「さよならジュピター」は、めったに映画を貶すことのない自分も、駄作と断言するしかない数少ない映画の1つ。

もちろん、映画の企画展にも足を運んだし、小松さんの映画製作についての講演も聞いた。
原作の小説はそれほど悪くないので、映画の作り方を間違えたというのがより正確な言い方かと思う。

当時の陳腐なCGにこだわり過ぎ、経費と時間を無駄に浪費したため、ほかに予算と時間が回らずセットや衣装が陳腐になってしまったし、ロケも(天候待ちとかできず)条件の悪い状態での強行撮影となってしまっている。

また、監督に俳優の演技指導ができていないため、俳優陣に気持ちの入っていない演技が目立つ。

映画「エイリアン」などは、アニメなみの詳細な絵コンテをもとに画面の絵づくりが行われていた。
そのため、チープなセットでも粗が分からないよう、ライティングやカメラアングルに様々な工夫がほどこされている。

一方、さよならジュピターの方は、そうした綿密な画面設計が行われておらず、ふつうのドラマ撮影と同じようなライティングと撮り方をしているため、セットの安い作りがモロにバレてしまっている。