ところがうつ状態こそ同じように現れるものの、うつ病と双極性障害は、本質的にまったく異なる病気である。当然、治療法も違ってくる。にもかかわらず、双極性II型がうつ病と診断されるとどうなるか。

 うつ病同様に双極性障害も薬物療法を行うが、使う薬は気分安定薬である。ところがうつ病と誤診された場合は、抗うつ薬や抗不安薬が処方される。
これでは薬が効かないだけならまだしも、逆効果になる恐れが出てくる。

 「うつ病の治療で使われている三環系抗うつ薬を双極性障害の患者さんに使うと、うつ状態から急激に躁状態に転じる『躁転』や、
1年間に4回以上も躁状態やうつ状態などがあらわれる『急速交代化』を引き起こすことが知られています