ある意味すべての向精神薬は、存在としての本質的な自己と、その存在が創造する思考とを遮断する薬だといえる。
それゆえ、本当は根本的なことが何ひとつ解消していないにもかかわらず、まるで良くなったように錯覚するのである。
つまり簡単にいえば、まるで悩みが消えたかのような感覚になる、ということである。

しかし薬は思考の遮断だけでなく、身体機能に必要な神経伝達までもを遮断してしまうので、
体が重い… 動けない… 字を書くのが下手になった… 文字が読みにくくなった… 手が震える…などなど、身体機能のあらゆる活動が低下してしまうのである。

そしてそもそも思考は悪いものではなく、存在としての本質的な自己にとっては物質世界と非物質世界をつなぐ接点のような役割を果たしている。
なので、その思考が遮断されることで、新たな現実を想像(創造)する力さえも低下してしまうのである。

おぼおろげな意識の中で、精神医学や向精神薬の問題に気づいた人はある意味ラッキーである。
なぜなら向精神薬は、そうした問題に気づく力さえも奪ってしまう場合があるのだから……