領土交渉に「負の遺産」 日ロの溝は埋まらず 首相辞任表明
https://news.yahoo.co.jp/articles/5050147922a082dfd72ebdccce2eb1ef35bbfd69
ttps://www.hokkaido-np.co.jp/article/454798/
       …(前略)…
 首相は北方領土問題解決に取り組んだ父晋太郎元外相の遺志を引き継ぎ、12年12月の第2次政権発足当初から
停滞してきた日ロ関係の再構築を模索。「新しいアプローチ」で交渉進展を目指す方針を掲げ、16年12月には11年ぶりに
プーチン大統領の来日を実現し、北方四島での共同経済活動の検討開始で合意した。
 さらに首相は18年11月の首脳会談で、平和条約締結後の歯舞群島と色丹島の日本への引き渡しを明記した1956年の
日ソ共同宣言に基づく交渉の加速化でプーチン氏と合意。日本の対ロ方針は事実上の2島返還路線へと大きく転換した。
 首相とプーチン氏の首脳会談は昨年9月までに通算27回を数えたが、ロシアは四島領有は「第2次世界大戦の結果」
との立場を崩さず、交渉は停滞。米ロ対立を背景としたロシアの愛国主義の高まりにより、日ロの領土問題は一層複雑な
状況に追い込まれた。
 今年7月に発効したロシアの改正憲法には「領土の割譲禁止」条項が新たに追加され、ロシア世論には「日本との
領土問題は決着した」との見方が広がる。日本政府内では「誰が次の首相になっても、領土交渉の進展は困難」(官邸筋)
との声が漏れており、次期政権が安倍政権の対ロ方針をと踏襲するかは不透明だ。
 ロシア外交筋は「日本が四島返還の原則論に戻るなら、日ロ関係は大きく逆戻りする」と揺さぶりをかける。次の首相次第
では日ロ関係は政治対話さえ乏しい「冬の時代」に入る可能性もある。(モスクワ 小林宏彰、東京報道 古田夏也)