>>390
全問正解。
こちらとしては、回答したくなるようなバランスの問題が良問だと考えているので、意図した
結果が得られ満足している。

ウェルズのタイムマシンは、思弁小説や超科学としての空想科学小説を決定づけた書き出し
で、現代SFの文体もこの作品に原型があると見ていいと思う。
ウェルズの凄いところは、人類の未来を、科学の勝利や進歩といったバラ色に捉えたりせず、
他の動物に狩られる被食者にまで衰退した人類の姿を描いている点にある。

  時間旅行家は(彼を便宜的にそう呼ぶことにするが)、私たちを前にしてある深遠な
  問題を説いていた。  新庄哲夫 訳

アルジャーノンは、知的障害者の文体が独特で、英語圏の人間がどういう文章の間違え方
をするのかが参考になり興味深い。訳者の小尾さんは翻訳にあたり、放浪画家、山下清の
文体を参考にしたという。 (実は自分も山下清の文章のファン)

  ストラウスはかせわぼくが考えたことや思いだしたことやこれからぼくのまわりでおこた
  ことわぜんぶかいておきなさいといった。  小尾芙佐 訳

ニューロマンサーの、サイバーパンク誕生を告げる印象的な書き出し。
黒丸尚の訳は好き嫌いが分かれるもので、もちろん、私はあの訳文が嫌いですw
黒丸訳の影響を受けない新訳が出たら、この作品の翻訳を改めて読んでみたい。

  港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった。  黒丸尚 訳

夏への扉は、もしかすると日本で一番読まれているSFかもしれない。
(吉田美奈子作詞で)山下達郎も歌にしているし、世の愛猫家たちの篤い支持も受けている、
というのもこの作品の強みだろう。

  六週間戦争のはじまる少しまえのひと冬、ぼくとぼくの雄猫、護民官ペトロニウスとは、
  コネチカット州のある古ぼけた農家に住んでいた。  福島正実 訳