はいらない2016/07/17(日) 18:27:55.65ID:e2VQ11CX
‐こころの旅‐

過去がゆっくりと去りながら
静かに遠ざかっていく
時間はゆるやかに大切な記憶もとかしてゆく

あのころのキミとのひとときは
今はもうずっと昔の出来事で
今はささやかな思い出として生き残る

なまぬるく互いにふざけ合っていた
そんな楽しい思い出が
あのころの幼かった僕らが幸せだったことに
キミはきっと気づいていないだろう

今でも夢の中で幼い誰かが呼んでいて
それはきっと僕を呼び覚まそうとするキミだろう
いつかキミが夢から抜け出して
再び遊んでくれることを期待して

寂しがり屋の大人となった僕や
悟り過ぎの大人となれたキミは
それでも過去が捨てられずに生きている


次は‐告白と嘘‐
0822名前はいらない2016/07/18(月) 07:57:59.88ID:rFaTYjlT
‐告白と嘘‐

もう全部話すよ 
今から話すことは半分真実で半分が嘘
ああきっとうまくは言えない
しかしどうしても聞いてほしいんだ
君のこと好きだと言ったこと
そうあれは嘘だったんだ

(No way)

僕は昔からあまのじゃくな人間で
ヒトに対して捻くれた態度で
好きだろうが平気で遠ざけて 

君なら僕を分かってくれそうだったから
大切な友人として選んだ途端
話すべき本音が何一つ話せなくなってしまった

だからわかってもらいたい
何度も全てを話そうとはした
本当の僕の本音がなんなのか

(There's only one thing that I want you to understand)

いっそ本当に嫌いになれたほうが
僕は幸せなのかもしれないと
こんなこと言う僕をきみは遠ざけるだろう
そうわかっているけど
そうそれが目的なんだって

(I admit, is true)


次は I wanna be strong(僕は強くなりたい)
0823名前はいらない2016/07/20(水) 03:18:50.33ID:xeSVnzso
I wanna be strong(僕は強くなりたい)


誰もいない駅に
僕らふたりだけが残っていた
照れながら差し伸べたその手が
冷えて少し冷たくなっていた

ほっとけばいいのに
馬鹿なキミはただそこで見ていた
いつまでも辛抱強く
僕につき合うそのキミの優しさは
きっと本当の強さなのかもしれない

愚か者たちは気づかずに
きっとその優しさを嘲笑うだろう
I wanna be strong
いつか自分もこうなりたい

I wanna be together forever
そう思わせるキミは
本当はスゴイ奴かもしれないよ


次は こんな日には…
0824名前はいらない2016/07/22(金) 04:02:21.02ID:CIjvjd8j
こんな日には…


家を出たらもう快晴の空

さっきまであんなに降っていたのに

まぶしく強い日差しに変わっていた

電柱の後ろに伸びる濃い黒い自分の影

ぬかるみを避けながら

しばらくこのまま歩いていたいなと

さわやかな一陣の風に吹かれながら感じた



次は‐あそこまで何歩?‐
0825名前はいらない2016/07/27(水) 00:38:51.30ID:+cFsoJ1k
-あそこまで何歩?-

君が生まれた日はとても寒い日だった
たくさんの愛情が君の小さな体を包んだ

君は眠るのが苦手で抱っこが大好きだったから
たくさん抱き締めた

君が少し大きくなってよちよちと歩き始めたから
笛がぷぅぷぅ鳴る靴を買った

君の体に合わない大きなランドセルは
春が来て冬が去ったらどんどんと小さくなった

君は勉強が好きじゃなかったけど
美術の先生とはとても馬が合った

君に革の靴を買った
コツコツと綺麗なリズムで大きな背中が歩いていった

君がつらい時、
うまくいかなくて一人きりで泣いている時は

どうか思い出してほしい
笛の靴は君にもう似合わないけれど
歩む道はいつだって応援していることを

─あそこまであと何歩?
長い道、坂道、でこぼこ道、いつか君が歩む道

次は「真夜中に」
0826名前はいらない2016/07/27(水) 01:59:20.64ID:9YX9AN3I
「真夜中に」

君の耳を塞ぐヘッドフォンは
漆黒に染まっている
空に浮かぶ白い星が
いつも僕らを遠い位置から見守っている

君は今何を考えてるの?
白い星の数だけ
その心にはきっと
いくつもの謎がある

ふたりの分かち合う酸素の量は
つねに均等にバランスを保っている

遠くから見る分には分からない
僕らの距離感が
こんなに近しいのに
離れているみたいで

僕は僕の君を
君は君の僕を
それぞれ大切に心で見つめている

君の耳を塞ぐヘッドフォンは
漆黒に染まっている
僕はいつかその耳からはずして
思い切り問いただしてみたくなる


次は「雷鳴」
0827名前はいらない2016/07/28(木) 05:52:01.70ID:c7h2zj6F
「雷鳴」

ただそこにいるだけで
鮮やかな色が生まれる
僕は何故かまぶしさと
なんとはしない羞恥心に目が痛む
そんなものそれが君の存在

闇夜にとどろく雷鳴に
雨の予感が香りで伝わってくる
激しい音が届き夜を支配する
稲光に怯えながらも
闇の中にその姿が浮かんでくる

もはや君は陽炎のごとく
または幽霊のごとく
僕に付きまといまとわりつく

これは僕の勝手な疑惑
思いこみで妄想かもしれない
こんな雨の夜はより強く
その波長を感じて


次は‐動物園‐
0828名前はいらない2016/07/29(金) 05:32:18.03ID:fF7LZHqk
‐動物園‐

心があって良かった
こんな晴れやかな空みたいな日に
心がまあ無事でとりあえず良かった

象の目が語る
アフリカのあの世界が浮かぶ
サルの山が見えてくる
彼らの喧騒が聞こえて

いつか回復すれば違う風景も見えてくるだろうから
満足はしていないけれど納得もしていないが
現在の自分はごまかしても嘘ついてもいないから

心があって良かった
雨上がりの空気の澄んだ日に
心の復帰を求めてまたここに来る


次、‐治癒力‐
0829名前はいらない2016/07/30(土) 04:41:49.28ID:CIc4YB3y
‐治癒力‐

今はからっぽの手のひらの中
守るもが何も無いのはつらいことだ
蒼い空が眩しく見えたんだ
自分とよく似た面影
それが僕の友達だった

今こんなにも辛い
ともに夢ばかり追ってたきみはどこ?
答えを足掻いて探し
光に手を伸ばして
I don't wanna miss you.

本当は悲しくて
乾いてしまった声と涙
しかし守られていたのが自分だと
ここにきてやっと気がついたんだ
だって僕が包み込む内部に
いつもきみがいたから癒された
that's why

きみの存在だけが僕を癒し蘇らせるんだと


次、Hold on, I’m coming.( 待ってて、いまいくから)
0830名前はいらない2016/08/02(火) 21:16:40.28ID:rNJ39vBE
Hold on, I’m coming.( 待ってて、いまいくから)

僕はきみを追いかけて

誰にも取られたくないきみ
I wanna be together forever
誰にも渡したくはないから
必要ならばぼくはきみの盾となるのさ
だから行かないで
きみの声が好きだか ら
耳元でなんでも打ち明けてよ
きみの全部が好きだから
僕をひとりにして行かないで
きみを誰にも取られたくない
必要な時は助けてあげるよ
苦しい程きみのことが心に浮かぶ
だからいなくならないでよ
明日世界がもし終わるのならば
きみを抱きしめに行くかもしれない

待ってて、今いくから


次は「波打ち際」
0831名前はいらない2016/08/06(土) 00:12:20.66ID:m2AgSt+Y
「波打ち際」

ぼくが振り返ると
白い波しぶきが 足元にかかる
そこはどこまでも続く長い見えない浜辺

ぼくはいつの間にか海に囲まれていて
白く長い砂浜の波打ち際に立っていた
ここは黄泉へ続いているゆく長いみち
白杖をたよりに踏み進んでゆく

ザザンザザンと
寄せては繰り返す音
寂しい足跡は波にのまれ消されてゆく


次‐白杖の音‐
0832名前はいらない2016/08/10(水) 07:44:40.77ID:i9WmEkVU
‐白杖の音‐

ぼくの頭には地図がある

闇の中に描かれた白い線

つないでゆけばきっとどこかへ辿りつく

毎日真っ暗な夜の世界だけ歩み続け

靴音とコツコツと案内する白杖の音だけが木霊する

誰かに手を差し伸べられても

永遠に闇の地図を歩き続ける


次、「汗」
0833名前はいらない2016/08/14(日) 02:08:35.21ID:fkpB7Uxd
「汗」

さっきまでの雨はもうやんでた
水たまりを避けながら歩く

どうせ借りてないのならひとつ貸そうか?
じゃこれ借りるよ
たまにはまともなの読んだら?
活字読まないとバカになるよ
そんなのしなくても成績はいいから
そーいうことじゃないのに
おまえこそ体力無いからスグ甘えるじゃん?
すこしは体力つけたほうがいんじゃね?
ホラもう近いから残り半分返すわ
えーも少しだけお願い

蒸し暑い風の中で
互いのひたいに光る汗が目についてた
でも彼らは気づかないよう
まだ大きな傘の中にいた


次、、「ひとつぶの」
0834名前はいらない2016/08/23(火) 03:22:25.07ID:5FxGh1bI
「ひとつぶの」

こぼれ落ちたドロップは
すくいとると塩辛い味がする
きみのちいさな瞳から
時々溢れ出てくるソレは
ほんの指先に乗るくらいの
コロコロとしたかわいいものだけども
その分きみのこころの痛みのほうが重いのだと
いつも口にするたびに感じるんだ…

ドロップなんて甘いモノだろ
しゃぶるたびにその辛さにつらくなる
だからいつもそんなに
簡単にこぼすものじゃないよ
こぼれる前に落とす前に
ぼくに打ち明ければラクになるよ
きっとたぶん…


次、、「雲」
0835名前はいらない2016/08/24(水) 09:41:47.87ID:Q0dGmHf5


それにはとくに
決まった形がなくて

決まった形がないということは
それならば それを見ている側が
あれこれと形を想像してもいいということ

それはきっと
都合のいい娯楽なのだけれども
他に都合のいい娯楽が
あふれている現在は
そんなことしてる人は
よほどの暇人か子供ぐらいではなかろうか

そう思って雲を見てみても
俺の目にはそれはただの雲にしか見えず

いつのまにか 俺の脳からは
柔軟な発想というものが
すっかり消えてしまったらしいぜなどとつぶやいて
肩なんかすくめてかっこつけてみた

次「アイスクリーム」
0836名前はいらない2016/08/25(木) 06:28:33.41ID:gQEzXDvE
「アイスクリーム」

ひとすくいサジにのせたクリームが
つるりとすべって下に落ちた
タップリとかたまりが

それが
アスファルトの上でドロリとひろがる
空に浮かぶ白い雲のように
ゆっくりと地熱に溶かされていって

見つめているとアリんこが
ちいさな群れをなしてやってきた
輪をつくりバニラの雲のまわりで
取り囲むようにしてうれしげにナメていた

やがてバニラの雲の中に入り込み
彼らも地熱によって地中に溶かされてゆく
アリんこの消えるのを眺めながら
カップの中をきれいに片付けた


次、‐9月の匂い‐
0837名前はいらない2016/09/06(火) 08:55:59.40ID:GU/oKE34
‐9月の匂い‐

薄明かりが照らす

森の木々の下

ボンヤリと見上げると

白いお月さんが浮かんでいた

明月夜の中

静かにトボトボと歩き


次は‐悪意‐
0838名前はいらない2016/09/07(水) 06:27:10.10ID:k3e7xdbH
‐悪意‐

いつか彼のコピーとなる
そんな日が来るのを望みつつ
僕は彼の影となる
不安気に歩くきみ
車道を横切るきみ
そんな彼を追いながら
決して追い抜くことなく
ピッタリとあとをつける

彼に従うぼく
彼に逆らえないぼく
彼に裏切られるぼく
彼を愛するぼく

破滅にむかう遊びに
罪は優しく追いかけてきて
逃れられぬ思いに苦しみつつ
ぼくは彼の生贄となる


次は「雨」
0839名前はいらない2016/09/14(水) 05:12:31.93ID:EPG90w1R
「雨」

カサを開く音が
空からの雨水を弾く
軽い音が響いてハシパシと
9月の匂いを感じさせている
湿度も空気も
流れるものは何かが違う
夏は過ぎたんだろうと
その予期を耳や目が
吸いこむように期待して


次 ‐朽ちた扉‐
0840名前はいらない2016/09/21(水) 15:06:57.70ID:LWZ/kCQu
‐朽ちた扉‐

扉の奥には武器がある 
扉の奥には見知らぬ世界が
扉の奥には鼠の通路に
扉の奥には秘密と夢と
扉の奥にはそして埃があり

朽ちて落ちるのを待つのみ


次、長い雨期
0841名前はいらない2016/09/22(木) 14:06:39.67ID:JYyJK9Fk
長い雨期

地球に帰還してみたらまだ梅雨のまま
たしか去る頃はまだ6月だったのに
今はもう9月
それなのにここは湿気に包まれている
いつ終わるともない長い雨期に
この国全体が深く包まれてしまっているみたいだ

やや肌寒い中
レーンコートをはおり
カサをさして強い湿るめる空気と雨の中
トボトボと濡れながら出かけた

世間は薄闇色にボヤけている
ワイパーも濡れて
タイヤも濡れて
通り過ぎる何もかもが濡れていた


次 ‐鳴き声‐
0842名前はいらない2016/09/30(金) 08:01:37.39ID:wEADIRel
 ‐鳴き声‐

電柱の上から
おとついは青年のように
昨日は子供みたいに
そして今日は老人のような

千変万化する一体おまえは何者?
低くも高くもしゃがれもする
不思議な鳴き声に
しらずに魅せられて
姿はただ一羽の汚いカラスだのに
その声は日毎に変わる

イミなんかないんだろうが
つい気になるのだ


次、「I see...(なるほど...)」
0843名前はいらない2016/10/09(日) 03:14:01.41ID:jhkyjqGA
「I see...(なるほど...)」

いつもいい加減に
曖昧で煮え切らない
多少イラつかせる
そんなそ君の返答のしかた
クセなんだと控えめに微笑んで
なんだコイツ馬鹿にしてなんて
見下していたけれど

言い切り方で自分の意見だけを
ただひとに押し付けていた
そういう僕の返答とは
とても対象的で
あとで必ず後悔するのは
自分の幼稚さと愚かがわかるから
比べればいつも

そうだね
君は誰からも愛されている
僕は誰からもうとまれている
I see...
理屈ではわかっているけれど
君は正しくて優しくて
I see...
それはわかっているけど

I see...
いつも僕は一歩うしろで負けている
君は正しく僕のはるか先に歩いている


次は「that's why.(だからか)」
0844名前はいらない2016/10/14(金) 04:29:01.20ID:+zRrZj2/
「that's why.(だからか)」

手の中の駒は
いつ回されるのかと
自分では身動きできずに
ジッと待っている
(そう何もできずに)
サイコロの目も
手の中から落とさなければ
見ることはできない

that's why
楽しいのはこれから
やがてじんわりと
彼らはその体温で
汗ばんでゆく
緊張と暫しの緩和
賭けごとにも遊びにも
スリルはつきもの

次は‐枯れ草の音‐
0845名前はいらない2016/10/16(日) 04:50:26.81ID:VT2DHw+W
‐枯れ草の音‐

コンクリートとの摩擦が
カラカラと乾いた音に聞こえて
なんとも侘しい気持ちになる
空が高くて空気も心地よいのに
なんとなくなんとなくだけど
寂しい気持ちになってゆく
無花果の葉がガレージに伸びてゆく
カラスも喰わずに実は腐り
黒く地面に落ちていた
早く捥いどけば良かったと後悔して

次は「nothing(別に)」
0846名前はいらない2016/10/19(水) 04:29:38.82ID:EpvApuPx
「nothing(別に)」

言いたいコトの三分の一すら言えずに
言葉の固まりを飲み込んで
ぼくの胸は膨らんでゆく
ホントは言いたいことなのに
つぶやく言葉はつねにnothing(別に)
いつか心も胸もそのウップンで破裂するだろう

俯いていもnothing(別に)
答えてもnothing(別に)
いつのまにか自分の口癖と化して

次は‐嘘つき‐
0847名前はいらない2016/10/26(水) 05:54:09.49ID:i2u0Jk7U
‐嘘つき‐

キミの冷たい唇から出てくる言葉に
信用できたことなんかいつだってなかった
ボクはほとんどキミの言うことは
信じないようにしていた
だからキミがいつホントのこと
その口からつぶやいたとしても
きっとそれも信じないと思う

あのときは悪かっただなんて
嘘つき(おかしくて)
今はホントなんだって
嘘つき(良く言うよ)
今度こそ信じてよなんて
嘘つき(調子がいい)

笑えるね全く

今までどれだけの数の信頼が
ふたりの間から失われたかなんて
知りもせずに勝手に
今さらマジになられたって
今さら泣いて詫びられても
もうボクは信じてやれないから
もうボクは信じてやらないからね
これからは絶対に


次、‐Yeah, definitely うん、たしかに‐
0848名前はいらない2016/11/04(金) 08:04:59.57ID:tmwQYVZN
‐Yeah, definitely うん、たしかに‐

きみの口元から落ちたドロップ
足元で転がるソレを
きみは躊躇なく通りに蹴り上げて
車の下でパキンとはじけて飛んだ
缶の中からまたひとつぶ
きみは取り出し放り込むけど
ハッカが出ると必ず避けるね

Yeah, definitely
ボクが言うとそう答えた

ボクにもくれた中身は
自分のしゃぶるモノとは違う
味と色のドロップだった
同じの食べるのヤなんだろ?
そう聞くと上目づかいでチラと見て

Yeah, definitely
やっぱりそう答えた


次は「ひとりぼっちの影」
0849名前はいらない2016/11/06(日) 06:40:23.89ID:JTkkvh+G
「ひとりぼっちの影」

きみが歩く時も
きみが走る時も
きみが立ち止まる時も
ピタリと足元に張り付く黒い影

ある時は電信柱に隠れるように
ある時は水たまりのかで揺れながら
ある時は陽炎にゆらめきながら
ピタリと足元で立ち止まる影

きみは知らずに足元の小石を蹴り
きみは手に持つボールを高く放りあげ
孤独を噛みしめながら生きている

けれどただひとりきりで
きみの寂しさも涙も
きみの影もついていきながら見ているハズ
ふたりは重なり合い
いつもひとりぼっちになりながら


次「長く白い吐息 」
0850名前はいらない2016/11/15(火) 07:29:31.17ID:sSJE3TS2
「長く白い吐息 」

空の水分が下りてきて
地面に溜るような
そんな肌寒いこんな日
互いの足取りは遅く緩くなる

手にかける息も
やるせなさからくる吐息も
口から洩れる空気はすべて
糸引くように長く長く感じる
きみの雀のようにくすんだ舌が
吐き出す息と同時に出たり入ったりしている
せわしない動作につられて
ぼくも深くはあと吐き出してみた

まっすぐ伸びながら
連なるように重なるように
やがてぼくらの吐息は長く細く
灰色の景色の中に消えてゆく


次、「夜の足音 」
0851名前はいらない2016/11/27(日) 00:23:29.49ID:JCOFNO5E
「夜の足音」

テレビも黙る丑三つ時
コツコツ聞こえる窓の外
ヒールの女?コツコツコツ
コツコツコツコツコツコツコツ
コツコツだんだん遠ざかり
ガチャガチャ鍵の声がした

再び一人になった
無音のリズムに自分を溶かそう
闇を見つめてアタマをゆらがす
これこそが宇宙で最高に平和な出来事

しかし何やらおかしいな
ヒールのリズムが蘇る
酒でも飲んできたのだろ
壁を挟んだ向こう側
君は一体何を考えて、、、


次は「アイドルはうんこしない」でお願いします
0852名前はいらない2016/11/28(月) 00:10:32.53ID:pnnjC0Rf
アイドルはうんこしない

鉛色の空の下 
鄙びた町の駅前の
ごっつ寂れたシャッター街に
お呼びじゃないのにしゃしゃり出た
フラッシュモブかテロリスト
便秘アイドル毒ガスダンス

甘ろりスカート翻し
消火栓をば蹴倒して
熱い溶岩しとどに浴びて
焼け剥げ頭皮をなびかせて
舞う舞う舞うよカタツムリ

アイドルはうんこしないって
ドルヲタ様がおっしゃった
むくんだ顔の豚肉に
弦が食い込む黒縁眼鏡を
指でクイッと押上げながら

我慢の末の腸閉塞
ぽってり膨れた下腹に
濃縮汚物臨界値
甘ろりスカート翻し
舞え舞えアイドル肛門締めて
十月十日の月満ちて
うんこが産まれるその日まで


次のお題は「凍傷」でお願いします
0853名前はいらない2016/11/30(水) 02:47:09.03ID:xa52eQ/p
「凍傷‐ツンドラ‐」

夜 道端の片隅にキミは泣いていた

ひとりぼっちでふるながら

この世界は凍りつきそうで怖いから

朝になるとキミの涙も凍りつく

通り過ぎるひとはどこにもいないから

今日もキミは孤独かかえ

つらくても悲しくても

朝までそうしてひとりきりで

耐えながら凍えながら生きている

そうボクもひとりきり

だから今夜は一緒にふたりで抱き合おう

この広い平地も凍りつく高原も

冷たいヒザ突き合わせあえば

きっと少しはマシだろうから


次、「キミの上に降る雪」
0854名前はいらない2016/12/18(日) 06:47:16.85ID:JJrbuY1Y
「キミの上に降る雪」

立ち尽くすキミの頭上より
次々に冷たく舞い落ちる粉
誰もいない公園
ひとりもいない広場
ただひとりきりで待ちながら

いつものことなのに
約束なんて
いつものことだから
裏切られることなんて
ぼっちはたいしたコトじゃないんだと
冷たい手の甲で鼻を拭う

震える手も
凍りつきそうな体も
燃えるような怒りの心が溶かしてゆく
だから今は寒くは無い
地団太踏みたくなるような
でも足は動かない
孤独なキミの上に
冷たい粉はやさしく舞い落ちる

次は「wimp out (意気地なく) 」
0855名前はいらない2016/12/26(月) 15:55:47.63ID:AFIptlZN
いくじなく

この一歩
ふみだすべきか
まよい惑ううちに
その機をうしなう
いつも

あなたへの思い
それはむしろ
わたしの心を
呪い縛る
なにものかのよう

傍らに生まれる焦り
名前もないような
どす黒い感情
余計なものばかり
かかえこむわたし

それらは
たとえようもないほど
おもい荷物
そしてまた
わたしの一歩を
邪魔して阻む

次「くもり空」
0856名前はいらない2016/12/28(水) 03:57:45.93ID:sNLtVlrj
「くもり空」

押し付けられたヒフの感触
熱い思いが溶け合うとき
ふたりの気持ちは
くもり空いっぱいに広がる

キミは笑う
くるくるとはしゃぎながら
キミは叫ぶ
そこいらを何度も走り回って

なにがそんなに楽しいのか
ボクの周りを走りまわりながら
目に涙まで浮かべて

声高らかに笑って
足元をもつれさせながら
灰色の空の下で両手を広げて


次「snowホワイト」
0857名前はいらない2016/12/28(水) 21:35:35.48ID:gaVaLVIb
見えない
君以外何も
君がいなければ僕もいないんだ
なのに君は近づけば近づくほど
白く霞んでしまう
雪の中に白く霞んでしまう
ガラスの向こう息で霞むほど
SNOWホワイトに映える僕

次「お粥はストレートで」
0858名前はいらない2016/12/28(水) 21:44:03.91ID:gaVaLVIb
2秒待っても返事がない
5秒待っても返事がない
カウンターの向こうのお前ら
お前らは駆け出しバーテンダー
お前らの気を引きたくて
僕はそっと思いを放つ

お粥!お代わり!ストレートで!
0860名前はいらない2016/12/30(金) 20:03:16.85ID:bOUlc/fS
「育毛なう」

フキノトウが大きな葉っぱになり
タンポポの集団が黄色いかたまりになった日

言ってしまった言葉「毛深いね〜」
そう ベージュ色のストッキングの下 短い毛たちの芽生え

悲しみの表情 (謝罪は困惑しか生まないだろう)
ぼくは自分の前髪を全部後方へと持ち上げた
「H・A・G・E!」
「hage・・・えっ、hageなの?」

北国の初夏の日差しが
ふたりを眩しく包んだ
0861名前はいらない2016/12/30(金) 20:04:11.07ID:bOUlc/fS
次は「お正月」で
0862名前はいらない2017/01/01(日) 07:19:00.97ID:rFWdNuk4
「お正月」

それは彼の毎日の仕事
新しい年がこようが無関係で
いつもの自販機の前に
彼はここでわずかな休息の時間にする
静かにタバコを吸うときもあるけど
今日は自販機の飲み物を買っていく
ガチャンガタンゴロン
響きわたる金属的な音が
開ける年の始まりに響いて行く
温かい飲料が体にしみわたると
バイクにまたがり配達の続きを始める
今日はスズメたちも震えている
僕はその立ち去る姿を見守りながら

次は「荷物」
0863名前はいらない2017/01/03(火) 08:49:02.23ID:LA2pdfhs
荷物

昼下がりの工場地帯
海岸に集まってくる大型トラックたち
中身はからっぽ

運転席にカーテンを閉め
眠っている男たち
あるいはスマホで遊んでいる

荷物のない今が男たちの休息時間
汚れた海をくたびれた漁船が走る
煙突からは白い水蒸気が空へ出ていくよ

トラックを降りて一人の男がオシッコをした
蟹たちの水路に流れていく液体
ここにはノラネコさえもいない

荷物のない空間
フナムシが海鳥にくわえられ去っていった


次は「ビニール袋」で
0864名前はいらない2017/01/17(火) 20:50:39.24ID:bT375LqV
吹き抜ける北風
枯れた外来植物の灰白色の根元に
白いビニール袋がからみついた

それはレジ袋
背の高い 反っ歯の大学生が
母のような中年女たちとスーパーのレジを打つ
俺はいつも そのレジを避ける

彼は処理速度が遅いから時間を損するからだ

自転車に踏みつけられる小さな袋
コンビニのレジ袋
あるコンビニでは髪の薄いおばあさんがレジを打っている
俺はいつも そのレジを避ける

彼女は袋の二つの持ち手をネジネジと何重にもこね回すからだ

どうでもいい小さな損得勘定小さな身勝手
どうでもいい美的感覚わがまま
そんなことで今日も一日が終わり
明日に続くのだ
0865名前はいらない2017/01/17(火) 20:55:14.58ID:bT375LqV
次は「信頼」
0866名前はいらない2017/01/24(火) 21:49:41.75ID:bM8UXMLg
雪の月曜日  
19時を回っても来ない
踏みつぶされる溶けた半透明の結晶たち
冷たい液体に戻っていく

無限に
信号が赤になり 青になる繰り返し
歩行者用信号が出す無意味な電子音
発車するバスのディーゼル・エンジンの轟音

靴の中で足先が冷たくなっていく
夕方から夜に変わってしまった
配られる居酒屋の割引券 飲み放題

前髪を濡らして 
何度目かの青信号で駆けてきた
仕事のスーツの下 薄いセーターの胸を揺らして
ズボンの膝も雪に降られて 脚に貼りつかせながら

誰にも見せたくない 19時50分の姿
大切な気持ちになれた
夜 一瞬
小さな信頼


次は「コーヒー」で
0867名前はいらない2017/01/26(木) 05:26:00.25ID:J2gAJHmY
「コーヒー」

きっかけがなんであれ
ぼくのスケッチブック
紙片の中にはきみがいて
放課後の美術室にはいつも
笑い合うぼくらの姿

駆け抜ける季節の中で
ふたりは絵とともによりそってきた
今は寒い冬のさなか
休みの日には絵を見て回り
北風のの音聞きながら
手と手に息をかけ合い歩いている

街中のCafeでひとやすみ
互いに飲んだ漆黒の珈琲は
大人の階段あがってゆくしるし
苦ければそれだけひとつなにかに近づいて
窓の外が少し汚れて見えた


次は「andante‐少し早く‐」
0868名前はいらない2017/02/01(水) 19:14:22.61ID:KNLPFoNx
「andante‐少し早く‐」

時間がない
手早くやろう

・6B・悪意の輪・自分A´

・マッチ棒と仕事の銀貨
・キャッチボール(または、『エウロパ』)
・無垢

・ふつかめの髭
・爽健美茶
・読者
・続・ジジィ

コレらがきたら書く用意はあった。
次は、

――――


『偏愛狂時代』で、ヨロシク。
0869名前はいらない2017/02/05(日) 08:36:34.44ID:4ZTlXPWg
『偏愛狂時代』

もうお別れだね
つぶやくきみの顔が浮かぶ

闘う前から逃げるきみはいくじなしだね
血を吐く叫びが聞こえるかい?
怒りに燃える僕の顔が見えるかい?

林を駆け抜けきみのために血を出した
誰にも取られたくない故に
今ぼくは走っている
誰にも渡したくはないから
僕らを引き離すものは退治しよう
だから行かないで
だから待っていてよ
僕のためにカギを開けて
きみの全部が好きだから
僕をひとりにしないで
きみを誰にも渡しはしないよ
今苦しい程きみのことが心に浮かぶんだ
だから消えることは許さない
明日世界ときみが終わるのならば
きみを救うために僕は今夜駆けつける

待ってて今夜きみのそばにいく


次は「DON'T CRY」
0870名前はいらない2017/02/05(日) 13:56:45.56ID:+rVyHRfR
寒々とした京都の街並みを
高校生たちが走る
テレビで見る私にも 肌の冷たさが伝わる

腕が振れていない 初出場チームの第1区間
彼女の高校が 
みるみる最下位になった
バトンを渡すと道路に倒れこむ

ドント・クライ・ナイスファイター
強豪校の選手より すこしだけ太め
君の陸上部の歴史も 
ランナー生活も
きっといま始まったばかり


次は「怒らないで」
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