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千の世界
0001名前はいらない
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2010/11/19(金) 23:54:36ID:Uw9fmxFP
sage進行。
評価・感想・雑談なし。
詩を描くだけのスレ。
0179 ◆zABAZSBt06
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2018/02/24(土) 01:12:21.91ID:ZNE/fmo9
喪失

夢の中は透明で
深く深く覗き込んだ彼方に
暗赤色の夜が瞬いて
その雲母を透かしたかのような
生温さに指先を浸し
まだ来ない今日を
むず痒さに似た喪失感の中で
拙い運針で掬い上げながら
形のない
薄絹の心許無さに
笑みを浮かべ
さざめく声を聞いた気がして
指を止め
その指は解け
確かに縫い止められ
私は喪ったのだと
やはり笑みを浮かべ
あげた瞳に見えるのは
相も変わらずの純真で
雲母は遥かに揺蕩って
こそばゆく
名残惜しさを
感じているのか
感じられているのか
泡沫に映る湾曲した空が
一つの鼓動で震え
今度こそ
それは声で
呼ばれていない私は
繋いだ端切れを
宙に浸して
ささやかに
目礼で
去っていく私を祝うのだろう
0180名前はいらない
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2018/02/25(日) 12:41:34.97ID:Ea41lC8P
灯台のライト あおい鳥貫いた
献身的飛行にあたたかい終止符
ぼくから外れたパーツの空洞に異物になったぼくが埋まる
「あなたは何パーセントオリジナルですか?」
「きみは支配者ですか?」
 
夜中のサイレン あかい馬車もえつきた
賢信的必然で狡い天使と弱気な悪魔の融合
結果は転機にはなっても再生はない 蓋然性はゼロ
「爪の先からくずれてます」
「違いました」
0181名前はいらない
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2018/02/25(日) 13:03:18.88ID:Ea41lC8P
ここじゃないどこかは存在しない
兄弟はどんどんいなくなった
ここじゃないどこかに行くと言ったまま

存在するどこかはここにある
兄弟はひとりいた
存在の存在は無限かもしれない
0182名前はいらない
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2018/02/26(月) 03:23:49.12ID:mXzfjL9I
実に勝手な想像 きっとあの空き瓶だ 思い出したくもない うなる
またうなる 泣きたくもない うなりたくもない 実に勝手な解釈
はいつくばっているのか はいつくばされてるのか とにかくはいつくばっている
あのこわい崖の隙間は生き物の目 うっかり見てしまった
やっぱり地獄を求めさまよってる 共感は禁句
嘘偽りの喜怒哀楽が針の山に刺さってる 仲間じゃない
沈黙の二枚貝はゆっくり沈む
0183名前はいらない
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2018/02/27(火) 01:55:31.96ID:W5D05gC/
デリートで断捨離 見送りでないてるのを見てたら意味が違ってわいてきた
本当のことを知ったら悲しむだろうな
笑顔でデリート そのための笑顔
だから早めに孤独になりたいんだけど そういう意味で
突然始まった若く長い台風は その爪と牙でいくらか腐った肉を落としてくれたようだ
醜く冷たく悪臭を放つ胚を腹に詰めて温めてくれたことを知ってるから悲しいんだろうな
またドクドク心臓が動き始めた
0184名前はいらない
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2018/02/27(火) 02:29:44.05ID:tVTLo+4n
第六感でペンを動かし 四次元の絵を浮かべる
淡々とクスリ飲んで 滑稽に頭ぶつける
正論が正論に聞き取れないほど 歪みがそれでいいといってる
わたしとあのひとの悩み方は違うけど 根本は同じかもしれない
それは言葉にしなくても 誰でも気づいてる暗黙の了解
各々のカードを神経衰弱の要領でつきあわせたところで消えるわけでもなく
増えるわけでもなく むしろ言葉にして否定されたくないだけかもしれない
さらけ出す次元を超えたむこうに あのひとたちはいる
0185 ◆zABAZSBt06
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2018/02/28(水) 23:09:07.68ID:2U8X6wAJ
凹凸

日々の階調を確かめるように
指紋の溝分だけ夜を潰して
動かした手は滑らかに流れて
幽かな衣擦れが
軋んで
時計が止まっている間だけ
密やかに木霊する吐息と
爪の跡が
汗に滲み
染みになり
消えないのだと
思い込もうと
ただ、握りしめた隙間から
一滴が零れ
壁に映る複雑な陰影は
細やかな欠落による回折だと
鈍色がうそぶき
また一つ頁をめくり
感覚のない掌から
その歪な波紋から
紡がれていく音に
耳を傾け
読み込まれるのを
待ち続けている
0186名前はいらない
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2018/03/02(金) 04:05:01.51ID:d0s+jZoU
ボアに包まれた篭絡のハラスメント
緑の点滅に首がしまる
先細りのトンネルの入口に引き戻された
飾り物の選択肢がガラクタになって泥に沈む
熱くなるばかりの暗い電球が西から東に揺れた
0187名前はいらない
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2018/03/04(日) 03:45:04.35ID:5NrYHBeC
ずっと大事にしてたものがあっけなく壊れた時 大事でなくなり
他の宝物までゴミになった
今度はゴミと一緒に宝物まで捨てているのだ
宝物が実はゴミだったわけではなく
宝物と認識することに疲れたといったところか
そこにいることが当たり前だった前世の痣が今世では消えてるのに
またタトゥーにして彫り返している人らは対局で理解不能の異教徒
無関心はつらいといったが 真の無関心は解放だ
0188名前はいらない
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2018/03/05(月) 01:06:10.28ID:6NlQ0mzX
歯ぎしりして誤差を噛み潰した
獲物のノドをかみ切った牙で幼子を優しく運ぶ誤差
かみ合わせの完璧な上下は別世界の唯一の接点
灼熱の大地で雪女が吹雪を起こして新種の天気をコロコロつくる
それをルーチンで噛み潰し すり減ったものを飲み込む
0189名前はいらない
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2018/03/10(土) 00:27:05.87ID:ZsN8TvXX
琥珀のピアスが割れてハチが飛んだ
黄金の幸せはあきた
花との生き方は忘れた
耳から流れる血はうまい
0190名前はいらない
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2018/03/11(日) 01:08:57.14ID:TsjVLipJ
パンダには色々な名前がある

チンチン
ピンピン
パンパン
アンアン
0191名前はいらない
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2018/03/12(月) 05:40:57.07ID:9gcwYebB
朝日が窓ガラスを割って侵入する
眉間に浮かぶ焦点の合わない傍白
海嶺と海溝の会話がざるの目を素通りする
満ちてはひきつける暁と曙の会話
0193名前はいらない
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2018/04/02(月) 03:07:15.95ID:8VkTjY9g
そういうことか
ああ、
だが、俺じゃないんだけどね
それだけは
まあ、
いっておくさ
0194名前はいらない
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2018/04/19(木) 03:47:30.08ID:MtkRR9QF
『パラダイムの痣』


分水嶺から現れた招き猫は対数らせんに歩き回る

震える猫を抱き上げて生真面目な時代の日の出をみた

銀河の海からうまれた巻貝に耳をすましながら

幾重にも重なったレイヤーのこちらと向こうがわで違う絵をみる

巻貝から転がったヒマワリの種を握りしめ

こちらと向こう側で同じ太陽をみたいと思った
0195 ◆zABAZSBt06
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2018/04/20(金) 21:03:45.29ID:iigTpwXw
命日

整然と植樹された若木が
育ち切らぬ華奢な腕で
閉じた空に引き裂かんと
未だ解れぬ爪を突き立てる

その幼さに
震えた葉擦れが波紋となりて
過多の交響に森は軋んで
潰れた悲鳴は色を無くして
深い深い夜の
その底の
一羽の鳥の亡骸の
薄汚れた風切り羽根を震わせる

そんな日は
森には赤子の声しか響かない

濡れた瞳が確かに輝いて
確かに世界を焦がし得る緋色で

しかし
それもやがて灰色の一欠に砕け
一握りの灰塵と化し
柔らかな腕すら苗木にされて
蔓延り出す根が悲しくて

それでも
それでも、と

あの子は三十一歳になっていた
0197名前はいらない
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2018/04/21(土) 13:09:12.39ID:DMKvF++N
>>1テンプレ

sage進行。
評価・感想・雑談なし。
詩を描くだけのスレ。
0198名前はいらない
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2018/04/24(火) 14:00:54.65ID:ofxAB1Bh
「菩提樹」

重なる若草の透明度
わき上がる炭酸のような空気
ここまでどうやって来たのかわからない
きみまでの道
虹の花が咲き乱れる空
そこから舞ふるオーロラの雨
ここまでやっとたどり着いた
きみのとなり
0199 ◆zABAZSBt06
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2018/04/26(木) 21:33:51.47ID:nyYdR2My
帰路

パッとしない天気の下
優れない調子の胃を抱え
先の見通せない往来を
汗や脂の臭いに塗れ
目深に被る作業帽子が
草臥れたまま項垂れて
滴るのは
汗なのだろうか
路地の底に咲くビニール傘
骨の歪んだ安物フィルタが
此処を海底探査船内とする
酸素供給も儘ならないまま
作業帽子はしわがれる
ため息が
天に上るか地に沈むか
判らないから
未だに日の光すら拝めない
足の裏の感触さえ朧気で
溺れてるんだと
指をさす指をさされる
それもフィルタの向こう側
いや
こちらがフィルタの向こう側
ゆらゆらと
逆髪が昆布のように
ゆらゆらと
とうとう
帽子も消えて
濡れた路面には
影さえ浮かばない
0200名前はいらない
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2018/05/06(日) 00:59:35.31ID:7ydPCIla
1日が溶けて
暗闇に絡み付き
その足を引き
引きずり込み
何も言わず
ただ優しく
それは未練なのだと
衰えた筋肉に
吐き捨てるのは
然したる価値もない
零れた砂の描く絵に似て
柔らかな風にさえ
形を崩され
戻れず
夜が
染み付き
モザイク画の中に
重なるごとに
迷い込み
亡くしていく
欠片に
差し込むのは
見知らぬ日のみなのだ
0201名前はいらない
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2018/05/07(月) 02:07:54.17ID:NLmiYhXr
「輪廻の影」

鳥獣保護区域から1羽の大きな白い鳥飛んだ
保護区域はどんどん拡大し
害獣であるぼくらはいずれ駆除される
人工知能は正しい
正しさには逆らえない
当時 保護区域内のぼくらは白い鳥を害獣とよんだ
正しさとは別の部分で逆らうことをしなかった
人工知能は正しい
不都合な正しさはバグ
ぼくらはいずれ駆除しあう
0202 ◆zABAZSBt06
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2018/05/26(土) 01:17:29.25ID:100D6Lcx
衝動

膿んだような空の雲から
雨垂れる一滴が
いつまでも
いつまでも背筋を震わせ
まだ一里塚
その呟きは悲鳴に似て
指先の振戦は
無意識なSOSの送り先に彷徨っている

まだ来ないのだと
安心するのは
私は、私を
殺したくないのだと

テレビをリモコンで切り替えるように
カレンダーを捲るように
日々逆立ちを強要されて
それでも
この蜘蛛の糸を手繰るのだろう
静かに荼毘に付した
私だった煙の示す先を目指して

薬を塗ってください
私にではなく、貴方に
手遅れになる前に
まだ雲は厚く
怖気は静まらず
殺したくないのだと

殺したくはないのだと
0203 ◆zABAZSBt06
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2018/08/12(日) 22:45:34.63ID:utPKZ5Zy
視点

今日の終わりに吐いた息を
吸い込むのは植物には荷が重く
蟠った積乱雲が明滅して
焦げたオゾンが目を焼いて
そして降り出した
人の波は轟々と谷を滑り落ちていく
かくれんぼは終わりなんだって
態々耳打ちしてくるお節介に
夜の匂いをお見舞いしてやるのだ
そこに吹く風に身を任せて
グライダーの行く先は夜で
2000km/hの零れ行く私たちは
彗星の尾のように空を舞い
楽しいのだと
崩れゆく肉と骨を笑い合い
シャレコウベの白さに似た陽光に
眼を瞬かせて
眩んだ空に
昨日の亡霊がたなびいて
サヨナラの言葉は
もはや蛇足なのだと
速すぎる歩みに
慣性に留まることすら躊躇して
更新は止まず
山は鳴動して
くしゃみに全てがご破算と終わり
それに気が付く前に
塔はさらなる塔を築いて
頂点から見る景色は
夜のようだと
植物すら溜息を零した
0204 ◆zABAZSBt06
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2018/08/16(木) 21:28:46.20ID:id/ZlVE4
仮想幻想

水面の月は日々鮮やかさを増し
凍える毛先の霜の反射は何処からか
ただ震えていることだけが拠り所で
つま先がふわりと淵を踏み外し
まだ眼球はそこにありますか?
路地のゴミ集積所の酔いどれが
未来式の眼鏡の前に手を伸ばす
ようやくシャッターを下ろせた
幾重にも絡められたミミズの脈動に
温もりを感じることに何を躊躇うのか
でも皆分かっているのだ
缶ジュースの中では窒息しかないのだ
その太陽は目指すものではないのに
不自然の白色のフードプロセッサは
プロパガンダが酷く上手い
それでも水面に目を向けて
水面のさざ波に目を向けて
さざ波の高低に目を向けて
高低の周期に目を向けて
奥底のホログラムに爪を立てようと
伸びかける手を押しとどめて
押しとどめたような感覚を注入されて
手足なんてないのに
まだ眼球はありますか?
気が付くとゴミ集積所の前に立ち
酔いどれは相変わらずHMDに夢中で
でも水面はまだ揺らめいて
この毛皮の霜の反射光は何処からかと
伸びた手が
軽いだなんて誰が信じるのだろうか
0205名前はいらない
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2018/10/17(水) 21:32:24.04ID:oSd+ZfLP
友達から教えてもらった嘘みたいに金の生る木を作れる方法
参考までに書いておきます
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

M1B
0206名前はいらない
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2019/01/10(木) 06:01:34.16ID:3rUkzlM6
24時を刺す針だ
閉じ込めた骸骨と向き合う目に映るもの
積み重ねた弱さがいつか命取りになる
優しい国の残酷な野生
ぶつからないように歩けたのは奇蹟
ふるえないあの歌声の意味が
目に響けば針を動かせると信じたい
0207名前はいらない
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2019/01/14(月) 05:51:16.41ID:aS87tSgO
それ、素質だから
必死すぎて問題に燃料投下
これ、素質だから
全血交換しても無駄
どんどん湧いてくるものだから
生きてる間中
サトラレまくり
何も被れてない
メビウスにとっつかまって
自分でとっつかまって
墓穴から頭出して
モグラ叩きゲームのモグラ
勢いよく飛び出して
目をお日様で焼いても
これ、素質だから
お日様はあたたかい
0208名前はいらない
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2019/01/24(木) 06:14:59.75ID:J4RTFdfb
地を這う根が宇宙にからみつく
備わっていたひとつひとつの感覚が今までになく指をのばす
指先に当たり、かすめ、冷たく熱い、香りと感触に
未知の懐かしさを探して
そうこうしているうちに、わたしは「しねば」といわれ
「いきろ」ともいわれ、誰かにもいって
誰にもいわないで、
誰にもいわれないで
既知の不幸と相反する幸福のらせんが
底なしの地に根付いている
0209名前はいらない
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2019/04/15(月) 07:39:31.68ID:uAdUJnb4
どうしても好きになれない弟に 優しい言葉をかけて
その向こう側にあるガラス窓に 映った自分の顔に目をそむける
雑草になってしまった電波は 刈っても刈っても生え続けるように思え
その儚さには思いもよらなかった
先祖から末代までの呪いと呼んでしまえば楽だけど
それでは終われないのが我々の宿命という名の呪い
孤独を望む寂しがり屋とか 生に執着する自殺志願者とか
そういうものになりたくないのになりたがる
どうしても好きになれない弟に きつい言葉をかけても
満足できる顔など 窓ガラスに映らない
0210◆zABAZSBt06
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2019/07/21(日) 19:27:16.66ID:CXvsL8V8
発達

いつか来た道と
いつか行く道と
双方を繋げる点と
脱落とを
笑うカラスを横目に
蔓延る草木を掻き分け
咽返る精液の香りの中
ぐるぐると
ぐるぐると
指先で遊ばせる秒針に
反射するのは
恐らく陽光では無いようだ

LEDは寂しくて
面発光は曖昧で
無数の星は数多の夢を紡ぎ
明滅に明け暮れる朝露に
乱反射する影は行き交い
目まぐるしく
夜の帳の片隅に引っ掛かるのは
酔いどればかりには非ず

また蕾の中を覗こうとしている
それは罪であり罰なのだと
咲き誇る花火は日中に消え
ほら
私たちはもう砕け散っていて
孤独な色ばかりに彩色された
街は混然と灰色で
義眼と見間違うほど
その目は透きとおり

乾ききった表面を蔓が撫でていく
0211名前はいらない
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2019/09/02(月) 02:57:19.19ID:UF4D74Js
なんのために 手紙なんか 残したのか
書いてる時の偽善感がしみついてて 後日読み返して捨てた

君はとてもさみしがっていた 

卒アルや写真や手紙を捨てても 所詮 君のさみしさは
わたしには一生理解しきれない

新品の空き家が立ち並んだ空っぽのまちに涼しさが混じった風が 誰も刈らない雑草を揺らす

わたしは将来どうでもいい死体になる
もしその先があるなら
否応なく 君のさみしさが刺さるといいけど
0212名前はいらない
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2019/10/03(木) 06:01:07.29ID:nipvQirT
ひとり目のサンタクロースは憂鬱そうに椅子に座らされていた
苦手な子供の前で
場違いな舞台のそでで
無言で無表情
概念の前に置かれた概念はそんなものだった

なのにふたり目のサンタクロースには焦らされた
見たこともないうわさだけでその価値が高まったのは
あのこが手紙を書いて送ったと言ったからだ
そんなのも嘘かもしれないのに
ただ何となく焦らされた

さんにん目のサンタクロースには気を使った
めんどくさかったが気を使えてよかったと思う
気はどんどん使うべきだし使わないとめんどくさいことになる
サンタクロースはめんどくさいが
その存在はいつの間にかいろんな場面で使い使われている
0214名前はいらない
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2020/02/15(土) 21:19:59.39ID:j9D+gyK/
夜の微かな光に薪をくべ、
まだ何処にもない塔を建てようと、
足元の小石を、
小石は、
いつのまにやら砂に変わり、
海底火山行きの満員電車に押し合い圧し合い、
去っていくのを、
薪をくべ、
薪をくべ、
その脇で少年少女が、
いや、両性具有者が、
望遠鏡で、
見送っていた頃の写真は露光不足で、
星はなく、
月はまだ産まれいずるには遠く、
薪をくべ、
薪をくべ、
白く濁る呼気で輪を描こうと、
笑っている、
その人に名前を付けられなくて、
また、
薪をくべ、
薪をくべている。

塔の天辺から、
今か今かと待ち構えているのは、
薪がはぜるような、

あなたの最初の呼吸の音なのだ。
0216名前はいらない
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2020/02/21(金) 10:31:14.59ID:ltVLf193
腕伸ばし 両手広げて
太陽のしずく ひとつ残らずあびているヒマワリ かなしくなる
空を征服 見えない北極星は海のど真ん中に帰っている
なんてきれいなんだろう もっと もっと 進化したら
解け込んで 溶け込んで 一番好きな色になれるといいけど
夜空に残った最後の星がそうであったように
薄紫の風を吸い込んだスミレがそうであったように
かなしいくせに また大事そうに春の種抱え込んでるから
とてもきれいなんだろう
0217名前はいらない
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2020/05/16(土) 20:12:56.96ID:sakCPUWS
五月の底

剥がれていく私が
ドア越しに眺められ
その氷柱に突かれ
竦み上がり
冷蔵庫で干からび
火花に焦げた夜が
その穴から砂をこぼし
それにさえ鳥肌が立ち
まだなのかと
いや、もうなのだろうかと
お話は終わりだと
絵本は閉じられ
時計の針に隙間はなく
押し出されることさえ許されず
目が乾き
掻き毟り
煽る杯の毒は零れず
いっそ、
いっそ、笑ってくれさえすれば、と
空箱は香りが
過ぎた電車を
プラットフォームから
未練がましげに
伸ばしかけた手みたいに
五月の風にたなびいている
0218名前はいらない
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2020/08/09(日) 21:29:18.78ID:5Rfq26qG
欲求

生きたいのに、生きたいのに
耳を塞ぎたくて仕方がないのは何故なのかと
甘い言葉が痛くて外耳を切り捨てて
川に流すのも恐れて地面に
その地の底に宥めて
死体の静かな呼吸にそばだてて
私もそこへ行きたいのだと

勘違いを繰り返して吐き気が止まらないだと
どこかで狂ったように回り続けているんだと
気づくんだと夢見たままここまで来てしまったよ

その音は腐れゆく柱のひび割れで
その芯に蔓延る微生物のプリズムに
永遠のネットワークに絡め捕られたまま
張り付けられた生命に賛歌されるがままに
息を吐いて
吸う際に、それを教えてくれたのは何だったのかと
この悲しみに落涙も出来ず
生きたいのだと
喉奥を指で刺し
まだ
雑踏に蔓延る私が私で有りたがり有り難がり
その叫びに浮かぶ瀬もなく
ただの夜なのだと
欠落なのだと
生きているのだと
伸びる髭に
絡まる声に

まだ縋っているのだと泣いているのだろう
0219名前はいらない
垢版 |
2020/08/09(日) 21:38:26.07ID:5Rfq26qG
産声

生きることの肯定に
尽きる命の中で成し遂げられるのだろうか
否定の爪弾きに
鳩尾の石を飲んだかのようで
声が死に
ばたつかせた手に
空虚だけを握りこまされ
だから死に絶えるべきなのだと
誰が信じられるのだろうか

私たちは生きているのだと
夜の中で鳥目のまま走るのだと
息苦しさに
顔を俯かせることを否定するのだ

まだ判らないのだと
判らせてくれてやるのだと
拭い切れぬ未練に
浅ましく
吹き溜まる埃に
私は私なのだと諭されることを肯定して
生きたいのだと
枯れた喉で
聞こえない声で
爪を立てて

世界を破り捨てた
0220名前はいらない
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2020/09/19(土) 23:20:55.76ID:SMwKTI1P
散歩道は夜 足から重力を奪う 
わたしはカルトの供物にされて 友達は最高のしあわせを手にした
それは大したことではない わたしも供物にした
お互いに差し出し 捧げ これも助け合い
認めようよ やり直したって同じことを
否定し続けようよ 良い人間であり続けるために
散歩道は夜を選ぶ
0221名前はいらない
垢版 |
2021/04/11(日) 13:16:15.25ID:ltLK5sHi
「何故か」
と尋ねられることはこの先もないから自分できいてみる
隠す場所がないところで隠す場所をみつけた
正確ではないけど
奥底のヘドロの上澄みをすくって塗り付ける
知らなければヘドロではないそうだ
そんなのカルトのとぼけた教義でもあるまいし
それは間違いなく臭いヘドロだよ
それを絵具としてみただけのこと
それは頭の悪いニンゲンのすること
余計なことなんだよ
きれいな水だけすくって掃除しなよ
できるのは、残り時間でやるべきことは身の回りの掃除
0222名前はいらない
垢版 |
2021/10/17(日) 18:08:22.41ID:fNMi9tPw
花火

宝物かのように
かき氷の儚さを有り難がって
後に残る濁り水に
綿あめに似た甘さが
溶かしこまれているんだと
飲み込みもしないくせに

出来もしない昨日を繰り返して
空に咲く大華を
音も聞こえちゃいないのに
見たんだと
ガラス玉ですらもったいないな

鼻で笑ってしまえば楽だというのに
喉元を割けばそんな泥水ばかり零れ落ちるというのに

指先は止まったまま
地面のシミと小さな欠片が
風も吹かず
硝煙が
焦がして
ようやくたどり着いたのが夜なのに

切り裂かれるとわかってしまうのが今日なのか

唾を吐き
唾を吐き
まとわりつくお日様の香りとやらに

未練など無かったはずなのに
0223名前はいらない
垢版 |
2021/11/09(火) 21:30:56.30ID:ApgYl9TI
酩酊

また深酒か
酒精など遠に逃げ出して
めまいばかりが足を止める

喉奥が笛みたいに鳴り
そういえば子どもの頃もこうだったと

部屋の隅が引き延ばされ
ぐるぐると
回って欲しいのは時針だというのに
ぐるぐると
ぐるぐると
酸っぱい臭いは幻で
病室の白さばかりが思い出され
あの人は何処へ向かったのか
仕切りの向こう側に人などいたのだろうか
パッチワークにもならない断片の継ぎ接ぎに
喪失感ばかりが染みついている

夢のような
夢としか思えないような
夢だったのか
夢死にはまだ早いと後頭部をはたかれ
その手に
何か郷愁を感じ
まだ宵の口なのに

吐き気は留まることを知らずに
手の中に映る月も見ずに
0225名前はいらない
垢版 |
2023/02/12(日) 18:09:06.18ID:AdAudS2n


あの時確かに私は泣いていたし、
傷跡は生々しく血をにじませていた。
今考えるとそよ風程度しかない囁きに、
腹の底からの震えが止まらなかったのに、
私は確かに生きている。
あの頃の傷はかさぶたさえ剥がれて、
それでも跡だけはこうして残っていて、
新しくできた傷がその上にあったり、
治らなかった傷もあるけれど、
抱えていたひざの骨の形は、
忘れてしまった。
私は歩いている。
何処へ行くのか、行けるのか。
ベタだが良き先などどこにもなかったのに。
それでも、それでもと、
私の足跡は彷徨うほどに長く連なっていく。
其の声は聞こえないのに。
許しはなく、許すこともなく、
押しつぶされそうなのは相も変わらずだけれども、
この呪いのような薄明時を、
私は歩いている。
なぜだろう。
なぜこんなに怖いのだろう。
分からないことに怯えて、
過去の私は泣いていたのに。
今はもう泣いていない。
何もわかっていないのに。
まだ怖いままなのに。
また一日生き延びている。
0226名前はいらない
垢版 |
2023/02/12(日) 19:42:44.39ID:AdAudS2n


囁いた愛は
葉が落ちるより前に枯れ
ただそこで枯れ
軋む音が亡霊みたいに
責めるように
背中に黒く張り付いている
その言葉は間違えたのだろう
粘り気を帯びた夕闇に
絡め捕られた陽光に
微かに照らされた輪郭に
確かに憂いて
もしくは飽いて
置き去りのまま
それでも
何かに耐えていたのに
憑りつかれて
怖気に苛まれて
なのに足は地に根を張り
冬の枯れ木の一つとなって
吐く息も途絶え
忘れてしまえ
下手糞な掃除の後に残る綿埃に
肩を組まれて
寒風に逃げ場もなく吹き溜まり
忘れ去られて
朝を迎え
くしゃみをするのだ
0229名前はいらない
垢版 |
2023/10/18(水) 12:43:43.89ID:bUp//Y1S
(   )y-~~ (  >)y-~~( >-)y-~~( >-< )y-~~ ウマスギル・・
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