いつになっても、ぼくにはなぜ恐怖をいだくのかが言えまい。
それはぼくの内部にあり、そしてぼくがこの影を追いかければ追いかけるほど、それはぼくから逃げてゆく。
だがそれでも、それらの怪物は実在するのだ!
詩的な創造物ではないのだ!
奴らはぼくの中にうごめき、ありとあらゆるものの内部にうようよしている。
奴らはそこにいる。
多種多様な形をした。
いまわしい。
壮麗な。
デリケートな。
むさぼり食うやつら。
昆虫ども、何千万もの昆虫ども。
生きた獲物をかじる幼虫ども。
吸い取る幼虫ども。
仔を孕む奴ら。
卵をうみつける奴ら。
鹿の咽喉に巣食う虫ども。
がまがえるの鼻の穴に巣食う虫ども。


タナトフォビアってこんな感じだろ。