>>131
テンプレだからってだけが理由じゃないよ

昔の作品だと、すべてを知る「神の視点」の三人称の語り手が、読者世界と異世界との違いを説明してくれてた
指輪物語でも、神視点の語り手が、ホビットはどういう種族なのか長々と読者に対して説明したり
だけど、神視点の不自然さや作品世界への没入度などが問題視されるようになり、
今では、視点を作中人物に限定した一人称や三人称一元視点が主流になった

しかしそうなると、異世界生まれの作中人物が読者世界との違いを認識しているはずもなく、
作中人物視点の語り手による作中世界の説明はなかなかに容易じゃない
読者世界の事物や概念との対比や比喩も使えないし、語り手がいちいち説明することも不自然
例えば、作中世界の"馬"が爬虫類だとしても、作中人物にとっては当たり前のことであるため
わざわざ作中人物がそれを意識したり語りで説明する方がおかしい
このため、語りのリアリティを重視する作品では特に、説明不足のまま話が進められ、
細部の描写から読者が読み取らなければならない事柄が多く、慣れない人には難解になりがち

そうした語りの困難さと難解さを抑える手法の一つが、読者世界を知る人物を視点人物に据える異世界転生・転移もの
転生・転移者なら読者世界と異なる物事にいちいち驚いたり注目したりして語っても変じゃない
読みやすさが重視されるヤングアダルト向けのラノベで重宝されるのもわかるよ
視点人物が読者に近いことで作品世界への没入感も得やすいだろう

まあ読書経験豊富な人には逆に歯ごたえ不足で没入感が削がれる面もあるだろうけど