世にも奇妙な物語とかSF小説にありそうだな。


「俺はこの角を曲がると見えてくる一流大学を出たんだ」
→曲がってみるとただの公園だった…

「俺はこの、地下鉄のこの出口を出てすぐのところにある一流企業の研究員だったんだ」
→そこにあったのはただの家電量販店だった…

「俺は、今のところに住む前、この橋の向こうのアパートで彼女と事実婚の状態で暮らしていたんだ」
→そこは風俗街だった…

「俺は父から、よく戦争の話をきいた。どうだ、これは疑いようがないだろう」
→日本は、もう500年ほど外国と戦争なんてしていないよ…

レフトは、本当に一流大学や一流企業の経歴がある、脳腫瘍の患者の臓器牧場として作られたクローン人間だった。
脳の移植は現代医療でも難しく、記憶のコピーが断片的になってしまったのだ。
脳を移植するためだけに作られた存在。
CWも優しかった。働かなくていいと言った。

CWは、「先生が、お薬をかえてみようと言っているよ」と、錠剤をひとつ取り出した。
レフトはそれをゴクリと飲むと、すぐに体が動かなくなった。
薄れゆく意識の中で、「さあ、はやく運んで」という、優しかった主治医の声がした…。