最後に…これは、言うのに多大なる恥の感情が溢れ出すだろう。
だがあえて言う。
私はある派閥に属し、対立派閥と論争…と言うのは憚られるような醜悪な“喧嘩”をして大きく惨敗した。
原因はすぐに解明できた。
単純に私の知識が不足していた。相手が一枚上手だった。子供じみた態度で激情に操られるがままに野蛮な立ち回りをしてしまった。
そして、ただでさえ小規模だった派閥を壊し、敗北へと誘った。
対立派閥が送ってきたスパイだと言われても、大体の人間が信じるだろう愚かで嘲笑するに値する立ち回りをしてしまった。
正直に言えば、この悔恨が一番大きいのだろう。他の2つとは比較出来ない。
私がもっと強ければ。大人であれば。成熟していれば。知識が脳から溢れ出そうなほどに豊富だったら。色んな『タラレバ』が私の体を優しくも厳しく包み込んだ。
毎日、死海の如く塩辛い涙を流した。血が溢れ出て紫紺に変色すると危惧されるほどに唇を噛み締めた。顔は悔恨の紅に染まり、目は痛々しいほどに腫れ上がった。
脳は常にあの頃に戻って、華麗に立ち回るという妄執に染まった。
……1番くだらないことで、1番大きな悔恨が出来てしまった。

自分はもう少し論理的かつ冷静で大人だと思っていた。
だが、現実は絶対零度を纏いながらじわりと私の心と身体と思考を蝕む。
ただ無機質に。ただ何もないように。未熟で愚かな私を壊した。
思い知らされたのだ。この世は私如きが自由に動かせる代物ではないと。
思春期特有の万能感に溺れ、自己への勘違いも甚だしいナルシズムが膨らんでいった。
周りの虚偽に満ち溢れた祝福や賞賛がそれに拍車をかけた。

叶うならば。
あの頃に戻って全てをもう一度正しい方向へと導きたい。
運命を変えて、強い私に生まれ変わる。
今度こそ、もう一度だけ…。
そんな願いは、空から舞ってきた純白で冷ややかな粉雪と共に、消えた。
消したいのか?私は弱く、脆く、情・欲・観念に支配されやすい。
残酷なまでに痛々しい現実から目を逸らせたらな。
地面に落ちて消える運命の粉雪に、私の悔恨を重ねて、溶けて消えるとでも?