松本清張、曾野綾子、筒井康隆は、その人間観において三位一体をなしている。
松本清張の描く人間は、どいつもこいつも悪いやつであり、さもなくばいやな奴である。
曾野綾子の描く人間は、みんな良い人間ばかりで、せいぜい弱い人間がちょっと出てくるに過ぎない。
世間から悪人呼ばわりされている人間さえ、彼女の筆にかかれば善人になり果ててしまう。筒井康隆の描く人間は、これはもう、ほとんどがドタバタの喜劇的人物である。