>>289

(一般道を走行中の黒いリムジンの後部座席。 車窓の景色を眺めていた三島が パワーウィンドウを上げる)
(運転席には 黒いスーツの男。 隣の助手席には 高鳥蓮華が座っている)

 (突然、車の前方を 青い影が 高速で横切って止まる。 驚いた運転手が急ブレーキを踏む)

蓮華 「うっ!? (前のめりになり、ダッシュボードで 軽く頭を打つ)」

 (車の前に立ったキャマラスワームが メタモルフォーゼを開始して、黒い喪服を着た女に 姿を変えていく)
 (蓮華が顔を上げた時には もう、前方から既に 女の姿は消えている)

 (辺りを見回し、蓮華が後部座席を振り返ると、いつの間にか、喪服の女が 三島の隣に座っている)
 (素早く 左手の指輪に仕込まれたワイヤーを引き出し、戦闘態勢をとる蓮華)
 (だが、三島は 右手を蓮華に向けて、「待て」 と 制止の合図を送る)

 (顏の前面を トーク帽の黒いベールで覆った女が、抑揚の無い不気味な声音で 用件を切り出す…)