>>320

 (店内に入ってくる二人。 先回りした蓮華が 木製の椅子を引き、三島がそこに腰を下ろす)

三島 「天道君、 大切な話とは何だ?」

 (厨房から、料理の皿を載せたカートを 天道が押しながら出てくる)
 (続いて、スーツ姿の加賀美も 給仕として お盆に食器類を載せて運んでくる)

天道 「まずは 食ってくれ。 (三島の前のテーブルに 皿を載せる)
     蓮華もだ。 (離れたテーブルに一人座る 蓮華の前にも 料理を置く)」

 (ムスッとした表情のまま、三島の右脇に 雑に ナプキンとナイフとフォークを置く)

三島 「(加賀美を チラリと見上げて) …くだらん」

 (吐き捨てるような三島の物言いに、立ち去ろうとした加賀美の足が止まる)

三島 「私には 味覚というものが無い」

  (皿を持ち上げて、背後に立つ加賀美に突き返す。 加賀美は 無言で皿を受け取り、厨房に下がる)