鬼神物語 第弐話

紅烏が盗まれてから三日がたった。
ここは国家秘密組織のビル。ここの局長室に一人の男がいた。間違い無く局長である。葉巻を吸いながらため息をついている。
ドアをノックする音が聞こえてきた。
局長「どうぞ」
すると小柄な男が入ってきた。
小柄な男「おはようございます。局長。」
局長は優しい笑みを浮かべながらこう言った。
局長「『八頭身』で十分ですよ。1さん。」
1さん「失礼しました。八頭身さん。」
八頭身「ところでどんな御用事ですか?」
1さん「あ、はい。実は例の事件について新たに分かったことがありまして・・・」
八頭身「ほう!で、どんなことなんです?」
1さん「今日、被害者の一人が意識を取り戻しまして、犯人の人相を教えてくれたんです。」
八頭身「それで、犯人の人相は?」
1さん「つー顔のしぃです。少女だそうで・・・」
八頭身「少女であることは分かりましたが、どんなヒトですって?」
1さん「ですから、つー顔のしぃです。たぶん『つーとしぃのハーフ』という意味なんでしょう。」
八頭身「つーとしぃのハーフですか・・・。分かりました。モララーを呼んでください。彼に彼女を始末してもらいます。」
1さん「ちょ、ちょっと待ってください。相手は子供ですよ!」
八頭身「あの刀を抜くことができた時点でその子を始末しなければならないのですよ・・・」
1さん「そんな・・・なぜ・・・」
八頭身「その話は今度にしましょう。モララーに話さなければならないことがあるので・・・」
1さん「・・・分かりました。」
1さんはドアを開け、退室しようとした。
八頭身「ちょっと待ってください、1さん。」
1さんは振り返った。
八頭身「今夜いっしょに食事でもいかがです?」
1さん「・・・お断りさせていただきます。」