ボディのプラスチックは製造コストの安い白と赤を選んだ。
複雑な形の部品は使わない。ネジ一本に至るまで徹底的なコストダウンが検討された。
これが、ファミコンの心臓部・半導体基盤である。
ここに、ゲームソフトを動かす2つのマイコンチップがある。
上村さんは、このマイコンチップを設計する上で
コストダウンによってゲームの面白さを損なっては意味がないと考えた。
小さなコンピューターの限られた能力を何に集中的に使うのか。
色数・音質などゲームの面白さに直接響かない機能を次々と削っていった。

「(例えば理想的な色数と言えばいくつという質問に)いちばん言われているのが何十万色でしょ。」
「(それを何色にしたかという質問に)五十何色しか使ってない。54色ですか。」
「それは横に宮本君のような絵描きさんと一緒に、さっき言いましたように電子技術屋さん70名、
技術屋さん30名の世界ですから、まあ一緒になって、「これで絵描かれへん?描いてーや」と、
こういう世界ですね。」