彼(種村直樹)の作品が真に凄いのは、文章が時代性や地域性や文学性や旅の情緒や政治性や......というものから程遠いところから書かれているという点。
ただただ種村先生の見て感じたことだけが書かれている。児戯に充ち満ちた単純さを味わうという消費の仕方もあるんだけど、種村直樹というアクの強い著者の存在がそれすらを妨げる。