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トランプ氏は無能だとの批判も浴びている。ここでも、やはり批判は正しい。だが、トランプ氏の専門家嫌いも、外国の統治を支援するためにインターン(実習生)や聖書学校の卒業生を任命したブッシュ氏の振る舞いと比べると見劣りする。イラクの「連合国暫定当局(CPA)」の人選にブッシュ氏が無頓着だったことで、我々はその代償を今なお払い続けている。
その呪いが、イランに力を与え、過激派組織「イスラム国」(IS)を誕生させ、中東において米国が善い国であるという考えを覆した。トランプ氏は問題を悪化させたとはいえ、オバマ氏と同様に後遺症に対処している。

ネバー・トランプの急先鋒(せんぽう)でイラク戦争の応援団だったウィリアム・クリストル氏は先月、「今後数十年の重要な外交政策の目標は、中国の体制転換であるべきではないのか」とツイートしている。

中国については不穏なことに、トランプ氏とブロブは中国と対峙しなければならない、という同じ見解を抱くようになっている。その手法については意見が異なる。トランプ氏に批判的な向きは、「新冷戦」に勝つために米国は同盟国と合意を形成した方がいいと考えている。彼らはトランプ氏の2国間の闘争主義を嫌う。また大統領が鈍感であることも嘆いている。
中国の国家主席と休戦を交渉しているその日に、中国のスター実業家の一人が逮捕されたことを知らなかったとは一体どういうことなのか、と。

まだ日が浅い今世紀の物語は、中国の力を予想以上に押し上げた米国の失態の連続だ。にも関わらずこの状況を引き起こした張本人たちの手に主導権が戻るのも奇妙な話なのだが。

By Edward Luce

(2018年12月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/