ノーベル賞作家の作品送ってみたら…全出版社がボツに ファンが「実験」
ジョージ・オーウェル(George Orwell)を暗に批判した作品
12/13(水) 15:31配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171213-00000025-jij_afp-int
【AFP=時事】1985年にノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)を受賞した仏作家クロード・シモン(Claude Simon)のファンが、
シモンの作品を大手を含む出版社19社に送るという「実験」をしたところ、全社から刊行を断られていたことが分かった。

 ライターのセルジュ・ボル(Serge Volle)氏(70)は、スペイン内戦を描いたシモンの1962年の作品『ル・パラス(The Palace)』の抜粋50ページを19の出版社へ送付。
すると12社から出版を断られ、残りの7社からは返事すら来なかったという。

 ボル氏によると、ある編集者は「一文一文が果てしなく長く、読者を完全に突き放している」と感想を述べたという。

 シモンは「ヌーボー・ロマン(新しい小説の意)」の旗手の一人とされ、冗長な文章を書くことで知られる。
また、1981年の傑作『農耕詩(The Georgics)』はしばしば1文が数ページにわたっていることでも有名だ。

 ボル氏は、出版社の反応が今の出版界の実利主義を物語っていると嘆き、
仏文豪マルセル・プルースト(Marcel Proust)の言葉を引用しながら、文学作品を出版するにはすでに有名な作家である必要があると指摘した。

 ボル氏は作品の抜粋を送った出版社については言及を避けたものの、
シモンがノーベル文学賞を受賞するきっかけとなった『農耕詩』ですら、多くが出版を断ったという。

『ル・パラス』はシモン作品の中でも最も賛否が分かれ、
『動物農場(Animal Farm)』や『カタロニア讃歌(Homage to Catalonia)』で知られる英作家ジョージ・オーウェル(George Orwell)を暗に批判した作品といわれている。
シモンとオーウェルは共に1930年代、スペイン内戦で共和国派の兵士として戦闘に参加している。【翻訳編集】 AFPBB News