まだ最初の5年ぐらいは種村先生の威光が輝いていたんで、本人への関心込みで読めたんだけど、80年代半ばから「郵便局、郵便局、船、バス、また郵便局、晩飯……」というアレな話ばかりになってしまった。

 ただ、それだけしか動機として描かれていないから、読む方としても辛くなる。行程紹介と身辺雑記と感想だけで29年間も続いた旅行日記。小笠原諸島でも、五島列島でも、八重山諸島でも、基本、同じ話ばかりである。
過去の日記をコピペして固有名詞を変えれば、また別な旅の行程として応用可能だ。これは並大抵のフリーライターにマネできることではない。