高齢者施設に
ある患者が骨折治療後に入所しました
食欲不振となり
食事メニューを変えてみても、レクリエーションに誘ってみても、期間を置いてみても、液体栄養剤を処方してみても
どんどん食事量は減るばかりで、水分ばかりを取りたがり
鬱々とされておられました
慢性肝硬変既往のため、アンモニアを計ってみても70程度軽微であり
整形に受診しても、内科に受診しても改善しません
半年が過ぎたころ、意識障害となり内科受診しました

Ca15台、重度高カルシウム血症です
骨折後整形から処方され継続されていた
新規の活性型ビタミンD剤高用量でした

肝硬変という器質的疾患に高用量の薬剤はデメリットが多い
セオリーです
直ちに中止後、補液負荷で回復され、退院されました

食欲不振だから栄養剤を追加処方する ではなく
なぜ食欲不振なのか と言うところです
介護人件費も部屋代もベッド代も薬剤代も費用が掛からないばかりか
中止した薬剤代が返ってくるのです

この 世にも費用の掛からない、儲からない
「薬剤の中止」 という治療は
知恵とセンスがなければできない
彼を救う唯一の貴重な治療法なのです

というように例えば
「ちょっと工夫をするだけで、劇的に効果がある」
というような「何か」があるような期待感が沸いている
そんな春です