『去年はいい年になるだろう』は
「自分は理不尽な世界に抗議するために小説を書いてる」みたいな
未来の山本が過去の自分に残したメッセージが印象的だったな
なんというか
一応は『正論』に忠実に生きようとしていた点が
山本の面白い点でもあり哀しい点でもあるよな

自分は正義や論理の使徒であるという顔をして
小説中で知性が迷妄に勝利する理想を描き続けながらも
実際の山本自身は主観と偏見に囚われる人間の愚かさから
一歩たりとも抜け出せていない

山本という人間をワンフレーズで言い表すなら
自分は『理想と実態の矛盾』が最も相応しいと感じる
世界や人類に対する山本の認識、そして山本自身の生き方という二重の意味で