個人や個体に依存するオブジェクトじみた神秘の力は、例えば核兵器のような単純な力とはワケが違う
核兵器は統一された原理の下で明確な技術として存在するから、誰でも持ち得る可能性と再現性がある
だからこそ、それを自分に向けて使われたくないという意思のもとで「使われないために対抗として持つ」「持たないなら否定する」が辛くも共存する世界になる

それとは違い、異質な、均一でない、理解し得ない、宗教を含む如何なる定見や常識の足元を容易に揺るがす不明瞭な力が跋扈していれば
そこに無敵や盤石なんて概念は錯覚としてすら存在し得ない、 精神支配などならいざ知らず、たとえば圧倒的暴力は支配力であって権力ではない
誰かが頂点に立っているという妥当性と信頼性を保証する正気の無い世界では、徹底的に未知を排除し続けなければ権力の不安定化は避けられないと言える