「子供の詩」

まだ、その手が社会の戸にさしかかったほどでしかない子供らが
まるで社会に立ち入った者の視点から、携えられた知識と教養だけで詩を綴ろうものなら
たとえ子供らが、血をくねらせ、骨を摩り下ろす、健全な創作精神に我が身を投じていようとも
それはそれで真摯とは言い難く、誉めても誉めきれない、まるで虚妄の現代詩としか成り得る様子はない。

子供らは、戸の奥などを綴ってはいけない。
子供らは、戸の奥を綴ろうなどとしてはいけない。
子供らが綴るべきものは、その戸から零れ浸った、微少の臭いと音である。

 耳を澄ませ、鼻をひくつかせ、すかさず言葉として掠め取る

この懸命な仕草の代償が、今日の子供らの汗や詩となるなら
荒涼な大人達の心にも、それは尊い水として染み渡ってゆくことに違いない。