X



新人職人がSSを書いてみる 34ページ目 [無断転載禁止]©2ch.net
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0203通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/01/20(土) 10:11:28.54ID:xT/eWXPV0
シンはそういや金髪欲情症という病気にかかっているという話を聞いた気がする。
0204ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:09:59.60ID:LSOcb/FJ0
もう三月やんけ! だいぶ遅れてしまいました。投下します
0205ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:11:40.32ID:LSOcb/FJ0
――艦これSEED 響応の星海――


キラ・ヤマトがキラ・ヒビキとして若干どもりながら自己紹介したドンチャン騒ぎの食事会と、厳粛な雰囲気で進行した佐世保鎮守府全体会議という二つのイベントをこなして、数時間後。間もなく日が移る頃。

「――よし、これで。・・・・・・あぁ、おかえりキラ。こっちは終わったよ」
「うん、ただいま。って言っても、僕ももう部屋に戻るけどさ」

あくびをかみ殺しながら仮設宿舎一階の暁型四姉妹の部屋に戻ったキラは、すっかり寝入ってしまった姉妹達とお客さんを布団に寝かせつかせた響に、帰還の言葉を告げた。

「祥鳳はなんて?」
「妹がご迷惑かけますって。おぶって階段昇るのは危ないから・・・・・・それで瑞鳳さんの着替えと、色々持たせてくれたよ。これ、みんなで食べてって」
「Хорошо、伊良湖のカステラじゃないか。わかった、このカステラに誓って瑞鳳の身は私が護ろう」
「ちょっと大袈裟すぎない?」

素っ気ない顔でしれっと可笑しなことを言う寝間着姿の響。そんな少女に祥鳳からの手土産を渡しながら六畳間の部屋を見渡してみると、
そこには綺麗に敷かれた三重ねの布団に暁と雷、電と瑞鳳がくるまっているのが見えて、キラはなんだか懐かしいと思った。
雷雨が苦手な四人の為にと提案した瑞鳳と、協力者だからということでキラも参加させてもらった暁型四姉妹のトランプ遊び。かなり白熱したものの皆々順繰りに寝落ちし、残った二人で後始末をしたのがつい今し方のこと。
こんな夜が、ただただ懐かしくて。
そう、オーブの孤児院に身を寄せていた時期は、こんなことがしょっちゅうあったと思い出す。

「大袈裟なものか。これにはそれだけの価値があるよ」
「前に食べた、羊羹みたいな?」
「同ランクの逸品だね」

遠い昔のことのようだ。ヤキン・ドゥーエ戦役を終えて、ブレイク・ザ・ワールドで世界が灼かれるまでの、たったの二年間。
嵐の夜は決まって、子ども達は就寝時間ギリギリまでトランプやゲームで遊んで、そしてみんな一塊になって一つのベッドに潜り込むのだ。そんな子ども達を各々のベッドに運んでいくのはキラやバルトフェルドといった
大人組の役目で、その後は大人組も大人組でたいして美味しくもないコーヒーを飲みながら夜をまったり過ごすという日常が、あった。
あの頃が人生で一番、平和を実感して日々を生きていた時代だったと思う。尤も、生きていることに虚しさを感じて、感じる心を喪っていた時期でもあったから、一概に楽しかった時代とは言えないが。
この状況はあの頃の夜にそっくりだ。こんな夜をもう一度過ごせる日が来るとは、夢にも思わなかった青年であった。
0206ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:14:00.55ID:LSOcb/FJ0
(それにしても瑞鳳さん、誘った本人が真っ先に寝ちゃってどうするのさ・・・・・・まぁ、響も僕も楽しかったからいいけどさ)

懐かしい。
今や幸せそうな顔で夢の世界に旅立っている瑞鳳には、感謝せねばならないだろう。押し切られるようなカタチであったとは言え、彼女と協力することになったからこの気持ちを抱けたのだから。
純粋な少女達に囲まれ、久しく感じることのなかった「騒がしくとも楽しい一時」というものを過ごすことができたのだから。心なしか楽しげにも見える無表情な横顔に、つい嬉しくなる。
これからもこんな夜を迎えることができるのだろうか。
彼は蒼銀色の髪の少女と戯れながら、先の食事会にて急接近してきた亜麻色の髪の少女をチラリと一瞥した。
一瞥して、しばし青年は誘われるように、徒然と思考の海に溺れる。
これまでとこれからを、再確認する。

(協力関係、か。僕なんかにその資格は無いと思うけど・・・・・・でも)

この度、キラ・ヒビキは瑞鳳と共に、響の力になることになった。
それはいい。
ここで目覚めてからまだ十日しか経っていないというのに、更に言えば響と顔を合わせていた時間も、実はまだ一日にも満たない程だというのに、
それでも響について瑞鳳に語ったこと――響の危うさに気付いて、支えたいと思ったこと――に、告白した内容に嘘偽りはない。
包み隠さず言ってしまうと、キラにとって響という少女が、どうにも気になってしまう特別な存在であることは確かであったから。

(響、君は僕に出会って少し変わったって言われた。なら僕も、君に出会って少しは変われてるのかな。変われると、いいな・・・・・・)

経験も価値観も主義主張も何もかもが全然違うのに、どこか、君は僕に似ていると思えた。
キッカケはやはり、あの防衛戦における共闘。理なんか何一つない第六感的感覚で、彼女の本質に己の影を見た。彼はあの少女に、ある種の親近感、シンパシーを感じたのだ。
少女の助けになりたいと思うだけの理由。特別だと感じる理由。そもそも少女の危うさに気づけた理由の全てだ。
ならば、少女の助けになることに微塵の迷いも必要なく。とてもできるとは思えないが、もしできるのであれば、是非もないことだった。
何故なら。


この男もまた、己のことが嫌いで赦せない人間だから。


これまでの人生を振り返ってみて、自分を好きになれる要素は何一つもなく。
「自分は生まれてきてはいけなかったのだろうか」という想いはいつだって心の奥底にこびりついているくせに、他人からの弾劾には反論して、開き直り、済ました顔で意志を押し通して。
0207ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:15:41.95ID:LSOcb/FJ0
変わっていく明日を生きる覚悟を、変わらず示し続ける為という建前を掲げて、圧倒的な力を振るって、貪欲に『生』を渇望して。
だというのに結局、自分自身だけでは何も為せず何も創れなかった無力な己の醜悪さを、理解しているから。
苦々しく思う。己が人生経験豊富で、観察力があって、気配りのできる素晴らしい人間だから、ほんの少し行動を共にしただけの少女の危うさに気付いたのだ――なんて、そんな理由であればどんなに良いだろうと。
こんな人間に似ているなんて思われるなんて、彼女にとっては迷惑というか、侮辱でしかないだろうと。

(それでもあえて僕らが似ているところを挙げるなら、それはきっと自分自身に対する、絶望感。そして誰かに何かを赦してもらいたいと願う、罪悪感。瑞鳳に語ったことは半ば、僕自身のことでもあるんだ・・・・・・)

シン・アスカと似ているようでまた異なる、諦観の念。強迫観念じみた、強くあらればならないという行動原理。
だからこそキラは、受け入れて――支えたいと思った。
自分のことが嫌いで赦せないけど、ぜんぜんこれっぽっちも上手くできる自信なんてないけど、こんな自分でもと。否、彼女の考えがわかってしまうからこそ。様々な人に支えられて今まで生きてこれた自分だから、
そのように己も、ここにいられる間は少しでも彼女の支えになれればと。
どうかしてるとは自覚している。いい歳になってこんな、思春期じみた感傷に浸って。似たようなコンプレックスを持ってると思い込んで、心を揺さぶられて。
でもそれが今のキラの原動力の一つだった。C.E.の人間としての目標と義務とはまた別で、一人の人間としてやりたいこととなっていた。
根本の理由がどうであれ、響について瑞鳳に語ったことに、告白した内容に嘘偽りはないのは事実なのだから。

「・・・・・・? なに、キラ。私の顔になにかついてるかい?」
「――あ・・・・・・いや、なんでもない。・・・・・・とりあえず帰るよ」
「そうか・・・・・・今日は楽しかったよ。もしよかったら、いつか暁にリベンジの機会を与えてやってほしいな」
「了解。僕も電とはちゃんと決着つけたいから、またいつかね」

人知れず、決意は固まる。

「うん。Спокойной ночи、良い夢を」
「君もね。おやすみ、明日からよろしく」

響からお裾分けだと貰ったカステラを手に、少女に見送られるカタチで仮設宿舎の廊下へと出て。はじめて互いに「おやすみ」を言い合い、軽く手を振り合って。
キラは懐かしい夜を背に、まだ一度も使ったことのない自室へと歩を進めたのだった。
やるべきこととやりたいこと、約束したことは沢山ある。それを成す為に。
彼が思い描いた未来図は、かつてないほどの輝きを放っていた。
0208通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/03/06(火) 23:16:06.28ID:AkZpdmYq0
回避
0209ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:17:19.70ID:LSOcb/FJ0
《第10話:抜錨、響・特装試作型改式》


夜が明けて、11月11日の正午頃。
長崎県西方沖の五島列島周辺海域にて。

「翔鶴さ〜んっ! でっかいお魚いっぱい釣れたっぽい! 褒めて褒めて〜♪」
「あらあら、これは大漁ねぇ。カマスかしら? すごいわ夕立」
「む、勝ち誇るにはまだ早いデース。Time limitまであと10分! 旗艦の意地を賭けて、ここから追い上げてみせるワ!!」

今朝まで嵐だったとは思えないほど清々しく晴れ渡った蒼穹に、穏やかに凪いだ大海原と、何処を向いても青一色の世界を白波蹴立てて進む一隻の通常艦艇があった。
ステルス性を重視した全長30mの船体に、自衛用小口径速射砲を申し訳程度に装備した佐世保鎮守府所属の小型高速哨戒艦だ。深海棲艦の駆逐イ級相手でも簡単に振り切ることのできる速力と装甲を備える、最新型である。
艦娘と深海棲艦の戦いが激化しても尚、従来型の船が活躍する場は多い。流石に純然な戦力として運用されることは無くなったが、漁船や物資輸送船の護衛や、近海警備に敵陣偵察といった裏方の任務は、
替えの効く従来型の船で賄うというのが近年の主流となっていた。
中には、囮を兼ねた遮蔽物として運用される無人装甲船などといった艦娘のサポートに特化した変わり種も存在し、この小型高速哨戒艦も含め各鎮守府には多種多様の通常艦艇が配備・運用されている。

「お、燃えてるなー金剛。だがここで摩耶様の追撃、50cm超のサバが三匹だ! これで我らが翔鶴チームの勝ちは揺るがなくなってしまったなぁ!?」
「摩耶も夕立も絶好調なのねぇ。なんか、申し訳ない気分かも。私、一応チームリーダーなのにあまり役立ってなくて」
「そうかぁ? ・・・・・・んだよ、けっこう釣れてんじゃねーか」
「釣果ゼロな金剛さんとは比べものにならないっぽい」
「そう? 自信持っていいのかしら」

さて。
シンプルな灰色に塗装された哨戒艦【はやて丸】は現在、45ノットの快速で南西――五島列島で最も広い面積を有する、福江島方面に向けて航行している。
その甲板上に、六人の少女はいた。
先の全体会議にて編成された新生第一艦隊一番隊、通称【金剛組】である。
金剛、翔鶴、龍驤、摩耶、夕立、時雨と、機動力と対応力に優れた実力者で構成された戦闘部隊で、四つの主力艦隊の中でも最大の戦果を期待されている佐世保の大黒柱。
鎮守府復活に伴って早速任務を請け負った彼女達は、燃料の節約と集中力の温存と迅速な戦力移送を兼ねて【はやて丸】に乗り込んで、福江島最南端にある前線基地を目指している最中だった。
艦が船に乗るというのも妙な話ではあるが、深海棲艦が空挺降下をやってのけやがったことを思い出せばまだ常識的な話だ。寧ろ艦娘達がバラバラに航行するよりかは、
こうして通常艦艇に乗って一纏めに移動したほうが遙かに効率的かつ経済的であることは考えるまでもないだろう。
0210ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:19:00.35ID:LSOcb/FJ0
事態が落ち着くまで専守防衛に努めることと相成った佐世保は、艦娘による四つの主力艦隊と三つの支援艦隊、そして通常艦艇隊を三本の矢として連携させて近海の制海権を確保することに決定したのだから、
今後はこのように彼女達が船に乗り込むことも多くなっていく見込みだ。
ちなみに、再編された計七つの佐世保艦隊の内訳は、以下の通りになる。


――――――――――


第一艦隊(主力)        第二艦隊(主力)        第三艦隊(支援)
【金剛組】 【霧島組】     【榛名組】 【比叡組】     【球磨組】 【多摩組】 【阿賀野組】
・金剛   ・霧島       ・榛名   ・比叡       ・球磨   ・多摩   ・阿賀野
・翔鶴   ・瑞鶴       ・瑞鳳   ・祥鳳       ・能代   ・矢矧   ・酒匂
・龍驤   ・扶桑       ・鈴谷   ・熊野       ・海風   ・ 暁    ・春雨
・摩耶   ・鳥海       ・木曾   ・山城       ・山風   ・ 雷    ・伊13
・夕立   ・白露       ・ 響    ・五月雨      ・江風   ・ 電    ・伊14
・時雨   ・村雨       ・キラ   ・涼風


――――――――――


なるだけ戦力を均衡化して編成された主力艦隊は、これから復旧させる予定の前線基地を第二の拠点として活動することになる。
三日単位でのローテーションで鎮守府と基地とを往復し、哨戒活動をする支援艦隊と通常艦艇隊の要請に応じて防衛警戒エリアに現れた敵を迎撃するのだ。
故に、まずは第二の拠点たる前線基地を復旧させる必要がある。この基地は深海棲艦との戦争が始まった頃に建設されたものであり、敵の電波障害に対抗する為の物見櫓と艦娘用設備があるのだが、
現在は一連の騒動のせいで命綱たる有線通信が使えない状況に陥っているのである。
【金剛組】の任務とはつまり、基地復旧作業の護衛役だ。作業自体は相乗りしている工作隊と現地の業者が行うが、そこに深海棲艦の強襲がないとは限らないもので。明日になれば後続の【霧島組】と【阿賀野組】、
そして物資を満載した輸送船が多数現着し、先行した【金剛組】は佐世保に一時帰投することになっているが、それまでは海上で一日を過ごす予定だ。
明日に弟子との勝負を控えた夕立にとっては、少し酷な話かもしれないが。しかしそれを全く苦にせず明朗快活に活動できるのが、佐世保駆逐艦最強な夕立の夕立たる所以であったりもする。

「ぐぬぬ・・・・・・好き勝手言ってくれますネー。しかーし! 最後の最後までなにが起こるのかがわからないのがこの海釣り、気張りますヨ二人とも。勝利の栄光はワタシ達、金剛チームのものデース!!」
「せやせや、なんせウチらには幸運の女神、時雨がいるんや。きっと最後にドカンと一発かましてくれるでぇ」
「人任せにしないでくれるかな龍驤。ボクの力なんて些細なものだよ。みんなでコツコツとさ、頑張ろうよ」
「そー言うてもなー、こっちで順調なの時雨だけやん。ほら見てみ、ウチもちんまいのが数匹だけや。こりゃ奇跡でも起こらんとどーしょもない」
0211ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:20:59.17ID:LSOcb/FJ0
「二人には失望したよ。今回はボク達の負けだね」
「諦めたらそこでGame Overデース!?」

ところで、自力で航行する必要がなくなった艦娘は、暇になる。
そこで【はやて丸】の甲板上に陣取った【金剛組】は警戒を厳としながらも、とりあえず釣りで目的地までの空き時間を潰しつつも結成されたばかりの艦隊の親交を深めることにした。
彼女らはそれぞれが歴戦の猛者ではあるが、同じ六人のグループとして戦った経験は殆どないのだ。
それが何故かいつの間にか艦隊を二分にした対抗戦へと発展してしまっているのだが、まぁどんな界隈でも実力者とはえてして負けず嫌いなもので、どんなことでもバトルにしてしまうのは必然なのかもしれない。
いっそ戦うことで互いを良く知ることもできるというものだ。
そんな時だった。

「――・・・・・・? ・・・・・・っ、これは?」

夕立と摩耶を従えて釣り竿を握っていた翔鶴は唐突に、らしくもなく戸惑いの声をあげた。
先んじて目的地周辺に飛ばしていた偵察機のキャノピーを通じて飛び込んでくるもう一つの視界、その遙か遠方に、妙なものを発見したのだ。
竿に魚の反応があったものの気にせず、彼女は瞳を閉じて意識をいっそう集中させる。自力で航行してなくても、遊んでいても、海上である以上はいつだって厳戒態勢であり、
Nジャマーによりレーダーが封じられたこの海域では、艦載機による索敵は文字通り命綱。その一翼を担っていた装甲空母級艦娘は、これは一体なんだと眉を顰める。
見定められない。こんなものは見たこともない。しかし。コレに関係あるかもしれない人物には、心当たりがある。

「これって、もしかして・・・・・・」
「! 翔鶴、どうしまシタ?」

少女の異変にまっさきに気付いた金剛がサっと顔色を一変させ、小走りで翔鶴に近寄ってきた。一瞬にして張り合う釣り人から、旗艦とその補佐役に切り替わった二人の表情は当然、戦闘モードの険しいものに。
翔鶴は己が見たものを報告すべく、言葉を紡ぐ。

「金剛・・・・・・とりあえず敵ではないわ。方位2-5-7、距離40の海上に謎の巨大構造物を発見。キラさんの世界・・・・・・C.E.に縁のあるものかも」
「明石が夢中になってる、宇宙(ソラ)からのGiftですネ?」
「おそらくは。少なくとも全長250mはある、変な船よ」
「船?」
「たぶん、だけれど。本当、変なデザインというか、設計思想そのものが地球のものじゃないみたいな・・・・・・?」
「ふむ・・・・・・」

現在位置から彼女達の目的地、福江島の前線基地までは南西に約15km。そこから更に西へ25km程といったところに、その巨大構造物――翔鶴曰く、変な船とやらがあるらしい。
金剛は顎に手を当てて数秒、思考を巡らせる。思い出すは防衛戦の顛末と、昨夜の全体会議の内容だ。
0212ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:22:41.57ID:LSOcb/FJ0
九州近海の深海棲艦は駆逐できたものの、隕石が落ちた台湾近海には、巨人【Titan】を含め未だ多くの深海棲艦が蔓延っている。嵐の直前に強行偵察を決行したビスマルク隊によると、
彼の海には佐世保だけでは突破できない戦力がまだ残っているという。そしてキラ曰く【Titan】は、宇宙からの有難くない贈り物、C.E.の技術を取り込んで異形進化したものであると。
であれば。

「ワタシ達でどーこう出来そうデス?」
「難しいでしょうね。護るにしろ曳航するにしろ、調査するにしろ。援軍と専門家が必要になると思うわ」
「Photoは?」
「もう撮って、全速帰投中よ」
「Good Job。流石は翔鶴ですネ」

今のところ敵影はないものの、事態は急を要するかもしれない。
このまま哨戒船に乗って接近するのは危険と、一切の迷いもなく決断した金剛は、懐から紙とペンを取り出して何事かを素早く書き込む。それと同時に、翔鶴は備え付けの通信機で艦橋と連絡を取った。

<どうした翔鶴嬢ちゃん。敵か?>
「接敵する可能性、かなり高いです。【いぶき丸】は最寄りの港に入り、陸路にて基地の復旧をお願いします」
<別行動だな。わーった! 嬢ちゃん達も気ぃつけてな!>
「お心遣い、ありがとうございます」

【はやて丸】の艦長は、流石に軍用艦を任されているだけあって理解が早い。
短い通信を終えた翔鶴と、手紙をしたためた金剛は満足げに頷きあい、いつしか釣りを止めて集結していた龍驤、摩耶、夕立、時雨とも頷きあった。もう皆とっくに艤装を装着しており、各々に軽くストレッチすらしている。
和やかな雰囲気が嘘であったこのように、【金剛組】はものの数秒で戦闘態勢へ。
あとは、旗艦が号令をかけるだけだ。

「まったく、頼もしいばかりですネ」
「ですね」

これなら余程のことがなければ問題ない。
本来の任務を無事遂行する為にも、まずはこのアクシデントに対応しなければ。予定航路から外れ、件の構造物に接近する必要がある。
金剛は大きく息を吸い込んで、新生第一艦隊一番隊旗艦として初めての命令を下す。

「総員、コンディション・イエロー! 対空対潜警戒、厳に!!」
「了解!」

そして張り上げられた声に従って、少女達は皆一斉に【はやて丸】から飛び降りた。
その際。
投げ捨てられていた釣り竿にうっかり蹴躓いた夕立が、見事に腹から海にダイブしてしまったのは、愛嬌のようなものだった。
0213ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:24:55.13ID:LSOcb/FJ0




【金剛組】がC.E.の船らしきモノを発見してから、約20分後。
その報は、伝書鳩よろしく報告書と写真を括り付けて飛来してきた、手のひらサイズの飛行機――摩耶の艦載機こと「瑞雲」によって未だ松葉杖を手放せない二階堂大河提督の下へ、
そして丁度彼と話し合いをしていたキラの下へと届いた。
実にアナログな連絡手段ではあるが、だからこそ昨今の長距離無線通信が使えない環境下では、これ以上ない信頼性を誇る常套手段となる。金剛が状況を簡潔に記した報告書と、翔鶴の偵察機が撮影・現像した写真は、
二人の男の顔を一瞬にして驚愕色に染め上げた。

「これは・・・・・・ナスカ級!? こんなものまで・・・・・・!」
「船、なのか? 君達の?」

深い青色の外装と、漢字の「山」のようなシルエットを持つ船体。旧ザフトの主力として運用された、モビルスーツ搭載型高速駆逐艦・ナスカ級。
地球上で使うことを想定していない宇宙専用艦艇であり、新地球統合政府が発足してからも未だ現役で運用され続けている艦種である。駆逐級だけあって生産性と速力に優れ、
その上にそこらの戦闘艦にも引けを取らない火力をも有するナスカ級は、C.E.において八面六臂の活躍で歴史に名を残した画期的な艦艇だった。
そんなものが、若干ピントのぼけた写真に写っていた。かつて幾度となくキラ達の行く手を遮った因縁のある船の一つが、この海に在った。
翔鶴の見立てはズバリ的中していたのだ。

「ええ・・・・・・こちらの世界で言うなら、宇宙用の航空駆逐艦みたいなものかな」
「航空? では艦載機が――そうか! モビルスーツを!」
「六機まで搭載可能なんです。それにナスカ級自体にもビーム砲やレールガンが・・・・・・いや、それ以前に装甲やスラスターだって、この世界にとっては・・・・・・」
「大変なことになる。これ以上、深海棲艦側に未知の技術を渡すことはできない」

それはつまり、翔鶴と金剛の予測も的中するということでもある。
誰にとっても想定外だった新たな火種、誰にとっても喉から手が出るほどの宝の山。台湾近海に巣くう深海棲艦は必ずや、奪取すべく行動するだろう。否、もしかしたらもう侵攻を開始しているかもしれない。
彼女らの意図を汲み取った二人はこれを早急に解決すべき事案と判断した。

「護衛しつつ、こちらの港まで曳航しなければならんな・・・・・・白露、【榛名組】と【多摩組】に緊急招集を。それから哨戒艦【いぶき丸】の手配を頼む」
「了解!」
「キラ君。済まないが君には――」
「みんなに同行して、内部に侵入してみます。もしかしたら生存者がいるかもしれないし、自力航行できるかもしれない」
0215ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:26:45.94ID:LSOcb/FJ0
「――恩にきる」

そこからは怒濤の展開だった。二階堂提督と白露の指揮により、佐世保鎮守府は活動再開初日から早々に厳戒態勢を敷くことになった。
作戦目標はナスカ級の確保及び内部調査。もし曳航が不可能であればその場でできる限り解体・破壊し、パーツ全てを福江島の前線基地に収容する。
どんな些細な部品だろうと、海に放置してしまうと敵の潜水級が手に入れてしまう可能性が高い。よって適当に攻撃して沈没させる選択肢はない。
宇宙用だが奇跡的に海上に浮いている今を逃せば、もう佐世保側にできることは無くなる。猶予がわからない以上、時間との勝負になるのは必然だった。
【金剛組】の援軍として選定されたのは、本日を非番として鎮守府に待機していた第二艦隊一番隊【榛名組】と第三艦隊二番隊【多摩組】の二隊だ。可能であれば全戦力を挙げて臨みたいところだったが生憎、
他艦隊の任務を中断させて同一の海域に投入することは出来ない。佐世保はいつだって限界ギリギリなのだから。
束の間のオフを楽しんでいた【榛名組】と【多摩組】の面々は至急ブリーフィングルームに呼び出され、数分のミーティングを経てから慌ただしく戦闘準備を整えていく。
今朝からストライクの本格的な修理を開始して完全に非戦闘員となったキラとて例外ではなく、整備要員として明石と手分けして各々の艤装の最終チェックに奔走する。
燃料弾薬の補給、装備の更新、曳航に必要な機材の調達、この短時間でやるべきことは山ほどあった。
そこでふと、生粋のMSパイロットであった青年は「整備兵はいつもこんな気持ちだったのかな」となんとなく想像した。
想像して、きっと想像よりもずっと辛いんだろうなとも結論づける。
銃を取るばかりが戦いじゃない、力だけが自分の全てじゃないと信じていたいが、やはりもどかしいものだ。だが戦えない己に不安と疑問を抱く余地は、今はない。
ストライクで出れないキラの出番はこの時この瞬間が全てで、他にできることと言えば存在しやしない神様に祈るぐらいだ。


なんてことだろう。
前日まで描いていた未来図は全て、儚く砕け散ったのだ。


本当になんてタイミングだろうと思わずにはいられない。
元々こうなる可能性が高いことぐらいはわかっていた。寧ろ前提であった。一軍事基地が専守防衛に努めるということは、常々脅威と隣り合わせであるということ。本当の意味での安息日なんて無きに等しいのだと、
ここにいる全員が正しく認識している。
だが、だとしても。言っても詮方ないことだけれど。
せめてあと二、三日ぐらい平和であってくれてもよかったじゃないかと、誰もが思った。
特にキラにとっては。響と明日の師弟対決(対夕立戦)に備えた作戦会議を、瑞鳳と日本語学の勉強とこれからの活動方針について話し合う約束を結んでいた青年にとっては、
この出撃がなにか良くないことの前触れではないかと感じてならなかった。
0216ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:29:59.77ID:LSOcb/FJ0
「しっかし、非番ってのはこういうもんだと解っちゃいるが、いきなり緊急出撃とはな。我らが第二艦隊のリーダー殿の気苦労は絶えないな?」
「もう、からかわないでください木曾。榛名は大丈夫です! それに鈴谷が加わってくれたおかげで多少なりとも戦力バランスは改善したのですから、何があろうとも確実に対処してみせます!」
「おおぅ、なんか鈴谷ってば頼りにされちゃってる? こりゃー張り切らないとだねぇ」

でも、だからって。辛気臭くイヤイヤ出撃する者はいなかった。
木曾が不敵に笑い、榛名が奮起し、鈴谷がおどけた。先の防衛戦の暫定第二艦隊にムードメーカーの最上型航空巡洋艦三番艦の鈴谷を加えた、四つの主力艦隊の一角たる【榛名組】のメンバーは、
こんな状況下でも明るい雰囲気を保っていた。
キラが正式に所属することになった艦隊の構成員である彼女達は、武装を換装しながらいつもと変わりないテンションで会話を交わす。

「その通りだ鈴谷。比較的に近接機動戦に特化してるのがオレ達の特徴だからな、実際オールラウンダーのお前の働きはかなり重要になってくる。むしろ中核を担う存在と言ってもいいだろう」
「頼りにしてますよ、鈴谷」
「・・・・・・ヤバい、口調は穏やかなのにすっごいプレッシャーを感じる!? 助けて熊野!!」
「鈴谷」
「え、なにさ瑞鳳・・・・・・、・・・・・・なにその静かな笑顔めっちゃ怖いんですけどなになに言いたいことあるならハッキリ言って頂戴!?」
「勿論ストライクはまだ修理中だから、キラさんの分まで頑張って?」
「ノーーーーゥ!? やだ期待が重すぎる!! 助けてぇーー熊野ぉーー!!!!」

若干、新人いびりの様相を呈していたが。
隕石が落ちてくるまでは旧第一艦隊の一員として一線を張り、金剛を庇って呉送りとなったという歴戦の猛者の鈴谷だが、その持ち前の軽いノリも相俟って弄られ役になることが多いらしい。
迫真の絶叫でただならぬ仲であると噂の熊野に助けを求める姿はなるほど、弄りたく気持ちも分からなくはない。
しまいには【多摩組】まで巻き込んだ漫才まで始まって、ボケにツッコミに大立ち回りするブレザー少女のリアクション芸に思わず笑みをこぼしてしまう。
まったく、この少女達は本当に強い。淀んでいた心がスカッとするようだ。

「・・・・・・よし。鈴谷さん、こんなんでどうかな?」
「んー、良い感じじゃん! これでバリバリ働けちゃうねぇ」
「良かった。・・・・・・次は――」
「キラー! ちょっとこっち手伝って! 響でラストだから!」
「――わかりました!」

そうこうしている内に、瑞鳳に続いて鈴谷を整備し終えたキラは、最後の仕上げとして響の艤装の調整に取りかかる。
視界にふわりと蒼銀色が舞う。それだけで何故か、不思議と、心の何処かが落ち着く思いがした。

「艤装、ぶっつけ本番になっちゃったね。大丈夫?」
0218ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:37:36.13ID:LSOcb/FJ0
「Нет проблем。あなたと先生が組んでくれたんだ、やれるさ」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど・・・・・・、・・・・・・いやわかった。僕も僕で頑張るからさ、新しい君の力、存分に見せて」
「ふっ、やっぱりあなたは私のやる気を引き出してくれるね」
「おうおう二人だけで盛り上がってんじゃないですよーこんちくしょうめ。ほら、装備更新するよ響」

響の艤装はストライクの複製パーツを取り込んだ試作型だ。
昨日の整備で実戦投入可能ではあったが、ぶっつけ本番となると話は別。整備士の二人は改めて、手分けして試作一号機の艤装を入念にチェックする。
本来であれば明日の師弟対決に向けて――こうなった以上、実現するかも怪しくなってしまったが――午後から試験運転をする予定だったが、それももはや叶わない。
また響本人も、ペイロードの拡張に伴って大胆に構成を変更された装備に慣れていく必要がある。防衛戦当時はあり合わせの旧式兵器で武装していたが、今回は明石謹製の試作装備で出撃することになっているのである。
よって作戦海域に着くまでに繰り返し諸々を微調整しなければならないだろう。故に、今回の出撃には明石先生も同行することになっていた。
当の明石は、徹夜明けなのかひどい顔をしていたが、なんだか元気そうに倉庫の奥から引っ張り出してきた武装を次々取り付けていく。

「お、それが噂の新装備か・・・・・・、・・・・・・なんかストライクに似てるな?」

興味を惹かれてやってきた木曾が、出し抜けにそう言った。
確かにと、キラも装いを新たにした少女の姿を見やった。

「・・・・・・そんなにジロジロ見ないでくれるかな。流石に恥ずかしいよ・・・・・・」

若干頬を赤らめる少女だが、気にせず二人は嘗め回すように全身に視線を注いだ。
0220ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:39:32.86ID:LSOcb/FJ0
というのも、今の響の格好はどこか戦闘モードのキラに似ているように見えるのだ。


まず右手。これが一番目立つのだが、いつもはフリーとなっているその小さな手のひらにはゴツい大型ライフルが握りこまれていた。意匠としてはスナイパーライフルに近いもので、艦娘の携帯武装としてはかなり異質だ。
次に左腕。これもまた目立つ。特三型駆逐艦に標準搭載されている防盾の代わりに、より大きなゴツいシールドを装着しており、戦艦の砲撃だって防ぎそうな威圧感を醸し出している。
極めつけには両肩に小口径二連装機銃を一基ずつ搭載していて、確かにその装備構成はストライクのものにそっくりだ。というか、ほぼそのままモデルにしたものと思われる。
ちなみに響のトレードマークたる大型錨は後腰に懸架されており、他にも61cm三連装酸素魚雷発射管を両腰に一基ずつ装備してる。逆に言うと、そこしか以前の面影は残っていなかった。

「キラ、お前の趣味か?」
「光源氏計画・・・・・・」
「自分色に染め上げようと!? やっぱりキラさん、あなたって・・・・・・!」
「いやいやいや。僕関与してないから。趣味違うから」

木曾がジト目で呟き、榛名がどん引きし、瑞鳳が目を輝かせた。
いつの間にか【榛名組】は全員集合していた。そんでもって揃いも揃って、この場でたった一人の男性に何か言いたげな視線を送っていた。原因はどう考えても、響の新装備だった。
明石謹製の試作装備である。なのに、これは一体どういうことだろう。キラは仲間から早速ロリコンのレッテルを貼られようとしていた。彼の好みはお姫様タイプだというのに、ひどい冤罪もあったものだ。
尤も、慌てる青年以外は「やっぱりか、やっぱりなぁ」という心持ちなので、今更どんなことを言っても流されてしまうのだが。こういう時の男の立場というものは頗る低い。

「キラっち」
「鈴谷さん・・・・・・その突き出された手はなんだろう?」
「なんかさ、おんなじ匂いがするって思ってたんだよね・・・・・・へへ」
「ねぇ僕もうこういう扱い決定なの?」

哀れ、思わぬカタチで彼女らのテンションに引っ張り込まれたキラだった。

「いやー、我ながら良い仕事したー。これぞストライクをヒントに徹夜で作り上げた自信作、どうどうカッコイイでしょ?」

そんな将来の弟子の苦境を知ってか知らずか、実に良い笑顔で額を拭った【先生】(マッドサイエンティスト)こと明石。これは確信犯なのだろうか。

「どうって・・・・・・そりゃカッコイイとは思いますけど」
「でしょー! 響のスペックにものを言わせた専用装備の数々! もう概要からしてカッコイイでしょ!?」
「明石さん、とりあえず移動中は寝てくださいね? 調整は僕一人でやりますから」
0221ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:41:29.17ID:LSOcb/FJ0
「まずはこれ、作っちゃいました試製ライフル型13.5cm単装砲! これは凄いよ〜? 駆逐艦娘用でありながら軽巡用中口径砲並の火力と射程を実現したのです! 仰角皆無な単装砲と侮るなかれ、
シンプルな構造故に取り回しに優れてて近接格闘戦でこそ真価を発揮する、まさしく今の響にピッタリな装備なのだ!!」

徹夜のハイテンションがなせる業か、明石はキラの苦言を華麗にスルーして突然、マシンガンの如く武装説明をおっぱじめる。
後に聞いたことだが、彼女にはこういう悪癖というか性癖があるらしい。さもありなん。己の得意分野となると饒舌になってテンションうなぎ登りになるのが技術者というものだ。
それだけ、明石にとって今の響は魅力的ということだろうか。キラも最初こそ呆気にとられたものの、今の明石の気持ちは痛いほどよく分かってしまった。自分もソフトウェア分野だったらああなるのだから。
そして響も割とノリノリで、しっかり合いの手を入れていき、次第に明石の独壇場は三人による新装備講義になっていった。

「ライフル型だから、狙いもつけやすいね」
「まぁぶっちゃけ状況によっちゃ、いや普通の艦娘にとっちゃ12.7cm連装砲C型改二とかD型のほうが便利で優秀なんだけどね。でも響? スナイパーライフルをショットガンのように、しかも片手で扱うってロマンじゃん?」
「Хорошо、実に革命的で野心的じゃないか。これで無敵だな」
「無敵! YES! その言葉を待っていた!!」

すっかり蚊帳の外になって「うん、三人が楽しそうならいいや」と思う他一同である。ただ実際のところ仲間のスペックというのはとても大事な要素なので、皆も真面目に聴くしかなかった。
そして数分後。

「みんな、船の準備ができたよ!! 乗って乗って!!」

工廠に現れた白露の一言で、場の空気はガラリと変わった。
皆の背筋が一様にしてシャンと伸びる。
0222ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:43:09.15ID:LSOcb/FJ0
いよいよ出撃である。


これから【榛名組】と【多摩組】の面々は、高速哨戒船【いぶき丸】に乗り込んで問題の海域へと向かう。そこで【金剛組】と合流し、ナスカ級に接触するのだ。きっとこれも、大変な任務になるだろう。
怖じ気づいてはいられない。これからの未来をつかみ取る為に、成すべきを成す。
戦えない青年は祈った。
願わくはこの新しい力が、響自身が納得するだけの、一区切りとなる力でありますように。
願わくは誰一人として傷つかず、みんな無事でこの温かいセカイに帰ってこれますように。
だからこそ自ら一歩踏み出して、助けになると決めた少女に手を差し出した。

「いこう、響」
「うん、やってやるさ」

あまりに短い会話を交わして、乗船する。
いざ、未来図から外れた道へ。
その想いが通じたのか、響は鼓舞するようにポツリと呟いた。それは鈴のような、透明感のある幼い声で。

「不死鳥の名は伊達じゃない。響・特装試作型改式、抜錨する」

新しい己を再定義するような、力強い宣言だった。
0223ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/03/06(火) 23:47:06.51ID:LSOcb/FJ0
以上です。もうやだ会社やめゆぅ・・・・・・

次回からようやく戦闘パートに移ります。頑張りますいろいろと
0224通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/03/09(金) 23:43:23.11ID:sjxEYP7r0
投下乙です!
ストライク風艦娘とはこれいかに

年度末、どこも仕事忙しいですね。お体をお大事に・・・
0225通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/03/10(土) 12:32:49.54ID:XYwGy+9c0
ナスカ級の奪還攻防戦、いいシナリオですね、燃えます。
深海側の動きが気になるところ、ナスカ級の生存者も。作者さんの体調も。

お大事に。
0226通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/03/12(月) 17:43:14.88ID:9Wi7X1nD0
僕の知り合いの知り合いができた副業情報ドットコム
役に立つかもしれません
グーグル検索『金持ちになりたい 鎌野介メソッド』

8V17E
0227通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/03/12(月) 18:53:08.96ID:VyAqVC320
某動画サイトだと一時期ストライク響とかフリーダム響とかが流行ってたな
まさかそのうちフリーダム響に進化するのかな
0228通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/04/25(水) 02:52:39.06ID:mmArQEwD0
彰悟さんの皇女の戦い、拝読させていただきました。
機体やファイティングスーツの色設定、スーツ装着シーンまであることに驚かされました。
個人的には、装着に慣れていく過程とか、最初の時の装着シーンとか見てみたいですね。
話の構成、戦闘描写だけではなく、こういう所にも手を抜かない姿勢は素晴らしいと思います。
続きを期待しています。
0230彰悟 ◆9uHsbl4eHU
垢版 |
2018/05/01(火) 21:11:57.62ID:FbFskWd90
どうも、お久しぶりです。
去年末からずっと書けなくて本当にごめんなさい。

>>228
励みになるお言葉ありがとうございます。
スーツ着るシーンはちょっと書くのハズかったんですが、そこまで言ってもらえて本当に光栄ですw


そういえば、自分の話はマリナがある程度ファイトに慣れた時点でのスタートだったので
最初にガンダムに乗ったり、ファイティングスーツ纏った時の描写はしなかったんですよねw

......そして今日はもう一つ、実は皆さんにリライトのご相談をしに来ました。
話が終わってないのにわがままなことを言ってごめんなさい。
ですが皆さんのご意見をお聞きして書き直すか、このまま続けるか決めたいと思ってました。

確かに俺が書くのは不定期だったりで色々モヤっとさせてしまうこともあったかと思います...
本当に申し訳ないです。

ですが、序盤でのエピソードがやや簡単で急ぎ足だったかなと思い始めたのと
GF大会前の修行シーンやサバイバルイレブンでの話を最初に描きたいと考えてました。

「続きから書いて」「最初から書いてもいいぜ」etc...、色んなご意見を聞きたいのでよろしくお願いします。
0231通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/05/02(水) 00:50:53.95ID:HqhFJ6tM0
>>230
>>228でコメントさせて頂いた者です。
丁寧に応えて下さり、コメントした此方側としても嬉しく思います。

皆さんにリライトのご相談をしに来ましたとあったので
内容を読ませていただいた上でのご意見ですが
私は、彰悟さんの書きたいように書いてみたら...と思います。
ただ、個人的の欲深き話ながら、どんな路線であっても
スーツ装着シーンの描写は続けて欲しいと思います。
あくまで一つのご意見として捉えていただけたら幸いです。
0232彰悟 ◆9uHsbl4eHU
垢版 |
2018/05/02(水) 11:08:31.29ID:cwcfCF2A0
すいません、言葉足らずでした。
自分が書いた相談と言うのは、リライトしても良いですかという意味でしたが
、ストーリーやキャラに関するアイディアも募ってるのかな?と受け取られる書き方にもなってしまいますよね。
気を付けます。

>>231
励ましの言葉、本当にありがとうございます。
こちらこそこれはお約束かな?と思って書いたシーンを好きになって頂けてとても嬉しいです。
リライトかこのまま続行、いずれにしても貴方の期待に応えられるよう装着シーンも頑張っていきますので。
0233通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/05/02(水) 14:11:17.13ID:djQCpeLg0
続きをまず書いてくれても、書きなおしたい所を書きなおしてまとめに両方 or 納得のいく方を残してくれても
どちらでも読者としては面白い

元々の弱気に時々強さをのぞかせながら国の為に健気に戦ってる姫様が好きです
0234彰悟 ◆9uHsbl4eHU
垢版 |
2018/05/03(木) 19:59:38.27ID:IBaqnBNu0
>>233
寛大なお気持ちに感謝です。

俺も大人しかったり弱気なキャラが懸命に行動してるのが書きたかったので、そう言って頂いて光栄に思います。

そうですね...
自分としては今までのものは止めて、リライトしたものをそのまま続行したいと思ってましたがそれでも問題ないでしょうか?
0235通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/05/03(木) 20:10:36.03ID:nP58+g1r0
>>234
楽しみにしています。
0236233
垢版 |
2018/05/03(木) 20:52:23.36ID:KXUf6u520
>>234
どんな形でも全然無問題

仕事やらなんやら色々あるだろうけど気長にまってるよ
0237彰悟 ◆9uHsbl4eHU
垢版 |
2018/05/04(金) 12:36:57.72ID:hXEs/FGJ0
>>233>>235
自分のわがまま受け入れて頂いて本当にありがとうございます!

間隔ができそうですが楽しんで頂けるように頑張りますので。

それではまた。
0238通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/05/06(日) 00:40:56.40ID:vvqWYSLu0
>>237
間隔ができてもお待ちしています。
頑張ってください。
0239ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:06:23.30ID:1f5lNSAo0
お久しぶりです。
お待たせしました。彰悟氏の熱意に負けぬよう、自分も投下します
0240ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:08:19.94ID:1f5lNSAo0
――艦これSEED 響応の星海――


夕立が疾る。
空母級の艦載機が唸りを上げ、戦艦級の主砲が火を噴き、軽巡級と駆逐級の魚雷が交錯し、硝煙と爆炎で焦げた大気を切り裂いた。金色の髪と真っ白なマフラーとが尾を引いて、一陣の風となる。

「――」

異様なほどの前傾姿勢で。時には手刀を海面に突き込んで、鋭角に複雑に機動する。
空恐ろしいほどの速さで。時には至近に迫る魚雷を射貫き、その爆圧すら利用して。
数多の深海棲艦による一斉射も、まるで弾丸自体が自発的に少女を避けていくかのよう。それが当然だとばかりに、白露型駆逐艦四番艦改二式の夕立はほんの掠り傷すら負わず、
二つ名の【狂犬】の如く敵陣ド真ん中へと切り込んだ。

「――・・・・・・さぁ」

切り込んで、更に深く。
踏み込んで、更に速く。
負の情念が凝り固まったかのような存在であるところの深海棲艦すら戦慄させ、畏怖させるほどの、ちっぽけな駆逐艦らしからぬ『威』を振りまいて疾る。
そして。
独特の語尾が特徴的で、平時は結構なドジッ娘な、まだまだあどけなさの残る少女は。
響の師匠でもある、佐世保第一艦隊一番隊の切り込み隊長たる【ソロモンの悪夢】は。
ゾッとするような妖艶で凄絶な笑みを『圧』として、ひどく平然に死を宣告した。

「最高に素敵なパーティー、しましょ?」

太陽が西に傾きつつある15時の福江島南方沖であった。
再びの大気圏内用大型輸送機・ヴァルファウによる空挺降下により、異界の宇宙船・ナスカ級周辺にまんまと展開されてしまった深海棲艦群の内、前衛として立ちふさがっていた
敵水上打撃部隊――戦艦タ級と空母ヲ級を中心に構成された計20隻の高火力艦隊――と、これを突破すべく攻撃を仕掛けた【金剛組】との戦闘が始まってから、既に約2時間が経過していた。
繰り出された敵航空戦力による爆撃と、水平線越しの長距離砲撃に足止めされつつも粘り強く、金剛の指揮によってジリジリと距離を詰めていった2時間の末、今この時になって漸く状況は近接機動戦へと推移したのだ。
そこは駆逐艦の距離。満を持して放つは一点突破の布石。
0241ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:10:12.40ID:1f5lNSAo0
翔鶴と龍驤は、制空権の取り合いに全力を尽くしている。
時雨と摩耶は、護衛として艦隊の対空防御に徹している。


今こそ全力でやってこいと、金剛に送り出された夕立の独壇場と成るのは必然。
普段は護身にしか用いない、弟子にも最後の手段と教えていた戦技を解放する。


一息で、誰の予測も想像も超えて少女は、敵陣奥深くにて艦載機のコントロールに専念していた空母ヲ級の眼前に踊り出ては無造作に魚雷を投擲した。

「まず一隻」

続けてスライディング。燃えさかるヲ級の背後に回り込み、敵艦の集中砲火をやり過ごした夕立は直ぐさまトップスピードへ。着弾の衝撃で荒れ狂う海上をスラロームするようにいなして、否、
むしろ加速に掩体にとフル活用して、異様な前傾姿勢のまま戦艦タ級に急迫。
かと思えば、高波の傾斜を利用して勢いよく跳躍。
同時に真北から砲撃音。程なく、水平射撃された計8発の一式徹甲弾が多数の深海棲艦を捉え、その内1発は軽空母ヌ級を貫通して更に駆逐ハ級2隻を海の藻屑とした。
金剛の必殺フルバースト(一斉精密狙撃)が見事に炸裂した瞬間だ。
これには、辛くも徹甲弾を回避した流石のタ級も動揺する。動揺すれば隙が出る。隙を見逃す道理はない。

「二つ」

フルバーストを避けつつ空中での砲撃にて駆逐イ級後期型を仕留めた【狂犬】は、クルリと一回転してタ級の両肩へと『着地』する。

「三つ・・・・・・にはならないっぽい?」

可愛らしく小首を傾げながらも、とりあえず無防備な頭部めがけて主砲の50口径12.7cm連装砲D型改二を連射。
通常、駆逐級の主砲如きでは戦艦級の装甲は抜けない。でなければ、戦艦の存在意義がない。であるから、頓着する必要はない。再び轟いた砲撃音を合図に再度跳躍した夕立は、
金剛の狙撃をまともに喰らったタ級を無視して、弾丸のように次の獲物に飛び掛かった。
背後からの機銃掃射すらノールックで躱し、縦横無尽に戦場をかき回す駆逐艦娘に、深海棲艦はもはや標準を定めることすらままならない。オカルトじみた完全回避能力。
まるで、世界が夕立の為だけにあるかのような光景だった。
やりたい放題とは正にこのこと。
極めて自然に、敵が予測も想像もしなかった未来にスルリと入り込めてしまうのだから、先んじて敵のやりたい事の悉くを潰して潰して潰しまくれてしまうのだから、結果彼女だけが好き勝手振舞えるというのも、
極めて自然なことである。かの壮絶を極めた第三次ソロモン海戦の夜のように、彼女はつかみ所のない風となる。
0242ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:12:42.34ID:1f5lNSAo0
カリカリにチューンしてあるとはいえ基本スペックだけを見れば特筆すべき点はない、駆逐艦娘としては実にオーソドックスな夕立が最強と謳われる所以だった。その『威』と『圧』は益々強くなる!

「これで、五つ!」

手刀を舵代わりに直角ターンしつつ、右大腿部に備えた61cm四連装酸素魚雷発射管から、安全装置を解除した一発の魚雷を射出。それを掴むが速いか、全速後退中のヲ級の土手っ腹に突き刺した。
爆発。これまでの砲撃戦も含めれば、これで敵艦隊の空母級の過半数を撃沈したことになる。
拮抗していた航空戦に、明確な変化が生じていた。

「ひとまず、お役目は果たせたっぽい?」

状況は遂に掃討戦へ。
制空権を確保した方が勝つ。直上の空から、たった二人で敵航空部隊を制しつつある翔鶴達の艦載機、その勇ましい唸りが聞こえてきた。
これに呼応して打ち合わせ通り、時雨と摩耶も攻勢に加わって【金剛組】は夕立に続いて突撃を敢行。総崩れとなった敵艦隊は、その半数以下の戦力で、しかも殆ど無傷で呆気なく殲滅された。
有象無象のイロハ級の艦隊では、一鎮守府の主力である彼女ら【金剛組】を止めることなどできやしないのだ。
しかし彼女らは勝利を喜ぶこともなくそのまま、全速力でナスカ級へと向かう。
今し方撃破したのは所詮、敵の前衛なのだ。本番はここからで、現在ナスカ級は敵の潜水艦・重巡混成部隊に曳航されている真っ最中なのである。これを阻止できなければ、一時の勝利などなんの意味も無い。
急ぐ必要があった。
敵の増援が接近しつつある。


南東からは、南洋諸島海域から馳せ参じた【軽巡棲姫】率いる高機動水雷戦隊が。
南西からは、超弩級重雷装航空巡洋戦艦レ級と多数の空母級を擁した大規模空母機動部隊が。
にわか仕込みの戦力ではない、殲滅を絶対とした増援が。当初の予測通りに、しかし想定以上の質と数で。


金剛達は知る由もない。
ナスカ級の存在が、深海棲艦達にとっても予期せぬものであったことを。その存在が、彼女達を恐慌させ、暫く戦準備に専念しようという方針をひっくり返してでも確保せんと突き動かす程の、衝撃であったことを。
故に動くは精鋭、狙うは短期決着。それを、この増援は如実に物語っていた。

「うへぇ〜、あんなに沢山・・・・・・流石にちょっと骨が折れるっぽい〜」

思わずぼやいてしまう。艦娘の戦場の常ではあるが、どんなに倒しても無限湧きする敵との数の差は覆しようがない。
その上【姫】とレ級まで出張ってきたとなると、正直これ以上の戦闘続行は危険だ。尤も、オーダーさえあれば気合いと根性を見せる気概はあるが。
すると、合流した白露型駆逐艦二番艦改二式の時雨が、げんなりしながら航行する夕立に言った。
0243ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:15:05.94ID:1f5lNSAo0
「でもこっちの援軍も間に合ってくれたようだよ。やってやれないことはないさ」
「時雨おねーちゃん」
「お疲れ夕立、相変わらずの大暴れっぷりだったね。流石はボクらの妹、響のお師匠様だ」
「むぅ〜、だから師匠呼ばわりはやめてっていつも言ってるっぽい。・・・・・・、・・・・・・援軍って、もしかして?」
「ご明察。君のかわいいお弟子さんもいるよ・・・・・・ってごめんごめん、ちょっとからかい過ぎたね」

【いぶき丸】。佐世保からの援軍、十の艦娘に護衛され進撃する一隻の通常艦艇が北東より、この戦闘海域に突入してきたのだと。
まだ諦めるには早く、挑戦を続けるだけのカードはあるのだと。時雨は落ち着き払ったトーンで続ける。

「そうそう、金剛から伝言。夕立は響と一緒に、水雷戦隊を押さえてくれって。ボクらはまず曳航隊を引き剥がしにかかるから、また別行動。踏ん張りどころだよ」
「りょーかい。そーいうことなら、夕立ももっともっと頑張らなきゃ」

二人はコツンと拳を突き合わせて、別れた。時雨はナスカ級へ、夕立は南東の水雷戦隊に向かって、それぞれの成すべきを成す為に進む。
そしてほぼ同時に、戦闘態勢を整えた【榛名組】から一人、南東に向かって先行する影。見慣れぬ大型のライフルとシールドを引っさげて疾走する、特三型駆逐艦二番艦特装試作型改式の響。
図らずも張られようとしている師弟の共同戦線に、夕立は再び凄絶な笑みを浮かべた。
どんなに不利な戦局でも、二人なら覆せる。その確信の発露だった。
0245ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:16:36.92ID:1f5lNSAo0
《第11話:ナスカ級争奪戦》



「金剛からの発光信号を確認!」
「これは――ッ、・・・・・・旗艦榛名より全艦に通達! 瑞鳳と鈴谷は直ちに航空隊を発艦、【金剛組】に航空支援。 【多摩組】は進路そのまま、お姉様達と合流して曳航隊排除を最優先に。【いぶき丸】は北方に一時退避を!!」

木曾が叫ぶように報告し、榛名が矢継ぎ早に指示を出し、

「お任せにゃー。【多摩組】複縦陣、最大戦速、対艦対潜戦闘よーいにゃ」
「翔鶴さん達のサポートね。よぅし、烈風改、発艦します!」
「んじゃまぁ一丁、鈴谷のカッコイイとこ見せてやりますかねぇ! 強風改、いっけぇー!!」

多摩がマイペースに応じ、瑞鳳と鈴谷が艦載機を放ち、キラと明石を乗せたままの【いぶき丸】が北へと舵を切る。
疾風怒濤。
おっとり刀で駆けつけた面々は素早く状況を把握し、整然とした作戦行動を開始する。目標は渦中にある【金剛組】のフォローだ。
艦隊護衛を得意とする多摩達と別れ、榛名達はT字戦で敵水雷戦隊の頭を抑えるよう進路を南西へと向ける。

「榛名達は先に、南の水雷戦隊を潰します。単縦陣、取舵20、第五戦速! 木曾、方位2-2-5に三集四散々布帯で先制雷撃開始。・・・・・・響さん、先行を許可します。夕立さんと合流して【軽巡棲姫】の足止めを第一に」
「装填完了――仕掛けるぞ。おい響、わかってるな? 無理だけはするなよ」
「わかってる。私だっていつまでも独りよがりしてられないさ。相手が相手だし、程々にやってみるよ」
「響ー! 頑張ってねぇー!」
「うん。任せて瑞鳳」

そして響が、扇状に射出された12発の魚雷を追走するようにして、単身艦隊から飛び出した。
キラが微調整してくれた試作艤装の機嫌は良好。段階的に出力を引き上げながら、少女は敵艦隊がいるという水平線の先を睨み付ける。

(さて・・・・・・【姫】相手に駆逐級二隻で足止めなんて、本来分が悪いなんてもんじゃないけど・・・・・・Было бы неплохо。師匠との共闘ならできると思えるところが恐ろしいな)

金剛と榛名は絶対に、できないと思ったことはやらないしやらせないと、響は信頼している。つまりこの作戦を採ったということは、
自分達師弟の力量を彼女らも信頼してくれているということだが、流石にこれまでの戦闘とは毛色の異なる任務内容だ。身の引き締まる思いになる。
足の速い艦を先行させて敵を攪乱し、長距離攻撃で一気に殲滅する佐世保艦隊十八番の機動戦術。だが、それが最も有効な状況であるとも解っているが、今回ばかりはこれまでのような有象無象の雑兵相手とはわけが違う。
仮に。もし仮に、今までのように激情に駆られて暴走してしまえば。
0246ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:18:19.33ID:1f5lNSAo0
《第11話:ナスカ級争奪戦》



「金剛からの発光信号を確認!」
「これは――ッ、・・・・・・旗艦榛名より全艦に通達! 瑞鳳と鈴谷は直ちに航空隊を発艦、【金剛組】に航空支援。 【多摩組】は進路そのまま、お姉様達と合流して曳航隊排除を最優先に。【いぶき丸】は北方に一時退避を!!」

木曾が叫ぶように報告し、榛名が矢継ぎ早に指示を出し、

「お任せにゃー。【多摩組】複縦陣、最大戦速、対艦対潜戦闘よーいにゃ」
「翔鶴さん達のサポートね。よぅし、烈風改、発艦します!」
「んじゃまぁ一丁、鈴谷のカッコイイとこ見せてやりますかねぇ! 強風改、いっけぇー!!」

多摩がマイペースに応じ、瑞鳳と鈴谷が艦載機を放ち、キラと明石を乗せたままの【いぶき丸】が北へと舵を切る。
疾風怒濤。
おっとり刀で駆けつけた面々は素早く状況を把握し、整然とした作戦行動を開始する。目標は渦中にある【金剛組】のフォローだ。
艦隊護衛を得意とする多摩達と別れ、榛名達はT字戦で敵水雷戦隊の頭を抑えるよう進路を南西へと向ける。

「榛名達は先に、南の水雷戦隊を潰します。単縦陣、取舵20、第五戦速! 木曾、方位2-2-5に三集四散々布帯で先制雷撃開始。・・・・・・響さん、先行を許可します。夕立さんと合流して【軽巡棲姫】の足止めを第一に」
「装填完了――仕掛けるぞ。おい響、わかってるな? 無理だけはするなよ」
「わかってる。私だっていつまでも独りよがりしてられないさ。相手が相手だし、程々にやってみるよ」
「響ー! 頑張ってねぇー!」
「うん。任せて瑞鳳」

そして響が、扇状に射出された12発の魚雷を追走するようにして、単身艦隊から飛び出した。
キラが微調整してくれた試作艤装の機嫌は良好。段階的に出力を引き上げながら、少女は敵艦隊がいるという水平線の先を睨み付ける。

(さて・・・・・・【姫】相手に駆逐級二隻で足止めなんて、本来分が悪いなんてもんじゃないけど・・・・・・Было бы неплохо。師匠との共闘ならできると思えるところが恐ろしいな)

金剛と榛名は絶対に、できないと思ったことはやらないしやらせないと、響は信頼している。つまりこの作戦を採ったということは、
自分達師弟の力量を彼女らも信頼してくれているということだが、流石にこれまでの戦闘とは毛色の異なる任務内容だ。身の引き締まる思いになる。
足の速い艦を先行させて敵を攪乱し、長距離攻撃で一気に殲滅する佐世保艦隊十八番の機動戦術。だが、それが最も有効な状況であるとも解っているが、今回ばかりはこれまでのような有象無象の雑兵相手とはわけが違う。
仮に。もし仮に、今までのように激情に駆られて暴走してしまえば。
0248ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:21:54.02ID:1f5lNSAo0
(そうなったら確実に死ぬな。でも、なんでだろうね。そうならないって確信があるんだ)

前に木曾に言われた言葉が、脳裏に蘇った。
今更になってその言葉の意味を理解できた気がする。なるほど、であればどこまでも冷静に冷徹に、ただ任務遂行だけを意識するだけでいいと吹っ切れた。
それに、でなければ全てが、文字通り全てが台無しになってしまうことも事実。些細なミスの一つが命取りになる世界に飛び込む以上、余分な感情は不要だ。
それだけの敵を、今から二人だけで相手取らなければならない。こんなところにまで出張してこなくてもいいのに。


コードネーム【軽巡棲姫】。


かつて幾度ともなく、軍令部の元に編成された連合艦隊に甚大な被害を与えてきた、あんまりにも安直でそのまんまなネーミングの軽巡級の【姫】。
ソロモン海に巣食う、舞鶴鎮守府所属の軽巡艦娘の神通に酷似した仮面の美女。
【姫】や【鬼】と称される深海棲艦は、世界中の海に無限湧きするイロハ級とは全く異なる特性を持つ。たった一言で簡潔に、俗的に例えるのなら、彼女らはワンオフのボスキャラだ。
まず単純に、純粋に強い。例えばいかにも駆逐然とした小さく素早い個体でも、ただの重巡級に匹敵する火力と装甲を有する程の規格外であり、そのスペックは当然艦種の格が上がる毎に強化されていく。
ビームやミサイルやスラスターといったC.E.の技術を駆使した【Titan】とはベクトルこそ異なるものの、その戦闘力と同等の地力を備えているのである。
その上知能も高い。人類の言語を解し、随伴艦に的確な指示を出し、洗練された戦術を披露してくるのだから厄介極まりなく、こと戦闘においては欠点がないように見える。
個体数が少なく、艦娘と同じく『一度沈んでしまえば復活することもない』点だけが救いか。
イロハ級相手に無双できる高練度の艦娘が束になって掛からなければならない、そういう存在だった。
中でも【軽巡棲姫】は水雷戦隊――軽巡級と駆逐級で構成された、一撃離脱の雷撃戦を主とする高機動部隊――の指揮に長けており、彼女の隊にまで出張られたらナスカ級どころの騒ぎではなく、
空母機動部隊と挟撃でもされたら大損害は必至。
絶対に、足止めしなければ。
敵の進路を塞ぎつつ、榛名と鈴谷の砲撃で撃破するか撤退させるしかない。もしも航空戦力に余裕があれば、瑞鳳か鈴谷に手伝ってもらって水平線越しの弾着観測射撃ができるのだが、
できないのだから充分に接近しなければならない。しかしそうなると【軽巡棲姫】に強襲される危険性が増し、おいそれと近づくことはできない。
故に、響と夕立で攪乱しなければ始まらない。この超高難度ミッションが必要とされる理由だった。

(! 敵艦隊動いたな。増速、推定40ノット、方位2-8-0から3-1-0へ転針・・・・・・逆に榛名達の頭を抑えるつもりか)

北西に旋回した敵艦隊からの魚雷射出も確認。これもまた、榛名達の進路を遮るよう時間差かつ扇状に展開され、此方の行動を大きく制限してきた。同時に、独走する響も砲撃されるようになり、戦況が大きく動き始める。
0249ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:24:44.42ID:1f5lNSAo0
ここで木曾が動く。
重雷装巡洋艦としての40門もの魚雷発射管をフルオープン、並進射法の二段撃ちで水雷戦隊の進路上を面制圧する。同時に鈴谷が接近しつつある魚雷目がけて対地榴散弾を放ち爆破、必要最低限の航路を確保した。
まるで将棋だ。まだまだ互いの砲撃が有効でない距離で、艦隊運動と魚雷を駒として相手を牽制・誘導しつつ王手を狙い、盤面の先の先までを読みあう。この場合、響達は跳び駒という扱いになるか。
結果一時的に両艦隊は速度を落とし、水平線越しに併走しながら当たらない遠距離砲雷撃戦を演じることになり、膠着状態となった。

(両艦隊の最終的な目標はナスカ級。でも速力と位置からして、どうしたって先に到着するのは向こう。そこから乱戦になったらもう手の打ちようがなくなる。仕掛けるなら今しかない)

榛名達が作ってくれた接近のチャンス。ここから更に戦況が動く前に、行動しなければ。
繰り返しになるが、響達の役割は敵の足止めだ。注意を引きつけて釘付けにし、状況を有利に運ぶ為に艦隊から離れたのだ。ここでアクションを起こさず、いつ起こすのか。
丁度、ほぼ計算通りに、響は敵艦隊の南西に位置している。本隊と挟撃するにはもってこいの位置取り。しかしそれは同時に、単縦陣の敵艦隊の横っ面であることを――艦隊の全火力が集中する位置であることをも意味している。
通常、そんな所に正面から突っ込むバカはいない。

「バカは来るし、ここにいるからね。・・・・・・さて、やりますか」
「バカって、誰のことっぽい!?」
「そりゃ私達以外いないじゃないか。ねぇ師匠」

通常でも尋常でもない突撃バカ二人がここにいた。

「もしかしなくてもワザとでしょ!? 背中ムズムズするんだから師匠やめてってずっと――」
「それより見てよこれ。師匠が褒めてくれた防御力に更に磨きが掛かったよ。前衛は任せて」
「――・・・・・・うんわかってた。響そーいうトコ割と天然だよね。やっぱり夕立が妥協するしかないっぽい」

急旋回、機関出力最大。
特にドラマもなく合流した師弟は、飄々と言葉を交わしながら一目散に、最短距離で敵陣に迫る。
ここで少女らは、近づくにつれ漸く鮮明となった敵艦隊の陣容の把握に努めた。

「旗艦は勿論【軽巡棲姫】が1、雷巡チ級1、軽巡ツ級2、軽巡ト級2、駆逐ナ級6、駆逐ハ級8・・・・・・殆どが【Elite】タイプ以上。これは、なかなか」
「大人げない」
「ね」

二人はチラリと顔を見合わせては頷きあい、不敵な笑みを浮かべる。
戦艦や空母といった派手な艦種こそないが、堅実かつ強力な布陣。素早く、硬く、対空能力も雷撃能力も高いとくれば、持てる力全てを発揮するには申し分ない。
恐れず、前進あるのみ!
0250ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:26:46.47ID:1f5lNSAo0
「よし、此方に食いついてくれた」
「いっそ夕立達だけで殲滅するぐらいの勢いで暴れるしかないっぽい! 響、ついてこれるかしら!?」
「Конечно! 素敵なパーティー、やってやろう」
「いい返事!!」

水雷戦隊の反応は劇的だった。
単独行動していたとはいえ、まさか駆逐艦娘がたったの二隻で突撃してくるとは思わなかったのだろう。動揺し、少しばかり動きを止めてしまったものの、悠長にもみえた榛名達との小競り合いをキッパリ切り上げた敵艦隊は、
とんでもないスピードで突っ込んでくる少女二人に全火力を集中させた。
そこに慢心や焦りはない。各個撃破のチャンスを逃す愚か者は、敵味方問わずこの戦場にいない。
速射、掃射、斉射。
牽制に誘導、そして本命の狙撃を絶妙に織り交ぜた砲撃の驟雨。これまでの散発的だった砲撃とはまったく比べものにならない、殺意の嵐。

「相変わらず、狙いがイヤらしいっぽい!!」
「私が防ぐよ。師匠は下がって!!」
「りょーかい!」

かつて連合艦隊の一員として【軽巡棲姫】と戦ったことのある夕立が吐き捨て、その当時は修理の為に留守番を余儀なくされた響が大型シールドを構えて前に出た。

(信じるよ、明石先生、キラ)

着弾。
海面が爆発的に巻き上げられ、辺り一面が白に染まる。駆逐艦の防盾如きでどうにかできる威力ではなく、普通なら木っ端微塵。むしろオーバキルに過ぎる攻撃だった。
しかし、ここで【軽巡棲姫】は彼女らが普通ではないことを理解していたので、すかさず追い打ちを指示した。特に以前、金髪黒衣の駆逐艦に散々手こずらされた経験がある彼女としては、
こんな砲撃一回で終わるとは到底思えなかったのだ。
念には念を。
採択するは、可燃性の煙幕を放出するグレネードと、広範囲高密度の魚雷群とのコンビネーション。防御も回避もしようがないこの連撃、最低でも長門型戦艦の重装甲でなければ耐えられまい。
これで終わりであれと、装填完了の合図を受けて【軽巡棲姫】は追撃開始命令を下した。
そして勿論、少女二人はその思惑を当然のように凌駕する。

「――Урааааа!!!!」

まったく無傷のシールドを掲げて白の世界から飛び出した響が、吼える。
乾坤一擲。
両腰の魚雷発射管を解放、狙いを前方一点のみに絞った61cm酸素魚雷を4発放ちながら、冷静沈着にひたすら直進。右腕を閃かせて構えた大型ライフルの銃口は、放物線を描くスモークグレネードを正確に捉えていた。
直後。
0251通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/05/23(水) 22:29:18.61ID:AbQ+BG7S0
回避
0252ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:30:33.96ID:1f5lNSAo0
少女と水雷戦隊との中間で盛大な爆発が起こり、辺り一面が黒に染まった。
たゆたう水飛沫と硝煙のコントラスト。【軽巡棲姫】は直ちに部隊を散開し、その領域から距離を取らせつつ包囲しようとする。
対する響は構わず、自ら切り開いた極細の航路と黒の世界を突っ切り、最も近くにいた雷巡チ級に狙いを定め肉薄する。
無論、深海棲艦達は迎撃すべしと整然とした弾幕を張るが、

「そんな攻撃で、フェイズシフトは! ――当たれ!」

甲斐無く、通電して純白に色づいたシールドに妨げられた。
ストライクの脱落した左肩部装甲の欠片を加工して拵えた、現状唯一無二の艦娘用フェイズシフト・マテリアル製防御兵装。裏面にマウントしたバッテリーパックが生きている限り、これを抜くことなど不可能。
シールド越しに襲いかかる衝撃は全身の関節でいなし、ライフルの第二射を放つ。
発砲。
命中。
撃破。
強烈な反動と砲撃音を伴って撃ち出された砲弾は、これまでは二〜三発打ち込まなければ有効打を与えられなかった、魚雷の扱いに一際長けたチ級のど真ん中を一撃で貫いた。やはり狙いやすいと、響は感じた。
試製ライフル型65口径13.5cm単装砲。
分類は長砲身平射砲、仰角及び俯角駆動機構なし、弾丸に強装徹甲弾を採用したこの新兵器は、近距離での水平射撃を前提にしている。距離を取って曲射で狙う通常艦砲とは全く異なる運用が求められるが、
シンプルに過ぎる機構故にその威力は巡洋艦用15cm砲の一門に相当するという。
重量もゴツい見た目の割に軽く、次弾装填速度も速い。その分長距離砲撃時の命中率や対空能力は犠牲になっているが、元より求められていない役割であるからして欠点にはなり得ないだろう。
明確な欠点があるとすれば、やはり響専用であることか。
駆逐艦用としては常識外の威力に比例して反動が大きく、また軽量であるとはいえ砲身がかなり長い為、生半可の艦娘では発砲どころか照準にも苦労するとのこと。艤装の汎用ターレットに搭載することもできず、
そもそも普通であれば駆逐艦の砲にここまでの過剰火力が求められていないので、他の駆逐艦娘にとっては文字通り無用の長物だ。
故に、超重量の大型錨を振り回してきた経験を持ち、かつ特別な改修を施された響でなければ扱いきれない実験装備であり、彼女に扱われてこそ真価を発揮する専用装備である。
そして響はそのスペックを最大限活かせる実力の持ち主であり、完全に合致した親和性はより強大なうねりを生み出し、今や彼女の戦闘能力は師たる夕立に比類するまでに迫っていた。

「いける、これなら!」


回避に専念するツ級の左肩部5inch連装両用莢砲一基を吹き飛ばし、更に左舷後方から雷撃を狙っていたナ級を撃ち抜く。しかし同時に、前後から二隻ずつ、押し潰すようにして砲撃しつつ突撃してくるハ級。
ここで響は軽快に疾走しつつライフルを後腰付近に持っていき、艤装に新設されたフレキシブルアームを作動させた。アームはライフルの銃床をがっちり掴んでマウントするとグルリと回転、
0253ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:34:22.40ID:1f5lNSAo0
完全な手持ち用と思われたライフルを一瞬にして自律旋回式の右肩部固定砲台へと変貌させる。そのシルエットはストライクの兄弟機である【GAT-X102 デュエル・アサルトシュラウド装備型】によく似ていた。
これに併行して、フリーとなった右掌は後腰に懸架していた大型錨をしっかり掴んでおり、たったの一動作で響は近接格闘モードに。

「よく来たね。迎撃(かんげい)する」

右肩部13.5cm単装砲と抜き打ちの打突で前方ハ級二隻を蹴散らせば、前方宙返り、180度逆さまになったタイミングで両肩部25mm連装機銃と魚雷を斉射、後方ハ級一隻をも海の藻屑に。
一挙に三隻撃沈。残った一隻は着水後、振り向きざまの横凪一閃で片づける。
回避動作と一体化した、力強くも流麗な体捌き。凄まじい格闘センスと姿勢制御能力。強力な武装を扱うに相応しい戦技だった。


これには【姫】も認識を改めさせざるを得なかった。


なんなのだこれはと、素直に驚愕した。
初撃からまだ3分も経っていないというのに、既に損耗率が2割を超えた。完全に誤算、見誤っていた。元より独走していた時点から何かしでかすのではと警戒していたが、これ程とは。
【軽巡棲姫】は自らが先陣を切って押さえねばと決意する。あの金髪黒衣の駆逐艦に匹敵する敵なら、戦術を練り直し、態勢を整えなければ。
北からは敵の本隊――【榛名組】も迫っており、ここで時間を取られる訳にはいかないのだから。

「――?」

と、ここで彼女は強烈な違和感に襲われた。致命的な何かを見落としていると、本能が警鐘を鳴らす。
いない。
そういえば、いない。
銀髪の駆逐艦に気を取られていたが、あの金髪黒衣の駆逐艦はどこに消えた? まさか初撃で沈んだわけでもあるまい。あの厄介な盾に隠れるなりなんなりして、必ず生き延びている筈だと確信している。
索敵。
するよりも早く。

「――ッ!!!!????」

すぐ真後ろから底冷えするようなプレッシャー。
反射的に鋭くサイドステップすれば、頭部ぎりぎり横を投擲された魚雷がすっ飛んでいった。

「あれ、不意打ち失敗っぽい? まぁいっか。・・・・・・久しぶり、オルモック沖以来?」
「・・・・・・ヤハリ・・・・・・キタノネェ・・・・・・。ユウダチ、デシタカ」
0254ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:37:28.62ID:1f5lNSAo0
振り向けばそこには、あまりにも気安く語りかけてくる、夕立の姿。
【軽巡棲姫】は普段使うことのない声帯を震わせ、身の毛もよだつおどろおどろしい呻き声で応える。
いつの間に、とか、どうやって、などと問う気はない。愚問だ。この大胆不敵な駆逐艦はこれぐらいの事ならサラリとやってのけるだろう。ただ己が認めた強敵の一人である夕立に、ある種の敬意を込めて人の言葉を発した。
夕立は、名前を覚えられているとは思ってなかったのだろう。一瞬きょとんとするがすぐ口角を吊り上げて言う。

「今日は川内さんと神通さんの代わりに、あたし達が相手になってあげる。物足りないかもだけど、この前の夜の続きをしましょ?」
「アノフタリ、ノ、カワリ? アナタタチガ・・・・・・? ・・・・・・ソウ。デモ、カンケイナイ。コレイジョウ・・・・・・アナタタチノスキニ・・・・・・・・・・・・サセルワケニハイカナイノヨォ・・・・・・!!」

堂々と宣戦布告。
言って、言われて、互いの得物を構える。それ以上はいらなかった。
先に動きを見せたのは【軽巡棲姫】――否、水雷戦隊。元より個人戦よりも集団戦を是とする彼女は、散開していた随伴艦達を集結させ、鶴翼陣を形成。南へ全速後退しつつ、夕立に火力を集中させた。
曰くイヤらしいという精密かつ濃密な狙いで、夕立を釘付けにする算段か。彼女は全力の引き撃ち――ことに制圧射撃に対しては、その圧倒的戦闘力を発揮することはできないのだ。
連動して【軽巡棲姫】も身を翻し、超加速で響に肉薄、距離を詰めると勢いそのまま回し蹴りを放つ。

「――ぐッ!? ・・・・・・狙いは私か!!」

艦艇としての重量差は如何ともしがたい。虚を突かれまともにシールドで受け止めてしまい、宙に弾き飛ばされた響が呻く。
【軽巡棲姫】はどうやら【榛名組】の本隊と距離を取りつつ、まずは硬いが比較的回避能力に劣る響を潰すことにしたらしい。どちらかを放置はできないので、賢明な判断だ。
しかしそう簡単に主導権を明け渡したりはしないと、空中で身を捻って追撃の6inch単装砲を回避しながら25mm連装機銃――対空用だが撃たないよりかは遙かにマシ――と右肩部13.5cm単装砲で応射、
再び突進してきた【姫】の速度をほんの僅かばかり鈍らせる。
着水。思いっきり首を振って跳び膝蹴りを躱し、反撃よりも離脱を優先する。目にも留まらぬスピードで左の魚雷を引き抜き、真後ろへと疾らせる。

「師匠!!」
「任せて!」

ついで錨を夕立に向かって投擲すれば、意を得た夕立は制圧射撃に晒されているにも関わらず、余裕綽々で錨をキャッチ。そのまま一本背負い投げの要領で、錨を全力で振り下ろす。
そして響もタイミングを見計らい、後方の魚雷を射貫けば。

「雑魚を片付けて!!」
「Всё ништяк!!」

空を飛んで水雷戦隊の後方に向かう駆逐艦の姿があった。
0256ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:41:40.61ID:1f5lNSAo0
「ヤラセ、ナイ・・・・・・!!!!」
「やらせないっぽい。アナタの相手は夕立よ!!」
「ユウダチィ! ソコ、ジャマナノヨォォォ!!」

入れ替わり、今度こそ真っ正面から激突する二人。
随伴艦達相手に無双する響をよそに、大海原を駆けずり回りながらの高機動格闘戦が始まった。


艦娘達にとって、経過は順当と言える。


二人の少女の働きにより、水雷戦隊の動きは大幅に鈍っていた。いや、むしろ想定以上の戦果さえたたき出してすらいる。駆逐艦師弟の相乗効果は【姫】と互角に渡り合える程のものであった。
これならば本当に足止めのみならず、夕立達だけで殲滅することもできるかもと思えるほどに。
【軽巡棲姫】は焦った。
これは良くない。
深海棲艦側からすれば、より絞るなら、台湾近海に巣食う深海棲艦群からすれば、これ以上の戦力消耗は長期的に見て良くない。戦力増強の為の強行軍だというのに、こうまでいいようにされては本末転倒。
しかし、だからといってあの異界の船が人類側に渡るのを黙って見ていられるわけもなく。
かくなるうえは。
西の空母機動部隊の戦況にもよるが、プランBの決行も視野に入れる頃合いだ。

「コノ・・・・・・イイカゲンニ!!」
「そっちが墜ちればいいの!!」

クロスカウンター気味に夕立の魚雷が直撃する。装甲を抜くまでには至らなかったが確かなダメージを与えられ、これが岐点となった。
ならば、ここで拘泥する必要はなく。


思慮深い【軽巡棲姫】はある一つの決断を下した。


榛名達が放った砲弾が着弾する、約1分前のことだった。



◇◇◇
0257ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:44:30.18ID:1f5lNSAo0
「撤退する!?」
「あの【姫】が退いた・・・・・・・響達すごい、ホントにやり遂げちゃった!」
「うひょー! やるなぁ二人とも。こりゃ鈴谷達も負けてらんないねぇ!」

丁度主砲の第一射を放ったばかり榛名が目にしたものは、申し訳程度の残存戦力を率いて南へと撤退していく【軽巡棲姫】の姿だった。
予想外の顛末ではあるが、つまり金剛と榛名の作戦はカッチリ成功したということだ。これにてナスカ級周辺で大乱闘などという未来は回避され、佐世保艦隊は空母機動部隊との戦闘に専念できるようになった。
とんでもない快挙にワッと瑞鳳と鈴谷が抱き合って、すごいすごいとはしゃぐ。榛名もその輪に加わりたい衝動に襲われたが、しかしひっそり胸をなで下ろして安堵するだけに留めた。
やるべきことが山ほどあるのだから。

「信号弾! 深追いは危険だわ。木曾と響と夕立は一旦【いぶき丸】で補給を。榛名達は予定を繰り上げて【金剛組】に加勢します!」

まずは、ここで気合いを入れ直すべしとキッチリ指揮をとる。
瑞鳳と鈴谷はハッとなって慌てて離れると、艦載機のコントロールに集中する。勝ち筋は見えてきたが、まだまだ状況は予断を許さない。諸手を挙げて喜ぶには早過ぎるのだ。
いろとりどりの光が蒼穹に輝き、響と夕立、そして北方に退避していた【いぶき丸】に集結するよう合図を送った。高速哨戒船【いぶき丸】は単なる足ではなく、曳航に必要な機材や、
艦娘用の燃料弾薬などを満載してもらっている。これを活用しない手はないだろう。
次はいよいよレ級率いる空母機動部隊と戦闘で、現状【金剛組】は航空戦含めなんとか拮抗しているとのことだが、だからこそここで響達の補給を勿体ぶることはない。急がば回れだ。

「・・・・・・それにしても、鮮やかな引き際だったな」
「ええ。多分、いや確実にまた来るでしょうね」

ポツリと、信号弾を打ち上げた木曾が難しい顔で【軽巡棲姫】について感想を漏らした。
まったく同感だと榛名は頷く。今まで目にした【姫】のスペックからすれば、もっと戦闘は長引いていた筈なのだ。
手を抜いていたわけではないだろうが、明らかに消耗を嫌った撤退だった。それだけ響と夕立が手強かった証左でもあるが。
二人が素直に喜べない理由だった。
近いうちに再び相まみえると覚悟しなければならないだろう。その時もまた上手く事が運ぶとは限らないのだから、今のうちに対策を練っておかなければ。

「今回は凌げたが次はどう来るか・・・・・・なぁ榛名、次はオレも出してくれ。響とのコンビネーションならオレにもそれなりの自信がある」
「あら。嫉妬ですか?」
「そんなんじゃない、茶化すな」
0258ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:47:07.09ID:1f5lNSAo0
「ふふ、御免なさい。・・・・・・わかりました。状況次第ですけど、確かにバリエーションは多いほど良いですね」
「そういうことだ。じゃあちょっと補給してくるぞ。すぐ追いつくからな」

いつも後手に回ってばかりだから、たまには此方が先手を取りたいものだと木曾は言い、踵を返した。
これもまた、まったく同感だ。
その頼もしい背中に、榛名は眩しいものを見るような顔になったが、そこで思い出したかのように彼女へのオーダーを付け加えた。

「あ、ちょっとまって。木曾は対空装備も増設してきてくださいね、使い捨てで良いので。当面の雷撃戦は【多摩組】に任せますから」
「応よ。いいねぇ、物資があるってのは。・・・・・・響と夕立はどうする? 少し休ませてやるか?」
「・・・・・・そう、ですね。そうしましょう。ささやか過ぎるけど、持ってきた食料も好きにしていいと伝えてくれるかしら」
「まぁそうなるな。・・・・・・オレもつまみ食いしちゃダメか?」
「榛名達にもお土産を持ってきてくれるなら許可しましょう」
「そうこなくっちゃな」

そうこうしていると、流石の快速で【いぶき丸】がやって来る。その甲板上で一人の男が双眼鏡を片手に、手を振っているのが良く見えた。
なんとなく榛名も手を小さく振り返してから、深呼吸。瞳を閉じて今後の方針をシミュレートする。

「・・・・・・よし、やってやりましょう。腕の見せ所ね」

ここから暫くは、榛名と瑞鳳と鈴谷だけの【榛名組】となる。他艦隊との連携がより一層重要になる。
いいだろう、ドンとこい。
響達師弟が無茶をしてくれたのだ。なら次は自分達が気張るところで、その頑張りに応える番だ。それにレ級との戦闘ならば、戦艦たる自分達が矢面に立たずしてなんとする。
金剛型高速戦艦の意地と連携を見せてやろう。
金剛と榛名のコンビもまた健在、無敵なのだと世界に知らしめてやろう。

「征きましょう瑞鳳、鈴谷。遠慮はいりません、派手にブチかましますよ!!」
「はい! 瑞鳳、準備万端です。いつでも!」
「うっしゃぁ! 燃えてきたー!!」

面を上げた榛名は、凜と声を張り上げて決意を表明する。
応じて今尚戦闘中の二人も鬨の声を上げ、高々に拳を天に突き上げた。
三人は停泊した【いぶき丸】に背を向け、全速力で次なる戦闘海域へと突き進んだ。
0259ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/05/23(水) 22:51:21.24ID:1f5lNSAo0
以上です。
「強い! 絶対に強い!」と感じてくれたなら幸いです。艦隊戦の描写を含め、わかりやすく伝わっていれば良いのですが。
0260通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/05/25(金) 20:22:16.35ID:SlTtli2Y0
乙ですー。
姫というとどうしても彼岸島のアレを想像してしまうw
ようやく深海側にも立ったキャラが出てきて楽しくなってきました。
しかし艦これを知らないと戦闘が全く想像できないな・・・ゆるやかな艦の戦いと
少女たちの格闘スタイルの速度差のギャップに苦しむorz
0261通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/03(日) 20:39:48.53ID:JvcQyzik0
遅ればせながら乙です
スピード感あって白熱した戦闘描写ですね
ところでそろそろシンの活躍も見てみたいところです

>>260
興味があるなら艦これ戦闘シーンか艦これアーケードで動画検索してみては?
自分も最近プラウザ版やり始めたんですけどそっちはアクションのあの字もないんで見る必要はないかと
横からですけど参考までに
0262通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/05(火) 23:59:23.00ID:ctjC6BRB0
流石にガンダムの板でガンダム関係ない美少女系ゲームを題材にしたSSはどうかと思う
文章力も終わってるし
しかも布教活動までもとか
0263通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/06(水) 09:13:13.17ID:mwXHMfi/0
>>2
>■Q2 △△と種、種死のクロスなんだけど投下してもいい?
>■A2 ノンジャンルスレなので大丈夫です。
>ただしクロス元を知らない読者が居る事も理解してください。

荒らしだとは思うけどせめてテンプレくらい読もうな、クロス作品は元からOK
作者さんに失礼
0264通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/06(水) 15:06:23.07ID:r2SmwBcH0
いやほぼほぼ艦これメインやし、文章も幼稚で終わってるわ
0265通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/06(水) 18:55:00.73ID:+cm8HWAX0
>>264
自分勝手に暴れてマウントとりたいだけの速報民はすっこんでろ
0266通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/06(水) 19:21:05.94ID:mwXHMfi/0
正直どっちが終わってるかと問われたらレス見れば一目瞭然
このレベルじゃ批評じゃなくて同語反復のだたのいちゃもん

作者さんこんなの気にするなよ
0267通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/06(水) 21:18:19.51ID:VS5L2PkS0
荒らしはスルーしよう。
せっかく艦これとマリナのSSでスレが動き始めたんだから。
両作者さん、次回楽しみにしてますよ。
0268ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/09(土) 01:00:03.17ID:qqVJ9ayl0
どうもこんばんは。
投下するわけではないのですが、少し近況報告というか自分語りというか作者コメントということで一つお願いします。

まず、楽しみにしていると言っていただいてありがとうございます。
つい先程スレを開いて>>262等にかなり不安感とか恐怖感を感じてしまったのですけれども、養護してくださってとてもホッとしました。
正直なところ、ここ最近艦これサイドが主になりすぎているかなとか、読みにくくなってなければいいけど等と丁度思っていたところだったので・・・・・・
仕事のほうもだいぶ落ち着き、体調も良くなってきました。少し遅れましたが、気にしてくださった方ありがとうございました。
これからも頑張っていく所存です。

作品についてですが、シンの再登場やフリーダム響はそう遠くないうちに書きたいと思っています。
元々ここからガンダム成分も少しずつ濃くしていく予定でしたので、そうできればと。
とはいってもオリジナル要素ばかりになってしまいますが。

戦闘描写については、すいません、艦隊戦(団体戦)と個人戦のギャップは狙って演出したつもりでしたが、
それがかえって分かりにくくなっていたのでしたら、それは単に自分の力量不足です。
捕捉させていただきますと、榛名や金剛といったリーダーが指揮している場面は、数人の艦娘がチームワークで戦っているつもりです。
個々人はそれぞれ一つの○○級艦艇として動けますが、寄り集まることでより強力な一つの万能艦艇、ホワイトベースやアークエンジェルのように振舞うことができる的なイメージで。
その際、旗艦の榛名などはブライトさんやマリューさんのポジションに就きます。
そこから転じて、一人でも多大な戦果を挙げることができる響や夕立の特異性を書きたかったのです。場面の切り替えが上手くできてなかったのでしょうか?
描写について分かりにくいところ等があれば、どんどん言ってくださると幸いです。精進します。

あとは>>261氏が提言してくれた通り、興味あらば各自で動画検索していただけると・・・・・・。
>>261氏さん、先輩提督として歓迎します。頑張っていきましょう。

それと最後に。自分はもう荒らしが来ようと気にしませんしスルーします。
このレスで蒸し返してしまうことになろうとも、荒らしについて言及するのはこれで最後にします。

長くなってしまいましたが、今回は以上です。それではまた近いうちに
0270通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/15(金) 21:33:13.50ID:apU/d8tZ0
この春、僕吉良大和は桜舞高校に入学した。
中学からの同級生の徹、才、和弥、美理などと同時に進学した。
桜が舞い散る学校で入学式が行われ、無事終了した。

「なぁ吉良はどこの部に入部する?」

下校中に同級生で同じクラスになった徹が歩みながら問いかけてくる。

「うーん…パソコンとかかな。」
正直運動よりも機械いじりやプログラミングの方が好きで将来はそちらの方面での就職を考えている。

「ええー!吉良運動神経いいのにもったいないよ。」

こちらは美理。徹のガールフレンドで隣のクラスになった。
明るい性格で異性同性問わず分け隔てなく接するタイプだ。

「吉良らしいや。俺もパソコン部に入ろっかな」

こちらは才。眼鏡がトレードマークの優等生。
人柄がよく真面目で気配りができ異性からの人気が高い。

「トールは?」

「俺かぁ…野球やろっかな!」

野球…そのワードを聞いて仲が良かった幼馴染を思い出す。
小学二年生の終わり頃。

「そんな…転校だなんて」
「親の仕事の関係でね…。寂しくなるな。」
「明日蘭…。」
「そんな顔するな吉良!俺はいつか野球で有名になる。そうなったら応援して支えてくれる!」
「うん…。」

「吉良?」
過去を思い出しぼーっとした僕の顔を徹が覗き込み、それに気づいて意識を取り戻す。

「野球…僕も挑戦してみようかな」
「ええー?!」

周りの驚きの声が、大きく響く。
0271通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/15(金) 21:33:32.44ID:apU/d8tZ0
その頃、私立プラント学園では入部希望者に対するテストが行われた。
野球の超名門校であるプラント学園では、尋常ではないほどの入部希望者が現れる。
そこで入部希望者でいくつかのチームを編成し、実践試合を想定した練習試合を行い実力を測るのである。
「ほう…あれが中学ナンバーワンシニアの雑羅君か。流石だな。」
長い金色の髪に仮面を付けた監督が呟く。
明日蘭は投手として登板。8回までを0点で抑えるた。そして9回表に明日蘭自らのバットで柵越えを放ち点を取り1対0。
9回裏もツーアウトまでテンポ良く抑え勝負も決まったかと思われた。
しかし、連続して味方のエラーが発生し、さらにキャッチャーのミスで振り逃げされノーヒットでありながらツーアウト満塁のピンチ。

明日蘭「はああああああ!」

渾身のストレート。打者のバットが当たる金属音がに守備陣が焦る。
しかしボールは高らかに上がりセカンドの頭上。
打ち損じの内野フライだ。
インフィールドフライが宣言されゲームセット
0272通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/15(金) 21:38:38.90ID:wa5IR7pG0
(おまえじゃない)
0273通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/17(日) 21:48:30.84ID:+/KGj+y20
すごいな野球もわかるのか
富信とは大違いだ
0274通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/17(日) 21:55:05.40ID:He4CV2iK0
でもお前って野球のルールすら知らないやんwwwwwwwwwwwwwwwww
ならインフィールドフライの説明してみろやガイジwwwwwwwwwwwwwww
どうせ答えられず逃亡するんだろ?
さっさと死ねばいいのにwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
0275通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/18(月) 07:53:13.84ID:rEJB2sQD0
ランナーがいるときに内野フライがあがるとインフィールドフライだろ
このssは間違ってない
0276通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/18(月) 07:59:38.75ID:rEJB2sQD0
>>268
養護ではなく擁護が適切です。
その程度の日本語もまちがえるようでしたら、まずは国語の勉強からやりなおすことを、おすすめします
0278通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/18(月) 15:12:13.43ID:TLQm19m70
>>270->>271
正直に言わせていただくと、このSSでこのスレ自体の品位が疑われるのではないか?と自分は危惧しています。
あまり顔を出さないとはいえ、ここの常駐メンバーとして、ここではっきり言わせてもらいます。


このようなSSは二度と書くな。 二 度 と だ !


お目汚し失礼しました。
レス返・視聴作品の感想についてはまた後日に。
0279通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/18(月) 17:39:10.71ID:rEJB2sQD0
>>268
正直に言わせていただくと、このSSでこのスレ自体の品位が疑われるのではないか?と自分は危惧しています。
あまり顔を出さないとはいえ、ここの常駐メンバーとして、ここではっきり言わせてもらいます。


このようなSSは二度と書くな。 二 度 と だ !


お目汚し失礼しました。
レス返・視聴作品の感想についてはまた後日に。
0283通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/18(月) 23:08:38.31ID:RcolU1dR0
>>282
正解。
インフィールドフライはランナーが埋まってる時に捕れるフライをわざと落球して
ダブルプレイにしようとする行為を防止するためのルール
よって2アウト時には適用されない。
0284通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 00:00:28.68ID:NZP9zVmK0
スレが盛り上がってると思ったらなんだこれ
荒し煽りキチはスルーが基本にして鉄則。叩くのは余所でやってください
容量も450近いしそろそろ次スレ意識しなきゃって時になにやってんの
0285通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 00:24:16.70ID:7b7rUdoT0
>>284
ほんと迷惑だよな最悪のウォッチャーは
巣から出てくんな
0287通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 15:09:21.44ID:7b7rUdoT0
ミートさんのSSは艦これ知ってる人には面白いのかもしれんが知らない人から見たらさっぱりやし
艦娘?に魅力が感じられないからね…。
もうちょっとそのへん配慮して書いて欲しい
あと確かに擁護だね。
こういう文章主体のスレでは指摘に対してはしっかり感謝の意を述べるのがマナーだと思うし。
仕事がどうこうって個人的なことを話すのもどうかと思う。
いっそ自サイトでも作ってそっちでやったらどうですかね?
0289通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 18:13:01.86ID:7b7rUdoT0
あれ?
ミートさんもしかして他の掲示板荒らしたりしてます?
0290通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 18:35:07.06ID:b/Mm8kKb0
だまれゴミ
0291通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 18:44:22.96ID:O8vHynnR0
>>287
ずいぶん手前勝手な言いぐさですね。楽しみにしてる人もいるのに自分が気に入らないから出て行けとか。気に入らない作品ならスルーすればいいってテンプレにあるでしょうに
私みたいな、前までは艦これ知らないし興味なかったけど楽しく読ませてもらってる人間もいるんですけど。個人的にはクロス元の世界観説明も序盤から十分やってると思いますし、そういう人のことも配慮してください
もっと言わせてもらうと作者が近況を語ったりするのもSS系のスレじゃ普通のことだし、誤字脱字もよくあることでしょう。あなたのいう感謝の意とかいうのも>>268に書いてありますし
いろんな意見はあってしかるべきで批評は自由ですけどただの批難にしか見えません


とまぁここまでは丁寧に話してあげたけど、ぶっちゃけただのアンチだろお前
何が気に入らないかは知らないけどお前が消えろ


で、スルーしろと言った挙げ句我慢できずに荒しに構って荒しになってしまった俺だけど、次スレどうする?
現状が続くなら早めに動かないと
0292通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 18:52:26.61ID:Xeqsnq5u0
荒らしが湧いてるんだしワッチョイ導入でいいんじゃない?ここ荒らしてる池沼ってワッチョイ苦手じゃなかった?
あとこう書くとID頃コロコロしながら大した理由もなくワッチョイ反対しだすやつ出てくるんだけどな
0293通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 18:52:57.44ID:7b7rUdoT0
>>291
出て行けとは言ったない。
こうしたら?と提案したまで
ここはあくまで新シャア板でどういう層が見ているかを考慮してネタを選ぶべきだろう

あと上で養護という誤字に対する指摘があったにも関わらずスルーするのはミートさんの人格を疑わざるをえない

ただ、現状ミートさんが荒れるネタを持ってきてるのは事実
0294通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 18:58:27.36ID:7b7rUdoT0
あとミートさんが要因で荒れているのにも関わらず本人が出て来ないのも如何なものかと。
そして不自然に現れる擁護さん。
これはもう自演としか思えないし。
そうなるとやはり人格を疑ってしまう。
0295通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:00:41.69ID:7b7rUdoT0
この春、僕吉良大和は桜舞高校に入学した。
中学からの同級生の徹、才、和弥、美理などと同時に進学した。
桜が舞い散る学校で入学式が行われ、無事終了した。

「なぁ吉良はどこの部に入部する?」

下校中に同級生で同じクラスになった徹が歩みながら問いかけてくる。

「うーん…パソコンとかかな。」
正直運動よりも機械いじりやプログラミングの方が好きで将来はそちらの方面での就職を考えている。

「ええー!吉良運動神経いいのにもったいないよ。」

こちらは美理。徹のガールフレンドで隣のクラスになった。
明るい性格で異性同性問わず分け隔てなく接するタイプだ。

「吉良らしいや。俺もパソコン部に入ろっかな」

こちらは才。眼鏡がトレードマークの優等生。
人柄がよく真面目で気配りができ異性からの人気が高い。

「トールは?」

「俺かぁ…野球やろっかな!」

野球…そのワードを聞いて仲が良かった幼馴染を思い出す。
小学二年生の終わり頃。

「そんな…転校だなんて」
「親の仕事の関係でね…。寂しくなるな。」
「明日蘭…。」
「そんな顔するな吉良!俺はいつか野球で有名になる。そうなったら応援して支えてくれる!」
「うん…。」

「吉良?」
過去を思い出しぼーっとした僕の顔を徹が覗き込み、それに気づいて意識を取り戻す。

「野球…僕も挑戦してみようかな」
「ええー?!」

周りの驚きの声が、大きく響く
0296通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:01:11.33ID:7b7rUdoT0
うおおこの春、僕吉良大和は桜舞高校に入学した。
中学からの同級生の徹、才、和弥、美理などと同時に進学した。
桜が舞い散る学校で入学式が行われ、無事終了した。

「なぁ吉良はどこの部に入部する?」

下校中に同級生で同じクラスになった徹が歩みながら問いかけてくる。

「うーん…パソコンとかかな。」
正直運動よりも機械いじりやプログラミングの方が好きで将来はそちらの方面での就職を考えている。

「ええー!吉良運動神経いいのにもったいないよ。」

こちらは美理。徹のガールフレンドで隣のクラスになった。
明るい性格で異性同性問わず分け隔てなく接するタイプだ。

「吉良らしいや。俺もパソコン部に入ろっかな」

こちらは才。眼鏡がトレードマークの優等生。
人柄がよく真面目で気配りができ異性からの人気が高い。

「トールは?」

「俺かぁ…野球やろっかな!」

野球…そのワードを聞いて仲が良かった幼馴染を思い出す。
小学二年生の終わり頃。

「そんな…転校だなんて」
「親の仕事の関係でね…。寂しくなるな。」
「明日蘭…。」
「そんな顔するな吉良!俺はいつか野球で有名になる。そうなったら応援して支えてくれる!」
「うん…。」

「吉良?」
過去を思い出しぼーっとした僕の顔を徹が覗き込み、それに気づいて意識を取り戻す。

「野球…僕も挑戦してみようかな」
「ええー?!」

周りの驚きの声が、大きく響く
0297通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:01:33.09ID:7b7rUdoT0
うえーこの春、僕吉良大和は桜舞高校に入学した。
中学からの同級生の徹、才、和弥、美理などと同時に進学した。
桜が舞い散る学校で入学式が行われ、無事終了した。

「なぁ吉良はどこの部に入部する?」

下校中に同級生で同じクラスになった徹が歩みながら問いかけてくる。

「うーん…パソコンとかかな。」
正直運動よりも機械いじりやプログラミングの方が好きで将来はそちらの方面での就職を考えている。

「ええー!吉良運動神経いいのにもったいないよ。」

こちらは美理。徹のガールフレンドで隣のクラスになった。
明るい性格で異性同性問わず分け隔てなく接するタイプだ。

「吉良らしいや。俺もパソコン部に入ろっかな」

こちらは才。眼鏡がトレードマークの優等生。
人柄がよく真面目で気配りができ異性からの人気が高い。

「トールは?」

「俺かぁ…野球やろっかな!」

野球…そのワードを聞いて仲が良かった幼馴染を思い出す。
小学二年生の終わり頃。

「そんな…転校だなんて」
「親の仕事の関係でね…。寂しくなるな。」
「明日蘭…。」
「そんな顔するな吉良!俺はいつか野球で有名になる。そうなったら応援して支えてくれる!」
「うん…。」

「吉良?」
過去を思い出しぼーっとした僕の顔を徹が覗き込み、それに気づいて意識を取り戻す。

「野球…僕も挑戦してみようかな」
「ええー?!」

周りの驚きの声が、大きく響く
0298通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:02:46.79ID:7b7rUdoT0
────v────────────
^ω^)        ______
とノ    彡⌒ミ.  |│\____\
/    彡;゚;ё;゚;) || .| 三星 |
    ┌( つ つ___||/ ̄ ̄ ̄/
    |  |二二二」二二二二二l


   プーン      。⊃
        ∬ ∬
     ⊂゚   人
        (;;;;;)  ゚⊃ プーン
    ,,,,,,,,,,,,(;;;脳;;;),,,,,,,,,,,,,
   /0:::::::::;;:;;;;;;;:;;;:;;;;;;;:;;;;:;;::ヽ
   (⌒::::::::::;;;;;:-=*=;;;;;;-=*=)←身も心も性根も魂も全て腐りきったゴミクズ留年豚野郎
   };::::::::::::;:.::(;;*:.*::;):.:)←孤独死するだけの虚しい人生なのに他人に迷惑を掛け続ける最低最悪の生き物
   (~;;;;('';:;;;:∴;;)3(;;:∴::)<あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
   \;;;;;ヽ:::::::::;;;;;;;;;;;;;;;:::;;ノ←いい歳になっても親のスネかじり確定の社会不適合者
    \;;;;;ヽ;;::;;,;;,,,.;;::;,;ノー、←都市伝説レベルの屑
  r―‐~こここここここ)' 々i←彼女どころか友達すらいない生まれついての負け犬
  ! メ   ̄`. ´  ̄`    .ノ←親からも粗大ゴミ扱いのうんこ製造機
  .'- .ィ  溝口勇輔  「 ,←他人に迷惑を掛け続ける最低最悪の生き物
  .   | :。::   メ :。:: ! i←誰にも共感されないし必要ともされてない価値の無いリアルでもネットでも負け犬の社会のゴミ未満の存在
    ノ #    メ   ヽ、←無能だから働けない発達障害者
   , '   ヽ :::;;;;;;:::: , '   ヽ←触れる全てのものを不幸にする全ての元凶
(( .{ _.ト、   Y;;;;;Y  # ,イ .} ))
   '、 .>ト.   ':;*;;. '  イノ ノ
   ' .,,_ ___ ノ-^-`、 ___.... - '
        ,l゙:.:.'i      ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!
    __. ,-'''"::;::;;:‘----,,,,、 マルマルモリモリ ジョボボボボジョボボボ!!!!!!! ブバッババブッチブリブリブリドバドビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!
   ,i´ :.:o。;゚;ё;゚;.:.:.:.:.:。゚。.:.`'.
   ゙''¬---――''''''゙゙゙''―-┘
飼い主「テメエが死ねや穀潰しが」
■■■■■■■■______■________■___________■■■_________■____________________■__
■______■______■________■______________■■____■__■__■____■■■■■■_■_____■__
■______■_■■■■■■■■■■■_■■■■■■__■____■_________■__■__■_■■■__■____■_____■__
■______■______■________■___■__■___■_________■__■__■_____■_____■__■■■■■■
■______■_____■■■_______■___■__■___■_■■■■____■__■__■____■______■_____■__
■■■■■■■■____■_■_■______■___■___■__■■____■___■■■■■■■____■______■_____■__
■______■___■__■__■____■____■___■_■■______■_____■_______■______■_____■__
■______■__■___■___■___■____■___■_■_______■_■___■___■___■______■_____■__
■______■_■__■■■■■__■__■____■_____________■_■___■___■___■______■_____■__
■______■______■______■__■_■_____________■__■___■___■____■_____■____■___
■■■■■■■■______■______■___■■_________■■■■___■■■■■■■■■_____■■■_____■■____
0299通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:03:12.62ID:7b7rUdoT0
うおお
────v────────────
^ω^)        ______
とノ    彡⌒ミ.  |│\____\
/    彡;゚;ё;゚;) || .| 三星 |
    ┌( つ つ___||/ ̄ ̄ ̄/
    |  |二二二」二二二二二l


   プーン      。⊃
        ∬ ∬
     ⊂゚   人
        (;;;;;)  ゚⊃ プーン
    ,,,,,,,,,,,,(;;;脳;;;),,,,,,,,,,,,,
   /0:::::::::;;:;;;;;;;:;;;:;;;;;;;:;;;;:;;::ヽ
   (⌒::::::::::;;;;;:-=*=;;;;;;-=*=)←身も心も性根も魂も全て腐りきったゴミクズ留年豚野郎
   };::::::::::::;:.::(;;*:.*::;):.:)←孤独死するだけの虚しい人生なのに他人に迷惑を掛け続ける最低最悪の生き物
   (~;;;;('';:;;;:∴;;)3(;;:∴::)<あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
   \;;;;;ヽ:::::::::;;;;;;;;;;;;;;;:::;;ノ←いい歳になっても親のスネかじり確定の社会不適合者
    \;;;;;ヽ;;::;;,;;,,,.;;::;,;ノー、←都市伝説レベルの屑
  r―‐~こここここここ)' 々i←彼女どころか友達すらいない生まれついての負け犬
  ! メ   ̄`. ´  ̄`    .ノ←親からも粗大ゴミ扱いのうんこ製造機
  .'- .ィ  溝口勇輔  「 ,←他人に迷惑を掛け続ける最低最悪の生き物
  .   | :。::   メ :。:: ! i←誰にも共感されないし必要ともされてない価値の無いリアルでもネットでも負け犬の社会のゴミ未満の存在
    ノ #    メ   ヽ、←無能だから働けない発達障害者
   , '   ヽ :::;;;;;;:::: , '   ヽ←触れる全てのものを不幸にする全ての元凶
(( .{ _.ト、   Y;;;;;Y  # ,イ .} ))
   '、 .>ト.   ':;*;;. '  イノ ノ
   ' .,,_ ___ ノ-^-`、 ___.... - '
        ,l゙:.:.'i      ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!
    __. ,-'''"::;::;;:‘----,,,,、 マルマルモリモリ ジョボボボボジョボボボ!!!!!!! ブバッババブッチブリブリブリドバドビュパッブブブブゥ!!!!!ジョボボボボジョボボボ!!!!!!!ブバッババブッチッパッパッパパ!!!!!!
   ,i´ :.:o。;゚;ё;゚;.:.:.:.:.:。゚。.:.`'.
   ゙''¬---――''''''゙゙゙''―-┘
飼い主「テメエが死ねや穀潰しが」
■■■■■■■■______■________■___________■■■_________■____________________■__
■______■______■________■______________■■____■__■__■____■■■■■■_■_____■__
■______■_■■■■■■■■■■■_■■■■■■__■____■_________■__■__■_■■■__■____■_____■__
■______■______■________■___■__■___■_________■__■__■_____■_____■__■■■■■■
■______■_____■■■_______■___■__■___■_■■■■____■__■__■____■______■_____■__
■■■■■■■■____■_■_■______■___■___■__■■____■___■■■■■■■____■______■_____■__
■______■___■__■__■____■____■___■_■■______■_____■_______■______■_____■__
■______■__■___■___■___■____■___■_■_______■_■___■___■___■______■_____■__
■______■_■__■■■■■__■__■____■_____________■_■___■___■___■______■_____■__
■______■______■______■__■_■_____________■__■___■___■____■_____■____■___
■■■■■■■■______■______■___■■_________■■■■___■■■■■■■■■_____■■■_____■■____
0300通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:04:32.06ID:7b7rUdoT0
ん?
この春、僕吉良大和は桜舞高校に入学した。
中学からの同級生の徹、才、和弥、美理などと同時に進学した。
桜が舞い散る学校で入学式が行われ、無事終了した。

「なぁ吉良はどこの部に入部する?」

下校中に同級生で同じクラスになった徹が歩みながら問いかけてくる。

「うーん…パソコンとかかな。」
正直運動よりも機械いじりやプログラミングの方が好きで将来はそちらの方面での就職を考えている。

「ええー!吉良運動神経いいのにもったいないよ。」

こちらは美理。徹のガールフレンドで隣のクラスになった。
明るい性格で異性同性問わず分け隔てなく接するタイプだ。

「吉良らしいや。俺もパソコン部に入ろっかな」

こちらは才。眼鏡がトレードマークの優等生。
人柄がよく真面目で気配りができ異性からの人気が高い。

「トールは?」

「俺かぁ…野球やろっかな!」

野球…そのワードを聞いて仲が良かった幼馴染を思い出す。
小学二年生の終わり頃。

「そんな…転校だなんて」
「親の仕事の関係でね…。寂しくなるな。」
「明日蘭…。」
「そんな顔するな吉良!俺はいつか野球で有名になる。そうなったら応援して支えてくれる!」
「うん…。」

「吉良?」
過去を思い出しぼーっとした僕の顔を徹が覗き込み、それに気づいて意識を取り戻す。

「野球…僕も挑戦してみようかな」
「ええー?!」

周りの驚きの声が、大きく響く

その頃、私立プラント学園では入部希望者に対するテストが行われた。
野球の超名門校であるプラント学園では、尋常ではないほどの入部希望者が現れる。
そこで入部希望者でいくつかのチームを編成し、実践試合を想定した練習試合を行い実力を測るのである。
「ほう…あれが中学ナンバーワンシニアの雑羅君か。流石だな。」
0301通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:07:08.58ID:O8vHynnR0
ワッチョイ導入といえば結構前から話題にあがったものの結局導入しなかったな。その時々で荒しがあまり活動的じゃなかったからだけど
いい機会だし、いいタイミングだし導入しない理由がないと思うけど、俺がもう建てようか?
0302通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:12:56.32ID:Mkrj0HbK0
荒らしの対策とNGにワッチョイは便利だからね
さっさとワッチョイ入りスレ立ててしまおうか
というか入れない理由が無い
0304通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:16:17.69ID:O4lkD4tp0
導入には賛成だがこいつは昔暴れた奴と違ってIP出てるスレでも暴れる奴だから効果は限定的だぞ
でもまあ、無いよりはあったほうがいいわな
0305通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:19:34.16ID:7b7rUdoT0
「ここが野球部…。」
そう呟いた僕は緊張したがらゴクリと唾液を飲み込む。
ここは野球部の部室、僕たち新入生は初日の授業を終えいざ野球部に入部しようとやってきた。
失礼します!と声が喉まで出かけたが、中での会話が耳に入ってきてすんでのところで止まる。
「こ…困ります。」
女性の声。
「いいじゃないの別に。今日は練習休みで誰もきやしないよ。」
中で一体何をしてるうだろう?
才が状況を察したのか真顔でドアを勢いよく開ける。
「一体校内で何をやっているですか!」
才の怒声が響き渡る。
部室内には、20代と思われる男女がいた。
一人は体育教師の夢羽先生で、もう一人は知らない女性だった。
「っとわりぃわりぃ何の用だ?」
教師が髪を掻きむしりながら言う。
「何の用だ?じゃないでしょう。状況を説明してくれませんか?」
真面目で正義感の強い才はスイッチが入ると怖い
0306通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:20:09.73ID:7b7rUdoT0
ふええ
この春、僕吉良大和は桜舞高校に入学した。
中学からの同級生の徹、才、和弥、美理などと同時に進学した。
桜が舞い散る学校で入学式が行われ、無事終了した。

「なぁ吉良はどこの部に入部する?」

下校中に同級生で同じクラスになった徹が歩みながら問いかけてくる。

「うーん…パソコンとかかな。」
正直運動よりも機械いじりやプログラミングの方が好きで将来はそちらの方面での就職を考えている。

「ええー!吉良運動神経いいのにもったいないよ。」

こちらは美理。徹のガールフレンドで隣のクラスになった。
明るい性格で異性同性問わず分け隔てなく接するタイプだ。

「吉良らしいや。俺もパソコン部に入ろっかな」

こちらは才。眼鏡がトレードマークの優等生。
人柄がよく真面目で気配りができ異性からの人気が高い。

「トールは?」

「俺かぁ…野球やろっかな!」

野球…そのワードを聞いて仲が良かった幼馴染を思い出す。
小学二年生の終わり頃。

「そんな…転校だなんて」
「親の仕事の関係でね…。寂しくなるな。」
「明日蘭…。」
「そんな顔するな吉良!俺はいつか野球で有名になる。そうなったら応援して支えてくれる!」
「うん…。」

「吉良?」
過去を思い出しぼーっとした僕の顔を徹が覗き込み、それに気づいて意識を取り戻す。

「野球…僕も挑戦してみようかな」
「ええー?!」

周りの驚きの声が、大きく響く

その頃、私立プラント学園では入部希望者に対するテストが行われた。
野球の超名門校であるプラント学園では、尋常ではないほどの入部希望者が現れる。
そこで入部希望者でいくつかのチームを編成し、実践試合を想定した練習試合を行い実力を測るのである。
「ほう…あれが中学ナンバーワンシニアの雑羅君か。流石だな。」
0308通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:30:59.94ID:Mkrj0HbK0
>>307
まぁ荒らしのNGはしやすくなったね
というか荒らしに謎のグロaaで構ってたのは本人だったんだな、どんだけ構って欲しいのか
0309通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:39:21.35ID:O8vHynnR0
まぁ案の定テンプレ割り込まれたし、そのリスクを承知の上での独断スレ建てではあったのだけれど。
事後ですが、他人に意見を訊かないまま独走してすいませんでした。
こういう次スレの建て方は良くないのはわかってはいるのですが...

7b7rUdoT0=rEJB2sQD0=apU/d8tZ0=ctjC6BRB0 はこれで確定的だな
0310通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:45:35.57ID:O4lkD4tp0
立て乙
これで多少はマシになるかな?

>独走
状況が状況ですからね、仕方ない
あと+/KGj+y20も荒らしですよ
0311通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 19:51:10.05ID:Xeqsnq5u0
恐らく今新スレ荒らしてるのは
「やっぱりワッチョイは意味無いじゃないか」
とか言い出す為かと
ともかく今回は多少独断でもしょうがない
0312通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 20:03:55.90ID:O8vHynnR0
暫くの期間は総スルーでいくしかないですね
NGぶっこめばいいだけだし、案の定ササだし

とりあえず職人さんにはこの状況下でもめげずに頑張ってもらいたいです。手前勝手ですけど続き待ってます
0313通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 20:48:19.80ID:7b7rUdoT0
ミートが荒らすせいでキャッチャー嫌いになりそう
0314新人スレ住人 ◆tOSpv3Q.fqF6
垢版 |
2018/06/19(火) 20:59:46.50ID:b5sMRWy60
お久しぶりですこんばんは
短い間に色々あったようですが、今のスレを放棄する必要もなければワッチョイありの新スレに移る必要もありません
荒らしは内容を見ればわかるので、このままスルーでお願いします
このスレの職人さんがたがワッチョイに諸事情で基本賛成でないのは以前話し合った通りです

ミートさん、こういったことは昔からよくあることなので、見苦しいですがどうかお気になさらず
ガンダムと自分の知らない作品とのクロスは時々ありますが、他の作品を知るきっかけにもなります
自分がトップをねらえを知るきっかけになったのも、このスレのクロス作品でした
艦これも詳しくは分かりませんが、気になったら検索したりはしています
0315通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 21:18:32.53ID:oKRTrN7Y0
374KBしか使ってないのにまたスレ使い切らずに新スレ立てたのか壊れるなぁ
下のスレだってまだ生き残ってるのに学習しねえなぁ

新人職人がSSを書いてみる 32ページ目 [転載禁止](c)2ch.net
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/shar/1433946144/
新人職人がSSを書いてみる 33ページ目 [無断転載禁止]©2ch.net
https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/shar/1459687172/
0316ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/19(火) 22:03:11.41ID:O8vHynnR0
どうもこんばんは。
なんか凄いことになってますね。とにもかくにも新スレ建て乙です。

自分としては、ワッチョイ導入に問題ありません。他の方はわかりませんが……
このスレが埋まり次第、次スレに移行しようと思います。
ただ、自分の環境だと他の方よりも容量が多く表示されるようで(このスレの場合、自分のは450と出ます)移行タイミングを教えてくれると助かります。

>>314
アドバイスありがとうございます。大丈夫です。自分は先の宣言通りスルー継続中で、寧ろ今回のことで相手の人となりが分かったのでこの先も問題ありません。

ところで、もし差し支えなければ、検索した内容を教えてくれませんでしょうか?
というのも、そういったものの内容が分かると知らない人に説明すべきことが分かりそうだと思いまして……
可能でしょうか?
0318新人スレ住人 ◆tOSpv3Q.fqF6
垢版 |
2018/06/19(火) 22:40:50.02ID:b5sMRWy60
>>316
ID被りも時々ありますのでお気になさらず
ちなみに自分の環境ですと376KBなのでまだまだスレはやらせんぞ状態です

検索するのはたとえば天津風などのキャラクターの名やタイトルで検索して世界観、
もっと知りたいなと思ったら作品そのものを見るに至るわけで
文字だけだと種風の絵柄に自動変換してしまいがちなので、ビジュアルは一応確認しておこうかと

クロス作品はさわり程度でガンダム本編のようにがっつり観てはいなくとも
クロスSSを全然面白くないとは自分は思いません
ウィキであらすじを見だしたら最後、最終的にはアニメや小説、ゲーム本編にたどり着いてるなんてよくある話
応援しています
0319ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/19(火) 22:53:57.44ID:O8vHynnR0
>>318
ありがとうございます。
ビジュアル関係なんですね。確かにそれは大事です。
検索されるだけの興味を持ってもらえて感無量です。

しかしこのタイミングでID被りとか神のイタズラか悪魔の罠か……
0321通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/19(火) 23:00:37.61ID:7b7rUdoT0
まじで自演かよキャッチャーグローブwww
0323通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 08:09:14.26ID:YAoKzXRU0
素直に自演してるって言おうぜミートさんヨォww
0324通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 09:02:33.84ID:x+x9A/300
>>323
シニアカーピザはブーメランって知ってる?www
0325通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 12:06:05.71ID:YAoKzXRU0
>>324
知ってるぜ 下着だろ
0326通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 12:07:14.57ID:YAoKzXRU0
ブーメランはいた横井は俺のズリネタだよ
0327通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 12:46:21.36ID:x+x9A/300
>>326
お前のホモアピールはないわ
0328通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 20:50:26.19ID:YAoKzXRU0
別人になりすましてミートさんの作品を楽しみにしてると言った上で擁護→別人になりすましたまま新スレを立てる→次スレ乙とミートコテで書き込むがIDコロコロを忘れて自演発覚

痛すぎるこれwwww別人になりすまして作品を楽しみにしてるとかwwwwww
0329通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 20:51:50.40ID:YAoKzXRU0
ミート「俺の作品だ(ドヤ」
別人になりすましたキャッチャーグローブ「わー楽しみにしてます!」
あいたたたた…呆
0330通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 20:55:41.27ID:YAoKzXRU0
つーかidコロコロしてまで自演とか暇人すぎるだろキャッチャーグローブ
0331通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 21:00:51.95ID:YAoKzXRU0
別人装って自分の文字の羅列を褒める
0332通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/20(水) 21:05:35.52ID:YAoKzXRU0
マリク「今月の給料はまだか?」
俺「待ってくれ今お金が」
マリク「だったら身体で払え!」
俺「ひい!」
マリク「さぁ脱げ」
俺「……(コクリ)」
マリク「ひひひ……やっぱわかい身体はたまらんな」
俺「ぐっ……(そんなに嫌らしく撫でやがって……はぁ……)」
マリク「さぁ今夜は楽しませてもらうぜ」

こんな展開希望
0333通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/21(木) 18:32:50.60ID:csRGz9iV0
ミート「艦娘のssかくでー。
やっぱ艦娘は最高や今日もおかずにしたるwww」
住民「ここ新シャアだよ?」
住民「艦これとか知らんがな」
住民「個人ブログでやったら?」
ミート「ファビョーン!俺のss認めないのは荒らしニダ!せや!別人のふりして擁護したろ!」
ミート「やばい!IDコロコロ忘れた自演バレるううううせやID被ったことにしたろ!」

これは恥ずかしい
0335通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/21(木) 22:33:58.46ID:csRGz9iV0
野球ssの人すっごい好き!
野球歴10年目の野球バカ高校球児だけど、この人のは野球ほんとに詳しいなーって思う
というか俺もまだまだ勉強不足だな
続き楽しみにしてる
0336通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/21(木) 22:36:30.50ID:csRGz9iV0
再放送のダイヤのA見てるけどなんで内野が六人いるかわからんね

一塁、二塁、三塁、キャッチャー、ピッチャーの五人しか内野はいないはずなのにね
なんで六人いるの?作画ミス?
0337通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/21(木) 22:36:56.29ID:csRGz9iV0
なんで二塁が二人いるんだ作画ミス間抜け
0338通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/21(木) 23:40:46.26ID:yVUw0ypf0
野球は九人で行うんだ

一塁手
二塁手
三塁手
遊撃手
投手
捕手
右翼手
左翼手
中堅手

のポジションで

タッチとドカベンとかちゃんと読んで来い
0339通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 11:32:43.13ID:J+3lhk9s0
>>336
こういう野球も知らない馬鹿なら楽しめるよね?w

一般人にとってはゴミだからスレの消耗を抑える為にも消えて欲しいなwww
0341通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 18:04:17.81ID:crX6G4Kd0
ジパングくそだろ
現代のイージス艦が1941年に飛ばされただけでなんであんな無双できるのかわからない
たかが護衛艦1隻だぞ?
ジパングはむのうしかいないのか
0342通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 18:05:42.88ID:crX6G4Kd0
1対40でもボコられる米軍エ
0343通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 18:10:05.94ID:crX6G4Kd0
ここは誰も俺にいいかえせない優しい世界
こういうのを俺は望んでいた
0345通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 18:38:09.53ID:crX6G4Kd0
富信「宿題ガー

お前に提出する義務はない
はい論破
言い返せないんだろうなw
0346通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 18:39:57.58ID:crX6G4Kd0
はい言い返せないw
俺の勝ち 論破
0347通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 18:41:16.36ID:crX6G4Kd0
実に愉快
俺に文句言わない奴がいないことがこんなに気持ちいいとはwwww
0348通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 18:54:05.51ID:crX6G4Kd0
めっちゃ気分いいし抜くかww
0350通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 19:18:34.61ID:crX6G4Kd0
富信が毎日俺の行く店、座る台を未来予知して細工して当たらないようにしてるな
0351通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 19:46:22.98ID:crX6G4Kd0
中身見ずに表紙絵で抜いてんだからいいだろ
逆に文句言う店員最低だな
0352通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 20:23:44.32ID:crX6G4Kd0
富信「宿題ガー」

てめえに提出する義務はない

富信「ハッパとジンクスコクピット」
てめえでぐぐれカス目の前の端末は荒らし専用か?

完全論破
0353通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 20:32:17.78ID:crX6G4Kd0
へえドリフターズに出てくる織田信長は過去に存在した人物をモデルにしたのか
また賢くなったぜ
0354通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 21:52:50.20ID:crX6G4Kd0
https://youtu.be/Fz906kFHM9E

俺、理解力はある方だと思うんだが、この動画の最初の方の戦闘、命中してるのに変な色がついて撃墜されないのと

一発しかうってないのににきに命中してる理由がまるでわからん
0356通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/22(金) 22:14:35.91ID:kYNCqprF0
演習戦も連装砲も分からない奴がシャア板にいる様になったか…

種厨のせいでシャア板割った影響が住人にも出て来てる。レベルの低いガノタばかりだな
0358通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 09:50:12.30ID:q6GMhUfH0
掲示板に張り付きながらまとめ速報の管理人らしき発言を晒してはスレに貼り付けては
私生活を勝手に決めつけて批判
そんで個人の特定にせいを出す
いやーキチガイすぎんよ
0359通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 11:58:12.59ID:q6GMhUfH0
たねの制作費は高すぎ!

たねは動かない バンクだらけ

なにこの矛盾
普通制作費が高額なら動かしバンクを使う必要なくね?
0361通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 16:57:29.98ID:q6GMhUfH0
嘘つきやん
大谷二刀流とか言われてるのにバット一本しか使ってないやん
0363通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 18:24:30.65ID:q6GMhUfH0
どこが二刀流なのか
二刀流要素ゼロ
ちなみに俺は両刀

左右の手に一本ずつ刀を持って戦う、剣術の流派。
0364通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 19:00:57.76ID:q6GMhUfH0
富野信者って、ネットで威張り散らしてるけど、リアルで会ったらびびってしゃべれないんだろね
あー富信とオフ会してぇww
0365通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 19:20:13.14ID:q6GMhUfH0
オフ会

「お前が溝口か?(超小声」
ん?なんだこのデブボソボソ言ってよく聞こえないんだが
俺「え?」

「ひー!」
富信は逃げ出した

なんだったんだ?
0366通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 19:24:48.00ID:q6GMhUfH0
んじゃ明日昼2時に俺が通う大学の近くのカラオケでオフ会な
0367通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 19:37:49.48ID:q6GMhUfH0
ほらオフ会になると黙るんだw
まじチキンだな
ちなみに大阪の甲子園球場からも近いよ
0368通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/23(土) 22:34:06.75ID:gWcjd5k/0
店の名前と通ってる大学名書いてよ

ところで、大阪に甲子園球場がある惑星って何処よ
地球の日本国には該当する場所は無いですよ。

兵庫県の甲子園球場なら周知の事実ですが
0370通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 09:48:51.58ID:JykqH4lh0
いろんなゲーム実況してる
ゆっくりって人実況下手すぎない?
なんか感情がのってない無気力そうな声で実況してるし
しかも声も聞き取りにくいし

あの人なんであんな人気なの?
0371通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 11:09:43.33ID:JykqH4lh0
今日は近くの展望台でおしゃれに読書でも楽しむか
0372通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 12:14:20.66ID:JykqH4lh0
───────v────────────────
          ,;;;-──‐-;;;,
        彡''       ミ
        彡 ドブ愚痴  ミ
         /.-・==-  -==・- ミ
       .〈∵∴∵(oo )∴∵∵〉
         (;∵∴;( ̄,,);;∵∴ノ
       /⌒lヽ∵∴;;::||;∵∴イヽ⌒ヽ
      /  /‐――r―‐‐-、  .|   ヽ
     .|  /  ミ厂 ̄{彡  `ヽ l   !
     | /  个''   `ー‐、 ヽ    |
     l    l  ∧,,∧   i}  ヽ   |
     ヽ    ノ (;゚;ё;゚;)  '|     ノ
      丶__ノ ⊂∪(i)∪⊃ 人    ノ
       |   Pussycat   >r´   ブリュッ、ビチビチ...


  喋 ち    l          ____    /      i    テ   ガ
  れ ゃ    l         〆____ \__/      j    メ  イ
  や ん   i        γ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ \ソ      く.   エ  ジ
 !! と   _ゝ    ,,/'';~⌒\;;;;;;;;;;;;;ヽ   \     /厶,.  は  か
     日  「     /  ;; /\ \;;;;;;;;;;;;ヽ   \   / ー、 !!    
     本  ヽ    ミ ー;;;;;;'  ll ゙;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ   \/   | 
-┐   語,√    彡    ドブ愚痴    `:、;;;\  |   |/| ,-‐' ̄`ー
  レ'⌒ヽ/      ( -・==-      -==・-' ,,, ',;;;;;\|  /  `'
            彡   U  )(OO)(  U   i,;;;;;ノ  /
           ,(∵∴∵:) ';、;;'。;,;;i(。∵O∴∵i ̄  ヽ
          / .ヽ  。 /  i::;;゚;;';。,l  ヽ  U  i    人_,、ノL_,iノヽ
_ノ \_ヽ _y'\  ,' `:、゙゜ o   ヾ`ーー',ι  o  /\  ノ        ヽ、
         `゙r ___ノ゙`ー------------─''´   ヽ,,,>   __    了
    さ     ゙フ     ゚,、_      0  o       )    , /    |
    き     |     ,〉;;|                 く     ノ     >
    え       `ー,   /;;;;;;t--―--、_          !     イ    (
    エ      ,i'  (~::,-‐-、:::昼飯:;`ー-、_   。  ノ    ゴ    >
    エ     /    ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;゙ー、~>::::::::::::)      フ   オ    /
    エ      |           ̄~);;;;;;;;| ゙-' ̄~       ー、.  オ    )
    エ     (          `;、;;;ノ. (;;;;)        ヽ  オ    >
    エ    /                ~        ノ  ッ    ヽ
    ! ! !   /                          i  ! ! !    ノ
本当に鹿児島じゃないなら鹿児島ってことにして置けば絶対安全なんだよなぁ・・・
つまり鹿児島です
※誤字にツッコまない優しさ
返信 ID:huQCwuDX0(12/12)
0373通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 12:14:55.21ID:JykqH4lh0
やっぱり安全圏が一番やな

ここなら誰も俺に文句言えない
0374通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 13:08:13.53ID:JykqH4lh0
さぁもうすぐオフ会の時間やな来なけりゃチキン確定だが果たして?
0376通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 14:08:18.62ID:JykqH4lh0
明日はヨシカズの給料日やし風俗行けること期待してもええかな?
0377通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 15:58:20.65ID:JykqH4lh0
結局富信はオフ会にこれずに、にげたと
0378通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 16:13:28.26ID:JykqH4lh0
おれはちゃんと種のdvdも持ってるしね
四巻だけ
よく16話の燃える砂塵だけ視聴してる
0379通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 16:15:23.74ID:JykqH4lh0
それくらいに種が好きだ
0380通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 16:17:51.38ID:JykqH4lh0
せっかく俺がヴィルキスで大阪のカラオケまで行ったのに
0381通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 16:19:45.53ID:JykqH4lh0
たぬき湯に可愛い子おるな
0382通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 16:25:11.96ID:JykqH4lh0
温泉の休憩所って最高だな
無料だし、涼しいし
ヨシカズは今日も休出だが7月まで冷房かけるなって虐待してリモコン持ってったから日中はずっと温泉の休憩所でスマホしてたり漫画読んでたりするぜ
0383通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 16:33:23.76ID:JykqH4lh0
ヨシカズは貧乏で頭おかしいからね
俺が風呂にお湯入れる途中で半分ちょいしか入ってないのに
お前はそれで十分!それ以上入れたら溢れてもったいないとかwww
どうして半分より少し上で溢れるんですかね頭悪いな
0385通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/24(日) 21:48:48.29ID:9yz2etv/0
何度も言うけど、大阪府には甲子園は存在しない

それと大阪付近の道路はまだ交通規制されてるとこあるんだけど
0386三流(ry
垢版 |
2018/06/25(月) 00:59:31.72ID:occTo1qi0
『・・・』

祝福の鐘の音が、群青の空に高らかに鳴り響く
花びらが舞い踊り、風が歌い、太陽が祝福の輝きを降らせる
穏やかで、晴れやかで、爽やかで、温かい、幸せに満ちた空間
どこまでも続く緑の絨毯、その世界の中央にあるのは純白の教会、幸せの集まる場所。

神父が聖書を広げ、神に報告する。今日、ふたつの魂が一つの結晶となる、その幸を報告する、顔のない神父が。
見守る大勢の人々、ある者は幸せを、ある者は焦燥を、またある者は悲しみを胸に、顔のない人々が。


父親に手を引かれ、少女がヴァージンロードを歩き出す、顔のない父親に手を引かれて。
ブーケの下になびく髪は、鮮やかな淡い金緑色、風に揺れて波を作る。
白い肌と桃色の唇、そして純白のウェディングドレスに緑に輝く髪、
向かう先には、誰よりも愛しい人。永劫の、そして一瞬の未来を共にする伴侶。

『・・・ヤメロ』

顔のない神父の横で、少年がその人を待つ。優しさと愛しさと、そして悲しさをたたえた瞳で。
何よりも、今この瞬間に自分がここにいる、彼女がそこにいる幸せをかみしめて。

やがて顔のない神父を挟んで少年と少女が、新郎と新婦が対峙する。二人の間には無限の愛と想いが溢れる。
神父が誓いの言葉を促し、新郎が力強く誓う、新婦がその身を投げ出すような柔らかい言葉で応じる。
神の前で、二人は向き合ったまま寄り添う、少年が少女のブーケを上げ、顔を近づける。
0387三流(ry
垢版 |
2018/06/25(月) 01:00:41.98ID:occTo1qi0
少年、そう呼んでいいほどの幼さを残した新郎、顔を赤らめ、凛々しさと優しさをたたえた黒い瞳で、少女を見つめる
少女、そう呼ぶには神秘的な、金緑の髪と琥珀色の瞳を持つ、まるで森の妖精のようなその姿を晒し、少年に委ねる。

二人の周囲には誰もいない。神父も、聖書台も、ステンドグラスに掲げられた十字架さえも。
寄り添う二人の間から光が輝き、やがて光の輪が二人を包み、光芒のシルエットとなる少年と少女。
周囲の人間全てと同じく、黒い影となった二人が今、誓いのキスを交わす。

そして抱擁。
もう離れない、もう離さない、誰にも分かつことは出来ない、運命だろうと、神様だろうとー

祝福の鐘が高らかに鳴り響き、花も、風も、鳥も、周囲の人々も、この幸せを祝福する
そして世界は、光に包まれ輝きに消える。

−二人は歩んでいく、この一瞬の永遠を−


『やめるんだあぁぁっ!』


がばぁっ!!

「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」
男はベッドから飛び起きる、全身に脂汗をかき、呼吸は乱れ、心臓は早鐘を鳴らし続ける。
なんという悪夢を見たのか。
あのおぞましい光景、身震いが止まらない。幾多の困難や死線をくぐってきた男が、心底恐れたその悪夢。
汗をぬぐい、呼吸を整え、心臓の収まりを待つ。それらがようやく安定してきたとき、彼はやっとベッドの傍らの
モニターから呼ぶ声に気付く。
0388三流(ry
垢版 |
2018/06/25(月) 01:01:36.22ID:occTo1qi0
「艦長!どうなさったのです、大丈夫ですか?」
通信士の女性の心配そうな声と表情を認め、男はようやく冷静さを取り戻す。
「ああ、心配するな、今ブリッジに行く」

軍服に着替え、気を落ち着けて艦橋に向かう。着いたとたんに艦橋にいる全員が心配そうな眼差しを向ける。
「艦長!なにがあったんです?」
「いきなり大声で叫ぶなんて、何事ですか?」
皆、一様に不安な顔をしている、それだけの理由がこの艦長にはあるのを、皆知っているから。

「ああ、大丈夫だ。ちょっと夢見が悪かっただけだよ」
その一言に全員から緊張が走る。この艦長が悪い夢を見た、それだけでこの艦のクルーにとっては
ただ事ではすまされないのだ。

「なにか異常の報告はないか?」
艦長の質問に副長が答える、
「いえ、『今はまだ』何も」
「そうか」
それだけを言うと彼は艦長席に腰を下ろした。

−それにしても−

彼は思う。なぜあの夢が悪夢に思えたのか、少年も少女も知らない人間だ、決して少女が初恋の相手でもなければ
少年が恋敵というわけでもない、なのになぜ、あの幸せな光景が、あれほどの悪夢に思えたのか・・・
0390通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/25(月) 01:16:12.95ID:occTo1qi0
そんなことを考えていると、通信士がコンソールを睨みつつ、耳のヘッドフォンを押さえて叫ぶ。
「艦長、本国からの通信ですが、ノイズが多くて・・・拾いづらいです」
「・・・どれ」
席を立ち、通信士の傍らに行き、ヘッドフォンを当てる。
そして「見る、聞く」のではなく、発信者の意図を「読み取る」つもりで画面と音を受け入れ、解釈する。
キーを叩き、その意図を文章にする。打ち出された文章レシートを通信士が読み上げる。

「我ら公国、本日1月3日、地球連邦軍に宣戦を布告せり」

艦内に「やっぱりか」という空気が流れる。この艦長が悪夢を見て、ロクなことが起こるはずがない。
1月3日、つまり2日前に本国は連邦と、ついに戦争に突入したのだ。長年の確執を経て。


ここは遠路の旅を祖国に向かう軍艦の中。ジオン公国木星エネルギー船団の先頭を走る、護衛艦ムサイの艦橋。
未開の宇宙を旅する彼らが、何より頼る艦長の乗る艦。
艦長は幾多の危機や予期せぬアクシデントを、その常人離れした直感や予知で切り抜けてきた超常の人。
彼が示した航路はまるで危険な場所を縫うように抜け、ヘリウム採取の際彼が指示した時間帯は
フレアが上がるタイミングをことごとく外し、彼が見た夢はその日の艦の故障部分を先読みしていた。

シャリア・ブル

後に「木星帰りの男」「最初のニュータイプ」と呼ばれ、連邦軍ガンダムのパイロット、アムロ・レイと
死闘を演じる男である。




1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
プロローグ(0話)「HAPPY WEDDING」
0391三流(ry
垢版 |
2018/06/25(月) 01:16:37.48ID:occTo1qi0
久々、三流です。「顎」のあとがきでチラッと書いた話が具体化してきましたので
プロローグだけ書いてみました、続くかどうかは限りなく不明です。
なんせガンダムキャラもメカもほとんど登場しない、ほぼ全員オリキャラという、
一体どこに需要があるのか謎すぎる話ですからw
0392通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/25(月) 08:34:09.22ID:3gAsOH6b0
>>391
全く新シャアでやる必要なく無いかにゃ?
0394通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/25(月) 09:03:24.00ID:3gAsOH6b0
>>387
ベッドシーンとか流石にあかんでしょ
0395通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/25(月) 11:15:47.29ID:3gAsOH6b0
うんこながし忘れただけでキレるヨシカズ最低
0396通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/25(月) 11:47:19.13ID:TF+3FOjS0
SS語る前に常識と道徳観と倫理から学んで来ようか

もしも児童か生徒でなければ、そこからやり直しした方が良いですよ
0397通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/25(月) 12:03:46.63ID:3gAsOH6b0
俺「お前うんこ流してないだろ 夜起きてトイレ行ったらお前のうんこを見せられ臭いを嗅がされて…嫌がらせか?」
ヨシカズ「違うそれは種信がトイレ流れないように細工したんだニダ!俺は悪くないニダ!」
俺「あぁ?!おめぇ事あるごとに種信種信って言ってるがなんだそりゃ?」
ヨシカズ「俺は悪くないいいいい」
パチン!
0400ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 18:57:47.09ID:fKAbCwxd0
三流(ryさんは相変わらず渋いところを渋い表現でついてきますね。好きです。
自分も投下します。
0401ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:00:01.15ID:fKAbCwxd0
――艦これSEED 響応の星海――


敵は空母級を主軸にした戦艦レ級率いる空母機動部隊。その航空戦力は佐世保側の5倍超。
三人だけの【榛名組】が水雷戦隊を撃退した勢いのまま西進、ナスカ級を曳航していた重巡級をサラリと全滅させ、残りの潜水級を時雨と多摩達に任せ先行していた【金剛組】と合流してから早10分。
深海棲艦達が盛大に繰り出す攻撃機や爆撃機に対し、全力で迎撃機をコントロールし応戦する瑞鳳達によって、航空戦がなんとか拮抗しているこの状況下、勝敗の鍵を握っているものはズバリ戦艦級の砲撃だった。
互いに敵の姿を目視しない一進一退の長距離砲撃合戦は、更に苛烈さを増していっていた。

「ッ!? レ級から更に艦載機が出ようとしてる!! ごめん榛名、抑えきれないかも!!」
「大丈夫です瑞鳳、烈風隊はそのまま下がらせて! 鈴谷、三式弾で発艦前に先制! その後スイッチで10秒間、瑞鳳の抜けた穴を制空しつつ、榛名達の弾着観測もお願いします!!」
「人使い荒すぎない!? ま、やったるけどね・・・・・・! 三式弾用意良し、撃つよ!!」

ところで、突然だが。
人類と飛び装具には密接な関係があることはご存知だろうか。
いや、むしろ人類は飛び道具を使えたからこそ――起源を辿れば200万年以上も昔、原始より人がモノを強く正確に投げるに適した身体構造をしていたからこそ――
ここまで発達・発展することができたという説が存在していることを、知っているだろうか。
曰く、生存競争において素早さよりも強靱さよりも、リーチという武器こそが強力かつ役立つものだった。他の霊長類よりもずっと正確な投石・投槍で、どんな生物よりも狩りを成功させることができたから結果的に、
地球上で唯一無二の頭脳と器用さを獲得できたのだと。投擲能力を一つの岐点とした進化の流れがあった。
頭脳と器用さは言語と道具を発明し、必然、人類は加速度的に進化し地上の覇者となる。
そして人類の歴史とは戦争の歴史で、必然、戦争の歴史とは飛び道具の歴史でもあった。
人類と飛び装具には、遺伝子レベルでの密接な関係がある。
そういった意味では、超弩級戦艦は極地だった。圧倒的リーチはあらゆる敵を蹂躙する。大艦巨砲主義は時代の必然で、一つの時代の象徴、文化文明であったと言えよう。
ちなみにこれは更なる余談でかなりの極例でもあるが、かの旧日本海軍の隠し玉にして世界最大級の戦艦たる大和型の主砲45口径46cm三連装砲の重量は、
一基だけで当時の標準的な駆逐艦一隻分よりも重いものだったという。最大射程は40kmを超え、空陸海問わず「実用的な大砲」として最高の性能を誇ったソレを、大和型は悠々に三基も搭載していたとのことだ。
航空兵器やミサイルの登場により大砲は戦場から淘汰されていってしまったが、後の世にレーザー砲や電磁投射砲、荷電粒子砲や陽電子砲などに続いていくこの系譜、その威力は決して色褪せることはない。
たとえ航空兵器が幅をきかせている戦場だとしても、相対的に大砲の優位性が喪われている戦場だとしても、では絶対的に大砲の破壊力が劣化したかと問われれば、答えは絶対にNOだ。

「こちら翔鶴! 【いぶき丸】がナスカ級にとりつけたみたいです! 木曾さんも戻ってこれると!」
「わかりました。木曾が戻り次第、榛名達は敵艦隊左翼側面から切り込みます。その為に、まずは・・・・・・お姉様!」
「Yes! ワタシ達の実力、見せてやるネ!! Target lock on――Fire!!!!」
「目標11時空母群、撃ちます!!!!」
0402ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:02:17.31ID:fKAbCwxd0
英国ヴィッカース社で建造された日本初の超弩級戦艦であり第一次世界大戦経験者、誰よりも長く誰よりも強く、東西問わず様々な戦場を駆け巡った高速戦艦の金剛。そして、その妹として轡を並べ続けた三番艦の榛名。
二人が艦艇時代から愛用している主砲、45口径35.6cm連装砲が断続的に火を噴いた。
水平線越しの弾着観測射撃。
翔鶴と龍驤、瑞鳳と鈴谷に護られた小さな小さな防空圏の元、計16門の砲口が仰角43度で、重量674kgの徹甲弾を連射する。
内幾つかはレ級に迎撃され、無事に抜けた砲弾も虚しく空母隊周辺に水柱を立たせるだけであったが、鈴谷の献身的なサポートにより散布界は急速に収束、数分後には遙か17マイル先にいた空母群の一角を殲滅させる。

「3時方向からホ級接近・・・・・・発砲! 直撃コース!」
「そんなもので! ワタシ達を止められると思わないことデース!!」

その間、左右から接近してきた敵軽巡級達がこぞって5inch単装高射砲で翔鶴や龍驤を狙ってきたりもしたが、金剛は機敏にその射線上に割って入り、戦艦としては比較的薄いがそれでも充分に硬い装甲で弾く。
榛名も同様に味方を庇い、お返しに副砲の15.5cm三連装砲による斉射で、地道に敵戦力を削った。
圧倒的リーチと積載量の暴力は、響と夕立のアクロバティックな近接格闘戦以上の戦果を軽々と挙げていく。なにかと出引き立て役にされがちな戦艦級だが、やはりあの師弟が異常なだけで、
引き合いに出されるだけの戦闘力と影響力を持っているのだ。

「にしても、こうしてっと夕立達がホンマモンの化物だってわかるもんやなぁ。いるといないとじゃダンチやでマジで・・・・・・って、アカン!?」
「龍驤!?」
「7時方向に潜水艦発見、雷跡多数や!! 数5・・・・・・いや7、開進射法!」
「レ級、発砲! 魚雷も射出してきたよ!? 数10、二集五散々布帯!」
「伏せていたの!? このタイミングで・・・・・・! くっ、これじゃあ逃げ場が!」
「Chill out! 隊列を維持したまま4時方向へ後退、鈴谷と摩耶は魚雷の対処を優先! ――だーもう、これだからレ級ってのは!!!! Fuck debris!!!!」
「オイオイお前が落ち着け金剛、地団駄踏んでる場合じゃねェぞ。気持ちはわかるけど中指立てンなって」

だが相手は最新鋭少数量産型の超弩級重雷装航空巡洋戦艦(ワン・マン・フリート)。
砲撃戦に雷撃戦に航空戦になんでもござれな、戦闘能力だけなら【姫】にも匹敵する万能戦艦に、最古参の超弩級戦艦はどうしても苦戦を強いられる。彼女一人の攻撃に【金剛&榛名組】はてんやわんやしてしまう。
レ級は間違いなく、現代における戦艦の極地だ。しかも厄介なことに、脅威は目前の敵だけではない。
敵は必ずなにかを仕掛けてくる。不測の事態は、ジョーカーは必ず来る。一度離脱した【軽巡棲姫】が搦手を使ってくるであろうことは火を見るよりも明らかで、最悪【Titan】の乱入も覚悟しなければならない。
その上、慎重を期して長期戦を選べば、瑞鳳達が持ちこたえられず雪崩れ込むようにして不利になるだろう。
現状が一進一退の五分なら、ちょっとした弾みで脆く崩れるのも同義。
ここで旗艦姉妹は高らかに叫び、仲間達を鼓舞した。

「とにかく! 【多摩組】と【いぶき丸】が曳航準備完了するまでの辛抱デース!」
「あと5分、それまでここは死守しますよ!! 大丈夫です。ここには榛名と、金剛お姉様がいるのですから!!!!」
0403ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:05:04.47ID:fKAbCwxd0
そう。大前提であるナスカ級はこちらの手中にあり、作戦はセカンドフェイズに突入しつつある。
もう少し耐えれば、夕立と響を除く全戦力と合流できる。潜水級達を倒した【多摩組】と時雨、そして木曾が来てくれる。万全とまではいかないが攻勢に出るだけの、短期決戦に出るだけの余裕が持てるようになる。
そしてサードフェイズ、敵を押し込みながら後退という器用な真似で、ナスカ級さえ福江島周辺にまで移送できれば、前線基地に控えてもらっている戦車隊と連携できる。そういう手筈になっている。


それにジョーカーはこちらにもいるのだ。あの青年の動きが深海棲艦達の予想を超えたものになってくれれば、戦況はずっと楽になる。


タイミングとしてはもうナスカ級に乗り込んでもいい頃合いだった。キラはこの戦いの中で、船体内部に突入して調査を――もし可能であれば航行させてみると言っていた。
異世界の宇宙船というのは相当自動化が進んでいるらしく、非効率的だがシステムさえ生きていれば単独操艦ができるのだという。宇宙専用艦艇だが超伝導電磁推進機関のおかげで最低限の水上航行も可能で、
カタログスペック通りのパワーなら曳航されるよりかは速度を出せると。
加えてナスカ級はMS搭載型高速駆逐艦であり、内部にモビルスーツを抱えている可能性もあると。
まったく人類というものは、技術の進歩というものは本当に凄まじいと感嘆せざるを得ない。あれもまたC.E.という世界が行き着いた、時代の象徴の一つなのだろう。
そういった事情から、上手く歯車がかみ合えば、キラは戦線を刺激する存在になれると艦娘達は踏んでいた。
頼れるのなら、アテにできるのなら遠慮なくしたいと素直に思う。不測の事態を超えて、前回のように颯爽と助けてくれるのではと期待してしまう。そう思われるぐらいには、彼は艦娘達に信用されていた。
でもまぁ、それはそれとしてだ。
彼の成果があるにせよないにせよ、自分達が敗退してしまえば何もかもが水泡に帰すのだから、やはりここはいつも通りに、自分達だけで未来を切り拓く気概で臨まなければ。
どんなに科学技術が進歩していこうとも、どんなに世界が変遷していこうとも、この世界の戦線を支えるのは他の誰でもない艦娘である。彼女達は己の存在意義を果たすべく、一意繋心に戦闘を継続した。
0404ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:07:18.39ID:fKAbCwxd0
《第12話:そのイデアは揺らがない》



そうした戦闘模様を、ソラから眺めているモノがいた。
高度およそ36,000km。
静止衛星軌道上の偵察衛星だ。この世界の人工衛星は六年前の凄まじい電波障害に伴い、その殆どが軌道制御不能となって交信途絶してしまったが、これは近年打ち上げられたばかりの新型であった。
深海棲艦撃退よる海域解放に比例して、衛星を用いた人類の通信環境も確実に復興しつつある。

「――結局、このナスカ級は新しく転移してきたってわけじゃなかったのね」
「タイミングは俺達と同時だな。10月25日にこの世界に来て、台湾から離れた座標に落着。そしてこの嵐で、福江島周辺海域まで流されてきたんだ」

天津風の確認に対し、シン・アスカは窓の外を眺めながら応えた。
広島の呉鎮守府は絶賛、嵐の真っ只中にあった。九州上空に在った時より若干勢力は弱まっているものの、依然として強い雨風は続いていた。時折閃く稲妻が、灰色に染まった街の空を迸る。
少し、無線通信が不安定だ。鎮守府は重要軍事施設なので停電の心配はないが、ブリーフィングルームの大型スクリーン上に出力された映像にラグが生じている。
ノイズに塗れた大海原に、出来の悪いアニメーションのようにコマ落ちした爆炎と水柱が咲いては消えていった。
ほぼリアルタイム、最大望遠での映像である。画面中央には小さくナスカ級のシルエットがあり、仮にもっと拡大できれば周辺で戦う艦娘達の姿を確認することができるだろう。
鎮守府の人間にはこうした映像を閲覧する権限があり、VIPとして籍を置くシンも例外ではない。佐世保が戦闘態勢に入ったと呉の提督に伝えられて以来、
シンと天津風はデスティニーの修理をほっぽり出してずっと画面に食いついていた。
ただ、今観ているのはリアルタイムな戦闘映像だけでなく、もう一つ、録画されていた過去の映像も同時に再生していた。
ある意味、よく見えもしない、今更どうやっても介入できない戦闘よりも、そちらの方が重要だった。
重要だから、シン達は暗い表情で俯いていた。
現場で戦っている者達よりもいち早く、二人は真実に辿り着いていた。

「・・・・・・生存者、いると思う?」
「・・・・・・、・・・・・・」

光学カメラのみならず、偵察衛星に搭載されたありとあらゆるセンサー・レーダーを駆使して、記録を遡りナスカ級をトレース・解析して解ったことは二つ。

「・・・・・・認めたくないけど正直、絶望的だよな・・・・・・。Nジャマー影響下とはいえ救難信号が出た痕跡もないし、ハッチもスラスターも一度だって動かないまま二週間以上漂流してる。
電装系がイカれた程度で棺桶になるような出来じゃないんだぞ、あの艦は」
「緊急時の備えとかも当然ある筈よね、いくらなんでも。・・・・・・雲に隠れたタイミングで脱出してたとか、そんなオチなら?」
0406ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:08:24.21ID:fKAbCwxd0
「ありえないだろ、海のド真ん中でわざわざ脱出艇を使わないとか。あのサイズなら絶対どこかで映ってる」
「・・・・・・アナタがそう言うなら、そうなんでしょうね」

一つ。時空間転移という現象は、後にも先にも10月25日の一回きりであったこと。
二つ。割れた空からズルリと抜け落ちたナスカ級に、およそ中に人がいるとは思えない程に動きがないこと。あれはNジャマーを前提に設計されていて乗組員も訓練されたコーディネイターなのだから、
一人でも生存者がいれば何かしらのアクションがなければ、漂流するがままでいるのはおかしいのだ。
この二つの事実に、二人は打ちのめされた。
海面に落着した衝撃か、それとも転移のショックでとしか、考えられない。
或いはそもそもこの世界に来る前から無人であったことを、祈るしかない。
せめてあの物言わぬ棺が、佐世保に無事曳航されることを、祈るしかない。

「時空間転移、ね・・・・・・。改めて、ふざけた現象だわ」

少しばかりの黙祷を捧げ、いつも以上にしかめっ面になった天津風が、ふいに吐き捨てるように呟いた。
ここにきて急に怒りがこみ上げてきた。一体なんなんだと叫びたくて堪らない。あの異世界の宇宙船だって、内部に人が残っていようがいまいが、あんな風に終わっていい理由なんか何処にだってないのに。
一体、時空間転移とはなんなのだ。
これまで大して気にとめていなかった疑問が、遂に鎌首をもたげた。顔も知らない誰かの死を目の当たりして、噴出した。

「天津風・・・・・・」
「こんなトンデモなんかで一体どれだけの人が不幸になったのよ。ふざけてる。どうしようもなかった、仕方のない結果だったってのは私達も理解しているつもりよ。けど・・・・・・」
「すまない」
「だから、アナタは謝らないでよ」

この呉に来た当初、殆どの質問に対して沈黙を保っていたシンが応えた、数少ない回答。その一つを天津風は思い出していた。


この現象の元凶は決して、天災でも超常現象でも何でもない、意志ある人の手に依るものなのだと。
これは原始より連綿と続く人類の進化、科学技術の進化、赦されざる業の果てに依るものなのだと。


この騒動は『俺達の責任』なのだと、以前シンは言った。
幾つかの不幸や思惑が絡みついて、半ば事故のようなカタチで、悔やんだってどうにもならない理由だったのだけど、結果として巻き込まれてこの世界にやってきた男は、未だ明確に何があったのかは教えてくれない。
C.E. のアステロイドベルト出身の小惑星基地と共にワープしてきたと断言した男は、きっとなにもかもの真実を知る男は、未だ詳細を黙して語らない。
それは別に構わないと、少女は思う。
0407ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:11:14.15ID:fKAbCwxd0
彼は元々、天津風達が佐世保防衛戦から帰還したタイミングで全てを話すつもりではあったという。しかしキラ生存の報告を聞いて、また一部記憶喪失になっていることを聞いて、
ならばまだ語ることはできないと彼は口をつぐんだ。今自分一人だけが真実を語ってしまえば『自分の責任がなくなってしまうから』と。
その意志は尊重したい。
しかし。

「でも、そろそろ教えてくれても良いんじゃない? こんなのがアナタ達の責任だなんて、やっぱり信じきれるものじゃないわ。超常現象のがまだ諦めがつくだけマシってもんよ」

そもそも、本当にそうなのか? 人は本当に人為的に、時空の壁ってやつを超えることができるのか?
戦争は発明の母と言うが、宇宙に上がって第五次世界大戦までやってしまう世界とは、そこまで行き着いてしまうものなのか。そこまでして倒したい敵が、いたのだろうか。
何かがちょっとだけズレただけで、この世界の人間も同じ道を辿るであろうC.E.という異世界。
なんの必要があって、その果てに至ったのだ。
なんの根拠があって、己の責任だと宣うのだ。

「時空間転移の技術。それがどうして生まれたのかだけなら、今のアナタでも語れるし、語る義務があると思うわ」
「・・・・・・そう、だな。それだけなら今の俺だって」

この世界に厄災を持ち込んだ技術が、善意であるのか、悪意であるのかだけでも、この世界に生きる人間には知る権利があると思うのだ。
知りたい。
今更なのかもしれないけれど、もう何も知らないままではいられない。でなけりゃ、ナスカ級の人達や、今戦っている佐世保鎮守府の艦娘達も浮かばれない。この機会は逃せない。
人類の進化と技術が、常に闘争と戦争から生まれたものならば、尚更。
天津風は、いや、人の業の化身である艦娘はやはり、人間の在り方という曖昧なものを考えずにはいられないのだ。
故に説明を求める。
佐世保の戦闘は一旦さておいて、そろそろ一つの謎を紐解かなければならないのだ。
もっともだとシンは思った。

「わかった、話す。・・・・・・でも先に言っとくぞ。これから話すのは、転移に関係あるかもしれない技術のことだ。前提を覆すようで悪いけど、だって、C.E.でも転移なんてトンデモ技術は確立してないんだからな」
「・・・・・・つまり、転移の理由そのものはアナタでも分からないって言うこと?」
「ああ。けど当事者だった俺が、まず間違いなく関係あるって思ってるものなんだ。それでも、いいか?」
「いいわ。可能性があるならなんだって。お願い」

少女の真摯な訴えを受け入れた青年は、瞳を閉じて黙考した。
0408ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:14:27.71ID:fKAbCwxd0
(こんなの全然、俺の柄じゃないんだけどなぁ。説明役はレイとかアスランの方が向いてるってのに、なんだって。・・・・・・どう話したもんかな)

考えを纏める。少女は固唾を呑んで見守るしかない。スクリーンが表示する戦闘模様はもう目に入らなかった。
やがて。
やがて。


「・・・・・・VALKYRJA(ヴァルキュリア)理論」


どこぞのアニメ漫画でしか出てこないであろうキーワードと同じような、現実味のない響きがあった。

「ナチュラルとコーディネイターがやっと掴むことができた、希望の象徴。新地球統合政府が主導するユグドラシル・プランの根幹を成す、超光速航法の可能性すら内包した亜光速航法制御理論の名前。
C.E.の希望であった筈の、極地ってやつだ」
「C.E.の希望、だった筈・・・・・・?」

長い長い沈黙を破り、かつて大きな戦争を戦い抜いた青年はどこか疲れたような様子で、真実の一端を口にした。
ユニウス戦役を経て、シンやキラが今ここに存在している理由の発端を、語り始めた。
0409ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:17:04.05ID:fKAbCwxd0




――またも突然な話だが、人類進化の流れの岐点に投擲能力があるのなら、長距離移動能力というのも同様にして、人類を人類たらしめる岐点の一つであった。
人類の踏破能力及び持久力は、全生物の中でもトップクラスの性能を誇る。
これがなければ人という種は現代においてもアフリカ大陸の一端で、類い稀な投擲能力もまったく活かしきれず非効率的な狩りに明け暮れていたかもしれないと言われている程に。人の狩りは両方揃ってこそだった。
となれば、頭脳と器用さを得た人類がこの二つの強力無比な武器を研鑽するのは当然の帰結。
投擲能力の極地が火砲なら、長距離移動能力は? 答えは乗り物だ。より速く、より遠くを求め続けて、人は大海原や大空どころか宇宙にまで進出してしまった。たった数千年の間という、恐るべきスピードで。
では次に目指すものは、亜光速航法とその先にある超光速航法以外にないだろう。
C.E.のヴァルキュリア理論とは、そういう極地であった――

「正式には、
Voiture・lumiere
All dimension
Linked
Kinetic repulsion
Yield element
Removal & compress
Jet & distortion
Active control

THEORY
・・・・・・ヴォワチュール・リュミエールを全次元へ連結、斥力エネルギーから生じる要素の転移・圧縮と噴出・歪曲を能動統制する理論・・・・・・のバクロニムだったかな。かなり無理矢理だけど」
「・・・・・・ごめんシン。アナタが頭良さげなこと言ってるのが意外すぎて頭に入ってこない」
「オイ。俺だってザフトのトップエリートだったんだぞ・・・・・・」
「とりあえずちょっと整理させて。斥力ってあの斥力? 重力と反対の、あの?」
「ん、流石にこれがどんだけヤバいかは解るか。まぁこの場合は万有引力の対になる。電磁的じゃなくて、物質的に空間を歪ませて反発する力としての斥力だな」

ある科学者集団が発明した、量子膜を自在に操って時空間にすら干渉する惑星間推進システム、ヴォワチュール・リュミエール。
そして同時期に別の科学者集団が発明していた、特殊な相転移によって強力な斥力を放射する斥力生成装置。
この二つを取りまとめて制御する為の理論であった。

「とにかく、量子膜と斥力を組み合わせるとなんやかんやで時空歪曲場を制御できて、相対性理論とかウラシマ効果とかを超えた亜空間を作れるようになったってことだけ抑えてればいい。
将来的にワープのような超光速航法もできるようになるってオマケつきの」
0411ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:21:05.83ID:fKAbCwxd0
量子膜により球状に展開された亜空間は、内部の物質を運動量保存則や万有引力といった物理法則から擬似的に隔絶する性質でもって、一種の重力・慣性制御を実現する。
更に、移動する際に発生する慣性や抗力そのものを操り、一部を己の運動エネルギーとして利用することで無限の加速すらも可能とした。
SF的に言うところのバブル型亜光速航法である。
その時、宇宙に進出したと言っても地球圏でいっぱいいっぱいだったC.E.世界に突如、外宇宙進出が現実的な選択肢として降って湧いた。人類は、
有人機を短時間かつ少ない負担で亜光速にまで達せさせることができるようになったのだ。
しかも、理論はその先にあるゲート型超光速航法というゴールの存在をも示唆していた。極地を超えた、高次元へのスタートラインでもある存在を。

「結論から言うとだ。後にコイツは理論じゃなくて、一つの亜光速制御システムとして一度完成した。それであの時・・・・・・、・・・・・・そう、あの時。誰にも予想できないカタチで発動して・・・・・・気付いたら俺はここにいたんだ」

結果として、シン達はこの世界にやって来た。
幾つかの不幸や思惑が絡みついて、半ば事故のようなカタチで、悔やんだってどうにもならない理由で、誰も想定していなかった異世界への跳躍が成された。
原因はこの理論改めヴァルキュリア‐システムであることは間違いない。やはり時空間に干渉するなんて神業じみた所業は、人類にはまだ早過ぎたのだ。
例えそれが希望などと持て囃され、人類の為に実用化が急がれたモノであったしても。

「それってつまり――」

ここで天津風は質問を差し込んだ。

「――単に事故だったっていうこと? えぇと、暴走とかしてうっかり超光速航法、ワープってのが展開しちゃって、そしたら何でか世界を跨いじゃってた・・・・・・みたいな?」
「・・・・・・、・・・・・・まぁそんな感じ、なのか? うん。結局のところは大体そんな感じなんだろうな」
「だったらアナタの口ぶりと合わないじゃない。起動実験だかなんだか知らないけど、なによ、アナタのせいで失敗したとでも言うの? 責任ってそういうこと?」

小難しいことは分からないが、異世界の事情は断片的にしか知らないが、希望とされるだけの影響力があったのは確かなのだろう。
だとしたら、おかしいと感じた。
そういうモノは国家的というか、全世界的なプロジェクトになるのではないか? ちゃんとした人がトップに立ったちゃんとした専門組織で、研究や実験が行われるモノではなかろうか。
それがどうして、シンが沈鬱な貌で『自分達の責任』だと言う?
シンは新地球統合政府直属宇宙軍第一機動部隊副隊長だと言っていたではないか。
どうして、まるで全てを背負い込むかのような。
そんな単調なことが真実なのか?

「そんな理屈、私は・・・・・・!」
0412ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:23:21.65ID:fKAbCwxd0
「いや、違うんだよ天津風。問題はそんなんじゃないんだ」

対してシンは静かに頭を振って、怒れる少女を制した。

「問題は、この跳躍が起動実験の事故だとか、そういう生やさしいモノなんかの結果じゃないことなんだよ。ヴァルキュリア-システムはもうとっくに実用化されて、制限内で使う分には安全が保証されてたんだから」
「・・・・・・どういうこと?」
「そして、ここからが本題だ。どうしてこの技術が生まれたのか、どうして必要となったのか。・・・・・・そうだよ。そもそも俺達の世界があんなんだったから、あんなシステムに頼らざるを得なくなっちまって・・・・・・」
「シン?」

ここまで話した内容は、技術そのものについてでしかない。システムは単なるキッカケに過ぎない。
二つの世界の人間を観たシンが、人間の出来そのものが違うみたいだと言ったまでの理由が、C.E.にあった。ただの理論、ただの技術でしかないヴァルキュリアを革命ではなく希望と称するまでに疲弊した、あの世界に。

「天津風、お前が知りたいのはそういうことだろ? ならやっぱり、俺達の世界がどういうものだったか話さなきゃならない。まだ俺が俺達の責任だって言った理由までは話せないけど、そこまでの背景なら言えるから」

自分の世界を、人間を、好きになれていない青年は言葉を紡ぐ。


「順を追って話す。俺達の世界がどうやって戦争を乗り越えて、時空間転移に近しい技術に至ったのか。全ての始まりってヤツを」


一つの歴史の顛末を語らなければならない。
さて。
VALKYRJA理論が初めて学会に発表されたのはC.E.75 Janだったと記憶している。
当時、故ギルバート・デュランダルがデスティニー‐プラン導入の前準備として行った、ロゴス解体とそれ伴う既存の経済システムの破壊は、それにとってかわる筈だったプランが結果的に導入されなかったことで、
世界を史上最悪の混乱状態に陥らせていた。
この点についてシンが思うところは多々あるのだが、今回は割愛させて頂こう。
兎も角、ロゴス壊滅による経済破綻・インフラ崩壊、二度の大戦によって減少しすぎた総人口、加速的に悪化していく自然環境、自らの行為に恐怖し疲弊した心、
暗躍するテロ組織等といった数多の問題は混乱を更に拡大させ、戦後の復興活動に対する大きな壁として立ち塞がっていたのだ。
それらへの対処こそが、ユニウス戦役を終えて間もない頃に成立・発足した新地球統合政府の役目であった。
しかし、正直なところ具体的にどうすればいいかなんて全く手探りだった。やるべきことが多すぎて五里霧中だった。けれど、まず決めて、行動しなければ始まらない。どんなものよりも即物的な魔法を欲していた。
だからヴァルキュリアは、タイミング含め間違いなく最高の魔法だった。
そして人類は、それに縋った。
0414ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:26:50.49ID:fKAbCwxd0
「新地球統合政府は真っ先に飛びついて、人類復興を掲げたあるプランを立ち上げた。人類全体が疲弊していたからこそ、誰にだってわかりやすいシンプルな希望ある未来ってやつを提示した」

ユグドラシル‐プラン。
C.E.75 Marに新地球統合政府が打ち出した、外宇宙開拓を主眼とした全国家参加前提の世界復興計画。
政府は問題に対応する為に、全世界規模で複数の巨大公共事業計画を提示・主導し、全人類に自主的に従事させることによりインフラの整備と雇用問題の解決、人類の活性化、世界の復興を並行して達成させようと画策した。
それは、まず目の前の派手なパフォーマンスに取り込ませることで、細々とした精神的な問題を先送りにしたい政府の苦肉の策であり、時間稼ぎの一手でもあったが。

『我々人類は、真に新人類として、これまでの垣根を越え、真の新世界に飛び立つ刻を迎えている――』

世界が沸いた。
木星より異形の化石『エヴィデンス01』が発見された時と同等の熱気。人類は今度こそ、ネクスト・ステージに進める機会を得たのではないかという、期待。希望。
そうした状況下で立案・実行されたプランは、以下9つの要素から構成された。

1・地球主要都市及び宇宙国家プラントの復興。
2・新経済システムの構築とそれに伴う法の整備。
3・オービタルリング型自律式惑星防衛機構『ノルン』の建造。
4・第一軌道エレベーター『ウルズ』、第二軌道エレベーター『ヴェルザンディ』、第三軌道エレベーター『スクルド』の建造。
5・ヴァルキュリアによるバブル型亜光速航法とゲート型超光速航法の確立。
6・非回転型自律巡航式宇宙コロニー『ニダヴェリール』シリーズの建造、それによる地球圏以遠の探査及び開拓。
7・超巨大外宇宙探査・移民用環境宇宙船『ヴァナヘイム』シリーズの建造、それによる外宇宙の開拓。
8・地球環境の回復。
9・外宇宙進出による、総人類ネクスト・ステージ移行の促進。

尚これらを克服すべき目標としているが、実際に総てをクリアするには技術と時間と資源がいくらあっても全く足りず、超巨大外宇宙探査用環境宇宙船の建造とゲート型超光速航法の確立を抜きにしても、
軽く100年以上の歳月は必要不可欠と考えられている。ネクスト・ステージ云々については完全に妄想の域だ。
その為、この遠大で夢物語に等しい計画は、途中であってもある程度復興が進んで世界情勢が鎮静化した時点で、目的は達成されたと判断されるとのことだった。
その一方でオービタルリングと軌道エレベーター、バブル型亜光速航法、人工重力制御技術による非回転型自律巡航式宇宙コロニーはC.E.78 apr時点で実用化まで漕ぎ着けており、
これは当初の予測を大きく上回る快挙であった。
皮肉にも戦争によって高められた工業力と技術力の産物ではあったが、これにより宇宙開発と地球復興の速度は大きく向上するだろうと見込まれていた。
0415ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:29:18.10ID:fKAbCwxd0
「新地球統合政府は真っ先に飛びついて、人類復興を掲げたあるプランを立ち上げた。人類全体が疲弊していたからこそ、誰にだってわかりやすいシンプルな希望ある未来ってやつを提示した」

ユグドラシル‐プラン。
C.E.75 Marに新地球統合政府が打ち出した、外宇宙開拓を主眼とした全国家参加前提の世界復興計画。
政府は問題に対応する為に、全世界規模で複数の巨大公共事業計画を提示・主導し、全人類に自主的に従事させることによりインフラの整備と雇用問題の解決、人類の活性化、世界の復興を並行して達成させようと画策した。
それは、まず目の前の派手なパフォーマンスに取り込ませることで、細々とした精神的な問題を先送りにしたい政府の苦肉の策であり、時間稼ぎの一手でもあったが。

『我々人類は、真に新人類として、これまでの垣根を越え、真の新世界に飛び立つ刻を迎えている――』

世界が沸いた。
木星より異形の化石『エヴィデンス01』が発見された時と同等の熱気。人類は今度こそ、ネクスト・ステージに進める機会を得たのではないかという、期待。希望。
そうした状況下で立案・実行されたプランは、以下9つの要素から構成された。

1・地球主要都市及び宇宙国家プラントの復興。
2・新経済システムの構築とそれに伴う法の整備。
3・オービタルリング型自律式惑星防衛機構『ノルン』の建造。
4・第一軌道エレベーター『ウルズ』、第二軌道エレベーター『ヴェルザンディ』、第三軌道エレベーター『スクルド』の建造。
5・ヴァルキュリアによるバブル型亜光速航法とゲート型超光速航法の確立。
6・非回転型自律巡航式宇宙コロニー『ニダヴェリール』シリーズの建造、それによる地球圏以遠の探査及び開拓。
7・超巨大外宇宙探査・移民用環境宇宙船『ヴァナヘイム』シリーズの建造、それによる外宇宙の開拓。
8・地球環境の回復。
9・外宇宙進出による、総人類ネクスト・ステージ移行の促進。

尚これらを克服すべき目標としているが、実際に総てをクリアするには技術と時間と資源がいくらあっても全く足りず、超巨大外宇宙探査用環境宇宙船の建造とゲート型超光速航法の確立を抜きにしても、
軽く100年以上の歳月は必要不可欠と考えられている。ネクスト・ステージ云々については完全に妄想の域だ。
その為、この遠大で夢物語に等しい計画は、途中であってもある程度復興が進んで世界情勢が鎮静化した時点で、目的は達成されたと判断されるとのことだった。
その一方でオービタルリングと軌道エレベーター、バブル型亜光速航法、人工重力制御技術による非回転型自律巡航式宇宙コロニーはC.E.78 apr時点で実用化まで漕ぎ着けており、
これは当初の予測を大きく上回る快挙であった。
皮肉にも戦争によって高められた工業力と技術力の産物ではあったが、これにより宇宙開発と地球復興の速度は大きく向上するだろうと見込まれていた。
0416ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:32:03.92ID:fKAbCwxd0
「・・・・・・ちょっといい? なんか格好つけたネーミングの割に堅実というか、地味な手法なのね。なのに目的は壮大でなんかチグハグ?」
「結局のところ救済土木事業の超拡大版のみたいなもんだしな。再構築戦争後の宇宙開拓ブーム、第二次世界大戦直前のアメリカやドイツでみられた経済政策の再現でしかないし、
実際、そこを批判する声も少なくなかったよ。でもまぁ歴史に習うってヤツが一番で、名前は話題性があればいいんだとさ」

これもまた余談だが、ユグドラシル‐プランはその名の通り北欧神話をモチーフとしている。
北欧神話では、宇宙を形作る9つ世界における神々の闘争が主題とされており、全てはやがて訪れる最終戦争で滅び消え去り、より良き新しい世界が誕生するのだという。
ならば今のこの世界は最終戦争を終えたばかりの、いずれ消えゆく世界なのではないだろうか。そして未来に芽生えるより良き新世界の礎ではないだろうか。
そうした想いから新地球統合政府は闘争の終焉を願い、一連のプロジェクトやシステム名に北欧神話由来の名を与えることにしたと、ある女性が語った。
それは未来の全てを遺伝子情報で決定付けるデスティニー‐プランとは対極に位置する、不確かな未来に希望を託す行為であるのだと。

「んで、さっき言った通り亜光速航法は実現した。斥力を利用したスラスターをはじめ新しい技術もどんどん生まれてきて、頭打ちと思われてたC.E.の科学水準は一気に上昇したんだ。
・・・・・・そして、そういうのは新しく建造されたモビルスーツにも搭載されるようになった」
「それって・・・・・・まさか?」

ここで漸く、天津風はシンの言わんとしていることに感づいた。

「俺の機体、お前達に修理を手伝ってもらってる【GRMF-EX13F ライオット・デスティニー】にも、亜光速航法制御装置が搭載されている。
と言っても、デスティニーとかキラのフリーダムみたいな極一部のスペシャルモデル限定だけど」

ユグドラシル・プラン遂行にあたって、どうしても避けて通れないものがあった。
統合政府とそれに付き従う国家を敵視し、テロ行為を散発的に繰り返す危険分子の対処だ。特にオービタルリングと軌道エレベーターは格好の的で、護る為の力が必要だった。
それも圧倒的であり尚且つ長距離高精密誘導高速ミサイルや大量破壊兵器に頼らない、明確な個を備えるプロパガンダとしての力が。
性能や知名度は旧デスティニーや旧フリーダムで必要十分であったがしかし、もとより新時代を担う新地球統合政府が運用する機動兵器として、
いかに高性能であろうとZGMFシリーズやGATシリーズといった「前大戦の遺物」は相応しくないという世論があり、政府は直属の設計局を組織してGRMFシリーズを製造した。
なかでもシン達の機体であるEXナンバーは所謂ガンダム‐タイプのスペシャルMSであり『健全な抑止力』として設計された。最新鋭の装備をしこたま詰め込んだ超戦略級機動兵器(ワン・マン・フォース)の誕生である。
これらには亜光速航法制御装置ヴァルキュリア‐システムや擬似斥力場生成式相転移推進機構サーシファス・スラスター等が積まれ、それまでのMSを全て過去のものとした絶対的戦闘力を誇った。
0417ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:35:03.81ID:fKAbCwxd0
人類の能力を増幅させるパワードスーツから端を発したMSという兵器カテゴリは、遂に究極の領域に一歩踏み出した。
すなわち神の領域に。

「戦争は発明の母って有名な言葉があるよな。同時にさ、戦争って技術を進化させるし、偏在化もさせちまうんだよな。テロ組織との戦いで洗練された新技術は、すぐに戦場の常識になったよ。
ヴァルキュリアを用いた機動兵器達が複数、同一の戦場を闊歩するようになるまでそう時間は掛からなかった」

人類は新境地を目指しながらも、争いを捨てられなかった。
希望と称した理論と技術さえも、人類は争いに組み込んだ。
対話を諦めて暴力を選んだ。
こうしてヴァルキュリアは、特別性を維持しながらも軍事分野に大きく食い込み、普及するまでに至った。
そしてあの時、共振とでも言うべき現象が発生したのはもはや、必然だったのだろうか。

「天津風、お前はどう思う?」
「どう、って・・・・・・」
「俺に話せることはこれで全部だ。どうしてこの技術が生まれたのか、どうして必要となったのか、俺が知る限りはここまでだ」

長々と語ったが、これが今のシンの語れる全てだった。
ユニウス戦役を経て、シンやキラが今ここに存在している理由の発端だ。

「・・・・・・」
「肝心要の、俺達がここに来る直前のことはまだ話せない。キラがストライクに乗ってた理由も、記憶喪失になっちまった理由も、あの小惑星基地のことも、悪いけどアイツが自力で思い出さない限りは駄目だ。
俺はそう決めてる。・・・・・・ここまで聞いてお前は、どう思った?」

言葉に詰まった。
今のシンの説明で、一つの謎が紐解かれたのは確かだ。この世界に厄災を持ち込んだ技術そのものは善意でも悪意でもない、人間社会の混沌そのものであったのだと、天津風は理解した。
以前にシンの言った通りだと。
この現象の元凶は決して、天災でも超常現象でも何でもない、意志ある人の手に依るものなのだと。
これは原始より連綿と続く人類の進化、科学技術の進化、赦されざる業の果てに依るものなのだと。
何が起こったのかは教えてくれないけど、まだ解かねばならない謎は多く残っているけど、想像できるだけのヒントはくれた。それを聞いてどう思ったのかと問われれば、しかし咄嗟に言葉は出てこなかった。

(・・・・・・時空間転移の直接の原因は、闘争だと言うの? それで暴走して、この世界に、沢山の謎を引き連れてやって来た・・・・・・そんなのってないわ。あんまりじゃないの)

ぼんやりと思い浮かんだのは、人類は所詮人類でしかないという、諦観だった。
どんなに高尚なことを言っても、どんなに大層な目標を掲げても、人は争いから逃げられない。そのイデアは揺らがない。人の種の限界を突きつけられている気分で、これではあまりに救いがない。
0419ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:36:34.53ID:fKAbCwxd0
以前に己が発した言葉が脳裏を過ぎる。

『都合のいい、優しいだけの世界なんてないもの。どこも政治的な思惑に満ちてて・・・・・・言葉で、状況で、人は簡単に大きな流れに飲み込まれて――』

ああ。

『この世界も、アナタの世界も、ちょっとだけ何かが違っただけでしかないと思うの。だから・・・・・・そう、アナタの世界もそんな悲嘆することばかりじゃないって、人は過ちを繰り返すばかりじゃないって私は信じてるわ』

慰めのつもりの、勇気づける為の言葉だった。
でも、なんてことだろう。今となってはまるで虚しい。世界に絶望して人間の出来そのものが違うと悟った男に掛けてやるには無力に過ぎる。
今の自分に、シンに言うべき言葉はあるのか?
黙りこくってしまった少女を、シンは静かに見守っている。
しかしその妖しい光を湛えた紅い瞳は、こう語りかけてくるかのようだった。

『お前はもう一度、その言葉を言えるか?』

言いたい。言えるだけの経験と信念がある。けど、言える、と言い切れるだけの自信が無かった。
彼の絶望が解ってしまって、解きほぐすにはまだ力が足りないことに気付いて、言葉に詰まった。
それが悔しくて、哀しくて、天津風は言葉を探して視線をずらした。


「――・・・・・・、・・・・・・え?」


そして天津風は、全く別の要因で、言葉を失った。

「? どうした天津風――、・・・・・・なん、だと?」

不審に思って少女の視線を追ったシンも、同様に。
沈黙が場を支配する。スクリーンの静かな動作音だけがブリーフィングルームに響いた。二人は同じモノを見たまま指先一つたりとも動けなくなった。
すると、

「Es ist ein Notfall! 天津風、シンさん、大変だよ!!」

扉を鋭く開け放ち、エプロン姿のプリンツ・オイゲンが姿を現した。
0420ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:39:13.45ID:fKAbCwxd0
「!? ――な、ぷ、プリンツか。 どうした? お前厨房にいたんじゃ・・・・・・」
「ビックリさせないでよ、もう・・・・・・心臓が飛び出るかと・・・・・・ってか包丁持ってなにやってんの」
「それどころじゃないの!! さっき提督(アトミラール)が言ってたのが聞こえたんだけど・・・・・・衛星が!!」

彼女の言葉と同時に、ブリーフィングルームに変化が訪れた。
ブツリと、佐世保の戦闘模様を映しだしていたスクリーンがブラックアウトしたのだ。一瞬故障したのかと思ったが、隅っこには「信号が入力されていません」と出ていて、つまり。
現実逃避気味に、シンと天津風は嵐によるアンテナの不具合かと思った。
だが違う。プリンツが今まさに言った単語が聞き間違いでなければ、真実は。

「偵察衛星が深海棲艦の攻撃を受けてるって・・・・・・。もう3基も墜とされてるみたいなの・・・・・・」

それっきり三人は何も言えなくなってしまった。
スクリーンが映像を出力することはない。大本を叩かれたのだから、これ以上ここにいる意味がない。
しかしシンと天津風は、縋るようにスクリーンを眺めた。どうしようもないと解っていても、それでも。
プリンツからの報告が大変なことだと理解できていても、それよりずっとショックな光景に心を蝕んでいた。C.E.の昔話に現を抜かしている場合ではなかったのだ。

「そんな、なんで・・・・・・」
「・・・・・・クソ、なんで俺は、こういう時に動けないんだ・・・・・・」

現実はいつだって非情だ。
いつだって祈りは届かない。
今まで大して気にとめていなかったリアルタイムの戦闘映像。
二人が偶然にも、最後にチラリと見たものは。


黒煙を上げて沈んでいく、バラバラになったナスカ級の姿だった。
0421ミート ◆ylCNb/NVSE
垢版 |
2018/06/25(月) 19:43:13.77ID:fKAbCwxd0
以上です。
今回は要望に応えてシンのターン。今回はちょっとお堅いというか、意図的に流れをぶっちぎって歴史の勉強的なお話になりました。
これまでちょくちょく出てきていたガンダム系オリジナル用語の回収と解説を主としました。
ここいらでもう一度、過去のお話に目を通されると面白いかもしれません。
0422通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/25(月) 20:11:12.36ID:PmG/i+ET0
おお、久々に三流F職人さんが来てる
以前投稿されたBFのSS、IGLOOのSS共に好きだったので今回も楽しみにしてます
あとミート氏も乙
今の新人SSスレはさしずめ『天気晴朗ナラズシテ波マタ高シ』な状態ですが、逆風に負けずに頑張ってください
0423通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/25(月) 23:55:25.28ID:occTo1qi0
>>ミート ◆ylCNb/NVSEさん
乙ですー。頭の弱い私は読んでいると頭から黒煙がw
いいヒキですね、シンの話が深まってきたときに衝撃の映像が!という展開が
次回を待ち遠しくさせます。

>>422さん
嬉しいお言葉ありがとうございますー。三流創作者にとってその一言で
モチベーションがストップ高です。近いうちに第二話書きます。
ただ今回は前作二つと違って、ベースにすべき作品が無いので
クオリティ的にはやや落ちるかもしれませんが・・・
0424通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/26(火) 14:24:23.08ID:qf1IhYV70
それじゃ頭文字繋げてもバルキリジャになってしまうが
頭悪すぎだよ
0426通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/26(火) 15:50:09.98ID:kiO4YuQG0
ん?SSに対してのアドバイスを行なってるんだが
読めてないのはお前だよ
0427通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/26(火) 16:37:33.07ID:nRPRvJ/O0
ワルキューレ(北欧神話)で調べればいいよ


ワルキューレ(ドイツ語: Walküre)は、北欧神話に登場する複数の半神。

戦場において死を定め、勝敗を決する女性的存在である。
彼女たちは王侯や勇士を選り分け、ヴァルハラへ迎え入れて彼らをもてなす役割を担ったが、これは尚武を旨とするヴァイキングの思想を反映したものと考えられる。


名称
日本語として定着した「ワルキューレ」は、ドイツ語の Walküre (ヴァルキューレ、ヴァールキューレ)に由来する。
北欧神話の原語である古ノルド語では、単数形が Valkyrja (ヴァルキュリヤ、ヴァルキュリャ)、複数形は valkyrjur(ヴァルキュリユル、ヴァルキュリュル)で、
語義は valr (戦場の死体)と kjόsa (選ぶ)を合わせたもので、「戦死者を選定する女」を意味する。英語では valkyrie (ヴァルキリー)という。
0428通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/26(火) 17:18:27.92ID:pFlvnwAg0
ワルキューレって書くとアイドルっぽい

ヴァルキリアって書くと凛とした女性っぽい

バルキリーって書くとランチおごらされるっぽい
0430通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/26(火) 21:21:36.40ID:kiO4YuQG0
まーたミートの自演養護()か
0432通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/27(水) 07:40:26.79ID:Hsq4OsH90
ひさしぶりに伸びてると見にきたら頭おかしい奴に職人さんが攻撃されてたりしてげんなりする
0433通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/06/28(木) 18:57:02.69ID:m5ptYsDU0
たしかに
野球ss書いてる職人様には頑張ってほしい
ミートみたいな頭おかしい奴に負けて欲しくないな
0437三流(ry
垢版 |
2018/07/02(月) 22:14:01.28ID:OMY+LY1O0
1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第1話 「トオル君は今日も憂鬱」

 宇宙世紀0070、8月。ここオーストラリア、シドニーのバルメイン・プライマリースクール(小学校)
5year(5年生)の教室。
休み時間、教室の一角に出来ている人だかりを眺めながら、日系人トオル・ランドウ君は今日も不機嫌だ。
1週間前までは、あの人だかりの中心にいたのは自分だったハズなのに・・・

 人類が増えすぎた人口を宇宙に移住させて、はや半世紀。地球では世界各都市において「国際化」が
ほぼ円熟期を迎えつつあった。

 かつて人口爆発が起き、難民や移民が急増した時、様々な事件やトラブルはついて回った。
当然である。宗教、常識、文化、風習、貧富、そして倫理観までまるで違う人々が入り乱れては
共存など望むべくもない。
喧嘩、犯罪、テロ、そして組織間の抗争に至るまで、あらゆる問題が政治家たちを悩ませていた。

 しかし、スペースコロニーの技術の確立と、それに伴う移住の開始により、その状況は逆転した。
過密だった地球の都市は、移住によって急にスカスカになってしまったのだ。
人口はもとより、問題となったのが企業や文化の問題だ、新たなフロンティアを求めて宇宙に行ったのは
当然、意欲や才能にたけた、つまりは「時代を作る」野望に燃えた、歴史を動かすような人間たちなのだ。
逆に言えば、地球にとどまる人々はどこか夢のない、無気力で怠惰な人という印象を、なにより
地球に残った人たちがコンプレックスとして感じ取っていたのだ。

 それを振り払うように、地球では海外旅行や留学や移住、国際結婚や国際転勤がブームになっていった。
遠い宇宙に行く人がいるんだから、地球でくらいもっと動こうという感情が、地球に残った人々を
突き動かしていった。
0438三流(ry
垢版 |
2018/07/02(月) 22:14:45.87ID:OMY+LY1O0
 そして半世紀、今やどの国にも、様々な国籍の人間がいるのが当たり前になっていった。
このバルメインの小学校も、地元オーストラリアの生徒は全体のわずか4割という具合だ。
かつては文化の違い(主に海生哺乳類の扱い)でやや嫌われていた日本人も、今は普通に住んでいる。

 そんな中に、この4月から彼トオル、ランドウ君は地元日本から転校してきた。
家庭環境が良かったのもあり、成績優秀、運動神経抜群、健康で容姿も水準以上、
なにより娯楽文化の高いオオサカと呼ばれた都市の出身であった彼は、人を楽しませること、
喜ばせることに長けていた。転入2週間で彼はすっかりクラスの人気者になっていたのだ。

 しかし、1週間前に転入してきた生徒が、彼の立ち位置をひっくり返してしまった―

「今日は転入生を紹介する」

 その先生の一言に、当然生徒は興味津々となる。いつの時代も転校生は注目の的だ。
しかし先生が続けて言った言葉に、その興味は天井知らずにハネ上がる。

「なんと彼女は、スペースコロニーから来たんだぞ、さぁ、入ってらっしゃい」
教室から歓声が沸く。地球間ならいざ知らず、スペースコロニーからの移住とは本当に珍しい
本来永住が基本のいわゆる「スペースノイド」が、地球に出戻るのは非常にまれである。
この教室にいる生徒全員が初めて見る、宇宙生まれの宇宙育ちの人間に、全員の注目が集まる。

その生徒がドアを開け、その姿を見せた瞬間、全員の息をのむ音が聞こえた・・・気がした。

緑がかった金髪、ゆるくウェーブのかかったその個性豊かな色の髪の毛。白い肌そして琥珀色の瞳
明らかに自分たちとは違う「人種」、それは宇宙人というより、おとぎ話に出てくる森の妖精を
イメージさせた。男子からは驚愕のため息が、女子からは黄色い歓声が沸く。
0440三流(ry
垢版 |
2018/07/02(月) 22:22:51.48ID:OMY+LY1O0
「セリカ・ナーレッドといいます、サイド2から来ました、よろしくお願いします」
やや宇宙訛りのある、透き通るような声で挨拶する少女、一呼吸遅れて教室に響く拍手。
そんな中、トオル君だけは不機嫌だった。自分が転入してきたときのパフォーマンスを
外見と出身地だけで上回られた。しかも名前もセリカ(天空)と来たもんだ、宇宙人の名前として出来すぎ!

だが、彼にとっての屈辱はここからがスタートラインだった。

 体育の授業、今日は走り高跳びのテスト。高さを生徒自身が決めて飛ぶ形式。
トオルの記録は100cm、平均身長130のクラスにあって、3ケタをクリアできるのはわずか3人
彼以外は全員身長150cmを超える男子生徒だっただけに、トオルも評価はクラス1だった。

「125cmでお願いします」
「「は?」」
生徒と体育教師が固まる。ほとんど自分の身長と同じ高さを申告する転校生少女に全員の注目が集まる。
金緑のウェーブの髪の毛を両端でツインテにまとめ上げた彼女は、そのまま軽やかにバーに駆け寄り
その身を躍らせる、まるでオリンピックを見ているような華麗な背面飛び。
バーのスレスレ上を反り返った彼女の最高点、首筋〜肩甲骨〜背腰〜お尻〜膝〜足先となめるように
クリアしていく、足をバーから抜いて背中から着地すると、そのまま反動を利用して後転して立つ、
歓声と拍手が巻き起こったのは言うまでもない。
「すっごおぉぉい!」
「やっぱ宇宙で過ごしてるから、空中で体を動かすの得意なんじゃない?」
「ホント、まるで宇宙遊泳みたいだよな」

「同じでお願いします!」
対抗意識を燃やしたトオルがバーに突っ込んで、違う意味でウケたのはその1分後であった。
0441三流(ry
垢版 |
2018/07/02(月) 22:23:23.53ID:OMY+LY1O0
 言語の授業、今日はそれぞれ母国語以外の言葉で役のセリフを朗読する、今回のお題は「赤ずきん」。
「オオカミはランドウ頼む。赤ずきんはそうだな・・・ナーレッドさんにやってもらおうか」
彼女以外は先生の意図をすぐに理解した。ことセリフの演技力においてトオルに張り合える生徒は
このクラスにはいなかった。そのまま声優として使えそうな大仰な喋りもトオルの得意技の一つだ。
彼女がこの朗読の授業において、照れ臭さから棒読みになるのを防ぐための人選である。

「それはね、お前の声をよく聞くためさ」
朗読しながら、トオルは勝ちを確信していた。見てろ、体育では不覚を取ったが、この授業なら・・・
「じゃあ、どうしておばあさんのお口は、そんなに大きいの?」
キタ、ここが勝負だ!さぁ俺の演技を見て驚けっ!
「それはねぇ・・・お前を、食べるためさぁーっ!」
静から動への声の動き、流れ、迫力、声量、どれをとっても文句なし完璧!
さぁ俺の演技にひれ伏せっ!!

「ひ、ひぃやぁあ・・・きゃあぁぁーーーーーーーーーーーっ!」
教室にいた全員がその悲鳴を聞いて引きつる、本当に命の危機に瀕したような、絹を引き裂く乙女の悲鳴。
トオルも皆も、あまりのリアリティに次のアクションが全く起こせなかった。その硬直を破ったのは
隣の教室から何事かと駆け付けた生活指導の先生だった。
「あ、すいません・・・下手でしたか?」
困惑した顔で見まわすセリカ、そのアクションでようやく我に返る生徒たち。
生活指導の先生が呆れ顔で帰ると、ようやく教室に拍手が巻き起こった。

おかげでしばらくの間、トオルは襲い掛かるイメージを植え付けられて、女子から距離を取られる始末だ。

まぁ一事が万事この有様で、1週間ですっかりクラスのスーパーガールの地位を得たセリカの周りには
人だかりが絶えなかったというわけだ、そして現在、トオル君は不機嫌だ。

「(くそ、あの宇宙人め・・・今度こそは)」
そんな対抗心を燃やすトオルに気付いて、セリカはトオルに薄い笑顔を向けて手を振る。
「(うぁ、むかつく!余裕かましやがってぇ〜〜)」

その対抗心が、二人を結びつける「縁」になることを、「トオル」はまだ知らない・・・
0442三流(ry
垢版 |
2018/07/02(月) 22:25:08.06ID:OMY+LY1O0
1話ですー、難産でした、いやマジで。
大筋が出来上がってる話なのですが、冒頭の「入り」がここまで難しいのも初めてだ。
なんせオリキャラしかいない世界ですからねぇ・・・いいのかこれw
0443通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/02(月) 23:04:01.13ID:8oFQfGT90
乙です
まさかの甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガールの予感。シャリア・ブルの悪夢との関係が気になりますね

ガンダムの外伝モノなんてオリキャラ作ったもん勝ちみたいなもんですよ
0444通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/03(火) 18:20:58.35ID:R/ihs9D90
三流(ry氏乙です
前回とはがらりと変わってボーイ・ミーツ・ガール的な展開ですが場所がシドニーというのが気になる…
あとトオル君演技に気合入れ過ぎw

でもこのシリアスとコミカルの絶妙な配分こそが三流(ry氏の持ち味か
続き待ってます
0445三流(ry
垢版 |
2018/07/06(金) 13:02:04.56ID:5M3D7gNe0
>>443
>>444
感想ありがとうございます。しばらくは「そういうお話」になりますw
一向にガンダムらしい話になりませんが、まぁそれは助走ということで
納得していただければ幸いです。
台風で仕事が休みだったので2話書きました、投下します。
0446三流(ry
垢版 |
2018/07/06(金) 13:02:43.81ID:5M3D7gNe0
1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第2話 「二人三脚」

 昨日も、今日も、おそらく明日も、トオル君の奮闘は続く。
転校生、セリカ・ナーレッドに勝つための、無駄な努力という名の奮闘が。

 ドッジボールの授業、セーフティエリアにはすでにセリカ一人、しかし四方からの球を
まるで全て予知してるかのような彼女の動きに誰一人命中させられない。
やがてボールを奪われると、やはり相手側で唯一人セーフティにいるトオルに四方から攻撃が来る。
持ち前の運動神経でボールから逃げつつ、カットする機会を伺う・・・が、
セリカの「カットすれば至近距離の私に当てられるよ」とでも言わんばかりの位置取りに
欲を出して無理に捕ろうとしたボールをこぼす、試合終了。

 写生遠足の水彩画、ほとんどの絵が教室の後ろに張り出されているが、トオルの絵は職員室の一角に
数枚の絵とともに掲示されていた。
で、セリカの絵だけは校長室の応接椅子の上にあり、来客者を驚嘆させていた。
ニュージーランド遠足、ほとんどの生徒がナウルホエ山を描いてたのに、セリカだけはキゥイ鳥の絵
躍動感のあるその絵は数ある山の絵を圧倒していた。

 水泳の時間、今度こそ勝つ!と息巻いているトオルだが・・・
水着姿のセリカは、森の妖精から水の妖精に早変わりしたような見事なしなやかな泳ぎを見せ
皆を魅了していた。まぁ元々カナヅチのトオルに勝ち目はなかったわけだが。
結局、雪辱を果たせないまま6year(6年生)に。ご丁寧に今年も同じクラスだ。

 トオルが「それ」に気付いたのはそれから1か月たった頃だった。
休み時間、セリカの周囲には誰もいなかった。あれ、取り巻きどこいった?
相変わらず彼女はスーパーガールっぷりを発揮しているし、それをハナにかけることもなく、愛想もいい。
むろん森の妖精のような美貌も変わることは無い、じゃあ一体なぜ?
0447三流(ry
垢版 |
2018/07/06(金) 13:03:35.62ID:5M3D7gNe0
「あー、あいつといると、なぁ。」
いつの間にか自分の周囲に戻った取り巻きの一人、チャンはこう語った。
「なんかさぁ、自分が『脇役』みたいな気がしてさぁ、空しいんだよな」
転校以来の友人ジャックが続ける。
「誰にでもひとつくらい得意なもんあるだろ、これなら負けない、ってヤツ。
でも彼女はそれすらあっさり負かしてくれるからなぁ・・・自信無くすんだよな」
クラスの委員長、ミアが付け足す。
「なんかすごい記録とか出しても、全然喜ばないっていうか、あっさりしてるのよね
気取ってるわけでもないし、『特別』な感じがして、近くに居づらいのよね」
最後に全員が声をそろえて言う。
「「というわけで、頑張れよな、お前が頼りだ!」」

 セリカを見る、こちらの視線に気づいて笑顔で手を振る。
取り巻きが離れていったことも、対抗意識を燃やされていることも、今の会話も全部知ってて
平然としているその姿は、確かに特別と言うべきものだろう。寂しくないのかなアイツ・・・

 それからもトオルの挑戦は続いた。しかしそれは以前のような自己顕示欲からくるものでは
次第になくなっていき、むしろ相手のセリカという女の子を知るためのコンタクトになっていく。
無敵の彼女がもし負けたらどういう反応をするのか、勝つたびに孤独になっていく彼女が
何を求めているのか、そんなことを考えながら今日も黒星を重ねていく。

そして一年は駆け足で過ぎ去っていった。
0448三流(ry
垢版 |
2018/07/06(金) 13:08:32.44ID:5M3D7gNe0
 「二人三脚は、そうだな、ランドウとナーレッドに頼もうか」
 卒業間際のスポーツコンペ(運動会)、種目分けに対する先生の提案にクラスは大賛成だった。
当クラスの名物女子+男子の組み合わせ、教室に冷やかしの口笛が沸く、ヒューヒュー。
照れながら周囲に食って掛かるトオルに、笑顔で「がんばろうね」と答えるセリカ。
そういや彼女とは張り合ってばかりで、一緒に何かするのは初めてな気がする。
ジュニアハイスクール(中学校)に上がると、勉強以外は男女は別々に評価される、
まぁ・・・最後にこういうのもいいか、と思うトオルであった。

 さすがに二人三脚ともなると練習は必須だ。天才と秀才の組み合わせとはいえ、
息が合わなければ凡人&凡人にもぶっちぎられるのがこの種目だから。
しかし真の天才にはそんな心配すら無用だった。イチ、ニ、イチ、ニ・・・
掛け声とともに走る二人は全く乱れない、トオルのペースにぴったり合わせるセリカ
バランスを崩すことすら全くないまま5往復を走り切る。
「本番、頑張ろうね」
笑顔でそう言うセリカに、トオルはこう問うた。
「お前さ・・・面白いか?そんな何でも完璧に出来て。」
「え・・・?」
困惑する表情を見せるセリカに、あわてて否定するトオル。
「い、いや、何でもない、忘れろ!」
慌てて足のヒモをほどき、その場を離れるトオル、まずいこと言っちゃったかな・・・
0449三流(ry
垢版 |
2018/07/06(金) 13:09:25.57ID:5M3D7gNe0
 コンペ本番、各クラスとも拮抗したスコア、後半の二人三脚も得点的には重要だ。
しかしクラスの期待はそこには無かった、天才少女がまた天才ゆえの強さを見せるのかという
冷たい視線に、天才の大コケを期待する凡人の暗い願望というエッセンスがわずかに混ざった空気。
スタートラインに向かう二人に応援は無い、さすがに鈍いトオルもこの空気に気付く。
「なんだ、アイツら・・・」
カチンときてクラスの集団を睨もうとしたトオル。ふとその腕を掴む隣の女の子。
「だめだよ、怒っちゃ」
「・・・え?」
笑顔でトオルをなだめて続ける。
「私は面白かったよ、この一年半。トオルがずっと対抗心剥き出しで挑んできてくれて。」
その言葉が先日の失言に対する答えだということはすぐわかった。

「今日はどうやってトオルに勝とうか、明日はどんな勝負をするのか、ずっとワクワクしてた。」
「え・・・そんなに対抗心剥き出しだったっけ、俺」
赤くなって返す。まぁ対抗心は否定しないけど、女子相手だし、なるべく気付かれないように挑んだ
つもりだったんだが。
あれで〜?、とクスクス笑うセリカ、こんなかわいい笑顔で笑う彼女を見るのはもちろん初めてだった。
ああ、そうか、張り合う相手が欲しかったんだ、この子も。

スタートラインに立つとトオルは右手を上げ、高らかに宣言する。
「全力疾走!いくぞーーーーっ!」
二人三脚で全力疾走とか無謀の極みでしかない。が、隣にいるセリカがそれに続く。
「おーーーーーーーーーーっ!」
グラウンドに、ええーーーっ!という驚愕の声が湧き上がる、否応なしに注目が高まる。
0450三流(ry
垢版 |
2018/07/06(金) 13:10:34.25ID:5M3D7gNe0
「レディ・・・GO!」
教師のピストルと共に全クラス一斉にスタート、と同時に弾丸のように飛び出す一つの塊。勿論セリカ・トオル組。
内側の足をお互い結ばれているのもお構いなしに雄叫びを上げ全力疾走するトオルと、
それに重なるように手足をぶん回す、笑顔の金緑の髪の少女。
「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「あはははははははは・・・」
一年の総決算のように並んで走る二人、まるでルームランナーの横に鏡を置いて走ったら
こういう絵になるかのような見事なシンクロ、しかも両者全力疾走、他の参加者をぶっちぎり、見る者すべてが
声援を送る。そう、声援。天才だろうが何だろうが、全力で頑張るものには誰しもそれを送りたくなるもの。
出走前の空気はどこへやら、場内は純粋な興奮と期待感に満ち溢れていた。

 ゴール直前、そのバランスが崩れる。どちらがミスしたのかはわからない。
ただ、競技の性質上それはありうる事ではあった。問題は二人が全力で走っていることだ。
もつれ合い、転がりながらゴールラインを割るカタマリ、砂ぼこりを上げてようやく止まる、
上にあるのは金緑の髪、その少女の下敷きになっている男子、とっさの事とはいえ、しっかり女の子を
かばって抱き支えている。

「大丈夫か?」
先生が心配そうに駆け寄る。
「あたた・・・何とか」
セリカにのしかかられながら、何とか身を起こすトオル。セリカはというと、トオルの胸に顔を埋めて動かない。
「おい!」
心配そうに語気を強めるトオル、その声にこたえて顔を上げるセリカ。
「・・・大丈夫?」
「それはこっちのセリフだ」
至近距離で見つめ合う二人、やがてセリカがクスクス笑いだす。
「うん!楽しかった。」
花が咲いたような、満面の笑顔で答えるセリカ。その笑顔と、重ねた体から伝わる彼女の体温に
血圧が急激に上がった気がして狼狽するトオル。
0451三流(ry
垢版 |
2018/07/06(金) 13:22:56.82ID:5M3D7gNe0
その真っ赤な顔を見て、周囲の面々が一気に冷やかしの言葉をかける。
「初めての共同作業お疲れー」
「魅せるねーお二人さん」
「どっちが押し倒したのー?」
「ここに教会を建てよう」
「式はいつ挙げるのー?」
「1着記念にキス!キスしなよっ!!」

「だぁーっ!やかましいぞお前らっ!」
慌ててセリカから離れ、1着の旗に向かうトオル、もちろん耳まで真っ赤だ。
と、その横に並び、腕を組んで微笑むセリカ、焼け石にバーナーとでも言うべきか。
「だから、ひっつくなって!」
照れるトオルを無視してその口元を耳に近づけ、ささやくセリカ。

「(今日はトオルの勝ちだね)」
二人にだけは分かっている。今日、最後にバランスを崩したのはどちらなのか。
そして、その言葉を聞いた瞬間、トオルのある「枷」が外れた。
目の前の女の子は「勝たねばならない相手」から、「近しい可憐な少女」へと代わった。
そしてそれは、ほんの一呼吸おいて「初恋の少女」へと変わる。

 ―そして二人は、プライマリースクールを卒業する―
0452三流(ry
垢版 |
2018/07/06(金) 13:39:32.25ID:5M3D7gNe0
2話でした。あー尻が痒いw
なんかもう「こんな小学校生活送りたかった」な気分で書きましたorz
3話から少しづつ物語が動く・・・といいなぁw
0453通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/06(金) 20:44:00.88ID:gKj/1dXd0
乙でした、そして二人とも爆発しろw
でもこの流れだと結婚式の花嫁花婿の正体はこの二人で決まりなのかな?
もしそうなら…
0454三流(ry
垢版 |
2018/07/08(日) 23:55:10.98ID:OTTs80Ri0
>>453
一行目、その言葉を待っていた!予言乙ですw
連日の豪雨、このスレの皆は大丈夫でしたか?
私は大雨で仕事がはかどらず、執筆がはかどりました(ダメ人間)
3話いきます
0455三流(ry
垢版 |
2018/07/08(日) 23:55:51.68ID:OTTs80Ri0
1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第3話 「boy leave girl」

「というわけで、ぜひお宅の息子さんをウチに預けてはみませんか?」
ジュニアハイスクールに入学前の休み期間、ランドウ家を訪れた黒服の男は、トオルと両親に語る。
なんでも「能力開発機関」と称する、優秀な生徒を集めて育てようという組織のスカウトとして
ウチに来たらしい。
「専門的なスタッフと完璧な育成システムによって、必ず息子さんをエリートに育ててみせますよ。」
説明は饒舌だが、どこか熱量に欠ける声で語る黒服。セールスマンなら落第点の域だろう。
「しかし、この入学費と学費では・・・」
父親が返す。その費用は明らかにランドウ家のキャパを超えるものであった。

「まぁ、即お返事を頂きたいとはいいません、入学までに結論を出して頂ければいいですよ
その気になったならご連絡はこちらまで。」
そう言って名刺を置いて腰を上げる黒服、そのまま挨拶をしてランドウ家を後にする。

「で、お前はどうなんだ?トオル。」
「んー、興味はないよ、普通にジュニアハイスクール行きたいし。」
一緒にいたい娘もいるし、という本音は心に押し込める。
「まぁ、それがいいわね、なんかちょっと信用できないし、あの人。」
母親が返す、どうやら一家の結論は出たようだ。
それぞれが解散する中、トオルはテーブルに残った名刺を取り、目を通す。

―特殊能力研究開発機関、広報、リビル・イレイズー
TEL×××−×××××−××
名刺をひっくり返す、ウラには小さい文字でこう書かれていた。
―代表者:フラナガン・ロム―

特に何の感慨も沸かず、まぁそれでも自分を評価してくれた人の名刺だと思い、机の引き出しに仕舞う。
そんなことよりいよいよ中学生、もうすぐ新しい生活が始まる。アイツと一緒に。
0456三流(ry
垢版 |
2018/07/08(日) 23:56:38.39ID:OTTs80Ri0
 入学式。どこにも、セリカ・ナーレッドの姿は、無かった。

 色あせる、景色が、学校が、クラスが、新しいクラスメイトが、級友が、教師が、先輩が・・・
これから始まるジュニアハイスクールの生活が、トオルの目にはモノクロに移った。
文字通り「色」を失った世界に。
 旧友の誰も、彼女の行方は知らなかった。むしろ彼らもてっきりこの学校にセリカも
来るものだと思っていたらしい、委員長だったミアすら彼女が来ないとは思わなかったと言う。
プライマリーの担任教師を訪ねても返事は同じだった。

聞きだした住所、アパートの一室はすでにもぬけの空だった。
まるで雲隠れのように、こつぜんと姿を消した、金緑の髪の少女、トオルの初恋の人。

 それでも時は進む。新たな生活、勉強、運動、部活、イベント。
トオルは相変わらずトップクラスの成績を維持してはいた。しかしこの年齢になると
全てが突出して、とはいかなくなる。それぞれ突出した個性が芽吹くこの時期、
ジャンルのそれぞれにおいてトオルが敵わない生徒も徐々に増えていく。

 もし、俺の近くにアイツがいたらどうだろうな、そんなことを考える。
アイツはそれでもクラスのスーパーガールの地位を維持できるだろうか
俺はアイツに張り合って今より上に行けただろうか、なぁ、セリカ。

「まぁ、アイツに比べたら、敵わない相手じゃないかなって思うんだよ、オレ。」
チェスが得意だったキムは、すでにテーブルゲーム部のチェス部門でトップクラスになっている。
「先輩との差は感じるけど、アイツほど圧倒的に引き離されている、って感じはしないしな。」
フットボール部に入ったジャックは、一年にしてすでにレギュラーポジションを獲得していた。
「彼女と張り合うことを考えたら、まだ上級生と競うほうがマシかな。」
マーチングを始めたミアは、カラーガードの一角を担うほどの腕になっていた。

 アイツがいなくなってもう半年なのに、みんななんだかんだ言って、あの天才を忘れていないんだな。
そして彼女を指標にして、自分を鼓舞することで自己を高めている。
そういった影響をみんなに残すだけでも、やっぱ天才だよ、アイツは。
0457三流(ry
垢版 |
2018/07/08(日) 23:59:55.34ID:OTTs80Ri0
−天才?−
トオルの脳裏に何かが引っかかる、天才のセリカ、失踪、入学前、スカウト、能力開発機関・・・
「ああーっ!」
立ち上がり、悲鳴に似た声を上げる。そうだ、入学の少し前、ウチにも来たあの男、あの組織。
俺のところに来たんだ、セリカのところに行ってないはずがないじゃないか!
どうして気付かなかった、どうしてあんな胡散臭そうなところに、どうしてあんな高額な学費の・・・
そこまで考えて気付く、奴らの目的はもともと俺じゃなくてセリカなんじゃなかったのか、
俺はあくまで「ついで」、あるいは隠れ蓑でしかない、だから断るのを見越して
あんな高額な学費を提示したんじゃないのか、彼女には学費なんて要求しなかったんじゃないのか。

 終業後、家に飛んで帰る。確か机の引き出しに名刺があったはずだ。
部屋に飛び込んで机の引き出しをひっぺがす。あった!携帯でふるえる指でダイアルする。
『当電話の通話先はスペースコロニー・サイド6方面となっております。通話をご希望なら、料金はー』
電話を切る。愕然とする。嫌な予感はあった、しかしまさかスペースノイドの組織だとは・・・
手が届かない、宇宙はトオルにとって遥かに遠い場所、絶望感がトオルを苛む。

そして確信する、連中の目的はセリカであったこと、おそらく俺と出会う前、彼女が宇宙にいたころから
ヤツラは彼女に目をつけていたこと、そう確信させるほどセリカが天才だったから。
 ふとトオルは、授業で習ったことを思い出していた。サイド3の首相、ジオン・ダイクンが提唱した
新たな人類の進化系、宇宙に適合し、進化した人類。
−ニュータイプ−
もしセリカがそういった人種なら、すべて納得がいく。彼女の天才っぷりも、組織に目をつけられたことも。
そして俺には、文字通りはるか遠い空の上にいる『高嶺の花』だったことも−
0458三流(ry
垢版 |
2018/07/09(月) 00:01:00.65ID:xoCBmPKV0
 魂が抜けたように肩を落とし、トオルは歩く。日の暮れかかった道を、彼女の思い出を探しながら。
気付くとプライマリースクールに来ていた。ここにもすでに彼女の面影はない。
紅に染まる運動場、そう、何度も彼女と張り合った場所。高跳び、ドッヂボール、そして二人三脚。

−今日はトオルの勝ちだね−

あの日の事を思い出す。初めて聞いた彼女の本音、初めて勝った勝負、そして、初めて抱いた恋心。
トオルの中で「何か」が動いた。そう、もう一度彼女に会いたい、もう一度彼女に勝ちたい。
じゃあどうする?答えは簡単だ。彼女のもとに行けばいい。なんだ、簡単なことじゃないか。
どうして無理だと思っていたのか、宇宙が遠いから?シャトルで行けるじゃないか。
行く期間は?夏休みを使えばいい。どうやって探す?名刺あるじゃん。お金はどうする?―

 次の日、部活(JUDO部)に休部届を提出するトオル、フリーアルバイト雑誌を手に仕事を探す。
「待ってろよセリカ、どうせ俺は宇宙に行けないとか思ってるんだろ、ギャフンと言わせてやるぜ!」
モノクロだった景色が極彩色に戻っていく、凍っていた体に血が通っていく、魂の焔が再び灯る。
トオル・ランドウの物語が、再び動き出す−

3話でした。やれやれ、ようやくガンダム要素が入ってきたw
0459通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/09(月) 19:26:27.84ID:s8QC4IJH0
乙でした
フラナガン、そしてサイド6
この二つの単語が登場したことで一気にガンダムらしくなってきましたなあ
そしてトオル君、彼女に会いたい一心でサイド6まで行く決断をするとは凄いのか、それとも単に無鉄砲なだけなのか
でも宇宙世紀の若者なのにギャフンという言葉はちょっと…いや、一周回ってありなのか?

>豪雨
直撃した地域ではありませんがあれこれと大変でした
個人的には仕事帰りに土砂崩れで道がふさがれたのを雨の中自力でどかす羽目になったのが修羅場でした
(おかげで体の節々がまだ痛い)
三流(ry氏、そして他の皆さんもご自愛ください
0460三流(ry
垢版 |
2018/07/14(土) 01:41:08.81ID:XV1w1Mtw0
>>459
感想どうもです。
トオル君の旅はここから少々困難を受けます、まぁまだ13歳ですしw
ギャフンは3周くらい回ってますねwただ、セリカをやり込めたいわけでもなく
ちょっとだけ勝ちたいわけでもない、その絶妙のさじ加減の表現として
ギャフンって丁度いい言葉だと思うんですよ。

4話書いてたらメモ帳がトビましたorz
結構書いてたのに泣きたい・・・
0461三流(ry
垢版 |
2018/07/14(土) 11:19:13.22ID:XV1w1Mtw0
休みなんで書き直しました。消えるうちにとっとと投下

1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第4話 トオルの3年、トオルの旅

 スペースコロニー、サイド6。それはジュニアハイスクール1year(中学一年)のトオルにとって
遥かに遠く、到達は困難を極める場所であった。

 まずは旅費の問題、13歳を雇ってくれるアルバイトなどそうはない。通信が発達した現在
古来よりのお約束であるニューズペーパーの配達は消滅しているし、ストア等の店員も
ハイスクールからでないと募集が無い。
 そして最大の難関、親の説得。この年齢では単身で海外旅行すらありえないのに
よりによって宇宙まで行こうというのだからそりゃ反対される。
ましてその目的が『女の子に会いに行く』なんだから、どう切り出したものか・・・

 結局、嘘偽りを言わず、正直に両親に伝える。プライマリー時代のライバルだった
女の子に会いたくて行くこと、おそらくはあの「機関」の養成学校に入学したこと、
彼女がその価値のある本物の「天才」だということ、なにより自分自身が彼女に
会いたいという気持ちが消えないこと。

「しかし、それは学業をおろそかにしていい理由にはならんぞ」
父親は言う。部活に退部届を出したことはすでに家にも連絡が来ている。
行くために今の生活を犠牲にするなら行かせるわけにはいかん、と言うことだろう。
「宇宙でしょ?遠いのももちろんだけど、危険よ、なによりもまずは。」
母親が語る、母にしてもスペースノイドは親の世代からスペースノイドである。
治安、社会的なモラルの違い等から、スペースノイドからのアースノイドに対する反発心理、
さらにはジオンを称するサイド3と地球連邦との政治的対立による緊張、心配事は挙げればキリがない。
0462三流(ry
垢版 |
2018/07/14(土) 11:19:44.37ID:XV1w1Mtw0
 トオルは返す。それでも行きたい、アイツに会いたい、隣町だろうが木星だろうが関係ない
自分がそう思うから会いたいんだ、と。
アイツが今どうなってるのか知りたい、あるいは他のエリート達に囲まれて、自分のことなど
ハナにもかけなくなっているかもしれない。他の天才たちに負けて自信喪失し、かつての
輝きを失っているかもしれない。あの怪しい連中の悪い意味での実験台になってるかもしれない。
それを知るためにどうしても行きたい、と。

 トオルの熱意に押されて両親はしぶしぶ妥協する。部活に復帰し、なおかつ学校生活をやり切ること
それらを達成し、ハイスクールの受験に合格したら、卒業後の夏休みに行くことを許可すると。
その際、旅費もできるだけ援助することを約束する。
両親にしてみれば、3年もすれば熱意も冷めるかもしれない、こちらで好きな娘でもできれば
その子を思い出にできるかもしれない、そんな期待も半分はあった。
 しかし残り半分は、我が子にその思いを貫いてほしい気もあった。あの子供だったトオルが恋を、ねぇ。
息子の成長を喜びつつ、その願いをかなえてやりたい、しかしハンパな決意では叶えさせない、
やるならとことんやってみろ、という親からの宿題の意味もあった。

 そしてトオルには、そんな両親の期待に応えるだけの気骨が確かにあった。
JUDO部に復帰すると、1年の終わりには体重別の代表に選ばれるまでになる。
もともと運動は得意なトオルだ、あまり武道に熱心でないスクールにおいて頭角を現すのは
困難なことではなかった。
 勉強の方も優秀だった。いや、優秀にならざるをえなかった、というべきか。
目的があの天才に会うことである以上、自分が落ちぶれるわけにはいかない。
いざ再会した時、学業が落ちこぼれでした、ではカッコつかないにも程がある。
0464三流(ry
垢版 |
2018/07/14(土) 11:23:35.81ID:XV1w1Mtw0
 もうひとつ、友人に恵まれていたことも大きかった。
キム、チャン、ジャック、ミア。ともに彼女を知るクラスメイトには色々事情を話していた。
「マジか!伝説の戦い再びだな。」
「宇宙まで負けに行くとはご苦労なこった」
男どもの感想にミアは(子供ね)という呆れ顔を見せる。今後、女の子の扱いには私の
アドバイスが不可欠だなこりゃ、と。
ジャックはアルバイトを紹介してくれた。彼の父の経営するエクステリア会社。
会社と呼ぶには小さすぎる個人経営だが、それだけに人手は常に足りないのが現状だ。
ジャックもしょちゅう手伝いに駆り出されるが、そこで出るお駄賃は立派に
アルバイトと呼べる額があった、あくまで名目はお駄賃だから、学校の許可も必要ない。

 こうしてトオルは3年間を勤め上げる。受験に合格し、十分な旅費の貯金もたまった。
JUDOの部活でも州大会でベスト4入りを果たすまでになった、
今も活躍中であろうセリカに負けないようにと、3yearでは生徒会長も務める。
もはやスクールでトオル・ランドウの名を知らないものはいないほどになっていた。
そんなトオルに惹かれる女の子は多かったが、その障害はミアはじめ旧友たちが
やんわりと取り除いていった。ある意味ひどい友人達である。

 そして「その時」が来る。トオルの3年間の総決算、旅立ちの時が。

 宇宙行には両親、友人たちから恩師の先生、果てはトオルに恋し破れた女子たちまで
見送りに詰め掛けてくれていた、まるでちょっとしたVIP扱いである。
しかし横断幕はどう考えてもやりすぎだろう・・・

−サイド2からのシャトルが接岸しました、お出迎えの型は8番ゲートまでお越しください
 なお、このシャトルは、サイド6行きとなります、ご搭乗の方は8番−
0465三流(ry
垢版 |
2018/07/14(土) 11:24:40.51ID:XV1w1Mtw0
 トオルの乗るシャトルが到着する。ゲートから降りてくる乗客、彼らが降りた後、
自分はあの船で宇宙に行く。アイツがいるあの空へ・・・
「じゃあ、気をつけてな」
「危ない所には近寄らないのよ」
親と別れの挨拶をする。
「しっかりやってこい」
「結果報告、よろしくな」
「彼女の写真、送ってね〜」
友人たちから激励を受ける。
「みんな、ありがとう。必ず目的を達成するよ!」
一人一人と握手をし、最後に右手を挙げてエスカレーターのステップに足をかける。

−3年越しのトオルの旅が、始まる−


「あ、やっぱりトオルだ!久しぶりっ♪」
対面のエスカレーターから降りてくる少女に声をかけられる。あれ?なんか聞いた声・・・
ゆるくウェーブのかかった金緑の髪を揺らし、エスカレーターから飛び降りてトオルの前に来て手を取る。
「忘れちゃった?わたし、ほらほら。」
「い、いや・・・そりゃ覚えてるけど、なぁ。」
絶句しつつ見送りの連中に目をやる。いぶかしげな両親の横で、旧友たちが腹を抱えて笑い転げている。
というかなんで君がここにいるんだよ!
「あれ、トオルこれから宇宙旅行?せっかく会いに来たのに・・・」
見送りの連中を見やり、事情を半分察する。心底残念な表情を見せるセリカ・ナーレッド。

−こうしてトオルの旅は、始まることなく終わった−

4話でした。酷い話ですが今後の伏線の一つでもありますw
0466通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/15(日) 18:12:26.28ID:UtaReFT70
ワロタ
3年間の努力が完全に無駄骨やんw

あとセリカ、会いに来たって言ってるけど目的は何だろう
何気に気になる
0467通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/15(日) 23:06:06.59ID:s0xaqCKW0
乙です

しかしまぁ、彼女はもう「ナニカサレタ」可能性もあるわけですよねぇ、現状のところは
0468三流(ry
垢版 |
2018/07/18(水) 01:44:14.18ID:1amxvnQo0
>>446
>>447
感想どもです、次の話はお二方の疑問に対する回答になってます。
というわけで第5話・・・

1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第5話 あっちむいて、ほいっ!

 夏の終わりの海岸線、太陽を受けて輝く波の反射を浴びつつ、堤防の上を歩く二つの影。
3年ぶりに再会を果たした少年と少女、トオル・ランドウとセリカ・ナーレッド。
少し気恥ずかしそうなトオルに対して、先を歩くセリカは上機嫌。
クルリと振り向き、トオルに向き直って話す。
「夕べは楽しかったね♪」
「・・・あの状況を楽しめるお前に感心するよ。」

 昨日、まさかの再会劇となった二人。結局そのまま両親や友人たちなど、周囲の人間を
巻き込んでの再会パーティに突入してのどんちゃん騒ぎ。
当然トオルとセリカは上座に祭り上げられ、さんざんツマミとして冷やかしの対象にされた。
そんな中でも、セリカはあっさりトオルの両親や友人たち、恋敵であるはずの女子たちと
打ち解けていった。
 そして今日、周囲の連中の強引な誘導により、二人はこの海岸線に放り出されたのだ。
連中の目的は見え見えだ。外堀が自分から埋まっておいて本丸から敵陣に告白させるっておい・・・

「でもお前、なんか変わったよな。」
「そう?」
昔のセリカは、周囲に対して愛想笑いこそ浮かべていたが、積極的にコミュニケーションを
取るほうではなかった、しかし昨日は自分から押せ押せで打ち解けていくように見えたから。
「むしろトオルだよ、変わったのは。ずいぶんたくましくなったんじゃない?」
「え!そうかな?ま、まぁJUDOとかやってるし、な。」
「へぇー。で、私はどこが変わった?」
スカートをなびかせ、クルリと1回転して自分を見せるセリカ。
「(いや、変わったのは性格のことなんだが、まぁ見た目も・・・)」
身長比は昔とそう変わらないのだが、その体は明らかに女性としての成長が見て取れる。
初恋の相手は、再会してみると直視がきつい程に「異性」を意識させた。
0469三流(ry
垢版 |
2018/07/18(水) 01:45:05.20ID:1amxvnQo0
「ねぇ、どこどこ?」
腰を曲げ、トオルに顔を近づけて回答を迫るセリカ。
「まぁなんつーか、愛想よくなったっていうか、あっさりみんなと打ち解けたよな。」
「あ、そっか。」
ひと息ついて続けるセリカ。
「成長したんじゃなくて、要領がよくなっただけだよ。」
「それを成長って言うんだと思うぞ。」
「・・違うよ」
少し表情を曇らせ、目線を外してつぶやく。
「・・・私ね、普通じゃないんだ。」
「ああ、知ってるよ。つかお前みたいなスーパーガールがそこらに大勢いたら泣くぞ俺。」
「そうじゃないよ。」
それきり背を向け、しばらく天を仰いで考え込む。ほっそりとした白い体に金緑の髪が揺れる、
見た目の神秘性もさらに成長し、トオルにとってはさらに特別な存在に映る。

ふと振り向き、提案するセリカ。
「ねぇ、あっちむいてほい、しよっか。」
「へ?」
「トオル日本人だから知ってるでしょ?あっちむいてほい。」
「そ、そりゃ知ってるけど、なんで突然?」
「いいから、いいから。だたしノンストップで20回連続。勝敗がついても止まらずにね。」
「あ、ああ・・・?」
妙な提案ではある。この遊びは普通なかなか決着はつかない、それゆえどんどんスピードを上げ
反応速度と判断速度をタイトにしていく遊びなのだが、決着がついても止まらないって一体・・・

「じゃあ、いくよー」
「「じゃんけんぽん!」」「あっちむいて、ほい」
あれ?勝った、いともあっさりと、あのセリカに。
「ほらほら、止まらず次々!」
笑顔で次をせかすセリカ。じゃ、じゃあ・・・
「「じゃんけんぽん!」」「あっちむいて、ほい」
また勝った。
「「じゃんけんぽん!」」「あっちむいて、ほい」
3連勝・・・
「「じゃんけんぽん!」」「あっちむいて、ほい」
え?4連勝って
「「じゃんけんぽん!」」「あっちむいて、ほい」
「「じゃんけんぽん!」」「あっちむいてほい」
「「じゃんけんぽん!」」「あっちむいてほい」
「「じゃんけんぽん!」」「あちむいてほい」
「「じゃんけんぽん!」」「あちむいてほい」
0470三流(ry
垢版 |
2018/07/18(水) 01:45:38.90ID:1amxvnQo0
何が起こっている?何回やってもトオルはじゃんけんに勝ち、指さした方向に確実に
セリカは顔を向けてくる、こんなことってあるか?
10回を超えたころから、トオルはなんとか引き分け、または負けようかと意識する、
しかしジャンケンはあいこにすらならず、指差しで25%をかわすことができない、
スピードはもはや最高速にまで上がっているにもかかわらず、だ。
「あちむいてふぉいっ!!」
20回目、トオルの指は上、セリカはアゴを上げて天を仰いでいた。
言葉もないトオルに、セリカは向き直って言う。

「・・・分かるんだ、私。他人の考えてることが。」

 そんな現実味のない言葉が、今のトオルには心底信じられた。
あっちむいてほい20連敗、そんな芸当ができるとしたら未来が読めるか、心が読めるかしかない。
思えばセリカのスーパーガールっぷりも、この能力を前提に考えたら納得がいく。
ドッヂボールで四方からの攻撃をかわすのも、二人三脚で完璧にトオルに合わせて走る芸当も。
「け、けど、それじゃうるさくて仕方ないだろう、いくらなんでも」
周囲を撫でまわす仕草でトオルが反論する、周囲の人間の考えが皆理解出来たら脳みそパンクは必至だ。

「全部わかるわけじゃないよ、強い意思をもった思考がわかるの、たとえばじゃんけんの手とか
指さす方向とか、『勝ちに行く』意思は特に。」
「昨日もみんな私に興味津々だったから、どう対応すればいいかよくわかったの。
だから、成長してるわけじゃないわ、一種のズルね。」
少し悲しい笑顔をトオルに向けるセリカ。そして一言、こう発した。

「ね、私って化け物でしょ。」
返す言葉がトオルには見つからなかった。
0472三流(ry
垢版 |
2018/07/18(水) 01:46:30.18ID:1amxvnQo0
 堤防に座り込み、、トオルを見ずに話すセリカ。
「私、いろいろウソついてた。ホントはね、サイド2じゃなくてサイド6の出身なの。」
言葉を区切りながら続ける少女。
「名前もね、ホントは別の名前。この髪も生まれつきじゃなくて、ムリに変えてるの。
私みたいな力があると、いろいろ良くない人が寄ってくるのよ、だから見た目を変えて、引っ越して・・・」

そこでようやくトオルは、話に割って入るキッカケを見つける、昨日までトオルが手がかりにしていたアレ。
「特殊能力研究開発機関、とかいうヤツか?」
「・・・え?なんでトオルが、その名前を。」
説明する。中学に上がる前、そのスカウトが形だけの勧誘に来たこと、セリカがてっきりそこに
行ったと思っていたこと。
「そう・・・うん。あの人たちが来たから、私は黙って引っ越したの。あの人たちにかかわると
私が実験台みたいにされるのがわかっていたから。」
背筋の凍る話だ、科学者の闇、研究の名のもとに他人を犠牲にして厭わない存在。

「私みたいな人を、ニュータイプって呼ぶんだって。」

 宇宙に適応し、新たな能力を身につけた新人類。サイド3の首相ジオン・ダイクンの吹聴する人間の
新たな可能性。そんなおとぎ話のような少女が、今、現実に目の前にある。
「ジオンに寄っている思想だから、私は地球に来たの。ここなら、って思ったんだけど、ダメだった
あの人たちはここまで私の噂を聞きつけてやってきた、だから転校したの。連邦政府寄りのサイド2に。」
そういえば昨日、彼女が降りてきたシャトルはサイド2からのものだった。
「この3年、私はずっと『普通』を演じてきた。周囲の誰にもバレないように。
つまらなかったよ、すごく。そんなだからずっと思ってた、トオルと競ったプライマリーの日々−」

 そこでようやくトオルに向き直るセリカ、涙で潤む目を、まっすぐトオルに向ける。
「だから会いに来たの。もう一度、一目見ておきたくて・・・私はこれからずっと、
そう生きなきゃいけないから・・・」
0473三流(ry
垢版 |
2018/07/18(水) 01:47:08.96ID:1amxvnQo0
 あれほど強かった少女の見せる、儚く悲しい表情と胸の内。今にも消え入りそうなセリカに
トオルはどう声をかけるか迷っていた。が、最後のセリフを聞いて言葉を見つける。
「そんなつまらねぇ生き方しなくていい!」
トオルの強い語気に、思わずきょとんとした表情を向けるセリカ。
「持って生まれた能力を使うのがなんでズルなんだよ、いいじゃねぇか、奴らにバレない程度に使ったら!」
トオルは少し腹が立っていた、彼女の置かれた理不尽な状況にもだが、それより
この3年のトオルの思いも知らず、自分の事ばかり話して悲劇のヒロインを気取るかつてのライバルに対して。
「競う相手が欲しいんだったらいつでも相手になってやるよ。」
「でも・・・私は」
「言っとくが心が読めるくらいで勝てると思うなよ!知った以上、対策はいくらでもある。」
「だけど・・・ずっとそうするわけにもいかないし・・・」
トオルと競えるのも一時の事、お互いの人生が分かれれば、彼女はまた孤独に放り込まれる
セリカの目はそう言っていた。

ぶちっ!
トオルの中で何かが切れた、セリカの肩を掴んで引き寄せ、叫ぶ。
「じゃあ、俺と結婚しろ!一生相手になってやるよ!!」
告白をすっ飛ばしてのいきなりプロポーズ!まだハイスクールにすら入学していない年齢だというのに。

しばらくトオルを見つめるセリカ、呆然とした表情は、やがて笑顔へと変わる。
その表情を見て、トオルはようやく自分の爆弾発言に気付き、赤面する。
「あ、あぐ・・・あ、あの・・・」
ゆでダコのように真っ赤になったトオルに、セリカは体を預け、その胸に顔を埋める。
「よかった、来た甲斐あった。」
「・・・え?」
まるでその結末が予想済みであったかのような発言に、トオルはセリカの肩を抱いたまましばらく考え込む。
「強い意志」が「読める」少女・・・
0474三流(ry
垢版 |
2018/07/18(水) 01:48:16.57ID:1amxvnQo0
「ちょ、ちょっと待てえっ!まさか・・・」
腕を伸ばし、抱いてる少女を正面に見据え、さらに赤面して問うトオル、
満面の笑顔を向けてセリカが返す。
「うん、知ってた。あの2人3脚のときから、トオルが私のコト、どう思っているか。」
「そ、それじゃあ・・・」
「どうしてトオルが宇宙に来ようとしたのかも、周囲の友達がどうして私たちを
ここに来させたのかも、全部分かってた。」
もう駄目だ、セリカの顔を直視すら出来ない、自分の恋はよりによって相手に全部お見通しだったとは。
穴がなければ掘って入りたい気分だ、この悪女め。
そんなトオルの手をそっと取り、頬に当ててセリカがささやく。

「ホントはね、すがる様な気持ちで来たの。もしトオルに化け物扱いされたら、私は終わりだな、って。」
その言葉を聞いて、トオルは自分がすごく優しい気持ちになっているのを、自分の外から理解した。

「・・・しないよ、俺のライバルなんだから」
「え、フィアンセ、でしょ?」
「う・・・言っとくが、交換日記からだからな!」
「えー!ポロポーズしておいて、そこから〜?」
「それが正しい男女交際!」
赤面して視線を外す、そんなトオルを見てセリカは一歩後退し、右手を上げ・・・
「じゃーん、けーん、ぽんっ!」
思わずグーを出すトオル、セリカはパーだ。その指をそのままトオルの額に当てる。
「こっち、むいてぇ〜」
え?何それ。
「ほい。」
言うなりトオルに突進し、そのままキスするセリカ。完全なる不意打ち、心が読める少女相手には
避けようもない攻撃にトオルは完全に固まる。

「ぷはっ!」
トオルから離れ、海岸に駆け出すセリカ、棒立ちで失神寸前のトオルに声をかける。
「じゃあ今度は、泳ぎで勝負〜〜!」
「ちょ、ズルいぞそれは・・・俺が泳げないの知ってるだろっ!」

言いながらも半分夢心地でセリカを追いかけるトオル、ハイスクール入学前の夏休み最後の日であった。


第5話でした。おーい壁が足りんぞw
0475通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/18(水) 19:16:24.21ID:gHHn7u/a0
乙でした
全体的に明るい話なのに所々に見える重たい要素のせいで先行きが不安だ
二人に残された幸せな時間、あとどれくらいなのだろう…
0476三流(ry
垢版 |
2018/07/25(水) 00:55:21.64ID:+P0DUDM30
>>475
よく読み込んで頂いてますね、ありがたいことです。
では、6話いきます。

1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第6話 コロニーと父と母

「すげえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「でっかぁーーーーーーーっ!!」
貨客船の窓に張り付いて叫ぶ少年二人、トオル・ランドウとジャック・フィリップス。
彼らの眼には天体レベルと言っていいスケールの建造物、スペースコロニーが映し出されている、
しかも1基ではない、全方に広がる宇宙空間に所狭しと無数にひしめき存在する。
人類の手によるその雄大な眺めは、地球では絶対にお目にかかれないものだ。

「やっぱすげーな宇宙コロニー」
「実物見ると圧倒されるなぁ、やっぱ。」
人類のフロンティアスピリットの集大成ともいうべき宇宙居住区、スペースコロニー。
その巨大さは人類が作り出したことが信じられないスケールでありながら、その機械的な外見は
確かに人類の創造物であることを示している。
遠方からは天体にしか見えないその表面は、近づいてみると確かに金属の板とビスと
ワイヤーなどによって構成されており、それが人の手によるもの、かつ膨大な苦労と最新鋭の
技術を結集したものであることがわかる。
例え自分たちがかかわっていなくても、それを成した人類の一員であることに誇りすら持ててしまう。

−当船は間もなくサイド2・8バンチ。通称「アイランド・イフィッシュ」に接岸します−

船内アナウンスが告げる。二人はハイスクールの一年の冬休みを利用してここにやって来た。
トオルはもちろんセリカに会いに、そしてジャックは・・・
「いよいよだな、ここがお前の新たな生活の場になる、頑張れよ。」
トオルの悪友ジャック。中学時代、彼の父親のエクステリア会社で一緒にバイトした仲間、
彼は2学期からこっちの機械工学の専門の親方に弟子入りする手はずになっていた。
メカニック志望の彼にとって、地球にいたのでは必要な技術の半分しか習得できない、
宇宙の真空、無重力の中で使える技術と経験を得てこそ、これからの時代に通用するメカマンになれる。
そう考えた彼は思い切って家を出て、このコロニーで新たな生活を切る決心をしたのだ。

「ああ、こんなデカい建造物を見たら否応なしにテンションアガるよ。」
「お前の名前のコロニーが出来るのを楽しみにしてるぜ!」
「いや、さすがにそれ無理だろ。」
冗談を飛ばしながら下船準備をする二人、やがてコロニーに空いた穴の中に船が入り、ようやく彼らの知る
現実的な光景、宇宙港が姿を現す。非現実的なパノラマとはしばしお別れだ。
0477三流(ry
垢版 |
2018/07/25(水) 00:56:09.71ID:+P0DUDM30
 船を降り、検疫を受けて荷物を受け取る、ここはいわばコロニーの外側と内側の中間部、
ここではまだ重力は外からコロニー中心に向かってかかっている、これからコロニー内部に入ると
回転するコロニーの遠心力とGコンによって外側に重力がかかることになる。
荷物を抱え、内部行きのエレベーターに向かう二人。

「トオルっ♪」
柱の陰からいきなり抱き着いてきた少女に押し倒されるトオル、荷物が多いせいでロクに抵抗もできん。
「セ、セリカ!来てたのか・・・」
「うん。」
金緑の髪をなびかせトオルの上で四つん這いになって微笑むセリカ。
全く、内緒で来て驚かそうと思ったのに何で知ってるんだよ。これもニュータイプとやらの・・・
「あ、ミアが教えてくれたよ、トオルが今日来るの。」
「そっちかいっ!」
というか今トオルの心を読んだほうがニュータイプの力なのか・・・

「どーでもいーけど、目立ってますぜお二人さん。」
ジャックが視線をそらして言う、まぁ当然のごとく周囲の注目の的だ。
赤くなって立ち上がり、パンパンとズボンを払うトオル、その腕にセリカが笑顔で腕を絡める。
「いや、だから目立ってるから…」
「ご飯にします?お風呂にします?それとも、わ・た・し?」
「大きな声で何を言っとんだお前わあぁぁぁぁっ!て、ジャックちょっと待て、
他人のふりして先に行くなあぁぁっ!」
腕を絡めたまま、セリカを引きずるように駆け出しジャックを追うトオル、
先に行くジャックは背中で夫婦漫才を聴きながら決心する、俺も絶対かわいい彼女作ってやる!と。

大型のエレベーターで内部に向かう3人含む数10人。最初はコロニー内に「降りて」いくのだが
道中でゆっくりと反転し、気が付くと「昇って」いく感覚に代わる。
エレベーターが止まり、トアが空き外に出る、その瞬間観客の大部分から歓声が上がる。
「おおーーーっ!!」
「すごーい、地面がせり上がってるーっ!」
「すげぇ、真上にも町がある、すげぇ光景だな!」
再び現れた非現実的なパノラマ、地球出身の客から、コロニー内独特の光景に次々と感想が上がる、
むろんトオルもジャックも例外ではない。

 人がバラけたところで、セリカがぴょんと一跳ねし、笑顔で言う。
「ようこそ、スペースコロニー、アイランド・イフィッシュへ!」
0478三流(ry
垢版 |
2018/07/25(水) 00:56:46.33ID:+P0DUDM30
 出口の際にあるバスターミナルに向かう3人。
「じゃあ俺、こっちだから。」
「ああ、また連絡するよ。」
ここからはトオル&セリカとジャックは別行動だ、彼はお約束の冷やかしを投げてよこす。
「結婚式には呼んでくれよな。」
「やかましい!」
出発するバスの窓からツッコむトオルと、笑顔で手を振るセリカを見やってから、ジャックも自分の
バス停に向かう。
「やれやれ、あの分じゃマジで結婚式もそう遠くないな、すでに夫婦じゃねぇか。」
呆れ顔で自分の乗るバスに向かう。

 その姿を物陰から、無数の目が追いかけている、
黒服に身を包んだその連中は、ジャックが乗り込んだバスの行き先を確認し、携帯で連絡を取る−


「で、これからどうする?」
「もちろん、わたしの家に行くの。」
「え・・・いいのか?」
「うん、パパもママも待ってるよ、トオルのコト。」
「えええぇぇぇっ!?」
バスの中で絶叫するトオル、まさかの超展開に緊張が走る。
「な、なぁ、念のために聞くが、俺は一体ご両親にとって、今どういうポジションなんだ・・・?」
「ん、もちろん私のフィアンセだけど?」
血の気が引く音がした気がした。コロニーの雄大さを楽しんでいた時間はどこへやら、サイド2ツアーは
処刑場への直行便になってしまった。
「あはは、大丈夫だよ。パパもママも楽しみにしてるよ、トオルと会うの。」
いやお前はそれでいいのか、しかし押せ押せで来るなぁセリカ、というかセリカの両親って
一体どんな人なんだ、全く想像できんが。

 コロニーを4分の1ほど回った所の住宅街、その前の停留所で降り歩くこと数分、
青い屋根の1件屋の玄関に進むセリカ、ここが彼女の家か。ウチよりだいぶ大きい。
むろんコロニーが宇宙移民の住処であることを考えれば、土地割りは大きくなって当然かもしれない。
地価が上がる原因は人口過密にあるのだから、その対策として宇宙に移民した人は広い土地が得やすい。
0480三流(ry
垢版 |
2018/07/25(水) 00:59:19.71ID:+P0DUDM30
「ただいまーっ!」
ドアを開け、上機嫌で叫ぶセリカ。奥からおかえりー、と男性の声。父親かな?と思った瞬間
いきなり背後から何者かに羽交い絞めにされるトオル。
「う、うわっ!?」
「いらっしゃーい、このコがセリカのいい人かい、なかなか可愛いじゃないの。」
羽交い絞めを解き、トオルの肩を掴んで180度回して正面からトオルを見る長身の女性、
紺の髪をポニーテールに束ね、袖なしの上着に短いパンツルックが活発な印象を与える。
「よろしく!セリカの母親、アーチェス・ナーレッドだよ。」
ニヤリと笑って、白い歯を見せる。肝っ玉母ちゃんと若奥様の両方の印象を持った女性。
「トオル・ランドウです、よろしく!」
威勢に当てられてか、強気で返すトオル、元々こういうノリは嫌いじゃない。
「元気だねぇ、よしよし、そうこなくっちゃ。ほらほら、入った入った。」
家の中に引っ張り込まれるトオル、すでに上がっているセリカが笑顔で言う、
ね、大丈夫でしょ?と。
ま、まぁ母親はなんとかなるとして、問題は父親なんだが・・・

「さ、ここよ、入って。」
二人に促され、居間らしきドアを開けるトオル。そのドアの目の前に「彼」は立っていた。
眼鏡をかけ、無精ひげを生やした、やや痩せ型の銀髪の中年男性。
いきなりのことに一歩後ずさるトオル、それに呼応するように一歩前に出、居間から廊下に出てくる父親。
「・・・ふむ」
固まったままのトオルを値踏みするかのように上から下まで視線で舐める、やがて手を出し、一言。
「合格。」
親指を立て、ニヤリ笑ってそう一言。一体何を値踏みされたんだ俺・・・
「悪い人じゃなさそうで安心したよ、セリカ。」
あ、ひょっとして、この人も・・・
「リャン・ナーレッドだ。よろしくな、ランドウ君。」
まぁ、能力はともかく、セリカの不思議ちゃんな感覚はこの父親譲り、押せ押せの陽気さは母親か。
なんか納得。
0481通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/25(水) 01:00:03.37ID:+P0DUDM30
「そうかそうか、プライマリーの頃からセリカと勝負を、ねぇ。」
「あー、2人3脚してた子だねぇ、覚えてる覚えてる。」
あの頃はセリカの家族にまで気がいかなかったが、いたのかあの時。
「で、この子とはどこまで行ったんだい?」
母親の下世話な質問に、平然と返そうとするセリカ。
「んっとねぇ、とりあえずー」
「交換日記中ですっ!!」
迂闊なことを言われないように、語気を荒げてセリカを制するトオル。
その態度に思わず吹き出す両親。
「ははは、ご両親の教育の良さが見えるねぇ。」
「そんなノンキなこと言ってないの、アンタみたいにお堅いと実る恋も実らないよ
男の子ならガンガン行きな!」
よっぽど自分の娘をキズモノにしたいらしいな、この母親は。

「ちなみに、お二人の馴れ初めはどうだったんですか?」
トオルの反撃の一言に、母親がドライアイスを詰め込まれたように凍り付く。
「あ、えと・・・とりあえずお茶入れてくるから、テレビでも見てゆっくりしてな。」
バタバタと走り、つまづきながら台所へ逃走する母アーチェス、それを見てセリカとリャンは
同じ表情で含み笑いをしている。さすが親子、笑い顔がそっくりだ。
しかし一体どんな馴れ初めだったんだ、この夫婦・・・

 つけられたTVがニュースを流している、地球と違うエリアだけに、流してる放送も
毛色の違うものになっている。しばしニュースに見入るトオル達。
0482三流(ry
垢版 |
2018/07/25(水) 01:00:33.34ID:+P0DUDM30
−次に、ジオン公国を名乗るサイド3は今日、政治体制の新しい人事を発表しました−
「ジオン公国」を正式に認めていないことを暗に示す放送、もっとも地球じゃ「ジオン」という表現すら
公的には認めてはいないけど。
−外政担当大臣、ミケ・リヒャルト、能力開発省、フラナガン・ロム、技術開発局、アルベルト−
・・・え?
「セリカ!今の。」
「うん!あの機関の・・・」
確かサイド6の「特殊能力研究開発機関」とかいうトコの代表者、セリカが「研究対象を実験動物扱いする」
ことを見抜き、避けてきた組織。ジオンに走ったのか、背中で冷や汗をかくトオル。
「まぁ心配あるまい、ここは地球連邦に近いし、遠くジオンに行ったのならむしろ一安心だよ。」
父親の言葉にほっとする二人、そこに母親がお茶を運んでくる。
「安心すんのはまだ早いよ、ああいう輩が権力を手に入れると、何しでかすか
わかったもんじゃないからねぇ。」
湯呑をテーブルに並べながら物騒なセリフを吐くアーチェス、そして続ける。
「だからさ、さっさとヤる事ヤっちゃいな、今夜は離れにベッド用意してるからさ♪」
おい母親・・・

と、その時、トオルの携帯に着信が鳴る。モニターの画面を見てトオルが固まる。
そこには拘束され、黒服に囲まれた悪友の姿が映し出されていた。

−君の友人、ジャックは預かった。彼の身を案ずるなら、今から指定の場所に出頭すべし−



6話でした、いやー1話以来の難産でした。
コロニーの雄大さの表現は、瀬戸大橋を渡った時の感想を使ってみました。
機会があったら是非渡ってみてください、マジで凄いよあの橋連・・・
0483通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/27(金) 18:22:26.58ID:uyrl0hhl0
乙でした
ジャック君のフルネームがジャック・フィリップスだったことに吃驚
でもシドニー在住でファーストネームはジャック、という時点で察しのいい人は気づいてたんでしょうな
そしていきなりの誘拐、さあどうなる?
0484三流(ry
垢版 |
2018/07/29(日) 11:34:38.72ID:21AGCOD70
>>483
いやいやいや、私の前のSSの主人公名を覚えてる人なんていませんって、普通。
ホントによく読んで頂いていて感謝感激でございます。では7話です。

1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第7話 ささやかな戦いの裏で 

 携帯に表示された地図を頼りに、トオルはコロニーを走る。
とりあえずセリカ達には「友人から急な呼び出しを受けた」と言っておいた、嘘ではない、うん。
しかしなぜジャックが・・・手口からしてプロの仕業じゃあなさそうだが。
今時金目当てなら、もっと気の利いたペテンを使ってくるはずだ、直球であんな画像を
送りつけるところに幼稚な印象を受ける。

 多分そこいらのチンピラの類だろう、アースノイドは金持ち、という誤解を持つスペースノイドは
多いと聞く。ジャックから巻きあげた挙句、一緒にいた俺もカモろうという腹だろう。
 しかし、あんなニュースを見た後だけに、一抹の不安は拭い切れない。もし奴らが
セリカに近い人間を利用しているとしたら・・・悪い想像が広がる、それを振り切るように
指定された工場の倉庫に向かうトオル。

「あれか。」
目視できる距離まで近づいたところで足を止め、物陰に身を潜めて呼吸を整える。
真っ正直に行く必要はない、ぐるり周囲を回って様子をうかがう。
ドア前には見張りが一人、やはりというかプロではなさそうだ。それは立ち姿を見ればすぐに分かる、
体幹悪く、落ち着きなくぶらぶらしながら時折きょろきょろしたり、携帯をいじったりと
場慣れしていないこと甚だしい。

 裏手に回り、見張りが前を見た瞬間を見計らって、気配と足音を消して歩いて近づく
10メートル、5メートル・・・うまい具合に見張りの背後まで気付かれずに近づけた。
携帯を取り出すと、わざとらしく大きな声で言う。
「ここが指定してきた倉庫か!」
「うえぇェわぁあぁっ!!」
突然背後に現れたトオルに仰天する見張り、しどろもどろに動転しながら、ようやくゲストが来たことに気付く。
「ちょ、ちょっと待ってろ!」
そう言うとおもむろにドアを開け中に入ってドアを閉める、倉庫の中で声。
『お、おい来たぞ、もうそこまで来てる!』
『もっと早く報告しろよ!』
『ちょ、あんたはそっち、てか早く縛って・・・』
数人の人間がバタバタする露骨な気配を感じながらトオルは確信する、機関とやらは無関係だなこりゃ。
1分後、中の喧騒が収まったのを感じて、ドアノブに手をかけ、ドアを開ける。
0485三流(ry
垢版 |
2018/07/29(日) 11:35:30.57ID:21AGCOD70
「ジャック、無事か!?」
開けて叫ぶ、倉庫の奥に縛られ、さるぐつわをかけられた状態でイスに座らされているジャック。
その横のテーブルには、散らかした菓子の袋やジュースのボトルが散乱している。
さるぐつわの中で何か咀嚼して飲み込んだジャックのリアクションは見なかったことにしよう。

「トオル・ランドウだな。」
際の資材に腰かけていた男が立ち上がり、ジャックの前、トオルの正面に立つ。
周囲には黒服が十数人、よく見るとスカート、つまり女の姿もちらほら見える。
「そうだ、一体なんのマネだ!ジャックは返してもらうぞ。」
男を睨むトオル、黒服の中でもトオルより頭一つ大きい体格のいいその男は、
なるほど先ほどの見張りとは違い、荒事に慣れてはいるようだ。
「ああ、いいぜ。ただし、こちらの質問に答えたら、だがな。」
「質問、だと?」
今日コロニーに来たばかりのアースノイドになんの質問があるというのか、わざわざ友人を拉致ってまで。

「手前ぇ、あの人の、ナーレッドさんの一体何だ!」
語気を強めて吐き捨てる男、意外な質問に拍子抜けするトオル。
「えーと・・・」
なんだ、セリカの知り合いなのか。そういやこいつらの黒服はスーツというより
ハイスクールの制服っぽくも見える、確かに年の頃も同じ位だ。
さてどう答えたものか、向こうはフィアンセ指定のようだが、俺にとってはライバルであり、
初恋の君であり、プロポーズした相手で、えーっと・・・
「何だって聞いてるんだよ!とっとと答えねぇかっ!!」
怒鳴る男の態度でカチンと来る、返答は決まった。すーーーっ・・・
「幼馴染でライバルで初恋の相手で恋人でプロポーズしてフィアンセになった俺のライバルだっ!!!」
面倒臭いから全部言ってやった、ライバルを2回言ったのは多分そこが一番重要だからかもしれない。
0486通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/29(日) 11:36:04.43ID:21AGCOD70
「キャー、なんかドラマチック。」
「うわ、かっこいい〜」
「ヒューヒュー」
数人いる女子が女子高生そのままの反応をする、その前で男が愕然とした表情を見せる、
後ろの男たちも落胆の表情を隠そうとしない、肩を落とす者、特大のため息をつく者、わかりやすい。
「ざけやがって・・・二度とンな口きけねぇようにしてやるよ。」
「ダチを誘拐して人を呼び出して、すいぶん勝手な言い草だな。」
指関節を鳴らして威嚇する男に対し、トオルは足の指の付け根でドンドンと地面を踏む、
JUDOでよくやってた簡略型の足首のウォーミングアップだが、慣れた者がやると格闘技者独特の
威圧感を発することができる。
「ちょ、ちょっとスティーブ、本気でやる気?」
「そろそろシャレにならないんだけど・・・」
後ろの女子が、トオルの本気を感じ取って少々引き気味に言う。それで忘れていた質問を思い出す。
「というか、お前らは一体何者だよ。」
まぁ大体の見当はついている、多分セリカに片思いしてる輩か、あるいはフられた連中なんだろう。
「俺たちは・・・俺らはなぁ、セリカ・ナーレッドさんのファンクラブだああぁぁっ!!」

「西暦かっ!!!」
思いっきり突っ込む、古っ!宇宙世紀のこの現代で女の子のファンクラブとかどんだけ前時代的な考え方だ、
西暦の頃には歌手とかでそういった存在もいたらしいが、今時そんなことを真顔で言う輩がいるとは・・・
「うるせぇ!手前ェは知らないだろう、あの『窓際の妖精』がどんだけウチの学校で人気か!」
そうだそうだ、と後ろの連中がガヤを飛ばす。
「誰からも少し距離を置いて、おっとりおしとやかな表情で窓辺で佇むその姿は
全校男子の憧れなんだよっ!それを・・・それを・・・フィアンセだとぁっ!」

おっとり・・・おしとやか?あの押せ押せ娘が?
いや、そう言えば彼女は機関に目をつけられないように、目立たないように生きていくって言ってた、
それを実践した結果、やっぱり目立ちまくっていたらしい、天才にステルス能力は無いということか。
妙なところで不器用な奴だ。
0489三流(ry
垢版 |
2018/07/29(日) 11:37:41.19ID:21AGCOD70
「100回殴る!」
「せやあぁぁっ!」
喧嘩屋の怒声と格闘技者の気合を合図に戦いが始まる、両腕を振り回して殴りかかるスティーブだが
JUDOで組手争いを嫌という程してきたトオルにとってかわせない攻撃ではない、
間合いを離し、時には逆にくっついて拳を躱す。が、スティーブもそれに呼応し、
小さくファイティングポーズを取り、短く早いパンチとローキックの攻撃に切り替える。
こうなるとさすがに全てを躱すのは困難だ、トオルの顔面を、足の脛を、スティーブの攻撃が捕らえる。
組みつこうにも警戒され、小さなパンチで押し返されてままならない。

 ここでトオルは奇襲に出る。両手を下ろし、いからせてた肩をストンと落とす。
重心を自然体に戻し、全身の力を抜く。そしてすっ、と相手に近づく。
いきなり闘争心を無くしたように見えたトオルに、スティーブも少し呆気に取られ、接近を許す。
相手の右手を掴んだトオルは、そのまま右腕を首に巻き付けるような一本背負いに持っていく、
瞬時、スティーブもそのアクションに気付く、持っていかれてなるものかと、重心を後ろに落とす。

しかし勝負はもうついていた、トオルはそのまま背負いに行かず、スティーブの右手をマフラーのように
首に巻き付けて1回転、右わきの懐に入り込むと、左手でスティーブの右足モモを抱える、
そのまま肩と足を極め、全身のバネでスティーブを持ち上げ、裏投げにもっていく。
ジュニアハイスクールから得意にしていた「巻き付け式1本背負い」、州大会ベスト4の原動力になった技、
初見で防げる技ではない。
スティーブの巨漢が弧を描き、背中から地面に叩きつけられ派手な音を立てる。
ズドォーン!

「いっぽーん!」
悶絶するスティーブ、勝負あった。
手加減する余裕はなかったが、まぁこの男なら万が一はあるまい、それほどの体幹の強さを感じていたから。
起き上がり、スティーブから気をそらさずに周囲を警戒する。取り巻きは皆凍り付いている。
そうだろうそうだろう、俺が勝つとは思っていなかっただろう、さぁ尊敬と恐れの視線を俺に・・・
あれ?どこ見てるんだお前ら。皆の視線を追った、その先には・・・
0490三流(ry
垢版 |
2018/07/29(日) 11:38:08.21ID:21AGCOD70
「勝者、トオル・ランドウーっ!」
「おいっ!」
ドアの入り口に立って審判よろしくトオルのいる方向の右手を上げる渦中の人、セリカ・ナーレッド。
何故ここにいる、つけられたのか?そもそもここには絶対いちゃいけない存在なんだが、空気的に。
「あ、あはは、ナーレッドさん、いつからここに・・・?」
取り巻きの一人が狼狽えながら聞く。
「ん、トオルが来た直後から。」
つかつかと入ってきて、取り巻きの前まで歩いて問う。
「へー、みんな、私のファンクラブとか作ってたんだ。ふーん。」
全員を見まわすセリカ、どいつもこいつもバツの悪そうに視線を逸らす、
「よっ!男殺し。」
てかアーチェスさんまで来てるよ、ドアの入り口でニヤニヤしながらからかってくる。
「あたた・・・やってくれたなぁ、おい。」
スティーブが起き上がる、腕をゆっくり回しながら肩関節を鳴らし、トオルを睨む。
トオルも正眼に構え見返す、再び対峙する両者。
「ちっ・・・カッコ悪いったりゃありゃしねぇ、やめだ止め!」
スティーブのその一言で弛緩する場の空気。セリカは小走りでトオルに近づき、ぴょんと飛びついて抱き着く。
「カッコよかったよ、お疲れ様♪」
「ひっつくなって、この状況で!」
一呼吸おいて、どっと笑いが溢れる倉庫内。周囲から起こる笑いと冷やかしの渦。

 どうやら最初、宇宙港でトオルに抱き着いたシーンを、セリカのクラスメイト(女子)が
目撃してたらしい。そのあまりに普段と違う彼女の態度に、仲間内の電子通信で拡散した結果
スティーブはじめファンクラブの面々にも知れ渡ってしまったようだ。
で、ジャックを巻き込んで誘拐ゴッコを企画して、その真相を確かめたかっただけらしい、
アイランド・イフィッシュにはヒマで下世話な奴しかおらんのか・・・
「それにしてもねぇ〜」
「あのセリカがこんなに大胆なんて、いつもの大人しさはどうしたのよ。」
「あはは、ちょっとワケありでね。」
クラスメイトの女子は知らない、セリカが特殊な能力を持ってることも、それを隠すために
感情を抑えて生活していたことも。
「ま、良かったじゃねえか、こっちでも公認カップルになれて。」
「やかましい!大体お前、最初っからグルだっただろ!」
餅菓子をかじりながら言うジャックにヘッドロックをかけるトオル。
やっぱりさっきまでここでみんなと和気藹々してたなコイツ・・・
0491三流(ry
垢版 |
2018/07/29(日) 11:40:22.40ID:21AGCOD70
「で、お前らどこまで行ってんだ?」
スティーブの質問に全員の関心と注目が集まる!
「んーっとねぇ」
「現在絶賛交換日記中っ!」
これ以上さらし者になってたまるか、本日二度目の迂闊なセリブロックっ!
「ぷっ!」
「ぎゃはははははっ・・・」
「どんだけ奥手なのよこの人〜」
何故か大受けしてしまった。スティーブニヤつきながらが肩をバンバン叩いて言う。
「どっちが西暦だよおい、その年でなぁ。」
「な〜に、今夜あたり一線を越えるから大丈夫だよ。」
アーチェスさん、爆弾発言は止めてください頼むから。
「(ねぇねぇ、ホントはどうなの?)」
セリカに耳打ちするクラスの女子。
「そこ!聞き出そうとしない!!」
止めにかかるトオルを見てセリカは立ち上がり、指一本突き上げて宣言する。
「はーい、今夜一線を越えま〜す。」
「本人も爆弾発言するなっ!」

ちなみにトオルは分かっていない、開拓民でもあるスペースノイドにとって恋愛観は
アースノイドよりもかなり進んでいることに。地球に比べての娯楽の少なさ、
血縁と人口を増やすため生めや増やせの社会観、冗談レベルならその程度の発言は日常だ。
・・・もっとも、セリカが冗談で言ったのか、本気なのかは本人にしか分からないのだが。
 その後も拡散された情報を聞きつけたクラスメイトが続々集まってくる、
二人を囲んでサカナにしての倉庫懇談会は、その日遅くまで続いた。

 解散後、ファンクラブの一人の少年が、帰宅しすぐにパソコンをつける。
パスワードを入力し、文章を暗号化するソフトを立ち上げ、文章を入力する。

−セリカ・ナーレッド、本名ココロ・スンに関する報告書。
 その能力は未だ未確認ながら、ニュータイプの特徴の一つともいえる社会性の無さ、
 コミュニケーション能力の欠如は見られず、該当者としての可能性は薄いと思われる
 発:アクト・イレイズ。着:フラナガン機関リビル・イレイズ−
0492三流(ry
垢版 |
2018/07/29(日) 11:41:50.37ID:21AGCOD70
7話でした。すでにガンダム関係なしの稚拙なラブコメになっとる・・・
クライマックスには何とかしたいものだw
0493通常の名無しさんの3倍
垢版 |
2018/07/29(日) 22:57:39.52ID:MjOpB1i50
乙でした
確かにこれはタイトル通りの『ささやかな戦い』だ
でも当事者達にとっては一生の思い出、それが青春の一時というものである(遠い目)

そして本名:ココロ・スン、だと…
この話、これからどう転がるんだ?
0494三流(ry
垢版 |
2018/08/03(金) 02:26:36.26ID:ouFTJHJR0
>>493
青春・・・TV画面の向こうではよく見るんんですがねぇw
では8話です。

1年戦争外伝、−HAPPY WEDDING−
第8話 一瞬の思い、永遠の誓い

 天頂に輝く夏の日差しに、ジングルベルが鳴り響く、南半球の12月。
ハイスクール2yearの終わり、トオルもすっかり慣れた夏のクリスマス・イブの日、
彼は両親と宇宙港にいた。
今日はトオルにとっても、彼女にとっても、お互いの家族にとっても特別な日だ。
やがてシャトルが到着したアナウンスが流れ、乗客が次々と降りてくる。
そんな人ごみの中でもひときわ目立つ金緑の髪の毛を揺らし、「愛しの君」が
家族と共にやってくる。

「おーいセリカ、こっちこっち。」
やや照れ臭そうに、あらかじめ打ち合わせていたセリフでナーレッド一家を呼ぶ。
「トオル、半年ぶりだね〜会いたかったっ!」
こちらもあらかじめ打ち合わせてたセリフのあと、筋書き通りトオルに抱き着く。
二人の後ろではお互いの両親が、ぎこちなく挨拶する。
そしてその様子を、幾人ものスタッフがカメラやマイクを構えながら撮影している、
さらに距離を置いて、大勢の野次馬が取り囲んでいる。
「はーいカット、OKです。じゃあ次いきますよー」

−シドニーとアイランド・イフィッシュで遠距離恋愛するカップル、半年ぶり再会−

そんなテロップがランドウ家のテロップに映り、数時間前の再会シーンが流れる。
「いやぁ、若いのに演技派だねぇ二人とも。」
トオルの父、カク・ランドウがTVに映った二人を見て感心する。
「まぁ、8割は本気でしたけど。」
セリカが笑顔で返す。お父様、と付け加えて。
「トオル君もなかなかのもんじゃないかい、演技とは思えないよ〜」
アーチェスさんは相変わらずのからかい口調で、トオルをヒジでうりうりとこじる。
「まぁ、初めてじゃないですしね、セリカと演技するのは。」
トオルは思い出す。セリカと会って間もないころの、赤ずきんの朗読を。
0495三流(ry
垢版 |
2018/08/03(金) 02:27:03.99ID:ouFTJHJR0
 二人は結婚の約束をしていた。そして今日はそんな二人の両親の初顔合わせ、
その情報を聞きつけたトオルの悪友たちは、そのソースをTVに売りやがったのだ。
しかもサイド2のジャックを通じて、向こうの局にまで企画が通ってしまった。
普通ならそんな企画は通るはずもないが、今現在ではそれはTV局にとっておいしい題材だった。

 宇宙世紀0078、12月。地球連邦とジオン公国の緊張はもはや限界に達しようとしている、
両国にもはや交渉の余地はなく、戦争も時間の問題と思われた。
地球連邦にとって、この戦争の図式がスペースノイドとアースノイドの戦争、と取られるのは
他のコロニーの手前避けたかった、あくまでジオンとの戦争であり、他のスペースノイドまで
敵に回すのは得策ではなかった、よって他のコロニーとの友好なイメージは大切だった。
 連邦寄りのサイド2にとっても、連邦との蜜月を示すのは重要な要素だった。
そんなわけで連邦とサイド2のマスコミは、半ばプロバガンダに近い形で両者の友好性を
逐一アピールするようになっていた。
その一環として、トオルとセリカは恋人の祭典、クリスマスに放送するネタにされてしまったわけだ。

「そういやジャックももうすぐ帰ってくるって。」
「アイツもうしっかり客取ってるらしいな、大したもんだ。」
両親を交えての世間話に花が咲く。お互いの友人のこと、両親の生活や風習、さらには
お互いの子の昔話まで、話題は尽きない、この両家ならうまくいくことは間違いなさそうだ。

「それでそれで、明日はどこいくの?」
興味津々でセリカが聞いてくる。が、まだ明かすわけにはいかない。せっかくのサプライズなんだし
セリカの能力に悟られないよう、平静を装って質問をかわす。
「ま、それは明日のお楽しみってことで。」
今回のナーレッド家の地球来訪、その目的は両親との顔合わせともうひとつ、
1年後に控えた結婚の式場の下見だ。
0496三流(ry
垢版 |
2018/08/03(金) 02:27:39.78ID:ouFTJHJR0
ハイスクール卒業と同時に結婚する、それが二人で出した結論だった。
トオルの両親は、早すぎるのではと乗り気ではなかったが、トオルは熱心に説得した。
彼にとって伴侶はセリカ以外考えられなかったし、お互い遠距離恋愛する身の上ならば
できるだけ早く一緒に暮らしたいと思うのは自然な流れだった。
また、ここしばらく音沙汰ないとはいえ、例の機関のような組織がまたセリカに
近づかないとも限らない、トオルとしては目の届くところで守ってやりたかった。
加えるならば、ニュースが流すような世情の不安もある、吉事は早いほうがいい、というわけだ。

 翌日、両家の車がシドニーを走る。西暦の頃から大都会だったこの街は現在、
自然と文明が共存する南半球の名物都市、モデルシティとなっている。
自然を多く残す広い公園、快適なインフラに娯楽施設、密集しすぎないビルや居住区、
そして交通の要所としてのシステムを兼ね備えている。

 その街の一角に、ひときわ高いタワーがそびえている。昨年完成した超高層ビル
「クラウド・カッティング」と呼ばれる、高度2000メートル級のシンボルタワー。
文字通り雲をも切り裂くごとくそびえたつその姿は、新たなこの街の名所として期待されている。
「うっわー、おっきぃー!」
「ホントだよ、コロニーの直径くらいあるんじゃないかい?」
セリカとアーチェスは車から身を乗り出して大はしゃぎだ。しかしまさか二人とも、
目的地がその塔自体だとはつゆぞ思うまい、ひそかに顔を見合わせてにやつくランドウ一家。
平静を装い、さりげなく話を振るトオル。
「んじゃ、ちょっと寄ってみようか。」

 入場手続きをしてパスをもらい、最上階直通のシースルーエレベーターに乗る。
6人を乗せた箱が音もなく加速して上昇。地面が、近隣のビルが、シドニーの街が、
またたくまにミニチュアになっていく。
外の景色に夢中の女性陣に対し、リャンさんだけはエレベーターの案内板にある
「最上階:クラウドパレス・チャペル」の文字に気付き、笑顔でトオルにアイコンタクトする。
ニュータイプなのかどうかは分からないけど、相変わらず勘のいいヒトだ。
0498三流(ry
垢版 |
2018/08/03(金) 02:29:35.30ID:ouFTJHJR0
「ランドウ様でございますね、承っております。ようこそ、クラウドパレス・チャペルへ。」
最上階の教会前、やや白髪の混じった神父が一家を祭壇に招く。さすがに女性陣も
挙式がココであることに気付いたようだ。
目を潤ませ、顔を赤らめて感動してるセリカ、こんな彼女の表情は見たことが無い。
結婚前にようやく会心の一撃を入れられたようだ。
 教会は全面がステンドグラスで覆われ、その外の空と雲と太陽と、そして眼下にシドニーの街、
結婚式のロケーションとしてこれ以上の舞台はまずないだろう。
「夕焼け時の眺めは絶品ですよ、もちろん挙式もその時間にセッティングしております。」
神父の説明にセリカはキュンキュンしっ放しだ、予定を明日にしようとか言いだしかねないな。
「ね、ねぇトオル、もう今日ここで結婚式しちゃおうよ。」
予想の斜め上を行かれた、さすがセリカ。両家の両親と神父が思わず笑う。
が、その話をきっかけに、神父は二人にちょっとしたエピソードを話しはじめる。
「今の気持ちを大事になさい。お二人には過去も未来もある、しかし神様に誓うのは
今その時の気持ちなのですから。」

 神父は話す。かつて何組もの挙式を導いてきた彼が、式の前にとあるカップルと話していた時の事、
新郎側の青年が、神父と新婦にとんでもないことを打ち明けたことを。
彼は式で「永遠に愛する事」を誓う自信がない、と告白する、今は確かに彼女を愛している、
しかし未来の自分が変わらず彼女を愛せるかは分からない、と。
青ざめる新婦を前にして、神父はにこやかに諭す。あなたのその誠実さ、嘘をつけない正直さがあれば
将来のあなたが今日の誓いを裏切るはずはないと。
今の一瞬を胸に刻むことがあなたの、そして将来の二人の未来を創る。今の一歩を示さずして
次の一歩は刻めない、だから誓いなさい、今の気持ちを。それが未来につながるのだから、と。
 現在、その夫婦は3人の子供に恵まれ、幸せな生活を送っているそうだ、
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況