「・・・援軍はまだかっ・・・」
第2歩兵部隊隊長は崩れかけた土壁にもたりかかりながら声にならぬ声を発した。
敵側の火弓、石砲により急ぎで作られた砦はもはやその意味を成さない。

日陰を作り強い日差しから逃れ彼から愚痴をこぼさせることだけである。
こちらに救急箱を運ぼうとしていた若い兵が、うつ伏せになりその命を失おうとしていた。
1つの矢があっけなく彼の生命を削ったのだ。
「・・・くそっ」
名前もうろ覚えだが、人付き合いの苦手な彼には珍しく従順な部下であった。

もうすぐ日も暮れるはずだが、各所で火の手が上がっており
その熱気が彼の体力を徐々に奪っていく・・・

「・・・おい、オッサン。俺は何をすればいいんだ?」
暫く気を失っていたのか。戦場で気を失うなど・・・
「おい聞いてるのか?オネンネにはまだ早いだろ」