●グレッグ・イーガン『万物理論』(創元SF文庫)[ネタバレ:あり]
 
これまた、出だしから半分くらいまで退屈な作品。

「けど、後半は爆発的に巻き返してくれるんだよね? ふふっ。知ってる」

と思って読み進めていったのだけど、結局最後まであんまり面白くならなかったという…。

一番の原因は、生物学とか医療系にSFネタの重心が置かれていたこと。三人の物理学者がお互いの「万物理論」をめぐって議論しまくる、みたいな展開を期待していただけに、残念な印象を受けてしまった。

たぶん、日本語版のタイトルに騙されたんだと思う(原題はDistress 苦悩)。

あと、汎性(男とか女とかを捨てた人たち)のヒロイン?と主人公が××しようとしてガッカリするシーンでは、こっちもガッカリ。ちょっとくらい読者サービスしてくれてもいいのに!

一応、「未来において完成した××の影響が、過去に漏れてきた」みたいなワクワクする要素はあるし、光学迷彩兵器の登場シーンに「おっ!」となったりもするけど、個人的には人にオススメしたい作品ではないですね…。