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■クロノトリガーのFLASH 強くてニュースレッド3週目■
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クロノ・トリガー キャスト 完全版 (3,067k)
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0526Now_loading...774KB2005/04/17(日) 21:44:04ID:r8isL8nI
緑の夢


王国暦950年。
  パレポリ町の北に広がる森のはずれの、小高い丘で、二人のきこりが、不思議
 な物体を見つけた。
  大木の根元に寄り掛かるように朽ち果てた、金属のかたまりである。
  若いきこりが、金属を覆うツタを払うと、ガラスの二つの目が現れた。
  老いたきこりが、つぶやいた。
 「これは、森の番人をしておった、機械人形じゃよ。
  わしも子どもの頃、遊んでもらったものじゃ。
  長いこと見かけなかったが、とうとう壊れてしまったのかの」

  * * * *

  王国暦601年。
  パレポリ村の北に広がる砂漠地帯のはずれに、年若い夫婦が住む一軒の小屋が
 あった。
  夫の名はマルコ、妻の名はフィオナ。
  夫婦の小屋に、ロボと呼ばれる機械人形が同居するようになって、間もなく1
 年がたとうとしている。

0527Now_loading...774KB2005/04/17(日) 21:44:32ID:r8isL8nI
「ロボ、精が出るな。そろそろ一休みしたらどうだ」
 「マルコ、お帰りなサイ。私ハ疲れませんカラ、ドウゾ心配しないでクダサイ」
  ロボは、荒れた地を耕す手を止めずに答えた。
  マルコは、サンドリノの村に苗木を買い付けに行って、たった今帰って来たと
 ころである。
  まだ春浅い日のことだった。
 「ロボ、知ってるか? 昨日、ようやく王様にお世継ぎが生まれたんだ。村は、
 祭りのような賑わいだったぜ。このあたりにはまだ伝わってないだろう」
 マルコの言葉に、ロボの手がぴたりと止まった。
 「ソウデスカ…。王子ガ生まれたのデスネ…」ロボは、誰に言うでもなくつぶや
 いた。

  ガルディア21世の長男が生まれた3日後、生母であるリーネ王妃は、その短
 い生涯を終えた。彼女の心臓は、出産に耐えることができなかったのである。
  ロボは、日課の農作業の最中に、パレポリ村へ向かう旅人からその話を聞いた。
 −−ヤッパリ歴史ハ変ワラナカッタ−−
 ロボは、つらい気持ちでカエルのことを考えた。

 その夜、フィオナは、編み物をしながらしんみりと夫に話しかけた。
 「王妃さまは、どんなにか赤ん坊のことが心残りだったでしょうね。」
 「お前は、体に気をつけて、よい子を産んでおくれよ」
 愛しげに妻を見つめて、マルコが言った。
 「私は野育ちで、丈夫だもの。心配することはないわ」
 フィオナの胎内には、秋に生まれるはずの命が芽生えている。
0528Now_loading...774KB2005/04/17(日) 21:44:51ID:r8isL8nI
フィオナの女児は、生を受けた7日後に、この世を去った。
  産み月に満たない出産であり、まだ暑いさかりのことだった。
  ジュリエッタと名付けられた、小さな亡骸を抱いて、フィオナはまる一日泣き
 続けた。マルコも、フィオナの肩を抱いてともに泣いた。
  小屋にほど近い丘の上に、小さな墓を作ったのはロボだった。
  墓の前に膝をついて、真っ赤な目でフィオナは言った。
 「あの子は、何のためにこの世に生まれてきたのかしら。
  苦しむためだけに生まれてきたのかしら。」
  ロボも、マルコも、答える言葉を持たなかった。
  ロボは、小さなジュリエッタのために、一本の苗木を墓のそばに植えた。
 −−コノ木ガ育って、ジュリエッタを夏の日差しから守ってくれますヨウニ。
   小鳥が枝ニとまって、美しい声デ、小さな魂をなぐさめますヨウニ。

  どんなにつらい苦しみも、時の手が少しずつ癒してくれる。
  フィオナに笑顔が戻るには、長い時が必要だったが、それでもやはり例外では
 なかった。
  2年の月日が流れ、夫婦は新たな命を授かった。今度は男の子であった。
  ピエトロと名付けられた赤ん坊が、二人の家庭に明るい笑いをもたらした。
  翌年には、女の子が生まれ、コンチェッタと名付けられた。
  ロボはその間も、黙々と大地を耕し、種を蒔き、苗木を育て続ける。
0529Now_loading...774KB2005/04/17(日) 22:01:13ID:r8isL8nI
「久しぶりだな、ロボ。元気にやってるか」
  懐かしい顔が、フィオナの小屋に訪れた。カエルである。
  カエルは、5歳になったアルフ王子に、剣の手ほどきを始めたばかりだと語っ
 た。筋がよく、驚くほど上達が早いこと、目元は国王に、柔らかな金髪は亡き王
 妃にそっくりだということを、明るく語るカエルを見て、ロボは心から嬉しく
 思った。

  ロボとカエルは、ともに時代を越えて冒険をしてきたが、同じ時間を共有して
 いるわけではない。カエルの時間軸と、ロボの時間軸は交差している。ロボと今
 語り合うカエルは、はるか未来にラヴォスと戦い、またこの時代に戻って来たカ
 エルである。ロボにとって、ラヴォスとの戦いは、これから400年の時を経て
 クロノ達と合流したのちに、出会う出来事のはずだ。
  その戦いが終わった時に、クロノ、マール、ルッカ、エイラ、そしてロボ自身
 がどうなっているのか、カエルはすでに知っている。だが、彼はその話には触れ
 なかったし、ロボもまた、尋ねようとはしなかった。
  そしてロボは、これからカエルがどんな人生を送るのかを見届けることになる
 だろう。しかし、400年後にカエルと再会した時に、それについて語ることは
 決してない。それは、仲間としての礼儀だろう、とロボは思った。
  カエルの人生は、カエル自身が経験して知るべきものであり、ロボのそれも同
 様なのだ。
  城へと戻るカエルを見送りながら、ロボは、数カ月前にトルースの裏山に足を
 伸ばした時のことを思い出していた。タイムゲートは跡形も無くなっていた。
  ロボは、もう他の時代へは行けない。400年後のクロノ達との合流を待つし
 かない。
0530Now_loading...774KB2005/04/17(日) 22:01:39ID:r8isL8nI
ピエトロとコンチェッタは、フィオナ夫婦の愛情を受けて、すくすくと育った。
 年の離れた小さな弟のパブロが、農作業の手伝いが出来るようになる頃、小屋の
 住人が、また増えた。ピエトロが、パレポリの村の娘を娶(めと)ったのである。
  小屋の周辺では、ようやくわずかな木々が根づき、木陰を作るようになった。
  だがロボの前には、まだまだ広大な荒れ地が広がっている。

  同じ頃、老いた国王・ガルディア21世が、その長い生涯を終えた。魔王戦争
 の一時期を除き、平和で穏やかな治世であり、歴史に残る名君と讃えられた国王
 であった。
  二十歳をわずかに越えたアルフ王子がガルディア22世として即位した数カ月
 後、ロボはカエルと会った。カエルは、王子も独り立ちしたことだし、森の中の、
 かつて暮らした家に戻るつもりだと語った。
 「俺もそろそろ隠居の身分さ。これからは、のんびりと一人暮らしだ」
 笑うカエルの顔には、確かな老いの影が見えた。
  それが、カエルがロボと会った最後だった。


数年がたち、ある年の春、パレポリ近くの森に住む異形の剣士が亡くなった。
 近辺の人々は、その剣士が何者なのかはよく知らなかったが、城から来た使いが、
 手篤い葬儀を行ったことに驚いた。その一行の中の、品のよい青年が、遺体にす
 がって号泣したということ、その青年が若き国王によく似ていたといった噂は、
 ロボの耳にも届いた。
 −−カエルハ結局あの姿デ生涯ヲ終えたワケデスネ−−
  それが、良いことなのかそうでないことなのか、ロボには分からない。
  分かっているのは、最後に会った時も、カエルが明るく笑っていたことだけだ。

0531Now_loading...774KB2005/04/17(日) 22:02:16ID:r8isL8nI
   ピエトロの息子が片言を話しだして間もなく、マルコが流行り病いで倒れた。
 「ロボ、フィオナと子供たちを頼む」マルコは、ロボにその言葉を残して、この
 世を去った。
 ロボは、フィオナの気落ちを心配したが、思いのほかフィオナは落ちついていた。
 「だって、いずれまた会う時がくるのだもの」静かに笑ってロボに答えた彼女は、
 一年を待たずに、病床に伏した。
  懸命に看病するロボに向かって、フィオナは弱々しい声で、それでも冗談めか
 して言った。
 「マルコが待っているから怖くないわ。小さなジュリエッタにも、会えるし。
 こんなおばあちゃんに『お母さんよ』って言われて、びっくりするかしらね」
  子供たちと、孫に囲まれ、静かにフィオナは逝った。
  木もれ日が、窓を通して、床に緑の影を落とす午後のことだった。
 「今までありがとう。これからも森を守ってね」
 それが、ロボへの最期の言葉だった。


フィオナの愛した森は、やっと小屋のまわりを囲む程度である。
  ロボは、まだまだ、森を広げなければならない。

  荒れ地を耕し、水をまき、腐葉土をならし、土を肥やしてゆく。
  種を蒔き、苗木を育て、若木の下枝を払う。
  フィオナの子供たちも、ロボとともに働いた。
  幼子は育ち、やがて巣立って行く。
  その親達は、老いて、土へと還ってゆく。
  結婚が、出産が、死が、フィオナの小屋を訪れては去っていった。
  森は少しずつ、荒れ地へとその勢力を伸ばしていった。
0532Now_loading...774KB2005/04/17(日) 22:03:23ID:r8isL8nI
「ねえ、ロボは死ぬのは怖くないの?」
  火掻き棒で、燃えさかる暖炉の火をつつきながら、トニオがロボに尋ねた。
  窓の外に、その年初めての雪が降り積もる晩のことである。
  トニオは10歳、フィオナから数えて8代目の子孫にあたる。
  ロボが大地を耕し始めて、すでに250年の月日がたっていた。
 「ナゼ、そんなことヲ尋ねるノデスカ、トニオ?」
 「おじいちゃんが、死んだ時のことを思い出していたの。
  ほら、今夜みたいな雪の夜だったでしょ」
  トニオの祖父は、一年前に亡くなっていた。
 「トニオは、死ぬことガ怖イのデスカ?」ロボは、優しく尋ねた。トニオはどこ
 となく目鼻立ちがフィオナに似ている。
 「死ぬことは怖くないよ。天国へ行くだけだもん。
  だけど、死ぬとき一人ぼっちだったら怖いな。
  もしも、僕の家族がその時みんな死んでいたら、僕は一人ぼっちだろ」
 「それナラバ、大丈夫デスヨ。
  私がいますカラ、アナタは一人ぼっちにはナリマセンヨ。」
 「そうなの、ロボ? 僕より先に死んだりしない?」
 「私ハ、機械デスカラ、アナタがた人間ヨリ、ずうっと長く生きマス。
  アナタがおじいさんになっても、私ハ今と変ワリマセンヨ」
 「そうか、なら、安心だ。よかった」
 トニオは晴れやかに笑った。それから、ふと、真顔になって尋ねた。
 「ロボは? ロボが死ぬ時は、誰が側にいてくれるの?」
 ロボは、答えなかった。
 トニオはなんだか、ロボが困ったように笑っている気がした。

0533Now_loading...774KB2005/04/17(日) 22:03:54ID:r8isL8nI
トニオは、孤独な死を迎えずにすんだ。
  約束どおり、ロボが看取ったのである。
  妻はすでに亡く、一人娘のアンナは、トルースの町へと嫁いでいて、トニオの
 最期には間に合わなかった。
  雪の夜から50年の歳月が流れた、秋の日のことだった。
  アンナは、涙をふきながら、ロボに言った。
 「父さんがいなくなったら、この小屋にあなたは一人ぼっちでしょう。
  町に来て、私たちと一緒に暮らしましょう」
 「アリガトウ、アンナ。デモ、私ハ、町へハ行けまセン。
  私ハ、コノ森ヲ守らなくてはなりませんカラ」
  フィオナとの約束がある。なによりも、ここを動いては、クロノ達と会えなく
 なるかもしれない。
  森は、かつての荒れ地の大半を覆うばかりとなっていた。
  ここが砂漠であった時代があることを知る者は、ほとんどいない。

  十数年の間、ロボは一人で森を見回り、手入れを続けた。
  ときおり村の子どもが迷いこむことがあったが、その他は訪れる者もほとんど
 ない静かな日々だった。
  森は、広大なものとなっていた。
  柔らかな下草が生え、鳥の鳴き声が聞こえ、小動物の群れがそこかしこに見ら
 れた。
  ロボは、近頃、体の不調を感じる。無理もない。300年以上、働き続けたの
 だ。自己修復機能も、そろそろ限界だ。
  クロノ達との約束にはまだ80年近くあるが、ロボは、眠りについて、その時
 を待つことに決めた。
0534Now_loading...774KB2005/04/17(日) 22:04:53ID:r8isL8nI
星が美しい晩に、ロボはフィオナの小屋を出て、小高い丘に登った。
  小さなジュリエッタが眠る場所である。
  今では、フィオナをはじめ、ロボが共に暮らした一族の墓標が、立ち並ぶ場所
 でもあった。
  ジュリエッタの墓のそばに植えた苗木は、堂々たる大木となっていた。
  ロボは、その木の洞に、手を差し入れた。みどり色に透き通った、石のような
 ものがその中にあった。
  この大木のまわりは、いつの時代も子どもたちの恰好の遊び場であった。
  子どもたちは、木の幹に傷をつけて、背比べをした。
  フィオナの曾孫の時代であったか、子どもの一人が、木の洞に樹脂のかたまり
 を見つけた。他の樹脂が琥珀色なのに、それは、みどり色をしていた。子どもた
 ちは、それを日に透かして、宝石のようだと喜んだ。遊び終わると、洞に戻すの
 が通例となり、それは代々の子どもたちに受け継がれた。歳月につれて、そのか
 たまりは少しずつ大きくなって行った。
  ロボは、自分の胸を覆う金属片の一部をはずし、そっとそのかたまりをしまっ
 た。そして、ジュリエッタの木の根元に、腰を降ろした。
0535Now_loading...774KB2005/04/17(日) 22:05:37ID:r8isL8nI
−−ロボは、死ぬのは怖くないの?−−
  ロボは幼いトニオの言葉を思い返した。死ぬのではない。電圧を切って、眠り
 につくだけだ。
  だが、眠りからさめた時、そこが、A.D.2300年の廃墟であったとしたら?
  ロボがクロノ達と別れて、300年を越える時が過ぎている。時折、クロノ達
 が本当に存在したのか、ふっと分からなくなることがある。
  自分は、あの荒廃した未来で、一人ぼっちで長い長い夢を見ているだけなのか
 もしれない。ロボの怜悧な頭脳に、そんな疑いが起こるときがあった。それは、
 ロボにとって、死よりもさらに恐ろしいことであった。
  ガリッ−−
  木に寄り掛かった時、ロボの体のどこかが、木を傷つけた。そっと腕を頭の後
 ろに回して触ってみる。滑らかな金属に一か所、無骨な溶接箇所があった。
 −−ロボは、直ったら何をしたい?−−
  ふいに、ルッカの声が蘇った。そうだ、この傷は、はじめて会った時にプロメテ
 ドームでルッカが修理してくれたものだ。
  クロノも、ルッカも、他の仲間たちも、みな、確かに存在した。夢ではないの
 だ。一人ぼっちではない。

  ロボは、自分の電圧を切った。意識が少しずつ低下する。
 −−クロノ、ルッカ、マール、エイラ、カエル。
  目が覚めたら、お会い出来るのデスネ。
  その時は、一晩中お話シマショウ。
  フィオナと、その子どもたちの物語ヲ……

 満天の星が、ロボのセンサーに映っている。
 その光が、やがて薄れはじめた。

  END
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