と、言うわけで、読み終わりました「三体」。
なんか驚かせてくれるんじゃないかという期待感をもっている人はご安心ください。まあまあ面白い結末を迎えます。
大森望のあとがきはだいぶ割り引いていいけど、これは供給側だからしかたない。
しかし作品単体としてハナからケツまで一級かというとそうでもない。
エンタメが読みたければ平井和正の「死霊狩り」を、思弁性を求めるなら林譲治の「ストリンガーの沈黙」を、
ある種の厳しさを求めるならレムの諸作を読めばいい。つまり既成作を凌駕するほどではない。
この作品の面白さを支えているのは、やっぱり中国という歴史と現在の政治体制をふまえて、
そこでSFがどのように発展してきたかのぞき見たくなる好奇心、それ抜きには語れないと思います。
通販サイトやツイッターの激賞を見るにつけ、なぜ世間は吉沢亮や竹内涼真を知っているのに、
菅田将暉や田中圭をイケメンとして推すのだろうか、そういう違和感を感じていたのですが、
たぶん、書店業界やSF業界のめったにないお祭りに参加するつもりで楽しむのが正しい姿勢なんじゃないかな。
これで小売店が潤うなら万歳だし、お祭り以上の楽しみはたしかに与えてくれると思います。
ただ、SFを読んだことなくて興味もない人には薦められないけどねw