いや……しらばっくれるのはヤメにして、正直に語ろう。
現代編におけるお時の名は、ミチ子に違いないとみている。あれだけ「火」にまつわるネタをバラ蒔きまくっておいて、別人はないだろう。
であれば、現代編にて、その姿をわれわれはすでに目撃していることになる。

真幻魔大戦にて、「ムーンライトという名は月影を偲んでつけた」というロジックが登場する。
たぶん、この「偲んで」という言い回しは、新幻魔大戦の構想時に用意されたものではないかと思うのだ。
それは本来のものとして、このようなかたちで、現代編のどこかに書かれるはずだったと推察する。
「ミチ子という名は、惜しむことなく愛情を注いでくれた、優しいおみち様を偲んでつけた」と。

頓挫した新幻魔で使われなかったネタは、いくつかが、このように使い回しされていると解釈する。
散りばめられたネタは幻となったが、「真幻魔大戦群」のなかで再生されたとしたら、そのあたりに日の目を見ることのなかった物語の謎のヒントが潜んでいるともいえよう。