「下町ロケット」は、ロケット開発という精密かつ先端技術を扱った作品だからワクワクするんだよ
シリーズ化される人気作品となっているのも、そうした理由が大きいはず
なんでもいいのなら、おなじ著者の運動靴を開発する「陸王」でも読めばいい

工業や工学の場合、コストやお金の話は切り離せないし、逆に、それが理学とは大きく異なっている
そういう視点から眺めてみると、お金の話があまり出てこない点では、SFは理学寄りの感覚に近い

エンジニアリングフィクションとサイエンスフィクションの違いは、現在の技術で実現可能な状況を
扱うのがエンジニアリングフィクション
一方、現在の技術だけでは実現不可能な状況を扱うのなら、サイエンスフィクションになる

たとえば月面探査車などは、現在のところ、ちょうど両者の中間付近に位置している
しかし数年後、民間企業の月面探査車が実用化された後であれば、エンジニアリングフィクションの
分野として作品を書くことも可能となる

コナン・ドイルの短編小説「危険!」などは、当時発明されたばかりの潜水艦による攻防戦を描いた
小説で、第一次大戦の年に発表されたため、近未来SFと戦争小説の中間のような作品となっている