月刊WiLL 2021年3月号
■吉田信行
中国にはNO!と言えない朝日の偽善
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「弱い日本にしたい」

 そもそも、産経新聞と朝日新聞の根本的な違いはどこにあるのでしょうか。端的に言ってしまえば、「容共」か、否かの違いに
収斂されてしまいがちですが、事はそれほど単純ではありません。
 確かに戦後の朝日が〝真っ赤〟であったことは否めないでしょう。『崩壊 朝日新聞』(ワック)を書いた元朝日記者・長谷川煕
によれば、朝日社内には共産主義社会の到来を待望する風潮自体が色濃く残り、具体例として大阪本社内には「世の中を
階級闘争史観のマルクス主義で切って見せ、その視野から日本をこきおろして悦に入る類の記者が大きな顔をしていた」とまで
記しています。
 しかし、その共産主義史観だけで紙面をつくっていたなら共産党の機関紙ぐらいしか発行部数は期待できなかったと思います。
少し視野を広げて朝日と産経の国家観の違いを手探りし、周囲の皮を一枚ずつ剥がしていけば、最後の芯に何が残るでしょうか。
 すると、朝日は日本という国家を、歴史的経緯からしても「強い国家」とみなして、弱体化させねばと考えているのに対し、産経は
戦後の過程で「弱い国家」に転落していると見て国家として強靭化せねばとの危機感を持っている――という明確な部分に突き
当たります。
 つまり朝日は「強い日本」をこれ以上強くしてはならないという立場から、国家の防衛を強化する憲法9条の改正には断固反対
します。日の丸や、君が代など国家を彩り飾る装備も不要という立場です。ともかく周辺の諸国家から脅威と見なされるようなこと
は全て除去して「弱い日本」にするという路線に今なお揺らぎはないようです。
(続く)