フォーヘンドルフ「候補生諸君、これより卒業式に先立ってウェントワース名物
『レンズ装着の儀』を執り行う。さあ、真っ先に名乗り出るのは誰じゃ?」
メートランド「うぉぉ、このために5年間も地獄のシゴキに耐えたんだ、俺がやるぜ」
ラフォルジュ「その意気じゃ! しっかりフンドシ締めてウェントワース魂を見せたれ!!」
メートランド「こいつを腕にはめりゃいいんだろ、簡単じゃねぇか……ぎやあああああ」
レーシー「死亡確認」
フォーヘンドルフ「何じゃ、だらしないのお。次は誰の番だ?
それとも貴様ら全員おじけづいて尻尾を巻いて逃げ出すか? ガッハッハ」
ラフォルジュ「目の前で教え子が死んだんだぞ、それを笑うとはどういう了見だ?
大体こんなバカバカしい儀式が何になるってんだ!? 言ってみろこのタコ!!」
フォーヘンドルフ「これの意味を知りたいか、ならば耳の穴かっぽじって聞くがよい。
“ワシがレンズマン養成所校長 フリッツ・フォン・ホーヘンドルフである!!”」

* * *
(解説)レンズとは
古代テルス、中国大陸における拳法家の風習に由来する。
心・技・体、すべての面で限界を極めたと認められた修行者が
自ら希望した場合に限り与えられた漢方医術の秘薬に「錬豆(れんず)」がある。
服用した者は人間をはるかに超える能力を得る一方、肉体への負担もまた凄まじく、
錬豆の衝撃に耐えられなければ筆舌に尽くしがたい苦痛を伴う死を迎えた。
なお、この試練に挑み生き延びた拳法家は「錬豆の要求を満たす」者との
尊敬の念を込めて「錬豆満」と讃え称されたという。
-- 銀河百科辞典 第116版より 発行者の許可を得て引用 --