うろ覚えで「中国のあらゆるお茶にかけて」と書いたのだが、
for all the tea in Chinaの訳としてこれで正しいのかどうか気になった。
この表現は『グレー』の5章、『第二段階』の9章、『子供たち』の1章に出てくる。
小隅訳では前二者は「中国のあらゆるお茶にかけて」(113頁)(196頁) だが、
最後は「中国のお茶ぜんぶを賭けて」(23頁) となっている。
Chinaの訳についてはここでは論じない。
問題は、「あらゆるお茶」と言った場合、「あらゆる種類のお茶」と解釈したくなる
から、それなら英語では all the teas と可算扱いにする必要があることだ。
それに対して「お茶ぜんぶ」と all the tea は双方向に翻訳しうる。
結論。「あらゆるお茶にかけて」は良い訳ではない。
「すべてのお茶」または「お茶ぜんぶ」が正確な訳である。