京急電鉄は、踏切での衝突事故や線路上への土砂崩れに遭遇した際、電車の転覆を防ぐため、伝統的に先頭車となる編成両端にモーター付きの車両を連結している。
一般的に京急以外の鉄道会社では先頭車にモーターのない車両を用いることが多いが、モーターの付いた車両は重く、重心が低いため、衝突時のダメージが少ない。
 今回事故に遭った1000形編成では、先頭車のモーター付きデハ1000形の重量は33トン、これに対して2・3両目のサハ1000形は27トン・23トンと軽い。
先頭車がモーターなしの車両だった場合、電車側のダメージは大きく、さらに被害が拡大した可能性も高い。
また、京急の線路幅は1435ミリメートルの新幹線と同じ標準軌を採用しており、JRなどの1067ミリメートル狭軌に比べ、安定性が高いとされている。
 京急がモーター付きの車両を先頭に置いてきたのは、比較的カーブが多い線形にかかわらず、並行するJRへの対抗策として、
快特は最高時速120キロ、特急以下は110キロの高速運転を行っていることによる。

 横浜方面へ向かう快特の場合、事故があった神奈川新町第一踏切を含む京急川崎〜横浜間では、時速120キロに達することもしばしばある。
今回の事故も、時速120キロ近いスピードで電車とトラックが衝突した可能性がある。

 2012年9月24日、京急本線追浜〜京急田浦間で、時速約75キロで走行中の1500形特急(8両編成)が、線路上に崩れた土砂に乗り上げ、
1〜3両目が脱線し、重傷者10人・軽傷者44人を出したものの、転覆を免れた。先頭車両が重いモーター付きだったことも、大きな要因だとされている。