不確定性原理を回避する実験に成功――位置と運動量を同時に高精度で測定

 オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney, USYD)と英国のブリストル大学(University of Bristol)などによって行われた研究により、量子力学の基本法則「ハイゼンベルクの不確定性原理」を回避して、これまで同時測定が不可能とされてきた位置と運動量という二つの物理量を、同時に高精度に測定することに成功しました。
 核となる理論は、量子の揺らぎ(不確定性)そのものを完全になくすのではなく、あまり必要ではない情報を不確定性の闇の中に投げ込む代わりに、より精密に計りたい要素を引き出すという「情報の交換」です。
 この量子的な交換を行うことで、古典的なセンサーでは到達できないレベルでの高感度測定が実現しました。
 これまで「避けられない壁」とされてきた不確定性原理の限界に対し、今回の成果はどのような新しい未来を描き出すのでしょうか?
 研究内容の詳細は2025年9月24日に『Science Advances』にて発表されました。
後略