新幻魔大戦を語る旅はとりあえず終わった。
平井文学の組み立てを語るうえで、欠かすことのできない「精神上の悪」、新幻魔大戦がその正体に迫るものであると見なしているためである。
平井和正が当初より見ていた闇、その発達成長の触りはリープで描かれていた。
デスハンターと新幻魔大戦で描かれた生命、精神の進化のラインを明らかにしてこそ、次のライン、あるいは別の布石への注目となる。

さて、ここから次の段階に入る。
生命の行方(知的生命)というテーマの系譜……それは興味深いが、別の流れもあることに気付く。
それは8マン→サイボーグ捜査官→アンドロイドお雪の系譜だ。
前述まで流れが「知的生命(人間精神)の行方」であるのに対して、この流れは「人間に模したものの行方」である。
さらにもう一つの系譜がある。
1969年の夜と月と狼から始まる狼男のシリーズ、「人間でないものの行方」だ。

以上の3種を、平井和正という作家の系譜として考えてみたい。彼を評論する際によく語られる「〜の時代」と区分するものと異なる。
その本質は、「人間を模したもの」と「人間でないもの」に共通するもの。黄金の心だ。