>>780 続き金子社長インタビュー

そこで、借り方のトップ、JR東海社長の金子慎に財投について問うた。

 答 いや、財投を借りたわけじゃありません。

 問 え?

 答 財投を活用して、鉄道・運輸機構から借りたんです。民間会社としてやるんだから、政府からお借りするのはダメです。民間の金融機関から借りるのと同じ条件で借りたいと思います、と。返せるか、返せないか、事業をよく見て、あなたが判断してくれ、と。

 問 「あなた」というのは政府? 機構?

 答 政府だったり機構(だったり)、どっちでもいいんですが、貸すのが心配だったら貸さなきゃいい。向こうも納得して、私たちも納得して借りた。

 問 しかし、政府も機構も、そうした融資判断ができる能力はないのでは。

 答 それは向こうに失礼な話です。貸した方は貸した責任があるんですね。

 問 通常の融資スキームとは相当違う。

 答 だから、政府が本当に知恵を出されたということだと思います。

 本当に、民間の金融機関と同じ融資条件なのか。知恵を絞れば、この破格の融資スキームがひねり出せるのか。

 実は、安倍が財投融資をぶち上げる前、日本政策投資銀行を使って3兆円の融資を実行しようと画策していた。そこで、政投銀に聞いた。

 「話があったとは聞きました。しかし、民間銀行はもちろん、うちでも1社に3兆円を貸し出すことはあり得ません。相手先が倒れたら、銀行も一緒に死んでしまう。うちも他の大手銀行も、1社2000億円がギリギリのラインです。30年返済据え置き? それはないでしょ」

 これほど破格の3兆円融資は、官や民の判断能力をはるかに超えている。しかも、返済されなければ、公的処理をせざるを得ない。大きな政治判断なくして実行できない。

 金子に問うた。

 問 財投の決断は安倍首相がされたということですよね。

 答 いや、それはよく分かりませんが、安倍総理以下、国交大臣、あるいは担当大臣、政府としてなさった。

 問 最初に発言されたのは安倍首相だから、「安倍主導」で。

 答 「安倍主導」って……。

 問 ちゃんと返せると思っているから(貸した)。

 答 はい。