阪神淡路大震災と小松左京 - 小松左京ライブラリ
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| しかし、還暦をすぎた老いた身体に鞭打っての震災取材は、自身の思い入れが強かったが故に、
|心身ともに大きな負担となりました。
| この取材を通じて、傷ついた被災地を目の当たりにするにつけ、そして天災だけでなく、人災が
|被害を広げた事実を知るにつけ、この悲惨な現実が、自らの過去の巨大なトラウマである、
|戦争と終戦直後の混乱の記憶を、さらに呼び起こすことになりました。
| 震災の夜から始まった、小松左京の心の底に巣くっていた戦争の闇は、一年あまりの連載で、
|よりいっそう広まってしまったのです。
| 小松左京は、生涯で一七の長編、二六九の中短編、一九九のショートショートを書いたとされています。
| 未発表のもの、また漫画や舞台の台本を含めれば、生み出した物語の数はさらに多くなるでしょう。
| しかし、この震災以降、小松左京は一本たりとも、自らの手で物語を生み出していません。