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■連覇の羽生結弦、スケートの原点示した 佐藤信夫の視点(20180218 朝日新聞)

羽生結弦(ANA)の強さを支えているのは、確かなスケーティング技術だ。
けが明けで、フリーでも難しい4回転ジャンプ(ルッツとループ)は跳ばなかった。
体力面でも、後半にミスが出始めたところからはきつそうにも見えた。
ただそういう苦しい時、高い技術が彼を助けてくれる。

普通の選手だと、ジャンプを下りるとき、氷にはじかれてしまうことがある。
だが羽生は、柔らかいひざと足首で衝撃を吸収できるから、着氷後も弾まずに、
そのまま滑らかにスケートが進む。ひざから足首にかけてを柔らかく使えると、滑りも伸びる。
一歩滑ってぐにポンと止まってしまうのではなく、いつまでも継続して進んでいく。
そうした流れるような滑りが、高い演技構成点につながる。
先天的な柔軟性に加えて、地道に基礎練習を繰り返した、たまものだろう。

チェン(米)が4種類の4回転ジャンプを跳ぶなど具術の高度化は止まらない。
もちろんそういう進化は否定しないが、羽生の五輪連覇は、決して忘れてはいけないスケートの
大事な原点を示してくれた。(フィギュアスケートコーチ)