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なつみSTEP
https://www.youtube.com/watch?v=H0SNJIgSB5M
二分と言う短時間に、密度の濃い中身が詰め込まれている。複数回の視聴によって観た印象が変わっていき、同時に作品へとハマる。快作。
細かく且つコミカルに描かれた背景の伏線への細かい言及は他に譲るとしよう。
しかし何故、複数回を観る気にさせるかというと、圧倒的な楽しさがあるからだ。
それは背景だけではない。物語中ぐりぐりと動く、なつみの喜怒哀楽が豊かで、見ていて自然と好感を感じさせる。
BGMも慣れ親しんだ「線路は続く」のPOPバージョンで、ワクワク感を高める。
特になつみの表情は出色で、中でもギコしぃカップルへの軽い羨望のようなジェラシーのような目線は、巧みだ。これはまたストーリーの伏線となっている点でも巧み。
そして何故なつみの表情に焦点が当たるかと言うとモブをアスキーアートが担当しているからだろう。
その記号的な表情は、なつみの人間的な表情と対になっていて、装飾過多に陥らせない。
見せるところは見せ、他は単純化させるという手腕が遺憾なく発揮されていて、様々な伏線が入り組みながらも、複雑になりすぎない。その塩梅の心地よさ。
こうして一挙手一投足を観ていく内に、なつみにすっかり好感を持ち、自分は彼女になら撲殺されてもいい、とまでは行かずとも。
ひと時の作中の天国の体験が、心の暗がりを晴らしてくれたのならば、路を戻ることは出来なくとも、心に踏ん切りをつけさせてくれたのならば。と胸に迫る余韻に浸ってしまうのだった。
萌え、というものに絶妙にアプローチした作品だと思う。
狭い私見ながら、ここまでキャラクタの感情の動きに魅了されるFlashを、増して三分以内の短編なぞ、自分は他に知らない。 ☆魔女と森の妖精
http://koshiandoh.com/swf/majomori/index.html
キャッチ―だが、後味は薄い。
何故か?
メルヘンな世界観、ダークながらも暗くなりすぎない可愛らしいデザイン、詰め込まれたストーリー。
これらはなつみSTEPの頃と比べ、より先鋭化されている。
ただなつみ主軸のそれと比べ、本作は魔女と妖精と軸を二つにし、その交流も含めたより多角的なアプローチに挑んでいる。
挑んでいるのは良いが、奏功しているとは言い難い。と言うのもストーリーが複雑化し過ぎているように思うのだ。
一言で言って「わかりにくい」。
なつみSTEP同様、三分弱の長さだが、ストーリーの収まりの悪さを感じる。
複数回を見せることを意識しただろう魚と犬の伏線も、ただそこに設定を置いただけのように見える。
それを解いたときにストーリーそのものの反転、再解釈を求められるなつみとは異なり、魚と犬の違和感がただ猫になり納得という単純な導線になってしまっている。
ここまでなつみとの比較を中心にレビューしたが、同作者、同イベント出品、似たような形式と、比較されざるを得ない宿命を背負った不幸な作品だった。
少なくとも本作が三分で纏められなければ、丁寧にもっと相応しい長さで綴られていれば、受ける印象は大きく変わったことだろう。
何とも消化不良感が残る。惜しい。 ☆魔法使い!?まなみ
https://www.youtube.com/watch?v=X1W4mBvOjx0
設定、デザイン、遊び心に富んでいる。
骨格は今はやりの異世界召喚現代主人公モノなのだけど、丁寧な作りがチープさを感じさせない。
やはり作品の印象を大きく決めたのが、楽曲との妙。
短い尺ながらもインパクトは抜群で、作品の少女趣味を楽しげなものに変えている。
尺的都合で勿体ない、より膨らませた作品を観たい、オチが変則的でやや肩透かしと言った不満を、抜群にはまる選曲でカバーしている。
間隙を考えさせるストーリーテリングは今回は良好で、
この設定で、このオープニングでどのような話が展開されるだろうかという軽い飢餓感が程よく残る。 ☆サイオン
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/saion.html
何とも郷愁を誘う。
切なさとも違う。
何というか、過ぎ去ったものへの距離感。
夕暮れの色彩が効果的だ。無音でも魅せるのは絵による力が大きい。
そして無音であることがテーマと絡んで、強い説得力がある。
どのような音でもこの思いは表現は妨害されてしまうだけだろう。
構図の巧みさ。
少年が採った音を「見せてあげるよ」と披露する際に、おじさんの顔のアップだけを見せる。
音は観覧者にも見せない。
だからこそ、ここからおじさんを軸に音が見えないことに同感させ、読み手とおじさんをシンクロさせていく。
音は見えなくとも、「ごめんな」と言うその心に、大人の気遣いと諦念が滲み、ノスタルジーだけでは終わらない何とも言えない後味を残した。
短い中でも確実に複雑な余韻を与える、設定の妙とさり気ない工夫が光る。
夏に見たくなる一品。 ☆花火
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/hanabi.html
花火と青春とエロス。
音楽の持つ上品な乾いた色っぽさを、上手いことストーリーに絡めている。
色彩豊かに、でも上空を彩る花火は直接は見せない奥ゆかしさに心打たれた。
見事な和の情緒が漂う。
線香花火の終わりを、二人の関係の終わりに掛けた調和もあり、収まりもいい。
穏やかに心に積もるものを何といったら良いのだろう。
感動とか驚きとは遠いのだけど、何かレビューを残したくなった。 ☆真夏
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/nmis.html
機械的な反復運動が、この場合アジになっている。音楽と共に中だるみさえも夏独特の気怠い雰囲気に、一役買っている。
夏。溶ける。投げ出したくなる。と思いきや、作品は纏まっている。その安心感。
その一方、所どころの色彩のサイケさに……
後半は、壊す方向に持っていったらどうなったのだろう、と言う妙な期待感すらも抱いてしまった。 ☆12月16日
http://www.geocities.jp/xxxswfxxx/5/2004-nam1216-drw.html
光の表現が多種多様で、それぞれが綺麗で雰囲気がある。
風景の夕焼け、月明かり、室内のテレビ、電灯、幻想世界の灯りと、それぞれ意識的に使われていて、その繊細さに目を見張る。
構成も上手で何処にでもある、誰にでもある出来事を、ファンタジックに魅せることに成功している。
これは同作者の失恋もそうだが、現実にファンタジーが混じることによる快楽、豊かな表現の可能性の広がりを開拓する心地よさ。
ガラス細工のような雰囲気、隙のない描き込みが、セリフなしの比較的長丁場の「ありふれた」物語に、目を離せないドキドキを与えている。 ☆夏宵
http://www.w-room.net/flash/flash/natuyoi/natuyoi.htm
Flash終了後、手紙部分を拡大すると手紙の内容、その中での隠しリンクを辿ると続きが見れる三段仕掛け。
ノーヒントで辿るのはやや厳しいけど、心憎い工夫だと思う。
文章を三つに分けることで、それも映像Flash、テキスト、テキストを中心としたFlashとそれぞれの趣向が決まっていて、長文を読む飽きをきちりと防止している。
三つをスムーズに読ませる読者への導き、三つ目のパートをもうちょい演出できたんじゃないかと言う不満は残る。
が、そのチャレンジ精神を褒めたたえたい。
文章の長所と短所を知っていて、その良いところを活かしたFlashだ。
ひなたのにおいするてのひら。蝶を取るのが上手な人。
の相手への無防備な好感。幼い打算のない視点を捉えている。
初めは音楽は補助的な作用、次に文章とテンポを合わせ歌詞的な役割、最後に音楽だけ流してセリフを伏せることで醸し出される上質な読者への秘密。
そのまま進み、単体では時を経て二人が結ばれたとも取れるミスリードとちょっとした疑問を残して作品は終わる。
作中の設定はわからないが、時代風景なのかもしれないが、絵から感じられる二人はとても幼い。
小学生中学年くらいに見える。
ぎりぎり中学生辺りにしておくと、大人になるまで囚われ続けるような恋の説得力が出たのではないだろうか。とても幼い。
ここからテキストを中心に作品が淡々と痛切に綴られていくのだが、これは見ていて辛い。
時の残酷さとそれに洗われない純な心との葛藤が、痛い。
大人になった、ことで丁寧語で語られる。その子供には戻れない距離感が重い。
好き「です」の切なさ。決してその成就が狙いではない。離別を決意した何とも言えないすがすがしい切なさが残る。 テレビパン
https://www.youtube.com/watch?v=qxFbbfyhYHg
一発ネタのようで全編に笑いが散りばめられている。
摂取した人の割合、数式、文集、たどたどしい隣人と、如何にもテレビ的なフォーマットをなぞりながら、パンと言うギャップで落差を付ける。
この手の時事ネタは時と共に旬も過ぎるものだが、その射程は今も有効だ。
それだけテレビの定式が変化しない、マスメディアの闇が根深いとも言えるのだろうけど。
ナンセンスなギャグだが、一本芯が通っているのは犯人の如何にもな不審者っぽい妖しさ。
これが作品を荒唐無稽なものにせず、説得力を与えている。
既存権力を思いっきり皮肉り、それでも説教臭い提言、アンチテーゼ臭を感じさせないバランスの良さが光る。
映像は笑わせるのに徹していて、考えるのは受け手に委ねている。その潔さ。 ☆S2F
http://www.geocities.jp/n_kouhaku/s2f.html
2chがAAがまだ存在感があった時代。その頃の夢。懐かしい。
圧倒的に情報量が多い。
が、ごちゃっとせず綺麗な画面展開、色彩によって区分されている。
やはり戦闘シーンが山場となるが、一つ一つの攻撃がネタに直結し、笑いと燃えが高めあう密度の濃い時間を提供する。
これだけの詰め込みにも拘わらず、終わった後には炭酸飲料のような清涼感が残る。
多分、情報そのものに重い価値を置かない、無価値にも近い映像のラッシュによるものじゃないだろうか。
それにしても嘘の上手な作品だ。
アスキーアートもそうだし、アニメしている戦闘、無謀なストーリー分岐、肥大している設定と舞台、当時でも斜陽の格闘ゲームと言うジャンル。
プロモーションビデオとしてやってみたいと思わせる見栄え映りはする。
けれど、これを基にゲームを作ろうとすると破綻する。
そんな気がする。
何とも夢を観させてくれる。そんな仮想現実感。 ☆ハクシャクノテンシ
http://www2.atpages.jp/ngravity2/html/haku_nae_n-gravity.html
可愛らしいキャラクタに抑えめの音と色調、童話的なストーリーを組み合わせ、ほろ苦くも温かい余韻に浸らせる。
作中でも屈指の雰囲気を醸すのが、屋台の場面。
時間の流し方、心境の変化が自然と、巧みに描かれる。
山場となる吸血後の間も、ぴりりと痺れる出来だ。
物語は劇進行で進む。
人は何かを演じなければ為らないと言う社会の舞台性を引き立てている。
そして役者だからこそ映える一世一代のお芝居がクライマックスで引き立つ。
ドラキュラになれない青年はドラキュラとなり、天使になれない少女は天使ではなくなり、演じ手の必要なくなった舞台は幕を閉じる。
終劇の別れのつんとする余韻と言ったら。 ☆SG
http://www.geocities.jp/yebisu_malts/SG.html
何も考えずに気軽に見れるノンストレスな作り。
動きがありつつ、とても分かり易い構成が心地いい。
高さの表現。
敵との身長差で力差を煽り、見下ろすアングルで不安を高める。
そこで一転、慌てふためく巨体を高所から見下ろす安全マンの力強さ。
強い、と言うのを構図で醸し出している。 ☆二人紅白フラッシュ合戦
ttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Yurinoki/9963/sai.htm
ズーンとキター定番ネタに押されそうだが、中々どうして小ネタが光り、それもストーリーに上手く機能することで清々しい謎の感動を与えている。
ストーリーと笑いの入れ方がこなれていて、低労力で如何に飽きさせない楽しませる作品を作れるか、を実践した作品だと思う。
しかし、この路線はセンスが無いと痛い目に合いそうだ。 ☆みちしるべ
http://www5f.biglobe.ne.jp/~card-card-book/bundou.html
不思議な作者サイト名、「絵本のカド」に恥じない作品に仕上がっている。
リズミカルな文章と、その文章の配置、表現。文章の出し入れはかなり凝っていて、注視するとその工夫具合に嘆息が出るほど。
それに柔らかな挿絵が、とてもマッチしている。
特に世界へと飛び出した先に、否応もなく高揚感を掻き立てる演出が待っている。
中盤、もうちょい世界に厚みを持たせる挿絵などが欲しい。
人物が一人だけでは寂しい。
が、文句を付けられるのは些末なこの箇所くらい。
後半の展開も、先を読ませず、それでも滅茶苦茶にならない確かな伏線の配置がある。
やさしいタッチ、すらすらと入る文章とは対照的に、骨太な作品。 ☆NANACA†CRASH!!
http://www.geocities.jp/lledoece/nanaca-crash.html
シンプル。且つ妙な中毒性がある。
攻略のコツとかあるのだろうけど、単純にスタートさせSPECIAL攻撃を狙うだけでも楽しい。
「待つ」、プレイスタイルなんだけど、空中に転がってどのキャラに当たるか、程よくドキドキする。
クリア後のスコアに応じた報酬が無いのは、最初は不満だったけど、それが無いからこそのストレスレスなんだと思うようになった。
ゲームと言うと、どうしても重い腰、になりがちなところを、フレンドリーに遊ばせている。 ☆大掃除
ttps://www.youtube.com/watch?v=HJIFqUxi4ko
抜群の音との同機。歌に合わせて、時にコミカルに、時にしんみりと展開がなされる。
ところどころの遊び心、ホウキでギターや、「おおそうじ」に合わせて耳打ちするように囁くなどは、キャラを可愛らしく生き生きと演出するのに奏功している。
一番の驚きどころは猫の行く末。この発想には驚いた。
年の終わりの物寂しさを加えながら、しんみりとさせ過ぎず、暖かいものが残るさじ加減が絶妙だ。
ウェットになりすぎない絵柄によるものだろうか。 ☆ねがいごと
https://www.youtube.com/watch?v=y0pF2m3Oz8A
立体の表現が抜群だ。
それによって出来る空間に、これまた抜群の空気感を送り込む。
夕焼けの何処か懐かしくも物憂げにさせる風景。
それが終わり悲しくなる、と思いきや美しい映像演出が待っている。
賑やかながら、派手ともけばさとも違う、繊細な綺麗さ。
ただ、何というかそこにもう一つ儚さが加わっていれば、と思う。 ☆ハッピーバースデー
https://www.youtube.com/watch?v=AMGEZZeAN8o
しみじみとする。胸に残る何かがある。
何だろうね。
前向きに生きつつ、帰ってこない過去へのどうしようもない想いがアクセントになっているのかもしれない。
ところどころ曲がっている手描きの画、街の灯りが適度にデフォルメされていて、味わいがある。
妙な生活感があるというか。
回想場面の電車内を一つのカメラで、カメラワークで映す場面は見応えあり。 ☆夏詰
http://www.geocities.jp/ogasinjp/natsume.html
こういう系統は、凄いけど訳わからんとなりがちだけど、その対極にあるPV。
モチーフを極力具体的なデザインにさせ、夏にコンセプトを絞る。
観ていてシンボルの動きと画面展開に惹かれつつ、安心感があるのが良。
何よりもタイトルが好き。正に言いえて妙。
気になるのは。アニメで描かれてるのだけど、たった一か所、写真が含まれている。
僅かな違和感がある。
ここは統一してほしかった。 ☆さよなら、青い鳥
http://www.geocities.co.jp/PowderRoom-Lavender/7709/blueb21c.html
泣けるね。過剰な演出が無いから、その分刺さる。
実体験かなと思わせるリアリティ。過去のアルバムを見て燃やしたいと思う気持ちと、実際にそれができない感じ。リアルだ。
幼い主人公の大人に対する、「俺が大きくなったら」の気持ちは痛いほどに分かる。
そしてそこから冷めるのに取り返しのつかないほどの時間がかかることも。
落として落として落ちるのが救いで、でも最後の希望の一言に思わぬ不意打ちを食らう。
部外者の届かない言葉だったとしても。 艦砲射撃!
http://nextframe.jp/flash/bs.html
マウスとキーボードを並行して使う独特の操作性。
癖のある操作を覚えるのが楽しい。
グラフィックはシンプルな影絵で最初こそ寂しいが、進むにつれ戦弾が飛び交う忙しいものになる。
ボス敵、成長要素、カスタム要素がRPG的なノリを与えていて、長く遊ぶ際のモチベーションになる。
昔は、猿のように遊んだものだ。
重厚さにおいて、群を抜いていた。 ☆吉野の姫
https://www.youtube.com/watch?v=665yiUDahIo
情緒を感じる。雰囲気がかなり良い。
ささやかな奇跡に、心がほっくらした。
絵がお上手。
春の色気が上品に表現されている。
この物語にアクションを求めるのはお門違いだろう。
しかし、動のピークが最初の鳥の動きにあるため、どうしても失速感のようなものがある。
それと声は男役が少し棒っぽく、抑揚に欠ける。
大げさなアニメ声は合わないのはわかるが、それでもやりようがあったんじゃないか。 ☆星宿海
https://www.youtube.com/watch?v=X1wZOCkF9WY
こちらは初夏の夜のような澄んだ空気を感じさせる。
雰囲気は相変わらず抜群だ。
測量器、時計。小道具にも凝っていて命が宿る。
キャラの表情も生き生きと動く。
特に眠りそうになり我慢する、というのをとてもコミカルに描き出している。
作品の山場は美しい。
幻想的な光景に、思わず少年に声をかけてやりたくなった。 ☆たのしい国語
https://www.youtube.com/watch?v=bocMf047LRE
くすりとする。
無造作にハイレベルなネタが連発される。
下手にためたり、出し惜しみしないのが素敵。
テキストスピーチがこの場合、合っている。
普通、違和感しか生まないだろうに、感情のこもらないしゃべりが却って笑いを誘う。 ☆MEMENT MOMENT
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9531/rw/
澄んだ空間に星が瞬く。
湿度のない情景に、甘い溜め息のような声が、不思議とマッチする。
急ぎすぎず、しかし中だるみしないで映像は展開していく。
センス、と言うものはわからないが、確かに「センスがいい」と言いたくなる。ヨーロッパ調。
どこか優しい作者の視点を感じるのは気のせいか。 ☆Card
http://chigari1.web.fc2.com/card.html
超短距離Flash。
電話の音とカードの動きを同期させている。
と一言で言っても、この電話とカードを組み合わせる発想の柔軟さが凄い。どうやって結び付けたんだろ。
山場のプルルルルのシャッフルは抜群にハマっていて、陶酔感にふらつかされる。 ☆アクロストリート
https://www.youtube.com/watch?v=Uc_fTMI3gUE
あたかも群像劇のように幾つもの人物を並列させ、後半勢いよく収斂させる。この短さで。
自然、全体の把握には複数見が要求されるけど、それだけの面白みはある。
演出の工夫は山ほどある。
背景を動かしたり、クライマックスではその背景を省略することでアクションの迫力を出したり。
ただ、詰め込みすぎたのか、何度見ても何でオタクが頬を傷つけたのかわからない。
また中途でその傷跡を描き忘れている。
が、最後まで破たんなく大団円まで持っていくエネルギッシュさと豊かな遊び心と仕事人気質の丁寧さを併せ持っている作品だ。 ☆朝のリレー
https://www.youtube.com/watch?v=6GqNN-Xs-ns
「カムチャツカ」「キリンの夢」
注意を惹くが馴染みの薄い遠い言葉だ。
それが「目覚ましベル」コーヒーと、身近なありふれたものに着地する安心感と展開の心地よさ。
詩を味わうという、文章系にも似た作品だが、それを強調して押し付けることはない。
スッと入ってくる親しみやすさが気品のある詩と合わさって、心を豊かにする感覚に浸らせる。
それもダントツに上手な詩の朗読者あってのものだが。
音楽に何というか祈りのような感じがあって、静けさのある映像も相まって、透明な夜明けの雰囲気を作っている。
無理して商品をアピールせず、自然に好感を抱かせるCMだ。 ☆AA足球
ttp://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Sunnyvale/1037/swf/aasoccer.html
AAを貼る。コピーする。
ではなくて、AAを動かすことを意識しているFlash。
どれだけ動くかと言うと、おにぎりのシュートの時に、動かないのがネタになるくらい。
それだけ躍動的に動く。
それもアニメアニメせず、AAを記号として意識しているのが伺える。これは地味に画期的。
楽しく他にはない表現を味わうことができる隠れた一品。 ☆零刻
ttp://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/4039/zero.htm
シンプル且つ奥深い。
ターゲットロックオンは敵への攻撃になっていて、敵兵の弾を相殺する防御にもなっている。
攻防一体になっているのを、シンプル操作で分かり易く提示している。
点数によって分岐するので、上達の喜びが大きい。
複数回トライし続けることで敵の耐久値、位置関係が暗記され、よりスムーズに進んでいく。
リプレイする喜びがある。
デザインも単純化されつつも、面白い造形のメカでワクワクと。 ☆或る旅人の日記 真夜中の珈琲屋
https://www.youtube.com/watch?v=KqVR3SEgePg
タイトルから独特の雰囲気があるけど、作品でもそれは変わらない。
シックな落ち着いた色彩で静かな空間。深夜と言う時間帯とカフェインの取り合わせ。
何かあったのだろうか。
昔を思い出したり中途半端に寝付けなかったり。
いやいや、これが旅人の普段着の姿などだ。などと思考は一回転する。
ほんとうに、ほんとうに細かな所作を切り取っている。
砂糖壺から角砂糖を取り出すときの、くいっくいっとするあのじれったい所作。
これ一つで没入感がぐっと高まった。
最後の一言。
味わいがある。
想像した寂し気に待ち続ける旅人の姿は、何処かユーモラスだ。
広がりがある。世界の広がり、空間の広がり、時間の広がり。
些細な日常の奥に横たわる作品のスケール感が、異世界へと持っていかれたような余韻を残す。 ☆CATMAN
https://www.youtube.com/watch?v=qXmF0cIJAkw
緻密に描き込まれた街。そこを舞台にハイテンポで生活する住人、それに関わるCATMANが疾走する。
どの動きもキレがあって、ビールを一気飲みするのも殴られるのさえカッコいい。
決まらないオチも含め、何か完璧を外している所があって、それが気障っぽくなりすぎず、同情とも違う親しみを生んでいる。
どのシーンも珠玉のカットだが、月を背景にコートを片手に踊る場面が特に惹かれる。
CATMAN特有のシチュエーションもさりとて、滑らかなアニメーションが躍動感があってカッコいい。 ☆wireless6 opening animation
https://www.youtube.com/watch?v=rBWUsTsSAUo
現実からファンタジーへの移行が、ダイナミックで、前へ前へと進んでいく。
カボチャから車への変化が意外性もあり楽しくもある。
全体的に清涼感ある仕上がり。 ☆花匠三
http://www.labix.net/labix3/flash/f2.htm
柔らかい色彩の水彩画のような表現が特徴的。
間のとり方に余裕があって、カメラがぐっと引き時にキャラを豆粒くらいにまでする。
風景を味わい、自然の大きさを堪能することができる。
せかせかした心を、落ち着かせる癒し系? ☆Nightmare City
https://www.youtube.com/watch?v=fjQ0DilngkE
退廃的な近未来SF世界からの、少年少女の脱出剣劇ファンタジー。
と言う題材だけを切り取れば数多の作品に埋もれそうなモチーフだ。
ただ、図抜けた演出力によって、それは回避されている。どころか、超有名作となった。
画面のメリハリが強烈。
キャラクタは生き生きと動き、時には画面全体を覆いつくさんとするアップになる。
高さの表現も巧み。
橋から見下ろす敵。水中に沈む主人公。
奥行きある演出も伴って、映像が三次元で息づいている。
キャラクタが多く登場するが、色分けされているためか、既存のAAを上手く利用しているのもあって、混乱なく進行する。
ヘビィな曲と進行まで同期することで、迫力と良くも悪くも厨二らしさが出ている。 ☆ちびせみ第一話
http://www.semiro.info/semiro/tibisemi/1/tibisemi_01_hi.htm
アイディアの心地よさ。
雲を釣る、食べる、その結果は、そして。
とユニークな発想がどんどんと段階的に自然にストーリーと共に進行する。
驚きながらも、どこか微笑ましく見守ってしまうフレンドリーさがあった。
音楽は、アニメパートは責めて効果音が欲しかった。
けど、前半後半で起伏を作ってるのも確か。
最後のお土産はおっかなびっくり食べたんだろうなあ、どんな味がするんだろうなあと、想像を掻き立てる。 ☆ちびせみ第二話
http://www.semiro.info/semiro/tibisemi/2/tibisemi_02_hi.htm
可愛らしさと哀しさと幸せが詰まっている。
歌が素敵。声を当てるとどうなるだろう、思わせる。
そしてピアノを弾いていて疲れているお姉さん、元気いっぱいのちびせみ。
果たして倒れるのは。という心地いいミスリードの意外性。
そして種明かしの上手な婉曲表現。
魂が乗り移っていたことを直接言及せず、「歌の好きなお嬢様でございました」で締めるその格調高さ。
だれもいない所で無言でピアノを弾くお姉さんの粋さ、哀愁。
からのささやかなハッピーエンド。
ファンタジーの設定や見た目に惑わされてはならない。
その根底に流れるのは上質のミステリだ。 ☆フミコの告白
https://www.youtube.com/watch?v=0QqT1P4VO30
最初の方はそうでもないかなという速度。
それが徐々に加速し、高速に挑む快感。
緻密に描き込まれた街を進む爽快感と、漫画的表現の分かり易い楽しさ。
告白は器で、中身は一直線に走るのに集中する。だからこその何も考えないで済む心地よさ。
画面にへばりつくような顔のアップ、主観的な一人称視点のカメラと、見ていて強烈なメリハリと楽しさを提供する。
と、明の方向に、正の方向に映像は展開する。なのに、中身はフラれましたトホホのギャップ。それもまたコミカルで太陽のような明るさを際立たせている。 ☆大人帝国 ひろしの回想
https://www.youtube.com/watch?v=jaZNjXZ0Wpk
クレヨンしんちゃん大人帝国の名場面。
セリフなしで叙情的な曲と共に、ひろしの過去、今が描かれる。
一つ一つの場面のチョイスが、心憎い。
美しい過去ばかりではない。
時には女の子にはフラれ、仕事ではミスして、お父さんはくたくただ。
その行き着いた先の、洗い流すところとして、家族とのお風呂、晩酌がある。
そして、嘗ての父と同じ場面で、脈々と受け継がられる風景でしめる。
無駄なシーンなど一つもない。
野原ひろしの生き様を短時間にゆったりと凝縮している。
一つ一つのクオリティも驚くほど高い。
妻とのデートの初々しさ、病院に駆け寄る際の人が来て歩を緩める感じ、子供に足の匂いを嗅がせる際のイタズラ小僧の笑み。
この場面は、19世紀ノスタルジーの匂いで少年、過去のトリコとなってしまったひろしを開放する場面だ。
その解放のキーとなったのも、過去だというのが感慨深い。
それは「昔は良かった」とする単純な過去崇拝ではない。
酸いも甘いも噛みしめた、しかし今を幸福なものとして生きている一人のお父さんの人生。のような、いや、それ以上のものかもしれない、を提示するその作品の深淵さ。 ☆大人帝国 21世紀を手に入れろ
https://www.youtube.com/watch?v=098401q6jnc
このシーンの演出効果・解説は、このBS夜話の36分20秒あたりからが詳しい。
https://www.youtube.com/watch?v=ecy52g8AbBg
前者のひろしの回想が19世紀の匂いからの解放の内面に迫るもの。
に対してこのシーンはテレビを通してこれを観ている匂いに侵された他の大人たち(観客も含め)を解放する外面の場面だ。
また敵役の「最近、走ってないな」の対となっている。
そうした重要な場面だが、先の演出で安易な19世紀ノスタルジーの克服を、観覧者に力強く説得していく。
それに成功したからこその名場面と言えよう。 アイマリンプロジェクト 「DEEP BLUE TOWNへおいでよ」
https://www.youtube.com/watch?v=LN-aDmknphY
滑らかに動くアニメキャラ、効果的な構図、ミュージカル仕立ての構成。
これらが高い完成度で、並立している。
特筆したいのが、港町とそこに生活する住人を活写できていること。
思わずそこに休暇したくなる耐え難い魅力が溢れている。
世界が描かれている。
難点は。
祭り場面、和の楽曲を使うのは意外性で効果あり。
だが、祭りの屋台など賑わい方まで日本的にする必然性を感じない。
むしろこれまでの西洋的で海洋的な世界をチープにしてしまっていないか。
異世界に相応しい祭りの盛り上がりが描かれいたら、と贅沢な注文をつけたい。 ☆2ch格闘
2ch系格闘ゲーム。
怨霊戦記MONAから始まり>>10のSFでピークを迎えるアニメ系2chゲームPVとは、毛色が大きく異なる。
一言でいえば地味に映る。 http://nextframe.jp/flash/the2chBattle.html
が、攻撃の一つ一つを追うと、それは手抜きではなく、AAの輪郭に極力忠実にしているのがわかる。
つまりAAアニメではなくあくまでも掲示板上のAAとしての表現に固執している。
故に玄人受けかもしれないが、AAに親しみがあると、あのAAがあの攻撃をする、こうコマドリのように動くと、言った醍醐味を味わえる。
それもシステムとしてキリ番を導入するなど、掲示板らしさは存分に生かされている。
ただ、キャラクタを選んだ後に色を選ぶ。
この色選びは無駄な枝葉に感じる。
遊ぶ際にはその入り口は出来るだけ広く簡単に、手軽な方が良い。
表現を絞った、削った作品だけに、どうも余計な一手間に思えてしまう。
しかし、手軽に遊べて、格ゲーに疎い自分でも勝ち進めれる気軽な難易度が嬉しい。
力作ゲームにありがちな、こだわった故に出来るだけ濃く遊んでくれ極めてくれ、な理不尽な難易度に陥っていない。作
者のバランス感覚が光る。 ☆2chレーシング
https://www.youtube.com/watch?v=hxCYJdJgGVI
マリオカート風PV。3Dで用意された鮮やかな舞台を、2hAAが軽快に駆け抜ける。
コースデザインが心憎い。
アップダウンがあり、うねるような迫力がある。
そこにネタのオンパレードが、畳みかけるように決まっている。
手裏剣から段ボール、ミカン爆弾への連結の楽しさと言ったら。
所々にレースとは関係ないネタもあるけど、賑わいにもなり、妙な勢いを生んでいる。
曲と共に綺麗にレースは終わるが……何となくゴール後の余韻も味わいたかった。 ☆黄色い桜を探して
http://infinity.s101.xrea.com/flash/2004RW/yellowcherry.html
偶然が運んだ謎めいた秘密の関係。
老人の正体は? 二人の今後は?
それが物語としてドラマチックに展開する、と思えた次の場面で、関係は突然、老人の方から断ち切られる。
デートでの食事をいじらしく考えている場面で感情移入した自分は、そこで人の縁の理屈を飛び越えた不可思議さに主人公同様、呆然とどうしようもないやるせなさを覚える。
その苦しく重い進行に、桜が連れた主人公の素直な着飾らない明るい心に救いを残して、物語は閉じる。
どうしようもない余韻がこみ上げる。
人生は一期一会だ。出会いもあれば別れもある。
それでも、内に何時かまた出会えると希望を持つことが、心の中に黄色い桜を咲かすことではないかなあ。
ドラマとしては未完成のように思えるプロットだが、人間らしさ、殊に二人の特殊な社会人らしい関係性を描くという点では高いレベルで成功している。
打算やあざとさ、作為が見え隠れしない真っ直ぐな、しかし単調ではないストーリーは胸を打つ力強さを持っている。
不満はキャラがAAな点。
描く労力を省く以外、AAであるメリットを感じない。
ましてや骨太の人間劇、現代モノ、非2ch系なら、猶更ファンタジーでアングラなAAとは相性が悪い。
確かにこれもこれで味がある。
が、これに相応しい演出、表現方法で描かれていたらと惜しさがひたすら残る。
繰り返すが脚本は本当に素晴らしいだけに。 ☆朱の路
ニコニコから
紙粘土アニメ。
セリフなしの静的な場面が、ピアノ弾きという題材にマッチしている。
琉球を思わせる夢風景は不思議と田舎の匂いがする。
そして雨ののちの朝焼けの心揺さぶる光景が眩しい。
手の表現が巧み。
ピアノを弾きたくて堪らない無意識の動き、指一本でピアノを弾くたどたどしさなどが、良く表現されている。
また眼の主張がさり気なくも心を表現する。
ピアノを前にした時の眼の変化など。力強くも繊細な目の力。
音楽はピアノがメインとなる。
物語の山場となるピアノを弾くシーンの曲は、とても素敵。
静かな希望の足音が聞こえてくる。
全体に散りばめられたピアノ曲は抑揚を確かに作ってはいる。
が、ピアノを実際に弾いた音の印象を目減りしているようにも思える。 ☆紙兎ロペ「ガチャガチャ編」
https://www.youtube.com/watch?v=k9IXFr-1jT8
余りにもうさんくさい売り文句の「ウルトラボール」。
これを軸に話が展開すると思いきや、意外な展開へと続く。そのズレ。
しょっぱいのが妙にリアル。
子供と老人の温度差ある掛け合いが、くすりとした笑いを誘う。
話芸が素晴らしい。 ☆紙兎ロペ「きもだめし編」
https://www.youtube.com/watch?v=zxP0AsjvgmE
クレーマーなアキラ先輩と、しもてな従業員のやり取りの楽しさ。
どんな感じで脅かしたのか、場面が自然と目に浮かぶ。
一つの構図でちまちまと動く。それも人間臭く。
気軽に見れるスナック感覚が嬉しい。 ☆ペーソス
http://www.geocities.jp/fookky104/fla/bungei_proto.html
なんのいみもない どにでもある ありふれたかんじょう。
とあるけど、それを描くのがどれ程に難しいことか。
主人公の境遇は悲しすぎて、却って滑稽なのだが、それが親しみを感じさせる。ピエロみたいだ。
その内面をつづり続ける文章の、ひらがなの味、一人ぼっちの切なさよ。
絵のパートも実感がこもっている。
一人で屋上で食べる昼食。
宴会芸で盛り上がりに加われず、一人ウーロンジュースを飲む侘しさ。
何か特別なことをして終劇と言う訳ではない。
ただ歩むうちに映る月に枯れきっていない想いを確かめ、そして黙々と歩き続ける。
楽曲も相まって、天からの優しさのような何というか温かい視線が、空っぽに沁みる。 ☆Lively
http://adhesives.sub.jp/flamo.htm#mo
オシャレ。
現実と虚構の狭間と言うか、理想的な生活が流れていく。
女性の大胆な露出カットが出てくるが、決して下世話なエロさや萌えには繋がらない。
ひたすらにお洒落だ。
生き生きと描かれる等身大のイラストのせいか。
曲とシンクロして、空間が生きている。 ☆飛び込む 紅白イイ!
http://game00.net/enter/53.html
思考と瞬発力を使う、シンプルに見えて奥深さのあるゲーム。
高得点を担う連鎖を効率よく出すには、ある程度ジエンを侵入させなければならない。
けれど、出し過ぎるとゲームオーバーのリスクが高まる。
ライン際の攻防が熱い。
また、紅と白の落下速度が微妙に違う。二つが重なりあうことがある。
これが一筋縄ではいかない瞬間の対応力を試す、面白みを生んでいる。 ☆リリィの愛の歌
https://www.youtube.com/watch?v=NF4ViQ-ANFY
手書きで描き込まれている過程が、温かみを生んでいる。
体温というか育まれる愛情を感じるPV。
絵がテンポよく、しかし緩やかに出来ていく。
それも文字が絵の一部に成ったり、カメラを逆再生させたりと、このアイディアだから出来る演出の工夫が楽しい。 ☆umeyon#1
http://www.umeyon.net/korea/fla001.html
コミカルな動きと一つ一つの効果音が絡み合って、楽しい。
後ろにトットッとつんのめる姿とか、犬を叩くところとか。
うなるのを真似るところなど、可愛らしいですな。
オチもニヤリとする。
☆初恋のたんぽぽ
https://www.youtube.com/watch?v=-76Gu4Y_HqI
柔らかい線と色彩で、恋心を描く。
たんぽぽの綿毛が飛ぶシーン。ドキドキとする。
そして相手が一目ぼれするのを、説明台詞ではなく、横顔のカットだけで説得力十分に提示する。
ここが抜群に可愛らしくて惚れるのもわかるという。
この一シーンで好きだ。
その後はドラマが動き切った後、恋心が実った後なのだが、観ているこちら側が照れてしまうほどの甘さ。
それでも不快や冗長にならないのは描いている作者が照れずに、実直に描いているからに他ならない。
オチは切ない回想系と明るい系の二つを、観ている内に予想できたのだが、ここを最後に明示したのも、勿体ぶらない実直さが貫かれて好きだ。
甘さは十二分にあった。
あとは酸っぱさかな。
片思いのうちにもだえる、或いは軽い嫉妬など、じらしのような場面が描かれていても。
より長尺にしても良さげな素材だ。 ☆だれかのまなざし
https://www.youtube.com/watch?v=zG9b8ZoAuqo
緻密に描かれている背景、小道具。
例えば女の子の部屋。それも可愛らしいものではなく、こものが雑然と並べられた部屋に生活感がある。
食事が丹念に描き込まれている。これは食卓の安心感と幸福感を演出している。
世界感にSFが混じっているのだが世界を嘘とは思わせない現実感。
緻密に描き込まれた故のリアルだろう。
それは、物語の伏線にも及ぶ。
まなざしの正体の種明かし。
その直前で観ている電子アルバム。よく見ると猫が主役の写真ばかりだ。
そのまなざしの正体だが、猫のみぃさん本体にしては細かすぎるような……例えば生まれる前の二人の様子を描くなど。
この、死して神のような大きな視点を獲得するような構造に、ちょっとウェットにさせる世界のとらえ方と言うか世界観が滲んでいる。
死を看取れなかった主人公の想いが、家族が戻ってきた安らぎが、生死を超えてしかりと伝わっているのだと。 ☆Ascie Art World
http://tail.s68.xrea.com/html/movie/aaw/index.html
ステージごとの背景グラフィック、敵キャラ、音楽にメリハリを持たせ、短編小説のような作りとなっている。
易しめの難易度もあって、ショートトリップしたかのような満足感が嬉しい。
各ステージが短いことで密度の濃いステージに、適度な息継ぎが可能だ。
特に2chを題材にしたステージは、雰囲気が独特で面白い。
各キャラクタの動きもスムーズ且つ、やっていて心地いい。
難しいと思えば、モララーを使えば比較的楽ができる。
が、最後のステージで難易度がどんと跳ね上がる。
特にラスボスで今まで使わなかったガードボタンを強いることになるのは、どうにかならなかったのか。
凄く気軽に密度の濃い体験ができるのだが、クリア後のスタッフロールを見て納得。
何人もの作者が分業をしている。
それを一つに纏める手腕もさることながら、やはり無料ゲームにここまでの複数者の熱が籠っているその稀有さ。も納得の出来の秀作だ。 ☆おべんとう
http://monakura.com/lunch.html
水彩画で描かれた田舎をバックに、二人のほのぼのとしたやり取りが展開される。
牧歌的な曲調で連想されるハッピーエンドを、作者は決して裏切らない。
二人のいざこざも、ニヤニヤとして見れる絶妙な安心感。
しかし暑い夏にチョコケーキの取り合わせは、流石に怒ってもしょうがない。
それを最終的に受け入れる信頼。愛には遠いけれど、恋よりは近い、その距離感のいじらしさ。
にくいねー。 ☆信行軍団3
http://www.skt-products.com/contents/nobu3rd2.html
スペースキーとマウスクリックのみのシンプル操作ながら、妙味があって面白い。
ステージギミックが豊富だ。
ストーリー性があったり、背景が壊れたり、合間合間のボーナス要素があったり。
密度が濃いので繰り返しプレイを自然と促す。
ボーナスアイテムや称号制度なども、それに一味加えている。
映画の一場面に入り込んだような没入感。
故に不満なのは、余りにも不似合いな作品タイトル、あっけないエンディングだ。
ゲーム部分以外で損をしている。
その武骨さも味ではあるが。 閑話休題
http://www.geocities.co.jp/Playtown-King/4566/etc/gameetc/nagata1.html
ゲームレビューについて。
様々な手法があるだろうけど、自分が好きなのは、「風のように永田」氏の、このレビューだ。
体験、に勝るものはない。。
が、それを楽しくコンパクトに語ることの難しさよ。
大切な熱量を失わないように留意しつつ、わかりやすさを保つのは難しい。
また、やはりゲームそのものへの代えがたい情熱。好きだという動機。
語りたくて仕方がないと溢れていく想いと、それを形にするプロのライターの文章力の併存。
やはりレビューを読んで、他者もプレイさせたくなる。
そして好きなゲームが伝播していく。
それが自分の理想とするレビューの形のように思う。 うーん。
+EASY RPG+
ttps://web.archive.org/web/20041209224629/http://kobe.cool.ne.jp/f1ash/flash/easyrpg.html
これはマウス片手でRPGをやってしまうと言う、限りなくシンプルなRPGだと思います。
シンプルだから、面白さのエッセンスを知るのにも良さげ。
探索→知らないフィールドを開拓する。マップを埋めていく。冒険(アドベンチャー)の楽しみ
戦闘→敵を倒す。経験値をもらう。レベルアップする。強くなっていく。成長(バトル)の楽しみ
基本的な部分はここなんだと思え。
で、この二つが上手く結びついている。
知らないマップを冒険するには体力と強さが必要。ですから戦闘を繰り返し強くなることで、冒険も先に進みやすくなる。
ラスボスがいて彼を見つけるには、まだ知らぬ土地を訪れて探す必要がある。最終戦闘をする為に冒険していく。
また冒険をしていれば戦闘は自然発生し、それが故に、同時に、リアルタイムに、マップが埋まっていき、レベルアップもしていく。
二つの要素が離し難い結び付きを持っていて、有機的で、シンプルなのにコクがある。
あと何気ないですが、ゲームオーバーをしてもデメリットがない。FlashのRPGは所要時間が短くなりそうなので、無駄だったなーってのは極力少ないほうがいい。そう思わせる英断。 ☆猫田たくみ「雨ばっかり」
https://www.youtube.com/watch?v=Z8JZMoAOtwg
天使の輪っかのギミックが面白い。
こう変わるのかというメタファーの楽しみ、段階的に発展していくアイディアの柔軟性。
曲との相性も、地味ながらも味わいのある感じが合っている。
この選曲の妙。
本当に無名に近いマイナーなものを選んでいる。
それが作品独自の味になっている。
Flash全盛期では著作権の関係もネットの普及の問題もあって、有名曲を紹介する、絵を添わせるとしてメジャーな歌ものが主流となった。
その流れを汲んだのがボカロ系?
けど、時代は変わった。
有名曲はネットに無法でアップされ、簡単に楽しめる。
と言う意味では未だ知られていないマイナー曲を紹介して、そのインパクトを作品への印象に直結させる、という考え方は正しいと思う。
マイナー故に再生数を稼ぐことは出来なかったみたいだけど。
でも、愛情は伝わってくるよ。 ☆ゾウの王様と天使の筆
https://www.youtube.com/watch?v=UZ-vMdg1beQ
色鮮やかな動く絵本のような趣き。
掛けられた労力は質量になって画面を埋め、しかし出し惜しみしないテンポで展開され、小気味いい。
作品に散りばめれた遊び心。
ゾウの画が完成され、それが切り絵のように繰りぬかれる驚き。
マリオっぽいステージにニヤリ。
手作りのシンクロしていく曲の温かみ。
それらが子供=天使=素晴らしい=子供らしい柔軟な親しみ溢れる作風、と繋がって、説得力を生んでいる。
ただ、子供を無条件に信じる、子供と言っても創作とかそういうものに置き換えられる寓話性はあるのだけど、にちょっと抵抗がある。
作りが浅く見えるのだ。
でも、そういうのは穿った上からの大人の目線なのだろう。
子供心に沿った絵本のようなテイスト。
寝る前に幼児に見せたら喜ぶだろうな的な、シンプルなわかりやすい作品だ。 ☆クレヨンしんちゃんのこの生活感のある感じたまらなく好き
https://www.youtube.com/watch?v=AKNoMacaZaY
大胆な漫画的デフォルメとここまで描くかと言う細部の描写が共存して、見ごたえのあるものになっている。
この短時間で味噌汁が出来るという嘘。
にも拘らず、手の平でさいの目にカットされる豆腐、味噌をおたまで溶くといった描写で、リアリティを出している。
小気味よく忙しなく朝をこなす母親。
一方で悠然とのんびりと構えるしんちゃん。
このギャップが、それによって遅刻するという様式美が、たまらなく愛しい。 ええやん!
Flash文化を守ろうとする君の姿勢感服したで
2020年まで頑張ってくれやで!ワイも支援するで! ☆こだわりのコーヒーショップ
http://jp.channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=jpchan04&prgid=46101390
何というか、安定した面白さ。
時々、見返したくなるんだよ。
年齢詐称、それもA→Bという単線的なものではなく、A、いやB、いやいやC、ほんとはDと、気持ちいい連打で、クスリが畳みかけられる。
しんちゃんが子供というのを利用した純な瞳、好奇心なども、微笑ましい。
またお下品な下ネタも暴力シーンも一切ない。
場に合わせた上品さがあって、これは怒る人もいない優しい短編だ。
オチは途中から読める。
が、何だこの塞翁が馬のような安心感。
きっとコーヒー屋だと流行りそうもない、というのを前半で上手く匂わせているから、転換が楽しいのだろう。
ド安定ながらも、計算されたプロットを感じる。 >>64
ども。
Flash文化を守る? えー? そんな大それたことを! Flash以外のものも混じってます。すんません。
半ば公開備忘録みたいな感じでやっとります。他のレビュアー募集中。
2020年? えー? 一週間程度で飽きるんじゃないだろか。 ☆想い雲
https://www.youtube.com/watch?v=vmXi69bt3ks
キャラの表情が生きている。
特に冒頭の噛みつかんとする感じ、次いで痛みが痛いくらい伝わってくる感じ。やり過ぎてしまった、やっちまったって表情が素敵。
雲で表現してくるが、後半の二人を覆う重い暗雲のような心情表現は巧み。
が、オチはやり過ぎではないか。
あざといというか。
身近な現実感が持ち味なのに、一気にファンタジーに着地してしまい、苦笑してしまった。
反面、それは照れでもあって、素直に感動する部分もくすぐっている。いや、ほんとのほんと。 ☆おいしいコロッケをつくろう!
http://www.geocities.jp/nnmtondayanemadetonda/
これはサウンドノベルゲーム形式のギャグが光る。
特に一瞬ミステリゲーム、かまいたちの夜に接近し、高速で離れていく選択肢には笑いをこらえきれない。
一つ一つの選択をするときに、構え、予想が出来るものだが、それをいい意味で裏切るその不条理感が、笑いを誘う。
結構、飽きるほどに遊んだと思ったのに、笑えるもんです。
頭が柔らかい。
柔らかすぎて、ぐにゃんぐにゃんになっていて、イイ。 ☆猫
https://www.youtube.com/watch?v=pIUxwpFROg0
一寸先を読ませないストーリーテリング。
親子猫の旅から、気が付けば余りにもスケールの大きな世界に連れていかれ愕然とする。
死を描いている。
が、その喪失感を共有するのは、前半部分で丹念に親子のかいがいしい生き様が描写されているからだ。
記号的な死ではない。
そして圧巻の後半。
死後の世界をこう描くか。
陳腐ではない独自性。音楽に負けない迫力と禍々しさ。
それに懸命に抗う息子に、神でなくても手を伸ばしたくなる。
独自の表現方法が、独自の世界観と、独自のストーリーテリングと合わさった稀有な例。
今でも追随を許さない、色褪せない力強さがある。 ☆ROBIN ザ・おたずねロボット
http://web.archive.org/web/20040421002014/http://oresama-cinema.hp.infoseek.co.jp/robin.htm
陽気でコミカルなお話。
と思いきやほろりとさせる自己犠牲への静かな転調が見事だ。
演出で泣かせようとはせずに、最後まで陽気なそれを貫くことで、却ってほろ苦い後味の深さを呼んだ。
考える観客と言うのを、ないがしろにはしない、その気風の夜さ。 ☆若後家接吻莊
http://www.geocities.jp/buruton2000/wakagoke.html
機械的な念仏と、唇のアップや露出した映像に、背徳感がにじみ出ている。
流れる空気の非日常性に、異世界に連れ込まれた感さえする。
何でしょう。
女性特有の色気みたいなのが加わっていれば、より魅力として映えたのかな。
ちょっと男性が映した感じが出すぎているような気がする。
と言った指摘にも躊躇うような、何だろう、雑然としながらも纏まっている、中毒性のある密度の濃いアートが展開される。
執拗な手の表現、青虫が、不安感を煽る。
迫るような声が、悲劇性を高める。
そして最後、ブラクラにあったかのようなバグり方が素敵。 ☆花火虫
https://www.youtube.com/watch?v=nRBdTQirH5M
複雑すぎないテーマが、映像の美しさ、色彩の美しさを際立たせている。
花火の後の儚さが出ている。
健常者じゃない人が観る景色。というのかな。
そんな突き放した感じ。
でも恐る恐るふれてみたくなる感じ。 ☆まーちゃんのりんご
https://www.youtube.com/watch?v=iroXs7henMw
執拗に手。
作者の手、神様の手、作られた虚構性を強調する。ピアノを機械的に繰り返す手、人形劇の棒を繰る手、絵をクレヨンで塗ったかのような手。
とうとうたまらずと言った感で、舞台裏を見せてまで、手を映す。
この虚構の作られている感が、「夢を見ているみたい」とのメタ発言とも重なって、それまで女の子が生きてきた世界のモロサを演出する。
その行き着く先はもちろん、なわけだが、この結末は読めそうで読めない。
一歩先を行かれたそれに愕然とさせられる。
表現と演出とストーリーが、見事に結実している。 ☆僕の家
https://www.youtube.com/watch?v=qWXnt2Z2D1E
常に手振れやキョロキョロとした目線で動くカメラが、不安感を高める。
廃墟の朽ちた美しさもあって、緊迫感を保つのに成功している。
何か来ると待ちかまえつつも不意打ち気味に平然と出てくる怖い要素にウワッとなった。
この作品。youtubeで観るのと、ニコニコで観るのと受ける印象がえらく違う。
前者は拉致されて連れ込まれた怖さがあって、後者はみんなで肝試しなエンターテイメント感がある。
それは恐怖系を描き続ける作者性もあって。怖いもの見たさな。
夜中で一人で観るのも怖かったけど。
こういう映像が映画館で流れたら、どんな空間ができるんだろう、連帯感が生まれるんだろう的な面白さがある。
そういう視聴形式の変化みたいなのを意識してるのかな。 ☆猫と猫の餌と猫好きな私
https://www.youtube.com/watch?v=IlvuMwlM7sc
猫が餌を食べる。
ネタはこれだけだが、演出と間で笑いと共感を生んでいる。
カッコいい入り、からそれがもろくも崩れ去るねこのえさの笑い。
漫画的な表情がコロコロ変わる楽しさ。
鼻で匂いを嗅ぐ、そこからのカットでオチに溜めを作る。
絵柄なども描き込まれていて、丁寧な作りと何よりも女の子の愛らしさが魅力だ。 ☆UnknownShout 〜意味不明な叫び〜
http://www.geocities.jp/unknownshout/
これまで光だけを見ていた。
しかし暗部こそが太陽の明るさを際立たせる。
そう思えるFlashも存在する。
観ていて如何ともしがたい空虚感を与える、故にここが駄目だなと痛切に教えてくれる作品。
ようこそ暗黒面へ。糞Flaボンジュール。
この作品、観ているのが辛い。
途中で×を押したくなる誘惑に満ちている。
50連発のギャグは一向に面白くなる気配を見せず進行する。
そして作品はそれを裏切らない。
ネタ後のおまけのリンク切れは寒さを誘うが、ここに以前書かれていた一つ一つのネタの解説、計50個の拷問と比べれば、まだマシだ。
何が駄目か?
1頭の悪いツッコミはボケの熱を冷ますだけだ。
2身内ギャグの多用。内輪ネタのわからなさ。意味不明=面白い、とは不条理系で勝負している先人に失礼だ。
3定番ネタを不用意に使う。それ、使い古されてるから。
4作っている内に面白くないと気づく。そうしたら没にするのが怪我をしないで済む。
5音の垂れ流しが情けない。
6間と言うものを理解していない。一定テンポで進むので眠気を誘う。
7面白いネタが一つとて無い。コンスタントにつまらないので、緩急が極めて乏しい。
失敗作から学ぶものも、多い。 ☆棗の狂気は妹奈の悲劇
http://www.geocities.jp/tukinamaboro/tukinamaboro.html
タイトルからして漂う地雷臭。
糞Flaボンジュール第二弾だ。
曲がPV系にはド定番のド定番。
目新しさもへったくれもない。
それでも作品とシンクロしているのならいいが、全くマッチしていない。
情熱的でハイテンポな進行は、ストーリーを読ませる作品には、水と油だ。
中身は何も入ってこない。
そしてようやく入ってきたとしても、そのストーリーはプロットだ。
つまり肉付けをしていない事実と台詞の羅列。
共感するのは無理だ。
安易に人を殺す、死をぞんざいに扱うプロットそのものにも嫌悪感がつきまとう。
それにネーミングも含めて、内輪臭と厨二臭が半端ない。何というか、かんというか。 ☆夏と空と僕らの未来
http://doga.jp/contest/con17/html/17_21.htm
漫画のコマと映像の融合の一つの形。
コマをテンポよく駆け巡る主人公、ページを突き破るコミカルさなど、表現は見どころ一杯だ。
音も起伏がしっかりしていて、セミが切なさを誘う。
メッセージ性も豊富。
コミカルな三角関係かなと思えたやり取りが、実際は自己犠牲を覚悟したものに変わる娘。
その運命を受け入れ、自らそれに向かって進んでいく父。
と父娘の絆のようなものに、涙する。
シーンなのだが、自分は穿った見方をしてしまうんだよ。
すんなりと入ってこない。
何故なら重大なタイムパラドックスがあるから。
そういうのをどうやって娘がタイムリープしたのかの説明を省く、という削る方向でカバーしている。
けど、どうしても思う。
二人を破談にするより、火災予防させんかと。
いや、死を覚悟するなんて、火気には気を付けりゃいいんじゃなかろうかと。
つまり冷静な思考を働かせると、運命に従う悲壮感が薄っぺらく、馬鹿っぽく見えてしまう。
もちろんそれは理詰めな部分で、感情的な部分ではじんわりとする。
でも本当の傑作は、知と情、両方を揺さぶるもんじゃないかな。
タイムパラドックスを感じさせない感動のエンディングと言えば、ゲーム「クロノトリガー」、北村薫の小説「スキップ」が思いつくけど、この域には達していない。
この作品は短編で、削る方向で説得力を出してるのだけど、どうも胡麻化しているように思える。短編ゆえの限界か。 ☆やわらか戦車マーチ
https://www.youtube.com/watch?v=ubgvaA4FN2A
勇ましいマーチと気の抜けたデジタル声を、取り合わせた曲が印象的だ。
特に「やわらか戦車の心は一つ」「生き延びたい 生き延びたい」のフレーズは、一度耳についたら離れない妙なキャッチ―さを持っている。
思わず口ずさんでいるような。
ネタも重厚な戦車に対するやわらかさのミスマッチ。
このアイディアだけで飯が食えた時代。
ちょっと食べたくなる感じもあって、饅頭みたいな味がするんだろう的な。
プルプルとしているのが、楽しい。 ☆やわらか戦車53
https://www.youtube.com/watch?v=fZQpai2MuqI
やわらか戦車は密かにシリーズ連載されていた。
が、これは、はっきり言って失敗だったと思う。
いや、全作を観ているわけじゃないんだけど。
ここに至って、何と主役のはずのやわらか戦車が、狂言回しにクラスダウンしている。
事態の解説に終始するだけで、物語に直接関わるわけじゃないのだ。
じゃあ、誰が活躍するかと言えば、缶元総理大臣。
って一発ネタでもスベッテルのに、こんなに引っ張っちゃって、大怪我してないか?
それに軸がぶれてワケワカメになっている。
観客は、少なくとも自分が求めていたのは、タイトルと歌の設定からくる、抜群に軽いニュアンス、つまり癒し系だった。
が、ストーリーに傾倒した本話からは、それが全くしない。
何というんだろう。
作品のキャパシティについて考えてしまう。
「やわらか戦車」は先の歌もの、つまり一発ネタで役目を終えていい、作品容量だったんじゃないか。
つまり、元々、長期連載に耐えられるだけの性質、設定の深みが出る類ではなかったのではないか。
何というか流行りものにしようとした、スポンサーの意向でガンジガラメになっていた感がある。
結果、残ったのは、消費されました、と言った後味。ああ、兵どもが夢の跡。 ☆モフモフ vol.6 お江戸でニンニン お犬様誘拐事件
https://www.youtube.com/watch?v=bRXY9QnhN70
じゃあ、癒し系シリーズ歌モノの成功例ってなんだろう、と思うと、真っ先に浮かんだのがこのモフモフシリーズ。
たどたどしさの残る歌が、ほんわかとした作品とマッチしている。
それもミュージカルのようにストーリー進行の役目も担っている。
アクション面は緩い。
でもこの緩さがバイオレンスとは遠く離れていて、適度な刺激がありながら、癒しの雰囲気を損なわない。
アクション後、安心してほろりと出来る。
軸がしっかりしている。
その軸が女子児童に向いている、無防備な女性が描いただろうファンシーさの塊に、気恥ずかしさはあるのだけど。
それでも男の目線で汚されていない新雪のような可愛らしさ、というものを知るのに一見の価値あるシリーズだと思う。 ☆或る旅人の日記 小さな街の映画会
https://www.youtube.com/watch?v=8MP4xL5LxkI
作品に流れる空気、というのかな、そういうのを色合いや曲で、見事に醸し出している。
夕方と言っても背景色を朱鷺色や橙色と言った如何にもな日暮れの色にしない。
夜が迫ってくる時間の独特の匂いを出している。
ウェットな情景を描こうと思えば描けただろうに、その誘惑を振り切っている。
一つ一つの動作も相変わらず細かい。
スープを飲む際にスプーンでかき混ぜる。
スープの粘度っていうのかな、さらっとした感じのものなのかなとか。そういうのまで描写されている。
くまが匂いを嗅ぐのも、堂に入っている。
人間観察の巧みさ、みたいなのが透けて見える。
そしてセリフが素敵。
ほんと比の打ちどころがない。
「その子供たちの笑い声は、夕食の代わりに私の心を満たしてくれた」
うーん。 ☆Breath ofu fire 5CM
https://www.youtube.com/watch?v=oAjPKv1QDOU
ブレスオブファイア5 ドラゴンクォーター ED
https://www.youtube.com/watch?v=wSyIaaJJpbM
思いっきりネタバレ。
それに自分はこのゲームをやったことが無い。
にも関らずウルッとしてしまった。
隠れた名作と名高いことはある。
一時期、映画的なゲームという言葉が流行っていたけど、それは3DCGグラフィックが凄いことと同義だった。
これは一歩進んで、カメラワーク、カット割り、演出面も含めて映画的。
語り過ぎない映像、例えば先に行ってとの言葉をそのまま素直に受け取るヒロインと、そこに陰を察するサブヒロインの気遣いとの対比。
後半の映像的、ストーリー的、音楽的、盛り上がり。
そしてしめの心憎い一言。
どれも良くできていて、ゲーム映像がここまで来たかと唸らされる出来。
本作は地下世界を陰鬱に高難易度で冒険するハードなものらしい。
きっとゲームプレイしていたら達成した感慨も一塩だっただろうな。 ☆月のワルツ
https://www.youtube.com/watch?v=B7Vo4d99m1I
ファンタジー。を描く際に忘れがちな、異世界に突如連れ込まれた不安感、手探りのドキドキ感が良く出ている。
中東的な色彩の異世界だが、少女と共に閲覧者も旅している感覚を忘れない。
老人の瞳で歪み溶ける少女の顔、血のような赤ワインで、程よい不安、画面に緊張感を適度に持たせているのだ。
楽曲の持つ微妙な甘さ、色気が、その映像の緊迫に絡まって、上品な雰囲気。
この結末は、ハッピーエンドなのだろうか。
バッドエンドとも違うだろうけど。
神隠しに会って帰ってこれなくなった的な一抹の暗さ、みたいなのが妙に締め付ける読後感を生んでいる。 ☆森の安藤
https://www.youtube.com/watch?v=2KBXANFHUUg
思わず吹き出してしまった。
声が本当に上手に笑いを作っている。
ぺろぺろペロのねちっこさ、ティッのキレ、図星を付かれたきょどり方等、挙げようとすればキリが無い。
最後の歌は軽い感動すら覚える。
この声の演技を利用した笑いって、他のFlashでは中々お目にかかれない。
それをこの完成度で。
ユニークだ。
濃い画風だけど、ネタはテンポよく高密度で出てくるので画面に飽きが来ない。
ツッコミは不在だが、間をしっかりとっていて、読者の突っ込む間隙があった。
ナンセンスな味にはツッコミ役は無粋だと、気づかされる。 ☆ズーキーパー
http://www.game-tm.com/puzzle/zoo-keeper-2.html
Flashで一番、長時間遊び続けているゲームがこれ。
あと一回と言う妙な中毒性と、暇な時にやるかと言う気軽さを併せ持つ。
決して爽快感があるとは言えないが、毒舌の園長の一言が絶妙にやる気をそそる。
褒められるようになると、気持ちいいんだよ。
上達した、みたいな感慨があって。
難易度調整も上手い。
連鎖はある程度は意識してできるが、それでも偶然生まれる驚きを忘れていない。
動物キャラ追加も、中級者にさしかかる程度で出てくるさじ加減が上手い。
でも、時々やってしまうここまでの中毒性があるのを上手く説明できない。
気軽さと達成感、絶妙な難易度とシンプルさ。だけなのかな。なんでかな。 ☆これくらいで歌う
https://www.youtube.com/watch?v=ygECmAslHCI
群像劇のように分岐するストーリーラインの賑わいとそれが一本に収斂する安心感。
街の賑わいが、人々の喧騒が、描き込まれた背景が、そのハチャメチャぶりが楽しい。
おもちゃ箱みたいで、ワクワクとする。
力まない歌に合わせて、音楽を主題にした作りも〇。
バイオリンの一瞬の哀愁が好き。 ☆灯花
https://www.youtube.com/watch?v=XCLuFAVbGYA
静かに冷たさ漂う空間で、しかし終わりを予感させる凛とした緊張感を保って、進行する物語。
役目を終えた、それでも何かを残したいと言う切なる欲求、最後まで尽くすものがある幸せ。
老人の最後のような、妙な寓意性があって、しんみりとする。
低温のぬくrもりが、程よく心地いい。
けど花は演技過剰気味か。 ☆Express
https://www.youtube.com/watch?v=f89FnJZKqu4
3DCG故のダイナミックなカメラ、カメラワークが楽しい。
3Dでも絵に艶っぽさや湿気が失わていない。
場面場面が美しく、幻想的な雰囲気を作っている。まるでギリシア語を話してきそうな。 ☆しぃのうた
http://www.geocities.jp/kanonnagito/siinouta.html
単なる歌モノと侮れない。
春夏秋冬に応じた起承転結のストーリーは強固に展開する。
夏場面の夢想の儚さよ。
物語の最後のちょっとした仕草に感情は持っていかれる。
さりげなく、インタラクティヴ要素がある。
瓶の植物にマウスで触れるとちょっとした動きがあるのだ。
さり気なくもFlashらしい工夫が嬉しい。 ☆ウシガエル
https://www.youtube.com/watch?v=6y_Vur4RPpg
レトロでハイセンスな映像と、最新鋭の機械の取り合わせ。
過去のようで未来でもある、
あり得たかもしれない分岐ルートの果ての一つの世界のような。
そのレトロさを強調するそろばんの使い方、背景の小道具だけではなく後半で実際に使用されるその巧みさも含めて、はとても上手。
異世界への親しみがぐっと高まった。
ストーリー構成はウシガエルとの遭遇の前半と、テリヤス工業侵入の後半に分かれる。
のだけど、後半面で犬クンとネズミの存在感が前半と比べてかなり目減りしている。
新機械らの登場に圧倒的に押されている。
それはそれで楽しいが、寂しさもあった。
しかし、生き生きと躍動的に生命のように動くウシガエル達。
それが却って生物と機械のあらがえない差異を浮き彫りにしている。
機械たちが非情にも駆逐されるシーンでは、爽快感の裏に悲哀すら滲む。
世界観、哲学をも感じる世界の捉え方、作り込みがバックボーンにある。 ☆2ch逆転裁判
http://netlife5.nobody.jp/flashdetail/gyakuten.htm
サウンドノベルに推理謎解き要素を加えたゲーム。
市販ゲーム逆転裁判のクローン。
楽しさは原作が保証している。
違法なのだが、このFlashから元のゲームの購入に至った人も多いのではないか。
布教要素もあった。
本編ゲームと比べると気軽にできる。
軽さが売り。
単作でも、短編として独立したかのような纏まりがある。
原作に忠実に、翻訳者の自己満足の追加要素を極力出さない、けれどキャラの2ch流配役が抜群にハマっている。 ☆メリーダイバー
http://web.archive.org/web/20070128190103/http://anime.livedoor.com:80/movie/7d1b918f3a283dd0/
ストーリーはベタベタだが。弛緩と緊張が程よく波打つ流し方が心地いい。
いい意味で深くなく、馬鹿っぽい。 ☆RIVA
https://vimeo.com/74045819
夢と夢想が錯綜するファンタジー。
作品内でキャラを動かす動機、この作品の場合は「ピアノが欲しい」の提示がお見事。
ピアノをガラス越しに眺める表情は、切実さが込められている。
それがピークになるのが、曲に合わせて空を弾いているところ。
ここで「嗚呼ピアノを与えてやってくれ作者」、とこちらまで痛切に願うことになった。
それが叶うのがファンタジーのいいところ。
なのだけど、自分はもっと紆余曲折した形、対価としての努力が欲しかったな的なものがあった。
突然なのだ。
しかしハッピーエンドにほっとするのは、動機の提示、その読者への共感が、高いレベルで成功しているからに他ならない。 There she is!!!
ttp://www.newgrounds.com/portal/view/161181
韓国アニメです。
軽快快速、恋する乙女がどたばた追いかけるって、先のPuccaに似てますが、これは私にはうなる部分がありました。
信念のようなものを感じたんです。
これは一見すると、少年漫画のサービス恋愛系の、あの独特の甘い物語に見えるかもしれませんけど。ちょっと集中してみてご覧なされ。
まずは自動販売機での出会い、うさぎさんは人参、ネコさんは魚を食べてるじゃないですか。
うさぎさんは恋にドリーマーで甘い妄想に落ち、ねこさんは現実にリアリストで種族の差を教えようとする。
そこで恋をして追いかけて、結果として、うさぎさんは魚を食べ、ネコさんは人参を食べる。
ここでお互いに美味しいね。二人共ハッピー。が正に一つのベストエンドの鋳型なんだと思います。 実際ねこさんは、人参ジュースが意外と美味しい、ってなって、ハートマークで、そんなオチを予感させます。
しかし、うさぎさんは、魚を食べる際に鼻栓をしている。
このたった一つの描写だけで、私はうさぎさんに好感を持ちました。
我慢して苦手なのを食べて、それでも笑顔を向ける。その純粋さに。
ねこさんは恋の妄想の甘さを伝播され、距離が縮みました。
反対にうさぎさんは現実の味覚というどうしようもない種族差、灯台で言う魚臭さを味わって、でもそれを乗り越えて距離を埋めました。
お互いにお互いが影響し合って歩み寄っていく、その微妙な関係の進み方が、私は好きです。
ここが無かったら、うさぎさんはにんじんジュースが好きで、好きな相手にニンジンばっかり押し付けて、結果的にねこさんにニンジンの美味しさを教えれて恋が成就のハッピーエンド。
これは、こうやって文章で書くとちょっとその歪さを私は意識するのですが、漫画とか映像とかでこうした形のなんとなくハッピーな作品ってあるような気がするんです。
それで、私もそういうの好きな側面、私だって恋に溺れたい部分ってありますから、だから共感しそうな部分があります。
ディズニーなPUCCAの女性みてごらんなさいよ。あの、忍者追い続けてキスばっか迫るあの姿、あーいうのが受けるんでしょ、私。
だけど、この最後にうさぎさん実はかなりの頑張り屋さん、って、おんなじ恋愛ダッシュ系でも、そういう妙味は実は心を広げてくれるようなそんなのがあるんだと思います。 There she is!! step 2
ttp://www.newgrounds.com/portal/view/224148
ウキウキしますよね。恋をしていて一番楽しい時なんだと思います。
お互い想い合って、適度な距離と障害があって、そこを乗り越えて。
前回はうさぎさんが食わず嫌いって障害を飛んだんですが、今回はねこさんが一所懸命。
しょーがないなって言うテレも含め、微妙に関係が進展していてそれを確認するかのように展開していく。やはり心地いいものです。
恋愛ものなら、こうしたエピソードを積み重ねて、長編へと持っていくことだって可能な、だけどそうしなかったからこそ、目立つ際立つ、個人制作?の手の中で収まった。
的なそういうイサギの良いお話だと思います。
もちろん一つの短編としても、上手く纏まっているなって感じます。
大きなケーキをバクバクでにんまりするギャグですが、それより実に嬉しく心から笑えるのは本命ケーキの味わい方ですよね。 There She Is!! step3
ttp://www.newgrounds.com/portal/view/442805
凄く可愛い恋の発展のさせ方ですよね。
その原動力は初めからうさぎさんの押しの強さで、それでねこさんが世間体を気にしていて遠慮しようとする。
そこをリピートさせ続けると思いきや。
映画館の暗がりでねこさんがアプローチしていく。
この意外性。ここで距離が埋まってもハッピーです。が、ここですれ違わせる。
どうにもお互いが想い合っているのに、もどかしいこの感覚。
この焦らす感覚って、本当に素敵で、キャラの役割とか設定とかばっか気にしたりして、その心とか関係性とかが疎かになりそうな。
そういうアクの強い恋愛ノンストップアドベンチャー物語に見えて、こうした繊細さを忘れていないその気配り。 There She Is!! step4
ttp://www.newgrounds.com/portal/view/456643
ここでもう、完全に最初の方の持ち味というかシリーズの予想を覆す、ほのぼのからの急転直下シリアス。
1話ではスパイスとかコミカルな障害物的なイメージだった異種族間の交わりへの強い拒否反応。人種とか民族とか、もっとそれよりも激しいのかな。私は安全なところにいるなって思います。
それでその反対者たちな世間でうさぎさんが傷つくんですが、傷ついて二人の交際は終わりってんじゃなくて。
傷ついてお互い想い合っていて、憤って抵抗して、そしたら余計二人が傷ついて(こっから先は私のイメージですが、自分が傷つくよりも恋人が傷ついてしまうのが苦しい的な)、それで離れてしまう。
力に屈するだけなら絶望感はそんなにないんですが、愛ゆえに離れなければならない的な、そんな浪花節に胸が詰まるものがありました。
このパラドックスというか矛盾というか、世界ってそんなに単純じゃないんだよ的なのを、この二人のドタバタラブストーリーから展開するなんて、思わなかった。
でもだからこその驚きだし、当たり前が実は儚いものだった的な、揺れ動きにシビレるんだと思います。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています