『サタンの標的』とは、『幻魔大戦』において東丈が十七歳にして著した
『幻魔の標的』のモデルとなった幻の書である。
語り手は高橋佳子さんの他に数名の霊能者が担当した。
高橋佳子さんは自身、インタビューアーであると同時に、
インタプリーターとしても素晴らしい情報を提供してくれた。
特筆すべきは、暗黒世界の上位階梯にある大魔族から、
信じられぬような巧妙な手段によって、質の高い情報を得るばかりでなく、
直接、告白を引き出すことに成功したことであろう。

私は夢中になって、そのことごとくを記録に取り続けた。
事情があって、『サタンの標的』は基幹になる原稿を作り上げたものの、
出版は中止になってしまった。
角川春樹・角川書店社長との約束を履行すべく、
私は『サタンの標的』の代わりになるものを書くことになった。
つまり、それが『幻魔大戦』となって結実したのである。

従って『幻魔大戦』には、
『サタンの標的』の取材活動において得た情報が大量に入っている。
(夜にかかる虹)