そして、後半はその『鏡』を自分の全てをかけて“封印”する人生へと転向させたのだ
させた…なぜなら【自己愛】の対象である『理想の自分』を映し出してくれるはすの鏡が、別の存在を映す様になったからだ
それはYOSHIKIとは異なるタイプの天才が二人の間に入って来た時から“鏡”はその天才を映し出す様になり、しだいにtoshiの影がかきけされる程に光を放ち始めた…
鏡に自分の姿が見出せない事に気づいた時それは彼にとってどんなに過酷な現実だっただろう
何かが彼の足元から音を立てて崩れて行った…愛したい『あらまほしき自分』を失ったのだ…
【自己愛】の対象を見失った彼は“死にたい”と思う程に彼の中で深刻な事態だったろう
一方で“死にたくも死に切れぬ情けない自分”とも対峙しなくてはならなくなった…
死ねな以上はなんとしても生きなくてはならなかった…たとえ自分自身を欺くことになっても…
彼は生きる為には新しい核が必要だった…全てを賭けても欲しかったあの“鏡に映る理想のtoshi”を手に入れる夢がたたれた
一番大切だったが故に、一番欲しかったが故に封印しなくてはならなくなった…
その為の新たな人生を構築する核がどうしても必要だった…それはtoshiがtoshi自身をも欺ける程
劇的でドラマチックで、運命的に感じられるものでなければならなかった…
そして、toshiは“命の恩人”というドラマチックに仕立て上げられた核を手にいれたのだ
核を自身の心の中心に不動の物とする為には彼はどんな事もしただろう
使い走りの様な扱いも受けただろうし、かつてのスターが“どさまわり”の様な事までした
おそらく彼はこのまま自身を欺き通して生き続け、新たに手にいれた核を中心として構築した人生で“鏡”に蓋をして
彼の心の奥深く闇の中にそれを沈めて“封印”する事にすべてを賭けるのだろう…
その蓋を開ける事が出来るのはこの世でただ一人“YOSHIKI”だけである
なぜなら、YOSHIKIがtoshiの為でなく、“YOSHIKIの為に自らその蓋を開ける”その時こそが
toshiが自分の全てを賭けても欲しかった『YOSHIKIの中に映る“YOSHIKIにとっての一番の存在であるtoshi”』
を手に入れる事が出来る瞬間だからだ…だからtoshiは一生自分では蓋を開けることは無い