シンポジウム特集:北海道新幹線開業・延伸の光と影
青函交流のあり方―観光まちづくりの課題―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hokkaidoshakai/30/0/30_3/_pdf/-char/ja
函館-仙台間を例に所要時間を比較すると、青函連絡船廃止時で12時間弱かかっていたものが東北新幹線新青森開業時に4時間弱となり、北海道新幹線新函館北斗の開業時には最連で2時間半あまりとなる。
現在函館-札幌間の特急列車の所要時間は最速で3時間半なので、仙台の方が札幌よりも時間的には近くなる。

札幌は仙台の約1.8倍の人口を有する大都市であるが、一人あたり卸売業年間販売額と小売業年間販売額ではともに仙台が札幌を上回っている。このことから仙台は札幌を凌ぐ経済力を持つ大都市であることがわかる。

さらに後背人口に目を移してみると、札幌の後背人口に相当する北海道の人口は約552万人(平成25年)であるのに対して、
仙台の後背人口に相当する東北6県の人口は約934万人(平成25年)であり、仙台の後背人口は札幌市の約1.7倍にもなることがわかる。

北海道新幹線の開業後、函館からは札幌よりも仙台の方が時間的に近くなったため、函館を取り巻く経済状況が変化しつつある。
これまで函館は陸続きの札幌に軸足を置いた経済活動が中心となっていたが、最近では札幌に軸足を置きつつも仙台にも新たに軸足を置いた経済活動がみられるようになった。
これは函館がマーケティングにおける「マージナル(境界領域市場)」にあるがゆえにメリットとデメリットの双方を受けることができることを意味する。