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条文から見えてくる、桂枝湯と葛根湯、麻黄湯の違い

 ここまで、桂枝湯が葛根湯や麻黄湯と比べてマイルドに効く漢方薬であり、虚証の人に使いやすいことを説明してきました。

今回も『傷寒論』の条文を確認してみましょう3)。

太陽病、頭痛発熱、汗出(い)で悪風の者は、桂枝湯之(これ)を主(つかさど)る。


 意訳すると、「脈が浮いていて、頭痛や発熱があって、汗が出ていて、寒気を感じている状況では、桂枝湯が第一選択薬である」となります。
ここで注目してほしいのが、「汗出で」の部分。桂枝湯は、感冒初期で発汗のある患者さんに使うわけですね。
一方で、葛根湯の条文では「汗無く悪風するは……」、麻黄湯では「悪風、汗なくして喘する者は……」とあります。
葛根湯や麻黄湯は発汗のない患者さんに使うということです。