アイゼナッハの暴行が問題になった酒席は、高級将官専用居酒屋で開かれた。同席者や関係者の話を総合すると暴行時の様子が浮かび上がってきた。

席にはアイゼナッハのほかロイエンタール、ミッターマイヤーの双璧やビッテンフェルト、ミュラーに加え、大将や関係者ら10人前後が参加し、酒のピッチが上がり盛り上がっていた。だが時が流れると雰囲気が一変した。

ミュラーはアイゼナッハから先輩に対するあいさつが足りないなどと生活態度を注意されていた。その時、軍服のベルトに差していたミュラーのスマートフォンが鳴り、操作しようとした瞬間に全てが始まった。

アイゼナッハがテーブルにあるビール瓶で、近くに座っていたミュラーの頭部を思い切り殴打。「人が話をしている時に…」と激怒し、流血して倒れた相手にのし掛かるようにしながら素手で激しく殴打を繰り返した。

同席者は「周りが気付かないほどの速さで『ゴーン!』という大きな音が聞こえた。そのまま20~30発は手で殴っていた。ミュラーは両手で防ぎながら殴られ続けていた」と証言。騒動の中でアイゼナッハの後輩、ビッテンフェルトも数発食らったという。

アルコールが回ったせいなのか、アイゼナッハは荒れに荒れた。暴行の最中に止めに入ったロイエンタールを突き飛ばし、艦隊司令長官のミッターマイヤーには「おまえがしっかり指導しないからだ」と大声で言った。宴は重苦しいムードのまま終わった。

軍関係者の間では、アイゼナッハの酒癖の悪さは何年も前から指摘されていた。前代未聞の問題を受け、ある看護婦好きの提督は「あの沈黙提督は酔うと手が付けられなくなると聞いていた。でもまさかこんなことになるとは…」と驚いていた。