監査法人よ、いますぐ東芝の歴代経営者を訴えよ
磯山 友幸 経済ジャーナリスト
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51945


東芝の監査法人に賠償請求

投資家であるGPIFが監査法人に賠償を求める理屈は、「監査で問題ない
という決算書を信用して株式を買ったのに、実は粉飾していたということ
が分かって株価が急落、損失を被った、その責任の一端は監査法人にある」
というものだ。
監査は本来、投資家の利益を守るために設けられた制度だから、その監査に
問題があり、損失を被ったのであれば、損害賠償を求められるのは当然のことだ。

一義的には粉飾をした会社や経営者に損害賠償を求めるケースが多い。
GPIFは東芝自体にも計約132億円の損害賠償を求めて2件の訴訟を起こしている。
もっとも、粉飾決算の場合、企業自体が破綻して賠償できる財力がなくなって
しまう例も少なくない。このため、欧米では監査法人が訴えられる事がしば
しばあるわけだ。
紛れもない粉飾、責められるのは当然

金融庁が粉飾の事実を認めているわけだから、粉飾の有無を裁判で争うことはない。
監査法人として十分な責任を果たしていたかどうかについても、金融庁から行政処分を
受け、監査法人も課徴金を納入している以上、「罪を認めた」ことになるわけで、
賠償責任を回避するのはなかなか難しい。新日本監査法人が敗訴して、
賠償が命じられる可能性は低くない。

新日本監査法人にとってさらに厄介なのは、訴訟を起こすのがGPIFだけに限らない、
ということだ。東芝の大株主には日本生命保険や第一生命保険など大手保険会社や
銀行などが名を連ねる。保有株に大きな損失が発生しており、その賠償を求めて
監査法人を訴える可能性があるのだ。